2024.1.31
CVRとは、新規顧客獲得効率を判断するための重要な指標です。
本記事では、CVR改善に関連するさまざまな施策について深く掘り下げます。
市場(外部要因)の理解から、ページの使いやすさの改善、訴求ポイントのより魅力的な表現方法まで、CVR改善のための実践的なアプローチを解説。
取り組み前に理解しておくべき重要な3つのポイントと、成功事例も紹介します。
まずは、「CVR」という用語の基本を理解しましょう。
CVR(Conversion Rate、コンバージョンレート、コンバージョン率)とは、Webサイト訪問者のうちどれだけの割合が、「購入」「申込み」など、企業側がゴールに据える行動を達成したかを示す指標です。
CVRは、ビジネスの成果に直結するため、特に通販業界において非常に重要な指標とされています。
CVRが高い状態は、ターゲットユーザーをページへ集客し、その中から効率よく顧客を獲得できていることを示します。つまり「マーケティング戦略がうまくいっている」状態を示すとも言えるでしょう。
ビジネスの収益性を高めようとする中では、CVRの推移を追跡し、改善に向けた取り組みを継続していくことが不可欠です。
CVRの計算式は、以下の通りです。
(CVR)=(コンバージョン数)÷(訪問数)×100 |
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例えば、LPに1000人が訪れて、そのうち50人が商品を購入した場合、CVRは以下のように計算できます。
(CVR)=50÷1000×100=5% |
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これは、LP訪問者の5%が購入に至ったことを意味します。
マーケティングの仕事に携わっていると、さまざまな専門用語を目にします。中には「CVR」と一見、よく似た語句も。
しかし、それぞれの語句の意味を正しく理解していなければ、社内外で会話が食い違ってしまう場合もあります。
この機会に似た語句を一緒に覚えて、意味の違いを明確にしておきましょう。
CTR(Click-Through Rate、クリックスルーレート) |
広告やリンクがクリックされた割合。 広告がいかにユーザーにとって魅力的でわかりやすく見えているかという、ひとつの判断材料になります。 |
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CPC(Cost Per Click、クリック単価) |
広告が1クリックされるごとに課金される広告費用のこと。 広告のコスト効率を表します。 |
CTA(Call To Action、コールトゥアクション) |
ユーザーに行動を促すためのメッセージやボタンのこと。 (例) 直接的な行動喚起を目的とします。 |
それでは、業界別のCVRの目安とは、おおよそどの程度の値なのでしょうか?
以下の表は、イギリスのデジタルマーケティング関連企業「Smart Insights」が2024年1月に公開したデータを参考にしてまとめたものです。LP経由でCV(リード獲得)が発生する割合の目安を、産業別で示しています。
【産業】 |
【目安】 |
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代理店(例:携帯電話など) | 2.4% |
不動産 | 3.0% |
SaaS | 3.4% |
家族向けサービス(例:幼児教室など) | 3.5% |
ビジネスサービス | 3.6% |
医療サービス | 3.8% |
工務店・リフォーム関連 | 4.8% |
旅行 | 4.8% |
イベント&レジャー | 5.2% |
EC | 5.2% |
法律関連 | 5.4% |
フィットネス&栄養 | 5.6% |
教育 | 5.8% |
金融 | 6.2% |
保険 | 7.9% |
ケータリング・レストラン | 9.8% |
エンターテイメント | 18.1% |
なお、この「Smart Insights」の記事によると、「スマートフォン経由だと、(PC経由より)CVRは少し下がる傾向」とも指摘されています。
皆様もひとりのユーザーに立ち返った際に実感すると思いますが、昨今はスマートフォンからモノを注文したり、決済したり、申込みや問い合わせ、予約をする場面が多いと言えます。
ユーザー視点では「スマートフォンの小さな画面からの操作でも、よりストレスのない体験」が求められているといえるでしょう。
CVR改善施策に取り組む際には、PCからの見栄え・使い心地だけではなく、スマートフォン環境も考慮することが必須です。スマートフォンユーザーから見たわかりやすさや使い心地をないがしろにしていると、顧客を逃してしまうことになりかねません。
LPやWebサイト上の顧客体験を洗練させる取り組みは、今後どの企業にとっても必須の取り組みになっていくでしょう。
この記事の冒頭でCVRの計算式を示しました。
CVRとは計算上、「LPやサイトに来てくれたユーザーを、うまくCV達成まで導くことができれば、数値は上がる」と言えます。
ところが「Web広告を出して、集客を強化している。それにも関わらず、CVRが期待したほどに伸びない」といった課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか?
CVRが低下してしまう要因として、以下の3点が考えられます。
CVRが低下してしまう要因の一つとして、市場の変化が挙げられます。
市場には常に変動があり、その動きがCVRに大きな影響を及ぼすことがあります。たとえば、競合他社が価格を下げるキャンペーンを開始した場合、その影響で自社の商品やサービスの魅力が相対的に低下し、結果としてCVRが減少する可能性も。
また、SNSでの一時的な情報拡散や話題性によってWebサイトへのセッションが急増することもあります。このような場合、訪問者数は大幅に増えるものの、それに伴って実際にコンバージョンに至るユーザーの割合が相対的に少なくなることがあります。興味本位でサイトを訪れる訪問者が多ければ、必ずしも購入意欲のある質の高いトラフィックとは限りません。このような場合も、CVRは低下する場合があると言えます。
Web広告の目的は、潜在顧客の関心を引き、彼らをLPに誘導することです。しかし、広告で期待させた内容とLPで提供している情報にズレがあると、ユーザーはそれ以上興味を掻き立てられず、LPから去ってしまいます。
たとえば、広告で特定のプロモーションや割引をアピールしたにもかかわらず、実際のLPではその情報を見つけられない場合、ユーザーは混乱し、期待外れだと感じてしまいます。このように広告とLPの間にギャップがあると、ユーザーがCVに至るプロセスを中断させる大きな原因になります。
また、広告のコピーが魅力的であっても、LPがそれを裏付けるだけの説得力や関連性のある情報を提供していなければ、ユーザーは満足感を得られずに離脱します。広告で作り上げたイメージやメッセージがLPで十分に伝わっていないと、訪問者は求めていた解決策や価値を見出せずに去っていくでしょう。
CVRを改善するには、広告のメッセージとLPのコンテンツが一致し、ユーザーが求める情報をわかりやすく、端的に提供することが不可欠です。
ユーザーが広告から持った期待をLPでしっかりと満たすことで、彼らの満足度を高め、CVに促すことができるでしょう。
サイトの使い勝手は、CVRに直接影響を与える重要な要素です。ユーザーエクスペリエンス(UX)が悪いと、たとえ優れた商品やサービスを提供していても、顧客は購入や申込みを完了せずに離れてしまう可能性があります。
<例>
サイトの使い勝手を改善することは、訪問者が最終的なCVに至る道のりをスムーズにするために必要なステップです。システムやデザインの問題点を洗い出し、それらを解決することで、CVRの向上を実現できるでしょう。
CVR改善施策に取り組もうとする前に、理解しておくべき基本的な考え方をお伝えします。ポイントは以下の3点です。
「とにかく多くの集客を目指そう」と考えるだけではなく「質の高い集客」を目指しましょう。これは、単に多くの訪問者を引き寄せることではなく、実際にコンバージョンにつながる訪問者を獲得することを意味します。
まず、すでにCVを達成している顧客のカスタマージャーニーを徹底的に分析してみましょう。たとえば「SNS広告から来た人は、実際に購入に至っている割合が高い」など、どのような経路で顧客が購入に至ったのか、そのプロセスを理解することが重要です。この分析により、最も効果的な集客チャネルが明らかになります。
次に、効果の低い集客チャネルへの投資を見直しましょう。全てのチャネルが等しく効果的だとは限りません。あまり顧客獲得につながっていないチャネルに資源を投じるのではなく、実際に新規獲得につながっているチャネルに焦点を当て、そこへの投資を強化することが大切です。
ユーザーのストレスを排除してサイト離脱を防ぎ、コンバージョン率(CV)の向上を目指すためには、操作上のストレスを減らすことが重要です。
サイトの使い勝手を改善することで、ユーザーの離脱を防ぎ、より良い結果を得ることができます。以下の具体的な取り組みを検討してみましょう。
ファーストビューとは、ユーザーがWebサイトやLPを訪れた際、最初に目に入るエリアのこと。ユーザーがサイトを離れるかどうかを決定する重要な要素であり、わずか3秒でその判断が行われます。ファーストビューのクリエイティブによって、ユーザーは自分がターゲットに合致しているか、このページを読み進めるメリットがあるか、どのようなベネフィットが得られるかを判断します。興味を持たないユーザーは、約70%の確率でサイトから直帰します。そのため、ファーストビューを最適化することは、離脱率を低減し、コンバージョン率を向上させるために非常に重要です。
<ポイント>
【ファーストビュー検証について詳しく知る】
ファーストビューのクリエイティブ、広告クリエイティブの変更、CTA(コール・トゥ・アクション)の配置、色、サイズの変更など、LPや広告の要素を最適化する際には、ABテストが効果的な手段です。
ABテストは、WebサイトやWeb広告のクリエイティブ要素(バナー、コピーなど)を一部変更し、異なるバージョンをユーザーに提示して反応を測定する方法です。
このテストを通じて、どの要素がユーザーにとって最も魅力的かをデータに基づいて判断し、Web経由の成果を最大化することができます。
【ABテストのやり方を知る】
WEB接客ツールは、LPやECサイト訪問者に対して、リアルタイムでの対話や情報提供を行うツールです。ユーザーの疑問や不安をその場で解決し、購買行動を促進することを目的としています。
<メリット>
【WEB接客ツールをもっと知る】
EFO(Entry Form Optimization)は、Webサイト上での会員登録、購入、資料請求などの入力フォームを最適化し、入力完了率を高めるための施策です。簡単に言うと、サイト訪問者が途中で離脱せずにアクションを完了できるように、入力フォームを改善することを指します。
長く入力しづらいフォームはユーザーのストレスを増やし、アクションへのモチベーションを低下させてしまいます。
また企業にとっては広告やSEOなどで集客したユーザーがフォームの入力段階で離脱してしまうと、ビジネスの成果に結びつきません。一般的に、フォームまでたどり着いたユーザーの約6~7割が入力段階で離脱してしまうと言われています。
<ポイント>
【EFOについて詳しく知る】
ページの読み込み時間が長いと、ユーザーの離脱率が高まります。特にスマホユーザーは、高速なページ読み込み速度を期待しており、遅延があるとすぐにサイトを離れる傾向があります。
ページスピードの改善には、画像や動画のファイルサイズの最適化、不必要な掲載点数の削減などが効果的です。
これにより、ページの読み込み時間を短縮し、ユーザー体験を向上させることができるでしょう。
ページ内の訴求軸を見直すことは、CVR(コンバージョン率)改善において重要な要素です。次のような取り組みにも注目してみましょう。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
購入者のレビューや、SNS上に投稿された口コミをLPに掲載することで、訪問者に商品やサービスがどのように彼らの生活にフィットするかを具体的にイメージさせます。
実際のユーザーの声は、企業側視点ではなく、「第三者による評価」なので、新規訪問者に対して信頼性と説得力を提供します。
動画LPの導入
ランディングページの一部(もっとも重要な商品訴求パートなど)を動画化することで、視認性や訴求力、情報伝達力を高めます。 動画は、商品やサービスの特徴を短時間で効果的に伝えることができ、訪問者の関心を引きつけやすくします。
ここからは、CVRを大きく改善できた成功事例を紹介します。
まつげ美容液ブランド「EMAKED」は、新規獲得LPの一部コンテンツを動画形式に変更することで、CVRを大幅に高めることに成功しました。
同ブランドでは、Webを通じた新規顧客の獲得を目指しており、LPの改善が重要な戦略として位置づけられました。
1年間の継続的な検証を通じて、LP内コンテンツの動画化(ファーストビューの動画化、商品紹介部分の動画化、権威性・特典・継続する理由の動画化など)により、CVRが1.99倍に向上。動画コンテンツの効果的な活用がWebマーケティングにおいていかに重要であるかを示す好例となりました。
[出典]LP×動画化でCVRが1.99倍に!まつげ美容液「EMAKED」の勝ちLP誕生秘話
【“動くLP”とは?】
全国展開する親子教室「ベビーパーク」は、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用により、LPのCVRを顕著に向上させました。
LPのCVRが停滞する中、サイト訪問者の不安を解消し、安心感と信頼性を高めることが根本的な改善策として必要だと判断しました。
そこで、新規獲得LPに、Instagram投稿や利用者の具体的なレビューを掲載。
これにより、「利用イメージ」を訴求し、訪問者に「自分事化」を促すことに成功しました。その結果、新規獲得LPのCVRは1.54倍に、体験レッスン申込み率は1.99倍に向上。UGCがユーザーの不安を払拭し、信頼感を高める効果が明らかになりました。
[出典]根本的なCVR改善にはUGCが必要だった。 親子教室ベビーパーク、UGCでお客様の不安を払拭しCVR1.99倍に
【LPの根本的なCVR改善ができた事例】
この記事では、CVRの改善方法に焦点を当ててきました。
CVR改善施策で成果を挙げるためには
というプロセスを迅速に行うことが重要です。
ところが多くの方が、検証のスピードを上げたいものの、リソース不足に悩んでいるのではないでしょうか。
また、人手不足ゆえ、影響範囲の小さな施策に時間を取られがちで、抜本的なLPのCVR改善には繋がっていないケースも多いと言えます。
こうした課題を感じている企業担当者さまには、CVR最適化プラットフォーム「Letro」の活用が有効です。
Letroは、UGCや動画コンテンツなど、CVR改善に大きな影響を与える施策を容易に実行できるだけでなく、600以上のブランドによるCVR改善のノウハウを基にした個別支援や、充実したテスト・分析機能を提供します。これにより、精度の高い検証を迅速に行い、根本的なCVR改善を実現することが可能です。
「LPのCVR改善に着手したいけれど、社内のリソースやノウハウ不足が課題になっている」という方は、ぜひ「Letro」のLP改善ソリューションの活用もご検討ください。
記事公開日:2024.01.31