2019年にミツカンから誕生したD2Cブランド「ZENB」。
黄えんどう豆100%の「ZENBヌードル」や「ZENBミール」、普段は捨てられてしまう野菜の皮や芯まで可能な限りまるごと使った「ZENBペースト」など、おいしさと健康が一致した「未来の食事」を開発・提案するブランドです。
主体のミツカンが小売への卸しをメインとしたビジネスモデルであるのに対し、ZENBでは販売チャネルをECに絞り、生活者に直接販売するD2Cモデルを採用しています。
現在同社は、新規顧客を獲得するために数々のデジタル施策を行っていますが、その中でも注力している施策の一つが、顧客の声=UGCを運用することでファンがファンを呼ぶ仕組みを作り、マーケティング成果を高めていく取り組みです。
今回は、ZENB JAPAN 新規事業開発 ダイレクト戦略グループにて、新規顧客の集客をミッションとし、広告・SEO・SNS施策等を担当されている松永友貴氏に、数あるデジタル施策の中からUGC運用に踏み出した背景、そのパートナーとしてLetroをお選びいただいた理由やLetro導入によって得られた成果についてお話を聞きました。
課題
解決策
成果
ーUGC運用に取り組み始めた背景を教えていただけますか?
松永氏:この1~2年でさまざまなD2Cブランドが増えて競争が激化しており、デジタル広告もCPMやCPCが高騰しているケースがあります。その中で差別化するためにはクリエイティブ表現をより磨いていく必要がありますが、薬機法や景表法による規制が強化されており表現できる幅は狭まり同じような広告表現が増えています。
このように環境が大きく変わる中で、クリーンに正しく広告を運用しながらいかに成果を上げ続けていけるのか。その一つの重要なカギになるのが「ファンの醸成」と考えます。
ZENBは一度購入いただいて終わりではなく、サブスクリプションをメインにしたビジネスモデルです。お客様に商品を定期的にご利用し続けていただくために、実際のお客様の声(UGC)を活用し、ファンがファンを呼ぶ仕組みを作りたいと考えました。
ZENB JAPAN 新規事業開発 ダイレクト戦略グループ 松永友貴氏
ー大手企業様の中には、「UGCはブランドガイドラインに合わない」「コミュニケーションを一歩間違えるとリスクになる」として、UGCに関連する施策を躊躇する企業様も少なくありません。そのような中で御社はなぜ「UGC運用」に踏み出せたのでしょうか?
松永氏:まず、私たちの根幹に「チャレンジを止めない」というマインドがあります。もちろん個々の戦術によって「やらない選択」をすることもありますが、まずはやってみようというチャレンジ志向が強い組織です。
また、我々メーカー側が「この商品は美味しいですよ」「健康にも良いですよ」と語っても、なかなかお客様に伝わりきらないことがあります。その信ぴょう性を補完するために、実際のお客様によるUGCが重要であることに疑いの余地はありませんでした。
ー現在行っているUGC運用の具体的な内容を教えてください。
松永氏:Letroを活用して、広告用LPやECサイトのカテゴリトップページ、商品詳細ページに、お客様のUGCを掲載しています。
ひと口にUGCと言っても、「商品の美味しさ」をメインで伝えているUGCから、「日々の生活への取り入れ方」「飽きずに続けられていること」を伝えているUGCまで、さまざまなものがあります。また、LPやECサイトを訪れるユーザーの心理状態によって、どのようなUGCがもっとも刺さりやすいのかも異なります。
そのため、現在はリスティング広告経由、ディスプレイ広告経由、SNS広告経由…など、媒体・ターゲティングや流入経路別に見せるUGCを選別して表示し、その中でもさらにABテストをしながら、よりお客様に伝わりやすいUGCに入れ替える運用を行っています。
UGCの中身だけでなく、サイトの中でのUGCの表示位置やUGCの見せ方の検証も欠かせません。
一覧表示するのが良いか、横にスライドできる形式の方が良いか。UGC表示個所の上に添えるテキスト文言は何にするか、Instagram投稿のみが良いか、テキスト形式でのレビューも見せたほうが良いか…その際のテキスト量は?など、Letroの運用担当者と一緒に仮説を立てて検証を行い、結果をもとに最適化するサイクルを回しています。
広告用LPやECサイトにUGCを掲載。流入経路別にUGCを出し分け、さらにInstagram投稿/テキスト形式でのレビュー、表示位置等の見せ方も細かく検証しながら最適化している。
ーUGC運用により得られた成果を教えてください。
松永氏:まず、シンプルにLPやECサイトのCVRが上がりました。Letro導入前に比較して、平均1.2倍、CVRが改善しています。
CVRが上がることで広告の獲得効率が良くなり、CPAを下げることができたため、その分出稿額を伸ばすこともできています。その結果、とある媒体ではLetro導入前と比較してコンバージョン件数を2.1倍にまで伸ばすことが出来ました(Letro導入前後2週間の実績)。
以前と同じ獲得効率のままコンバージョン件数を2倍にしようとすると、単純に広告投資額も2倍積み増す必要がありますが、今はUGC運用によって獲得効率が改善しているため、そこまで多くの広告投資をしなくても十分にコンバージョンの規模を拡大できます。まさに、私たちが目指している「ファンがファンを呼ぶ」を体現できている状態です。
Letroが推進している「運用型UGC(※)」への投資は、同じ金額を広告に投資するよりも何倍もの成果につながると評価しています。
※運用型UGCとは:UGCを継続的に生成、数々のマーケチャネルに掲載・活用し、その効果に基づいてUGCの選び方や見せ方を調整し、そしてまたUGCを生成する…という一連のPDCAサイクルを回しながら、継続的にUGCを運用すること
ーUGCを運用する上で、Letroをパートナーにお選びいただいた理由をお聞かせください。
松永氏:Letroを提供するアライドアーキテクツ社には、以前からZENBの広告業務で協力いたただいていました。
Letroを導入した理由は、広告取引を通して、アライドアーキテクツ社は「広告主から言われたことをこなす」スタンスではなく、常に私たちの期待や予測を超えた提案をしてくれる信頼できるパートナーだと思っていたからです。
広告クリエイティブに関して自ら新しい切り口の提案をしてくれたり、依頼した調査に対して期待以上のレポートを提示してくれたり、調査をして終わりではなくそこの学びをしっかりと言語化して次の施策につなげてくれたり…。
そのため、Letroが大事にしている「運用型UGC」の実践においても、一緒にPDCAを回しながら、しっかり効果を改善していく未来を描くことができました。
ー最後に、今後Letroに期待することや、UGC運用において取り組んでいきたいことを教えてください。
松永氏:今後もよりさまざまなチャネルでUGCを活用し、場面に応じた最適な表現の仕方を磨いていきたいです。また、新規顧客向けのチャネルだけでなく、既存のお客様により継続していただくためにもUGCを上手く活用できればと思っています。
また、長く愛される商品であるためには、いかにお客様の気持ちを捉え続けられるかが重要です。これからはUGCの分析にもより力を入れて、お客様の真のニーズを捉えることにも役立てていきたいです。
記事公開日:2022.10.06