2024.6.3
ネットショップ運営において、売上をアップさせるためには効果的な施策を取り入れることが重要です。ただ闇雲に施策を試すのではなく、成功事例や失敗事例を元に学び、自分のショップに合った方法に絞り込んで取り組むことが大切です。
本記事では、ネットショップの売上を効果的にアップさせるための8つの具体的な施策を紹介するとともに、実際の成功事例や、陥りがちな失敗ポイントも併せて解説します。
さらに、少ないリソースでも成果を出すための具体策もご紹介します。
まずは、ネットショップの売上に関する計算式について考えてみましょう。
参考:「ECサイト売上アップにつながるリピート施策とは?~リピート訪問を増やす方法から購入率改善まで基本施策を徹底解説~」
上記の計算式を構成する3要素、
をそれぞれ高めていくことで、売上は向上していくと計算できます。次章からは、3つの要素を向上させるためのさまざまな施策を紹介します。
▶ECサイトの訪問者数を増やすには?詳細はこちら
ECサイトの集客!少ないリソースで売上を高めるポイント~集客方法7選と具体事例もご紹介~
ネットショップを運営する中で、必ず押さえておきたい8つの施策を紹介します。
1つ目は、リピート購入の促進です。
リピート購入を増やすためには、以下のポイントを理解しておくことが重要です。
一度は購入したことのある既存顧客に対して、継続して購入を促す戦略立案が必要です。
たとえば、
といったアプローチが効果的です。
頻繁にサイトを訪れてくれるようなリピート客の客単価を向上させるには、彼らにとって価値のあるアップセルやクロスセルの機会を提供することが有効です。
たとえば、スキンケアやボディケア商品を購入した顧客に対して、大容量サイズの商品を割引価格で提案するなどの施策が考えられます。1ヶ月分のシャンプーを定期購入している顧客に対して、3ヶ月分の大容量パックを割引価格で提供します
これにより、顧客一人ひとりからの平均売上を高めることができるでしょう。
新規顧客の獲得はコストが高く、難易度も高いため、既存の顧客基盤を活用することで効率的に売上を伸ばすことが可能です。
新規顧客を確保した後も、彼らがリピート顧客になるような仕組みを整えることで、長期継続的な売上成長を目指すべきです。顧客ロイヤルティを高めることにもつながり、長期的なビジネスの成功を後押しするでしょう。
2つ目は、日々追跡する指標に「LTV」を加えることです。
サブスクビジネスを展開する、成長中の通販会社が重視している重要な指標の一つに「LTV(ライフタイムバリュー)」があります。
LTV:一人の顧客が企業に対して、生涯にわたりどれだけの利益をもたらすかを示す数値 (例) |
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LTVを重要な指標と位置づけ、数値の推移をモニタリングしておくと、新規顧客を獲得するための広告予算の上限を設定する際に役立ちます。
たとえば、「うちの店の平均LTVはだいたい●円ぐらい。一方、広告予算を投じて新規顧客を獲得する平均コストは、●円ぐらいである」と大まかにでも把握できていれば、1回の広告施策に何円まで予算を投じることができるか、ある程度戦略的に意思決定できるようになるでしょう。
▶LTVの計算方法を理解するにはこちら
LTV計算方法の基本。陥りやすい誤解や、サブスクの場合も解説!LTV計算方法の基本。陥りやすい誤解や、サブスクの場合も解説!
3つ目は、競合分析に取り組むことです。
競合分析をする目的は、自社のポジションを明確にし、市場での立ち位置を客観的に理解するためです。
自社の「強み」や「差別化要因」が明確になるので、「広告施策やSNSに取り組む際、自社の強みや差別化ポイントをどのように打ち出すか?」など、効果的なマーケティング戦略立案に役立ちます。
具体的な実施手順としては、競合相手を特定し、その会社のサイトを詳細に調査してみると良いでしょう。そして、
などをチェックし、自社と比較してみましょう。
さらに、ポジショニング(市場における立ち位置)を視覚化するためのマップを作成し、自社の立ち位置を分析します。
XやInstagram、TikTokなどを販促に活用しましょう。
広告出稿を行ったり、インフルエンサーに依頼してPR施策に取り組んでいるショップも数多く見られます。しかし、必ずしも費用を投じて広告出稿しなくても、「誰に」「何を」「どのように伝えるか」という3点を明確にして、日々の入荷情報やセール情報など地道に投稿を行っていると、じょじょにフォロワー(ショップのファン)を獲得できる可能性も。
SNSでは、UGCの蓄積も重視しましょう。UGCとは、ユーザーが自発的に投稿したクチコミのことです。
たとえば、このショップでこの商品を買ったら、こんな体験ができて感動した」「体験前後で、こんな変化があって良かった」といった、自店舗にとって好意的なUGCが増えていくことで、自店舗にとっての大きな資産・強みとなっていきます。
UGCを次なる購入検討者が見ることで、「(販売者側からの一方的な謳い文句ではない)第三者の客観的な商品評価」「実際に商品を買って体験した人の、生の正直な声」と受け止めることができます。
その結果、購入検討者の視点では「これは今の自分に合っている、必要な商品だ」など、自分ごと化でき「購入検討」から「購入」への転換の強力な後押しとなるのです。
「ささげ」とは、
のことです。
ネットショップでは、顧客は商品を直接見て、触れて確認することはできません。オンライン(Web広告や、商品ページ)が最初の顧客接点になる場合がほとんどです。
そのため、写真や商品説明が購買決定に大きな役割を果たします。これらの情報提供は、実店舗での「接客」に相当する重要な部分だといえます。
したがって、商品情報の充実は単なるルーチンワークではなく、売上に直接影響を与える重要な作業だと捉えて取り組むことが大事です。
動画を活用した商品訴求は情報伝達力と訴求力が高く、たとえば商品詳細ページやLPの一部に動画を埋め込んだりすることで、コンバージョン率(CVR)が上がる事例も。
ユーザーが商品やサービスを具体的にイメージしやすくなり、信頼性と説得力が増すため、CVR改善に有効です。
▶CVRが2倍になった事例はこちら
CVRを改善するには?施策実行前に理解しておくべき3つの重要なポイント
商品購入ページにUGCを掲載するのも効果的です。
アライドアーキテクツの2022年の調査では、64.6%の消費者が購入時にUGCを信頼すると回答。UGCは信頼性が高く、コンバージョン率(CVR)の向上に寄与します。また、ユーザーのリアルな体験を反映するため、購買意欲を高める効果があります。
▶UGCの効果を理解するにはこちら
【完全版】UGCとは?今注目される理由とEC広告・販促事例10選
せっかくネットショップを訪問してくれた人を逃さないよう、サイト離脱防止策を講じましょう。
ECサイトでの離脱率を低減し、売上を向上させるためには、たとえば次のような工夫が有効です。
・カートボタン
大きく、わかりやすく、クリックしやすく、見落としを防ぎましょう。
・決済ページ
購入プロセス(入力フォーム)の全ステップをページ上部などに可視化して表示しましょう。ユーザーが次に何をすべきか把握しやすくなり、入力ストレスを低減できます。
また、購入完了に至るまでのステップはできる限りシンプルであるほど良いでしょう。
<例>
さらに、Amazon Payなどを導入し、初回会員登録・ログインや購入者情報の入力の手間を省くことも有効だといえます
また、決済方法も各種バーコード決済など、できる限り豊富に用意しておき、購入意欲のある人にとっての利便性をアピールすることが大事です。「このサイトは入力や手続きが面倒なので、ほかで買おう」などと思われないような策を講じることが大事です。
成功しているネットショップは、顧客が安心して購入できる環境整備に注力しています。
たとえば
などを明示している場合が多いといえます。
また、個人情報の取り扱いに関する明確なルール(プライバシーポリシー)も、顧客がいつでもサイト上で参照できるよう、整えておく必要があります。
ネットショップに人間味と信頼性を加えることができるでしょう。
SEO対策は、ネットショップそのものや、個別の商品を検索結果の上位に表示させるために重要な取り組みです。
主にやるべきこととしては、
などが挙げられます。
SEO効果が現れるまでには通常3〜6ヶ月はかかるため、長期視点での取り組みが必要です
ここからは、ネットショップの成功事例10選を紹介します。
画像引用:リンガーハットオンラインショップ
「リンガーハットオンラインショップ」では、当初、店舗からECサイトへの案内が十分に実施できていませんでした。
しかし、サイトリニューアルを機に販促施策を強化した結果、ECサイトの認知度が向上し、会員獲得が進みました。
具体的には、はがきやファックスでの注文を行っていた顧客を、紙媒体にQRコードを掲載してECサイトへ誘導。ECの会員登録数が増加につながりました。
さらに、顧客分析も実施してユーザー体験の向上にも注力しています。たとえば、「かご落ち分析」を行うことで、顧客がどのアクションで離脱しているのかを明確にし、的確な対策を講じることが可能になりました。
このような取り組みにより、さまざまなデータに基づいた施策を考案できるようになり、単月の売上が前年同月比で最大215%を達成した月もあったそうです。
画像引用:BONIQ
「株式会社葉山社中」は、自社開発した「低温調理器BONIQ」を用いて、自宅で高級肉料理を簡単に作れるとして注目を集め、3万台を売り上げました。
元々は月に1~2個の販売だったそうですが、サイトリニューアルしてからの初月には数百万円、1年後には数千万円の売上を記録。
顧客単価向上に寄与した具体策は、未購入客へのクーポン提供と、購入時の関連商品推奨だったそうです。
画像出典:蝶矢
梅専門店「蝶矢」は、コロナ禍の緊急事態宣言で実店舗の運営が困難になった状況の中、梅酒や梅シロップづくりの素材をキットとして販売するオンラインストアをローンチ。「素材から自ら選んで、手作りができる」という体験にフォーカスしたショップです。
オンラインストアは、初日から完売するほどの大反響。また、緊急事態宣言以降も、実店舗の予約倍率を11.5倍から30倍にまで引き上げるなど、オンラインショップの存在が実店舗にも良い影響をもたらしたそうです。
画像出典:オリオンビール公式通販
「オリオンビール公式通販」では、サイトリニューアルを契機に商品ラインナップを大幅に拡充しました。また、ビールだけでなく、ビールグラスや提灯などのオリジナルグッズの販売にも注力し、更なる収益拡大を図っています。
現在ではECサイトでの購入者の多くが、沖縄県外の方々となっているそうです。
スペシャルティチョコレート専門店・Minimalは、オンラインストアの売上拡大のため、UGCをECサイトのトップページや商品ページに掲載し、ユーザー体験を向上させる取り組みを行いました。
具体的には、Instagramの投稿をネットショップに引き込み、商品購入ページへの誘導をスムーズにする施策を実施しました。
動画出典:UGCをサイトにストック。重厚なコンテンツづくりに欠かせない一手 ~お客様との持続的な関係を築く「Minimal」が捉えるUGCの価値とは~
これにより、定期便の申込みページのCVRが2.04倍に向上。さらに、サイト上に重厚なコンテンツが形成され、ユーザーの購買意欲が高まる結果となりました。
トイザらスは、顧客体験向上のため、UGC(ユーザー生成コンテンツ)をオンラインストアのトップページや商品ページに積極的に掲載しています。
赤ちゃんや子どもが実際に商品を使用している様子を視覚的に伝えることで、商品の魅力を効果的に伝えています。
画像引用:UGCは顧客体験向上に欠かせないコンテンツ。トイザらスに学ぶ、オンラインストア×UGC活用術
UGCの活用により、オンラインでの顧客体験が向上し、オフラインの販促物にもUGCを使用することで、オンラインとオフラインの融合が実現しました。
ベビースキンケアブランドのSOLIAは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用し、ECサイトやLP(ランディングページ)に掲載することで顧客体験の向上を図りました。
具体的には、Instagramの投稿を取り入れ、商品のリアルな使用感を伝えることで信頼性を高めました。
UGCの活用により、サイト全体のCVR(コンバージョン率)は平均1.2倍に向上。ユーザーの購入意欲が高まり、売上の増加に繋がりました。
メイクアップブランドのエチュードは、オンラインショップにUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した画像付きレビューコンテンツを実装しました。
特に「USER’S VOICE」として注力商品を中心に使用イメージやパッケージのUGCを掲載、各商品の購入ページにもリンクしています。
画像引用:メイクアップブランドのエチュード、オンラインショップにUGCを活用した画像つきレビューコンテンツを実装~
これにより、顧客の購入意欲が高まり、購入の不安を払拭することで、売上に直結。UGCを通じた顧客とのコミュニケーションも向上しました。
「ミウラタクヤ商店」という健康食品のオンラインショップの事例です。
このショップは店主一人で運営し、D2C事業の多岐にわたる業務のほとんどを自ら手がけています。
店主は、コンテンツの創出と顧客とのコミュニケーションを重視しており、これらを中心に業務の最適化を図っているそうです。ただし在庫管理と配送業務だけは、効率的に運営するために必要な措置として外注。
画像引用:ミウラタクヤ商店
このような店舗運営方針により、年商1億円を達成し、顧客との信頼関係を深めながらリピーターの客単価を1万円以上に維持しているそうです
健康食品を販売するタマチャンショップは、約10人のスタッフで運営しており、自社ECサイトと実店舗を展開しています。
2022年8月には、顧客同士の交流を深めるためにコミュニティサイト「タマリバ」を開設しました。
画像引用:タマリバ|タマチャンショップのお客様と作るコミュニティサイト。
SNSを活用し、顧客が投稿する情報を「しあわシェア」としてスタッフ間で共有することで、商品の活用法が広がり、顧客同士の交流も活発化。商品の注目度が高まり、売上にも好影響が出ているそうです。
ネットショップ運営でよくある失敗例として、たとえば以下のような項目が挙げられます。ポイントを事前に把握して対策を講じることで、よくある失敗を回避しましょう。
ショップのコンセプト設計ができていない | ターゲットや販売戦略が明確でないと、ショップ運営の中での意思決定や方向性がブレやすくなってしまう。 |
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在庫管理ができていない | 過剰あるいは不足在庫は、会社の財務状況や販売機会に悪影響を及ぼす。 |
顧客対応の質が低い | 問い合わせ対応一つだけでも、重要な顧客接点。 ネットショップでは顧客との対面の機会がないため、 迅速かつ丁寧・誠実な対応が必須。 |
経費を使いすぎている | 利益を確保するためには、無駄な経費の削減が必須。 |
法令遵守を怠っている | 特定商取引法や、景品表示法の遵守を怠ると、消費者から信用を失うリスクがある。 また化粧品や健康食品では、薬機法も守って広告やページ、 SNS投稿などを作る取り組みが必須。 |
今回はネットショップで売上を伸ばし、成功するショップ運営のポイントや、さまざまな成功事例を紹介しました。
売上アップを図るには、集客施策に加え、サイトに訪問したことのある準顕在層・顕在層の購入率を引き上げる施策を同時並行的に行うことが重要です。
昨今の生活者は、数多くの情報の中から自分に必要な情報を取捨選択し、しっかりと比較検討して商品の購入を決定する傾向が強いといえます。
そのため、サイト訪問者の購入率を向上させるには、商品の機能説明ばかりではなく、訪問者が自分ゴト化できるような「UGC」や、商品への共感を呼び起こす「ブランドストーリーコンテンツ」、商品の魅力を多方面から伝える「動画」を活用し、ECサイトを充実させることが重要です。
アライドアーキテクツが提供するCVR最適化プラットフォーム「Letro(レトロ) 」 では、月額5万円から手間や費用をかけず、ECサイトをリッチにできるプランがございます。
「購入の後押しとなるUGCを、低コストでECサイトに掲載したい」
「既にあるSNS投稿を有効活用して、手間をかけずに顧客接点をリッチにしたい」
とお考えの方は、ぜひ以下の資料をご覧ください。
記事公開日:2024.06.03