2022.5.16
D2CビジネスのWeb担当者で、「Web経由の新規顧客獲得数をアップさせる!」というミッションを担っている人も多いはずです。
Web経由の成果を最適化するための施策として「ABテスト」があります。
ABテストとは、WebサイトやWeb広告のクリエイティブ要素を一部変更し、一定期間内に複数パターンをユーザーに見せて反応を測り、データに基づいて成果を最大化していく取り組みです。
この記事では、ABテスト実施の上で理解すべき基礎知識や、具体的なやり方、成果につながるポイントを解説します。
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ABテストとは、複数パターンのクリエイティブを見せて反応を測ることです。ABテストでは、WebサイトやWeb広告のクリエイティブ要素(バナー、コピーなど)を一部変更し、一定期間内に「Aパターン」「Bパターン」をユーザーに見せて反応を測ります。
「Aパターン」「Bパターン」のどちらがユーザーの反応が良かったかをデータで検証し、Web経由の成果を最大化していくための取り組みです。
似たような言葉に「多変量テスト」があります。多変量テストとは、複数パターンの要素の組み合わせを一度にテストし、どの組み合わせがもっとも効果が出るかを見るやり方です。複数の要素の相互関係も含めた最適な結果を把握できるメリットがある一方、変数が多いため解析が難しいデメリットがあります。
個別の要素の影響をテストするにはABテストが、複数の要素の相互関係も含めた影響をテストするには多変量テストが適していると言えます。
ABテストの対象項目は、以下が挙げられます。
ユーザーとの接点(UI)において「何を端的に打ち出すことが最も有効か?」を、ABテストを繰り返して検証します。
何度も検証を重ねることで、ユーザーの行動データに基づき「反応の良い訴求内容」を的確に打ち出すことができるようになります。すると、Web経由の成約率向上に寄与します。
ABテストに取り組むべき3つの理由を解説します。
まず、Web経由での収益向上につながります。
あなたの会社では、Webサイトやランディングページ、Web広告など、はじめに公開したクリエイティブのままになっていませんか?もしそうであれば、決して収益の最適化ができている状態とは言えません。公開時には「これがベストプラクティスだ!」と考えてクリエイティブ制作をしたかもしれませんが、公開後にユーザーの反応について検証し、改善策をクリエイティブに反映できていないからです。
そこで、ABテストが有効です。検証を重ねて、実際にユーザーの反応が高いクリエイティブを実装することで、より成果の出るWebサイトへと洗練させることができます。
Webサイトの収益アップのポイント
▶LPのCVRを改善する3つのポイント【コスメ企業事例あり!】
ABテストには、「それほどコストをかけずにWebサイトを改善できる」というメリットもあります。
大々的なサイトリニューアルは、時間もコストも伴います。
一方、ABテストならば「特定ページ内のバナーだけ変えて、反応を見る」など、改善に向けて小さく始めることが可能です。この場合、バナー作成や検証に必要な最低限の人手とコストだけ押さえれば、比較的スピーディーにサイト改善に向けたアクションを始められます。
Webサイト改善のポイント
▶Webサイト改善、何からやるべき?押さえておきたい基本の7ステップ
ABテストを何度も繰り返すうちに、自社の「勝ちパターン」が見えてきます。
例えば、「コピーは短文のほうが反応が良い」「アイキャッチはイラストより写真のほうが反応が良い」「ファーストビューには動画を埋め込んだほうが反応が良い」といった、成果の出る具体的なノウハウを自社内に蓄積していくことができます。
それらの知見はすべて会社の財産となり、ABテストに限らず、「うちのお客さんは、こういうパターンに反応が良いから、今度はメルマガにも応用してみよう」など、マーケティング活動全般に横展開することも可能になります。
例えばランディングページでABテストをするなら、以下のパターンを試してみるのがおすすめです。
メインコピーの変更にトライしてみましょう。
試すポイントとして
があります。
特に「文言の変更」は、「誰に」「何を」「どのように」伝えたいのか、しっかりと深堀りし、ターゲットに刺さる訴求軸を打ち出すことがポイントです。
ファーストビュー(ページ冒頭で、スクロールしないで目に入る範囲)の画像を変更してみましょう。
ファーストビューは、UXにおいて重要な部分です。ここを見てユーザーは「自分には合わない(ターゲットではない)」と一瞬で判断し、ページから離脱するかどうかを決めます。よって、ファーストビューのABテストについても「誰に」「何を」伝えたいか明確にしたうえでテストを行いましょう。
CTAボタンは、ユーザーの「購入」アクションを直接喚起する部分であるため、ABテストの実施により大きな効果を生むケースが多いと言えます。
ポイントは、「ここから購入できる」ということを、ページ内の他要素と対比させ、目立たせることです。ファーストビューの範囲内にCTAボタンを収めるのも良いでしょう。また、ボタン内文言はユーザー行動を喚起できるよう、アクションのハードルを下げ、メリットを端的に伝える文言に工夫することが重要です。
フォーム(申し込み、購入手続き画面)も、購買行動に対し大きな影響を与える要素です。
せっかくランディングページに来てもらって見込み顧客を獲得しても、フォームが煩雑だとユーザーはここで離脱してしまいます。その割合は「7割」とも言われているほどです。
フォームの入力のステップ明記や、郵便番号からの住所記入の補助など、ユーザーの入力の負荷を軽減することがポイントです。
ABテストを進める際は、以下の4ステップを押さえましょう。
まずは取り組む前に「何のためにABテストを実施するのか?」という目的の整理をしましょう。
大目的は、「Web経由での収益を向上させたいから」のはずです。
収益を向上させるために「誰(どんなペルソナ)に」「特定のページ上でどんな行動(例=購入など)を起こして欲しいのか」を明確にしましょう。
<例>
30代後半女性、さまざまなダイエット法を試しているが、何をやっても成果が出ないと悩んでいる人に、ダイエット食品を購入してほしい
①で「誰に」「何をしてほしい」を固めたら、その目的に辿り着くために、一番効率よく成果が得られそうな箇所を考えましょう。
例えば、Googleアナリティクスなど、自社で使用しているサイト分析ツールでユーザーの行動データも見てみましょう。
「LPの直帰率が高い(LPだけ見てサイトから離脱している人が多い)」ならば「ファーストビューやコピーを変えるなど、ターゲットユーザーをより惹きつける改善策が必要だ」などと仮説を立てます。「LPには集客できているが、フォームで離脱が多い」なら、フォーム改善を焦点にABテストを実施したほうが良い、といった仮説になるでしょう。
データに基づいて仮説を導き出し、ABテストの対象とすべき箇所を絞り込みます。
複数パターンのバナーやコピーなど、テストパターンを作成し、ABテストを実行します。
このとき一定期間内において「Aパターン」が表示されるユーザー、「Bパターン」が表示されるユーザーという2つのグループを用意する必要があります。このグループ分けに関しては、一般的にランダムなグループ分けでOKです。
また「一定期間」についても明確な定義はなく、短くて一週間程度、長くて一ヶ月程度といった期間で取り組む事例が多いと言えます。
「Aパターン」「Bパターン」どちらがユーザーの反応が高かったか、結果を分析しましょう。
検証結果から得られた答えをクリエイティブに反映する改善施策はできる限りスピーディーに行い、少しでも早い収益向上につなげましょう。
ABテストは一回やって終わりではなく「今度は初回とは違った仮説を立て、違う角度からトライしてみよう」など何度も繰り返すことも重要です。この繰り返しが、マーケティングノウハウの積み重ねにつながっていきます。
ABテストに活用できるお役立ちツールも紹介しています!
▶LPOとは?コンバージョンに導く方法や施策、ツールを紹介
ABテストを簡単に実施できるツールも提供されています。ここではWebサイトのABテストに役立つツール3つをご紹介します。
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/optimize/
Googleが提供している無料のABテストツールです。オプティマイズでテストを実施することで、一部のユーザーを対象にウェブサイトの新しいデザイン、レイアウト、コンテンツのテストを実施できます。Googleアナリティクスと連動しているので、アナリティクスで設定したCVを目標に設定などができます。
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/optimize/
機能が限定された無料版から、豊富な機能を有する有料版(Web A/BテストやCommerceなど目的別)まで、豊富なプランが提供されています。
アジアでの導入数600,000サイト突破を誇るツールです。ABテストだけでなく、ヒートマップ解析、EFO(エントリーフォーム最適化)機能など、Webサイトの最適化に必要な機能が多数盛り込まれています。
ABテストの具体的なやり方を解説してきましたが、企業の実態として、ABテストはどれぐらい実施されているのでしょうか?
以下の図は、アライドアーキテクツ株式会社が2022年3月に発表した「クリエイティブ運用の実態調査」の結果(一部)です。
「クリエイティブ(広告)の改善運用・PDCAを実施していますか」という問いに対し、「積極的に運用している」と答えた企業は37.3%に留まりました。残り60%強の企業は「やや実施している(49.3%)」「あまり実施していない(13.4%)」という回答で、まだまだ広告クリエイティブを十分に運用できていない企業も多いことが伺えます。
さらに、広告以外の領域のクリエイティブ運用実態に関してです。
[画像出典]6割強が「十分に実施できていない」 クリエイティブ運用のための環境構築に課題 | アライドアーキテクツ株式会社
「あまり実施していない」「全く実施していない」と答えた企業が2割弱で、広告クリエイティブよりも、もっと運用できていない企業が多いことを示しています。運用できない理由に関しては、「改善運用のノウハウがないから」という回答がトップでした。
広告以外の領域でクリエイティブ運用改善を積極的に行えている企業がまだまだ少ないからこそ、ABテストで「勝ちパターン」をいち早く見つけ、自社内でノウハウを積み上げていくことが、中長期的なビジネスの成長に寄与すると言えます。
昨今、EC・D2C企業を中心に、Webサイト・LPのCVRを改善する要素としてUGCを重視する事例が増加しています。
もしあなたの会社のサイトでUGCを掲載しているなら、「どんなユーザーズボイスを見せると反応が良いか?」という点もABテストの項目に含めましょう。運用・改善していくことで成果アップにつながります。
アライドアーキテクツ株式会社が2021年に発表した調査結果では、
という実態が明らかになっています。
UGC(生活者によるクチコミ)は、ユーザー視点で綴られた、商品に対する“生の声”そして“客観的評価”です。LP等の目立つ箇所に掲載することで「ユーザーの興味喚起を、より促す」「購買の判断を、より後押しする」といった役割を果たします。
どのタイミングや文脈でUGCを見せるか、どんな枕詞(テキスト)を添えてUGCを見せるかによって、ユーザーに与える印象や影響は大きく変わります。
例えば、商品の検討度合いが高いと想定される「リスティング広告でLPに流入したユーザー」と、商品の検討度合いはリスティングほど高くないと判断される「ブロード配信でLPに流入したユーザー」に影響を与えるUGCは同じ内容でしょうか?
リスティング経由のユーザーは「より商品の購入を判断できるコメントが掲載されたUGC」が、ブロード配信広告経由のユーザーは「より興味喚起を促せるUGC」が効果的だろうと想定できるはずです。
運用型広告やLPと同様に、UGCもSKU毎、流入ユーザーの属性毎、活用するチャネル毎などに細分化し、より緻密にPDCAを回し続けながら運用することで、大きな成果に繋がると考えられます。
運用型UGCを取り入れることで、より成果につながる!
▶運用型UGCとは?ECの売上向上に貢献する「UGC活用」は、次なるフェーズへ
後半で「クリエイティブもUGCも、運用が大事」と述べました。マーケティングの世界で「運用型広告」という言葉をよく聞きますが、この「運用型」という言葉は、ユーザーのアクションから得られたデータを分析し、改善を繰り返しながら施策の成果を最大化していくという、マーケティングの本質を表しています。
この記事で解説してきた「ABテスト」もまさに、「運用」を重視しながらクリエイティブ改善・成果最大化を目指す一手法だと言えます。
広告費やマーケティング費用を多額にかけなくても、自社ビジネスの成長を後押しできる策なので、ぜひABテストに繰り返しトライして自社ならではのマーケティングノウハウを積み重ね、ビジネスの成果につなげましょう。
記事公開日:2022.05.16