2021.5.21
新規顧客を獲得し続けるのは難易度が高く、コストがかかります。低コストで安定的な売上を実現するには、リピーター増加に力をいれることが必要不可欠です。
この記事では、リピーターを生む顧客コミュニケーションから購入率改善施策までわかりやすくご紹介します。「新規顧客の獲得が頭打ちになっている」「効率良くECサイトの売上をアップさせたい」と考えている方は、是非参考にしてください。
おすすめお役立ち資料ECサイト売上アップにつながるリピート施策とは?~リピート訪問を増やす方法・購入率改善まで~
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✓ 「一度買ってくれた人に、継続してサイトに訪問してもらう」リピーターを生む施策がわかる
✓ 「訪問してくれた人に購入してもらう」購入率を上げる10の施策がわかる
まずECサイトの売上を構成する全体像を把握しましょう。ECサイトの売上を構成する要素はシンプルで、以下の方程式で算出できます。
売上=訪問者数×購入率×客単価
・訪問者数:サイト・ページに訪問する人を増やす
・購入率:訪れた人に購入してもらえる確率を上げる
・客単価:1顧客あたりの1回あたりの購入額を上げる
このほか、サブスクリプションモデルを中心に、成長している通販企業が共通して取り入れている指標が「ライフタイムバリュー(LTV)」です。これは、1人の顧客が一生を通じて自社にどれだけ利益をもたらしたかを測る指標です。
例えば、2000円の商品を10回購入した顧客のLTVは2万円です。LTVが明確になると、「新規顧客獲得のため、いくらまで広告投資してもいいのか」判断しやすくなります。客単価と合わせて、LTVを考えることをおすすめします。
日々ECの売上に向き合っている担当者であれば、上記の基本の方程式をさらに深掘ってみると、普段の業務改善に活かしやすくなります。
・新規売上=新規訪問者からの売上+購入経験の無いリピート訪問者からの売上
・リピート売上=会員ではないリピート訪問者からの売上+会員かつリピート訪問者からの売上
以下のように考えると、課題と取り組むべき施策が明確になります。
・ECサイトに来たことがない人をどうやって呼び込むか
・ECサイトには何度もきているが、まだ買ったことがない人にどうやったら買ってもらえるか
・一度買ってくれた人に、どうやって継続して買ってもらうか
・会員で何度もサイトにきてくれる人の客単価を上げられるか
新規売上をUPさせる方が、難易度が高いためコストがかかることがわかります。新規顧客を獲得してもリピート購入を促す仕組みがなければ、常に新規顧客を獲得し続けなければなりません。効率良く売上アップを実現するには「いかにリピート購入者を増やすか」という視点が欠かせません。
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「新規流入施策よりもコストが抑えられ、売上を安定的に上げられる」からです。
広告新規流入施策の投資対効果は年々悪化しています。実際、デジタル広告のクリック単価(CPC:Cost per Click)はここ3年間で約2倍に高騰しています。以下は、2016年10月~2019年10月に、とある3つの通販EC企業が出稿したSNS広告の平均CPCの変遷を示したグラフです(※1)。
(※1)アライドアーキテクツ株式会社の広告運用実績(とある月額出稿金額1,000万円以上の3社の実績)をグラフ化。出稿媒体:Facebook/Instagram。
また、プラットフォーマー側の情報開示や広告規制により、企業がもてる情報に差がつきにくくなり、新規顧客獲得の難易度が上がっています。
「5:1の法則」という米Bain & Company社の名誉ディレクター、フレデリック・F・ライクヘルド氏が提唱した法則で、「同じ宣伝コストをかける場合、新規顧客に販売する方よりも、リピーターへ販売する方がコストを5分の1に抑えられる」というものです。(※2)。
新規顧客を獲得するには、広告投資や営業等コストが多くかかる一方、リピート顧客の方が商品の継続購入をしてもらいやすいため、低コストで利益につながると言われています。
「5:25の法則」と呼ばれ、同じくフレデリック・F・ライクヘルド氏が提唱したものです(※3)。新規顧客を獲得するよりも顧客離れを防いだ方が利益が上がることを示しています。リピート顧客と信頼関係が築ければ、低コストで商品をアップグレードをしてもらいやすいだけでなく、副次的効果として、リピート顧客の紹介による新規顧客獲得も期待できると考えられています。
中長期的にECサイトの売上アップを実現するには、難易度が上がっている新規顧客獲得に偏重するよりも、リピート率を向上させる方が有効的であるといえます。
リピート率を改善するには、まず「一度買ってくれた人に、継続してサイトに訪問してもらうこと」が必要です。リピーターを生む顧客コミュニケーション方法をご紹介します。
継続してサイトに訪問してもらうには、購入に満足してもらうことが大切です。人は購入直後から「自分の選択は間違っていなかっただろうか」と後悔し始めるといわれています。これを心理学の専門用語でバイヤーズリモース(Buyer’s Remorse)といいます。サンクスメールや同梱物などアフターフォローにひと手間かけることで購入後の漠然とした不安や後悔を解消することができます。最終的に「このブランドから購入して良かった」という満足度を高めることにつながるのです。
商品やサービスを忘れられずに、親近感をもってもらいやすくなります。顧客の購入タイミングを逃さないために、公式SNSやメルマガ、同梱物など様々な手段を網羅的に活用することが大切です。例えば、商品を使い切りそうな時期にDMを送ったり、SNSのメッセージでキャンペーン情報をお届けするなどです。短期的に効果はでなくとも、将来的にリピーターを増やすことにつながります。
頻度を引き上げたとしても、顧客が求めていない情報ばかり送っていたら、リピーターになってもらうことはできません。顧客の年齢や地域といった属性や購入回数、購入経路はそれぞれ異なり、欲しい情報も多種多様です。コンテンツを発信する際は、顧客をセグメントして送る内容を変えると良いでしょう。
第三者目線の体験談やクチコミは、「他にも満足している人がいる」という安心感につながり、バイヤーズリモースを解消する方法として大きな効力をもちます。
商品購入後に送付するDMやメルマガにお客様の声を複数掲載したり、リピーターとの接点となるSNSで紹介すると良いでしょう。クチコミの客観性を高めるために、投稿をそのまま掲載することが有効です。
スポーツ関連商品ブランド「FILA」の公式Instagramアカウント(@fila_japan_official)では、#フィラ倶楽部 等のハッシュタグがついたユーザー投稿をピックアップして、投稿として紹介しています。
自然とフィードに馴染むだけでなく、等身大のコーディネートとしてお客様から受け入れられやすい発信をしています。
引用:https://www.instagram.com/fila_japan_official/
詳細事例はこちら:ECの売上UPに効く、UGC活用アイデア&事例7選【新規にもリピートにも効果的!】の「公式SNSアカウントのコンテンツ」
メルマガのコンテンツにUGCを活用することで、よりリアルに、身近に感じてもらう発信が可能です。
お名前シールや名入れギフトを販売している株式会社スキルマン ディアカーズ事業部は、Instagramに#スキルマンで投稿されたUGCをメルマガで紹介する取り組みをしました。自社で撮影していた素材よりも、実際に使っている様子を伝えています。
引用:『【素材調達コスト減】生まれたインスタグラム投稿をメルマガに活用することで素材調達コストの削減を実現/株式会社スキルマン ディアカーズ事業部』
たくさん商品を購入するメリットを感じてもらうことも一つの方法です。お得感を感じてもらうことで、「次回も購入しよう」という動機をつくることができます。また、一定回数以上のリピーターをVIP会員やファンと認定し、特別な待遇を行う企業も増えています。限定イベントの招待やポイント還元率のアップなど、数あるブランドから選び続けてもらう理由をつくることが大切です。
リピート率を改善しECサイトの売上につなげるには、サイト上のCVRの改善も重要です。リピート施策は、新規施策に比べると施策対象の分母が限られています。そのため、サイト訪問者の離脱を防ぎ、可能な限り多くの購入を生む重要性が増すのです。
リピーターを生む顧客コミュニケーションに加えて、「訪問してくれた人に購入してもらう」というCVRの改善という視点はリピート率を向上に欠かせません。
ECサイトのCVRが低い理由は、何らかの理由で離脱してしまっているからです。視覚的に欲しい情報がわかりづらかったり、サイトの使い勝手が悪かったり、商品購入までの導線が複雑だったり要因は様々です。まずは、買いやすいサイトにすることが大切です。
▼ Cookieレス時代に先手を打つ、有名通販企業が注目する新規獲得施策とは?
TOPページからカテゴリページ、商品購入ページまでの導線が整っていなかったり、欲しい情報がわかりづらかったりすると、折角サイトに訪問したユーザーもすぐに離脱してしまいます。多くのECサイト企業では、トップページに注力商品やランキングといった見出しで複数の商品を紹介したり、レビューやクチコミから商品を探せるようにしています。
ユーザーの閲覧・購入履歴に基づき、適切なタイミングで商品をレコメンドすることもCVR改善につながります。「この商品を見ている人はこの商品を見ています」といったものや、カートに入った商品に紐づけて「こちらも商品も合わせて買われています」などといった提案型は”あわせ買い”も狙えます。
「商品をカートに入れたのに購入に至らなかった」といった行動を「かご落ち」と言います。ECサイトデータを広く集計した米Baymard Instituteの調査資料「41 Cart Abandonment Rate Statistics」によると、かご落ち率の平均は69.80%と言われています(※4)。
カートに入れたかご落ちする理由は様々ですが、「購入完了直前に送料を知らせるといった、想定していない費用の発生」「決済完了までのフローが不明瞭」といった理由が比較的多くみられます。かご落ちを防ぐには、「あと○○円で送料無料になる」「決済まであと○ステップ」といったように、わかりやすく表示すると良いでしょう。
また、カートに商品を入れたまま放置しているユーザーには、ポップアップ表示でリマンマドを表示させたり、お知らせメールを配信するなど購入を促すことも効果的です。
決済方法を増やすことで、「希望する決済方法が選べない」という理由の離脱を防げます。
最近ではAmazon Payや楽天Payを自社サイトに導入する企業が増えています。Amazonユーザーや楽天ユーザーであれば、決済情報を一から入力する手間が省け、決済までのステップを短くできるためCVR改善に効果的です。幅広い年齢層のニーズに対応すると良いでしょう。
決済情報の入力と同じように手間だと感じられ、途中離脱が発生するのが住所や送り先を入力するフォームです。以下のような理由で、フォーム入力にストレスを感じ離脱してしまいます。
・項目数が多い等、入力するのがやっかいに感じて離脱
・入力エラーの箇所がわからず離脱
・誤操作によって入力した内容が消えて離脱
それらの離脱を解決する施策をEFO(Entry Form Optimization /エントリーフォーム最適化)と呼び、入力の手間を軽減し、短時間に正確に入力できるようエントリーフォームを最適化することを意味します。購入に近いユーザーの離脱を防ぐため、CVRを上げやすい施策です。
購入方法が分からなかったり、購入を悩んでいたりする顧客に対して、チャットやポップアップ表示を使って接客することができるツールです。サイトに訪問している顧客は、購入意欲が高いと考えられます。こういったツールを活用し、顧客の疑問を解消することでCVR改善につながります。
総務省が行った「通信利用動向調査(令和元年版)」の調査データによると、インターネットを利用する際の端末として、もっとも多かったのはスマートフォンで59.5%となっています(※5)。
「スクロールしやすい」「文字や画像の大きさが見やすい」などモバイル使用時に見やすいサイトを準備しておいたり、レスポンシブ対応を有効にすることでCVR改善につながります。
オンラインで商品購入する時のハードルを低くするため、様々な角度から撮影すした商品写真や、色みや質感がわかる写真、自分と同じような体型の人が身につけた動画など、豊富に準備しておくことが大切です。
企業が一方的に商品やサービスの魅力を伝えても、なかなか共感を得られません。アンケートを実施して得られた顧客満足度、第三者機関の評価を掲載すると、購入を検討しているユーザーに安心感をもってもらいやすくなります。
自分で商品を手に取って確認したり、店員の人に確認できるお店と違って、オンライン上では「実際に商品を購入した人の感想」が頼りになる情報源です。判断に役立ちそうなレビューやクチコミを最適なタイミングで表示することで、購入前の不安を払拭し、購入を後押しできます。
実際、積極的にマーケティング活動にUGCを取り入れる企業が増えています。当社が2020年11月~12月に実施した調査では、半数以上が「実際にUGCをマーケティングに活用した経験がある」と回答。そのうち、76.6%が「UGC活用により施策のパフォーマンスが向上した」と回答しており、CVR改善等、実際に成果につながるっていることがわかります(※6)。
ミドルエイジをファッションから応援したいをコンセプトに展開されているアパレルブランド「DoCLASSE」は、ECサイトの商品ページにInstagramのUGCを掲載しています。ユーザー目線の「リアルなコーディネート」は、ECサイトを訪れた人の共感を呼び、CVRは1.6倍に改善しました。
引用:ECサイトの商品ページにUGCを掲載
DoCLASSE社事例詳細はこちら:
【UGCは資産として活用すべきもの】ドゥクラッセ・CMO藤原氏が語る、アパレルブランドのマーケティングにUGCがもたらす価値とは?
今回は、ECの売上アップを実現するリピート率改善施策をご紹介しました。リピート率を改善するポイントは、「顧客と信頼関係を築きリピーターになってもらえるよう最適なコミュニケーションをすること」「訪問した顧客の離脱を防ぎ購入してもらうこと」です。新規顧客を獲得してもリピート購入を促す仕組みがなければ、効率良く売上アップを実現できません。是非実践してみてください。
(※1)アライドアーキテクツ株式会社の広告運用実績(とある月額出稿金額1,000万円以上の3社の実績)をグラフ化。出稿媒体:Facebook/Instagram。
(※2)"Zero Defections: Quality Comes to Services" by Frederick F. Reichheld and W. Earl Sasser, Jr. │From the Magazine (September–October 1990)
(※3)"Zero Defections: Quality Comes to Services" by Frederick F. Reichheld and W. Earl Sasser, Jr. │From the Magazine (September–October 1990)
(※4)”44 Cart Abandonment Rate Statistics”│Baymard Institute
(※5)令和元年通信利用動向調査の結果│総務省(2020.5.29)
(※6)企業のUGC活用における実態調査 2021│アライドアーキテクツ株式会社
記事公開日:2021.05.26