メイド・イン・ジャパンのオーガニックブランドを展開する株式会社SOLIA。2013年の創業と同時に立ちあげたブランド「ALOBABY(アロベビー)」は、Amazon・楽天で1位を獲得するなどベビースキンケアの日本トップブランドに成長しています。市場調査やデータに基づき戦略的に商品を展開する同社は、ダイレクトマーケティング特化型UGC活用ソリューション「Letro」とEC基幹システム「ecforce」を導入しています。今回は経営戦略室長ビジネスディレクターの田伏洋介氏にお話をお伺いしました。
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解決策
成果
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ー従来は新規獲得広告への投資がブランド成長の最大の変数になっていましたが、市場が変化する中で広告施策以外への投資や施策設計が成長のカギを握っています。SOLIAのブランド全体で大切にしているマーケティングの考え方を教えてください。
経営戦略室長 ビジネスディレクター 田伏洋介氏
田伏氏:ベビースキンケアの難しいところは「必ず卒業していくこと」です。子どもが大きくなったら卒業していくので新規獲得はやり続ける必要がありますが、売り上げや利益の観点では、ただ新規獲得をやるだけでなく、限られた期間にどれだけLTVを最大化できるかが重要になってきます。定期モデルではあるので、継続率を上げていくことだけでなく、他の商品をどう買っていただくか、ブランド全体としてどう繋がっていくかは常に考えています。
ーアップセルやクロスセルはECビジネスの理想の形ですが、商品Aを購入したお客様に商品Bを認知してもらうハードルは高いですよね。コミュニケーションで工夫されていることはありますか。
田伏氏:ブランドや商品のコミュニケーションの軸は最初にちゃんと決めています。メインで伝えなければいけない部分とチャネル毎で訴求を変えていい部分は分けていますね。全員が共通認識をもてるように「Who・Whatシート」というのを作って、ターゲットはこれ、メインで伝えたいことはこれ、サブで伝えたいことはこれという風に明確にしています。ブランドのコンセプトやメッセージをずらさないことで、お客様に最終的にブランドの親和性を感じてもらえるような設計を心がけています。
ー創業者の方の原体験からスタートしているD2Cブランドも多いですが、御社は戦略的にマーケットを捉え、ブランドをいくつもローンチされている印象があります。
田伏氏:そうですね。マーケティングカルチャーは強いですね。もちろん「お客様にこう喜んでもらいたい」というのは根本にありつつ、「今この商品に投資できるお金はこれだけ」という限られた枠の中で、費用対効果を考えたらどこのマーケットを攻めるべきか、どこのチャネルで始めるべきかは考えながら戦略を練っています。
ー市場をリサーチして商品コンセプト決めて商品をリリースして、次はどのチャネルで販売するかまで一連の流れになっているのですね。
田伏氏:そうですね。市場調査の視点から商品設計するのと、チャネル視点から「このチャネルならこういう商品のニーズが大きそう」という視点のミックスで商品を作ることが多いです。商品開発する時はアンケート調査やインタビュー調査を行っていて、最終的に簡単なコンセプトシートを作り、そのコンセプトがウケるかウケないかを検証しながら訴求点を決めています。同時に、ある程度どこのチャネルで攻めるのかを初期に決めて、最初のクリエイティブや見ていく指標もそのチャネルに特化して決めていますね。
ー御社は楽天やAmazon、自社ECと分配投資している印象があります。「LTVを最大化することが重要」というお話がありましたが、自社ECに込められている期待はどういうところでしょうか。
田伏氏:自社ECの方がLTVも伸ばしやすいし、お客様ともコミュニケーションをとりやすいので、堅実に売上を伸ばすという意味では自社サイトをしっかりやっていきたいと思っていますね。ただ、新規獲得を拡大するとなると、集客コストが膨大になってしまいます。4つのブランド全てに満遍なく投資することは難しいので、「今自社ECではこのブランドに投資します。その間にAmazonや楽天では違うブランドを育てていきます。」みたいにチャネルを使い分けています。集客効率の観点ではモールはCPAを安くできるので、モールで作った利益を自社ECに投資するという流れで、バランス良くやっていますね。
ーecforceを導入された背景を教えてください。
田伏氏:元々は単品通販に特化したカートを使っていたのですが、それだと他の商品を定期購入してもらう設計がしづらいという課題感がありました。例えば、商品の切り替えがお客様のほうでできないとか「定期では商品Aを買っているけれど追加で商品Bを頼みたい」とかができず、わざわざお客様に電話かけてもらったり、別会計で定期を頼んでもらったり、UXという観点でも顧客満足度が上がりづらい状態でした。施策レベルだと、当時LP一体型のフォームが流行り出していたのですが、そういった新しい仕組みを試すスピード感を上げたいという思いから、ecforceを導入しました。
ー実際ecforceを導入されてから、定性面ではどのような変化がありましたか。
田伏氏:スピード感が違うと思っています。ecforceって毎月のようにリリースがあって、他社さんのベストプラクティスを取り入れてどんどんバージョンアップしてくれるので、成長されている会社さんの仕組みをいち早く、自分たちで開発しなくても取り入れられるため、施策のスピード感が上がりました。
ーEC部門の方が「こうしたいな」ということを簡単にできるというのは業務レベルでかなりの変化ですね。定量面ではどういった影響がありましたか。
フォーム一体型にした時のCVRは1.3倍~1.4倍に向上しました。全体の売上規模感でいうと1年で1.5倍、2年でマックスで3倍に伸びています。LTVも1.5倍くらいに伸びていますね。
ーそもそも、マーケティング全体の中でUGCはどういった役割を果たしているのでしょうか。
田伏氏:UGCは、多くのお客様が購入前に調べるものなので、それをサイト内でしっかり見せるのは必要だと思っています。自社で加工してクチコミとかレビューを掲載する企業様も多いと思うのですが、お客様に対して、企業が作ったものであるという先入観を与えてしまう可能性もあります。UGC、特にInstagramの投稿だと、リアルな生の声としてお客さんに捉えてもらえるのが良いと思っています。私たちが捉えている商品の魅力の他にも、お客様それぞれが感じている魅力を投稿してくださっているので、ブランドを好きになってもらえるポイントをUGCを使うことで上手く伝えられると感じています。
ー自社でUGCを埋め込んで表示するといった選択肢もあったと思うのですが、敢えてLetroを導入したのはなぜでしょうか。
田伏氏:以前はUGCをサイトに静的に埋め込むかたちで掲載していました。ただ、どのUGCが成果に繋がっているのかという検証にとても時間がかかり、数値を見ながら高速で改善を回す必要性を感じていました。PDCAを素早く回せるところがLetroの良いところなので、ブランドフェーズ的にも人員的にもしっかり運用できる環境になったので、導入を決めました。
ーLetroを導入してどういった変化がございましたか。
やはり今回いれてみて、とりあえずUGCを表示しておけばいいものではないなと思いましたね。UGCをどの位置でどのようなデザインで見せるかだったり、どのUGCを選ぶのかによって全然数字が変わってくるので、LetroによってPDCAを速く回せるようになったことは大きな成果です。数値に基づいた検証を回すことで、どういうUGCがお客様にとって有益な情報なのかが見えてくるので、サイトのコンテンツ以外でも、DMや同梱物、メルマガのクリエイティブ開発にも幅広く活かせると思います。
ー定量面では、どういった変化がありましたか。
初速でCVRは最大1.5倍に向上しています。ECサイトのトップや商品ページ、LP等主要な顧客接点にはいれているのですが、CVRは平均して1.2倍に向上しています。これから見せ方や掲載UGCの最適化PDCAを回すことでさらにCVR改善率は上がると思っています。
ー最後にLetroとecforceを検討している企業様向けにアドバイスをお願いします。
田伏氏:ベンチャーが大きい企業に勝てるところはスピード感しかないと思っています。スピード感を大事にされている企業さんにはおすすめです。Letroもecforceも、アクションが素早くできる機能だけではなく、チェックの機能もちゃんとあるのが良いと思っています。会社の性質上、数字とかロジカルさが求められるので、「効果がでているのか、費用対効果がどれだけなのか」の数字分析がどちらのツールもしっかりできますし、種類も豊富にあります。数値にこだわって検証を高速にやりたい会社さんには良いかなと思っています。
記事公開日:2021.06.25