2023.10.30
「UGC施策に取り組みたい」「商品に関するクチコミを充実させたい」といった課題を抱えている、企業のマーケティング担当者の方へ。
この記事では「ギフティング」というマーケティング手法について解説します。
ギフティングに関する基礎知識や、施策に取り組むうえでの留意点、具体的な実施フロー、発生したUGCの効果的な活用法について企業の取り組み事例を交えてお伝えしますので、ぜひ、最後までお読みください。
「ギフティング」とは、企業がインフルエンサーやユーチューバー、TikTokクリエイター、あるいは一般の生活者に商品を提供し、実際に商品を試してもらい、そのクチコミをSNSやブログなどに投稿してもらう販促・PR施策のことです。
ギフティング施策を実施することで、ユーザーが実際に商品を生活の中で使ってもらったリアルな感想や、使っている場面をSNSやブログなどに投稿してもらうことができ、Web上でのクチコミ増加を期待できます。
クチコミが増えれば、まだ商品を知らない潜在顧客の目に触れる機会も増加し、新たなユーザーが、クチコミとの接触をきっかけに商品のことを知り、興味関心を深めるきっかけになります。
ここで、「広告との違いは?」と疑問を抱いた人もいるのではないでしょうか。ギフティング施策を行う意義は、「広告とクチコミが持つ、意味合いの違い」にあります。
生活者は、企業により発信された広告を見るよりも、実際に商品を利用した人のクチコミを見るほうが「自分ごと化」しやすい傾向があります。アライドアーキテクツが2022年に、約1,100名の生活者を対象にアンケートを実施したところ、「ネット通販や定期通販で商品を検討する際、生活者のクチコミやレビューをチェックする」と答えた生活者は88.5%にものぼることが明らかになりました。
参照:【2022年】購買行動におけるUGC影響度調査結果を公開!生活者の購買行動においてUGCはどれほど重要なのか?
さらに、生活者がクチコミを信頼する割合は年々上昇傾向にあり、2022年は64.6%もの方が「クチコミを信頼する」と回答しました。
参照:【2022年】UGCに対する意識調査結果を公開!~生活者はUGCをどれくらい信頼している?商品カテゴリ別に調べました~
生活者が新たに商品を認知し、興味関心を高め、購買行動に移るプロセスにおいて、クチコミは重要な役割を果たしています。
「ギフティング」は、クチコミ醸成を強力に後押しできる一つの手法だと言えるでしょう。
また、ギフティングを通じて、ユーザーが商品にどのような感想をいだくのか、実際にはどんなシーンで活用されるのかといったインサイトを得ることも可能です。
こうした理由から、ギフティングは数多くの企業が取り組むメジャーな施策の一つとなっています。
ギフティング施策には大きく分けて、企業側から「無償で依頼する」「有償で依頼する」という2つのパターンがあります。
商品をインフルエンサーや生活者に無償で提供し、その後のクチコミ投稿に関しても無償で依頼する場合です。
商品を対象者に提供するだけなので、発生するコストは基本的に、商品原価や発送費のみです。ギフティング対象者を見つけるためにモニターサイト等を利用する場合は、サイトの利用料が発生しますが、施策全体でのコストを比較的抑えることができます。
無償で依頼する場合、基本的にはユーザー側が投稿するクチコミの内容を企業がコントロールすることはできません。投稿内容を、例えば「自社にとって好意的なものにしてほしい」などとコントロールすることは「ステルスマーケティング」に該当するため、NGです。
ユーザー側が感じた、商品の良い点も悪い点も、ありのまま正直に述べたリアリティのあるUGC発生を期待できると言えます。
もし無償であってもユーザーに何らかの依頼をする場合や、客観的に見て自主的な投稿とは言えないような条件がある場合には、ユーザーが投稿する際に必ず広告主との関係性の明示を行う「#PR」などの表記を付けることが必要です。注意しましょう。
商品提供に加えて、宣伝行為に対する報酬を支払う手法もあります。対象者は主に、インフルエンサーやYouTuber、TikTokクリエイター、ブロガーなど、ネット上で影響力のある人物に依頼する事例が多いと言えます。
企業側からインフルエンサーにオファーする際、「有償」を条件にすることで、インフルエンサー側に「案件として引き受けよう」と受け入れてもらいやすくなるでしょう。
また、報酬を伴うプロモーション企画に該当するため、自社が訴求したいポイントをクチコミに盛り込んでもらいやすくなります。
引き受けたインフルエンサー側がSNSやブログ、YouTubeにクチコミ投稿をする際に、必ず「#PR」や「#宣伝」など広告主との関係性の明示を行わなくてはなりません。報酬を伴う宣伝行為であるにも関わらず関係性を明示していないものは、「ステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝行為)」に該当します。
ステルスマーケティングは、2023年10月1日から正式に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を景品表示法上の不当景品類及び不当表示防止として取り締まりの対象となります。さらに、ステルスマーケティングを行ってしまうと、生活者の信頼を損なったり、業界全体のイメージ低下につながります。施策を実施する企業側も、協力するインフルエンサー側も、「ステルスマーケティング」について十分に理解したうえで取り組むことが必須です。
ギフティング施策を行う際、どのような手順を踏めば良いか具体的に解説します。
まずは、ギフティング施策を行う目的を明確にしましょう。
広告出稿や他のマーケティング施策と同様に、
の3点を明確に定めましょう。
目的を明確に定めることで、どんな人に商品を提供すべきか、(インフルエンサーか、一般の生活者か?年代や性別は?どんな趣味嗜好の人か?)絞り込まれていきます。
「STEP1」で定めた目的を踏まえ、依頼する相手を決めてオファーをしましょう。
インフルエンサーに頼む場合は、普段の発信内容の世界観が、ブランドと親和性の高そうな人を選ぶと良いでしょう。その人のライフスタイルや、普段の投稿内容に溶け込むような情報発信を期待でき、ファンやフォロワーに向けた説得力が高まります。
依頼する相手をSNS上で選定し、DMで直接メッセージをやりとりするなど、自社でリクルーティングをする手法が考えられます。
有償で依頼する場合にはインフルエンサーキャスティング専門の会社に依頼する手法も検討してみると良いでしょう。
依頼する人を決めてオファー内容への合意が成立したら、実際に試してほしい商品を送付します。「STEP2」のオファー時、相手の住所や電話番号、送付先名を事前に聞いておくとスムーズです。
オファーした相手が商品を受け取ったら、SNSや動画、ブログなどにクチコミを投稿してもらいましょう。ただし、「無償依頼/有償依頼」の違いによって、注意が必要です。
企業側が投稿内容をコントロールすることは、ステルスマーケティングに該当するためNGです。あくまでユーザー側の自主的な意思に基づいて投稿してもらう必要があります。
なお、無償でギフティングを行い自主的な意思に基づいた投稿を促す場合でも、例えば「できれば、こういう切り口で投稿してほしい」など、事業者からの依頼と取られかねないコミュニケーションを行う場合は、広告主との関係性の明示を行うことを推奨します。
有償での依頼の場合には、「#PR」など広告主との関係性の明記が必須であることを、企業側とインフルエンサー側で必ずすり合わせをしておきましょう。
企業側から「クチコミ投稿時に、こんなポイントに言及してほしい」など要望があれば、それも事前に打ち合わせをしておきます。ただし、表現の仕方については任せたほうが良いでしょう。理由は、インフルエンサーのリアルな言葉、普段のトーンで語られてこそファンにとって意味があり、説得力が高まるからです。
また、投稿時に必ず付けて欲しい指定ハッシュタグが他にあれば、(ブランドのキャッチコピーや、キーフレーズなど)それも事前に伝えて同意を得ておきましょう。
広告主との関係性明示の仕方については、消費者庁が「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準にて、明瞭な場合と不明瞭な場合の具体例を示しています。必ず確認しましょう。
▶「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
ギフティング施策を通してクチコミが生まれたことで、どれだけの反響を獲得できたか、効果測定をして次のマーケティング施策に活かしましょう。
ギフティングとは決して「施策を実行し、クチコミが発生して終わり」ではありません。重要なポイントは、施策を通じて発生したUGCを、戦略的に活用していくことです。
ギフティング施策等を通じてUGCを生成するだけでなく、そのUGCをLP(ランディングページ)やECサイトに掲載したり、広告クリエイティブやCRMコンテンツに活用したり…など、戦略的にマーケティング施策に取り入れることで、より高い成果が見込めます。
その際に、Web広告やLP施策など、他のマーケティング施策と同様に、UGCも「運用する」観点が不可欠です。
「UGCの運用」とは、UGCを継続的に生成、数々のマーケティングチャネルに掲載、その効果に基づいてUGCの見せ方を調整し、そしてまたUGCを生成する……といった、一連のPDCAサイクルを回しながら、クチコミ施策を継続していくことです。
LPなど、各チャネルにUGCを掲載して、そこからユーザーの行動にどのような影響を与えたか、成果を定量的に把握し、そのうえでUGCを適切に出し分けたり入れ替えを行うことで、大きな成果につなげることが可能です。
UGCの「運用」によって大きな成果を上げている企業の具体例を紹介します。
妊活・妊娠・子育て向けの商品や美容商品の開発~販売までを行う「株式会社はぐくみプラス」。注力商品「coconeクレイクリームシャンプー」は、楽天ショップ・オブ・ザ・マンス(2022年5月/美容・ヘアケア・ネイル ジャンル賞)を獲得、22秒に1本売れるほどの大人気商品です。
同社では、もともとインフルエンサー施策に取り組んでいましたが、インフルエンサーによるクチコミをLPに「ベタ貼りする」ではなく「運用する」ことで、大きな成果の違いを感じたそうです。
[引用]22秒に1本売れるシャンプーが誕生。はぐくみプラスに聞く、大ヒット商品のマーケティング戦略と「UGC運用」で得た成果
本記事では、企業がギフティング施策に取り組むメリットや留意点、具体的な実施フローについて詳しく解説しました。
ギフティング施策は、決して「クチコミを投稿してもらって終わり」ではありません。「施策を通じて発生したクチコミを後々、自社のマーケティング施策にどれほど大きく活かせるか?」という視点を持ち、アクションを継続していくことが重要です。
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記事公開日:2023.10.30