2024.6.6
ECサイトの運営において、顧客体験の向上とCVRの改善は事業規模に関わらず、どの企業にも重要な課題です。
そこで、昨今注目を集めている施策(ツール)が、「WEB接客」です。
WEB接客は、ECサイト上での顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客満足度の向上や、離脱率の低減、さらにはCVRの改善を実現するための有効な手段です。
この記事では、WEB接客の基本的な知識からそのメリット、具体的なツールの紹介、導入前の留意点について詳しく解説するとともに、「ECサイトの顧客接点で、ユーザーが求めていることとは?」というポイントについても深堀りします。
WEBサイトを訪問した際、ブラウザの片隅から「スタッフレコメンド商品はこちら」といったポップアップ画面が表示されたり、チャット画面が現れて「何かお探しですか?」「何かお困りですか?」などとメッセージが出ることがあります。
これらを総称して「WEB接客」といいます。サイト訪問中のユーザーに対して接客を提供して、疑問をその場で解決したり、購入・申込みなどの行動を促す施策のことです。
なお、「WEB接客」と「チャットボット」は似ていて混同しがちですが、「WEB接客の中に、チャットボットという手法が含まれる」と理解するとよいでしょう。
WEB接客 |
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チャット ボット |
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WEB接客を提供したい場合には、専用のツールを導入する必要があります。どのようなツールを選ぶかで、
のうち、どの施策を実行できるか異なってきます。
次に示しているのは、弊社・アライドアーキテクツが提供する企業向けサービス「echoes」のサイトの事例です。サイトを訪問してしばらく経つと、画面右下からチャットボットが起動し、このウインドウから質問を投げかけるなどしてコミュニケーションを取れるようになっています。
画像引用:X(Twitter)キャンペーンなら「echoes」
ECサイトにWEB接客を導入するメリットとして、大きく以下3点が挙げられます。
WEB接客ツールを使用することで、見込み顧客が抱く購入前の疑問・不安を、サイトに訪問しているその場でリアルタイムに解決できます。
見込み顧客の立場では、その場で不安を払拭できたり、疑問に対する回答をすぐに得られると、満足度が向上するでしょう。
また、WEB接客を通してセール情報や、割引クーポンを提供したり、顧客が好みそうな別の商品提案などをおこなうことで購入意欲を高め、顧客単価の上昇にも貢献します。
「離脱率」とは、ECサイト訪問者が購入せずにサイトを離れる割合のことです。
この離脱率が高いと、売上に悪影響を及ぼします。
そこで、WEB接客ツールを活用することで、サイト訪問中、たとえばページ滞在時間が長く「迷っている」「考えている」と思われるユーザーに対して、ショップ側からポップアップ表示を出して強く興味を引き、自然に次のコンテンツや問い合わせ画面へと誘導することができます。
関連商品や、スタッフレコメンドなど次の提案を自然に行いながら、訪問者の関心を引き続けられるので、離脱率の低減につながるでしょう。
CVR(コンバージョン率)を向上させるためには、訪問者に対して適切なタイミングで提案を行うことが重要です。
WEB接客ツールを導入することで、ポップアップで「セール情報」や「クーポン」提供などで購買行動を促進したり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を見せて商品理解を促すなど、顧客接点におけるより多様なコミュニケーションが考えられます。
特にUGCは、オンライン顧客接点で重視すべき要素の一つです。
UGCは、既に購入して利用している人のクチコミ・体験談です。見込み顧客にUGCを見せることで、「実際に体験した人の声」を読んでもらえます。見込み顧客は「自分に合った商品か」「今の自分に必要か」と、企業側からの謳い文句以外に判断材料ができるので、より自分ごと化しやすくなったり、商品が自分の手元にある生活を具体的にイメージしやすくなるでしょう。その結果、購買意欲が高まるので、CVR改善に貢献するといえます。
ここからは、ECサイト向けのWEB接客ツールを3つ紹介します。
公式サイト:ユーザー行動を理解し成果に繋がるWeb接客を【KARTE(カルテ)】
KARTEは、サイト訪問中のユーザー行動をリアルタイムで分析し、効果的なWeb接客を提供できるツールです。
ポップアップ施策も、チャット施策も両方実施可能です。
さまざまな業界で成功したWEB接客施策のシナリオを活用して、エンジニアの手を借りずとも、誰でも簡単にサイトへすぐに反映、WEB接客を実施できます。
利用するためには初期費用と、月額運用費用が必要で、サイトの規模や利用する機能によって変動します。詳細は公式サイトから問い合わせが必要です。
公式サイト:サイト訪問ユーザーに応じた販促と接客でコンバージョン率を改善するWEB接客ツール|Flipdesk
FLIPDESKは、ユーザーのターゲティングをして、最適なポップアップ表示を出す施策を得意とするツールです。ユーザーの行動データを基にした販促施策ができます。
初期費用は5万、月額運用費用5万で、PV数80万PVまで、最低利用期間は3ヶ月です。
公式サイト: b→dash|業界シェアNo.1 データマーケティングツール
b→dashは、データに基づくマーケティング施策ができるツールです。サイトに訪れたユーザーの行動データを活用して、最適なタイミングでバナーを表示し、クーポン配布、告知、カート放棄リマインダーなどのアプローチを行うことができます。LINE連携もできます。月額利用料金は、ツールの機能や使用するデータ量に応じて変動します。詳細は公式サイトから問い合わせると良いでしょう。また、無料デモも提供されています。
WEB接客ツールの導入前によく検討すべきポイントとして、以下3点に着目するとよいでしょう。
WEB接客ツール導入時には初期費用が、そして月々の運用費用と、サポート費用なども継続的に必要です。
サイト規模やPV数、使用するデータ量によりますが、長期的に費用がかかるため、
を考えて、費用対効果を慎重に検討することが重要です。
WEB接客ツールを導入して、成果を出すためには、顧客体験(CX=カスタマーエクスペリエンス)の最適な設計が不可欠です。
最適なCX(顧客体験)設計ができていないと、ショップ本位な接客を行いがちです。その結果、サイト訪問者にとって「煩わしい」と捉えられてしまったら、施策の効果はあまり望めないでしょう。
すぐれたCXを設計するには、まず自社にとってのカスタマージャーニー(顧客が自社のことを知って、サイトを訪問し、購入・体験して、リピーター化するという、一連の「顧客の行動」のこと)を描き出す取り組みが必要です。
これらを自社でできそうか、もしも、ノウハウやリソースがなければベンダーに頼んで支援を受けられるか、検討しましょう。
WEB接客ツールは「導入して終わり」「最初に施策を考えて終わり」ではないので、導入後も効果検証と顧客体験の最適化に取り組み続ける必要があります。
運用開始後も、長期的に自社でリソースを投入できるかを考えてみましょう。また、ベンダー側から運用フェーズでのサポートを受けられるかどうかも、導入前に十分に比較検討しましょう。
モノや情報が溢れる現代社会の中で、自社の商品を購買の選択肢に入れてもらうためには、生活者の心理にいつでも寄り添うことができる、気持ちの良い購買体験を提供することが重要です。
つまり、顧客体験の向上が鍵となります。
ある調査によると、生活者の65%が商品・サービスの価格よりも顧客体験を重視しているというデータも。
ところが、企業が伝えたい情報と生活者が欲しい情報に大きなズレがあるまま、受け取る情報量だけが増加すると、生活者にストレスを与えてしまいます。
生活者がECサイトの顧客接点で求めているのは、企業側からの一方的な売り文句ばかりではなく、「生活者目線の表現」です。たとえば「今の自分に合った商品か」「この商品の購入後、自分の生活がどう変わるか?」など、「自分が買うべき商品なのか」について具体的に知りたいというニーズが考えられます。
この生活者視点をふまえると、今あなたの会社にとって、
が重要な課題ならば、WEB接客ツールの導入を考える前に、顧客接点を充実させるための策は他にもあるといえます。
その一つが、UGC施策です。次項でその成功事例を詳しく見ていきましょう。
ここからは、顧客接点において、生活者視点の情報を豊富に提供することで成功した事例を紹介します。
画像引用:UGCは顧客体験向上に欠かせないコンテンツ。トイザらスに学ぶ、オンラインストア×UGC活用術
トイザらスは、顧客体験向上のためにUGC(ユーザー生成コンテンツ)を積極的に活用しています。具体的には、オンラインストアのトップページや商品ページに、顧客が投稿した動画や画像を掲載。商品の実際の使用感やサイズ感を具体的に伝え、購入を検討する顧客にとって有益な情報を提供しています。UGCの活用により、顧客体験が向上し、オンラインストアのコンバージョン率も改善されました。
スペシャルティチョコレート専門店・Minimalは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を積極的に活用し、重厚なコンテンツを構築しています。Instagramの投稿をECサイトのトップページや商品ページに掲載し、ブランドの世界観を表現。この取り組みにより、定期便の申込みページのCVRが2.04倍に向上しました。UGCの活用により、購入の判断材料となり、既存顧客にとって共感材料となるコンテンツを提供しています。
画像引用:メイクアップブランドのエチュード、オンラインショップにUGCを活用した画像つきレビューコンテンツを実装
メイクアップブランド・エチュードは、オンラインショップにUGCを活用した画像付きレビューコンテンツを実装しています。Instagram上のUGCを商品ページやトップページに掲載し、使用感やパッケージの魅力を伝えています。これにより、顧客は商品購入前に具体的なイメージを持つことができ、購入意欲が高まります。UGCの活用で売上が向上し、顧客とのコミュニケーションも深まりました。
ベビースキンケアブランド・SOLIAは、UGC施策に重きを置いて、高速PDCAサイクルを実施、UGCを積極的に活用することで、CVRを向上させています。Instagramの投稿をECサイトに取り込み、リアルな顧客の声を伝えることで、商品への信頼性を高めました。これにより、サイトのCVRは初速で1.5倍に向上し、平均して1.2倍に改善しました。
この記事では、ECサイトの顧客体験の向上とCVR改善を目指す中で、「WEB接客ツールを導入する」という施策も有効な策の一つだと述べてきました。
しかし、「費用と手間をあまり掛けられない」といった点がハードルになる場合も多いのではないでしょうか。
そのような場合には、事例を紹介した通り、UGCや動画をSNSから引き込んでECサイト上で多く見せる手段も、また別の有効な施策だといえます。
「UGCや動画を活用して、ECの顧客接点をリッチにしたい」とお考えの企業様は、ぜひ弊社にお任せください。
アライドアーキテクツが提供するCVR最適化プラットフォーム「Letro」は、UGC(Instagram投稿・レビュー)や動画を活用し、制作・掲載・計測を管理画面上で簡単かつ低コストに実行できます。施策範囲に応じて、月5万円からのプランもご提供しています。
記事公開日:2024.06.06