ベビーパーク/株式会社TOEZ
課題
解決策
成果
ーまずは貴社の事業概要を教えてください。
小熊氏:
0歳から15歳までの子どもたちを対象とした一貫教育機関として、200以上の教室を全国展開しています。中でも、0~3歳対象の親子教室「ベビーパーク」では、脳の機能が未熟な段階の乳幼児に直接アプローチするよりも、養育者への『育児の教育』こそが有効であると考え、独自のプログラムを開発・指導を行っています。養育者の育児の悩みを解決しストレスを取り除くことや、養育者が幼児教育の意義を理解して家でも実践できるようにすることが重要だと考え開発している点が、他の幼児教室と違う部分だと思います。
教室内の様子
ー次に、小熊様のご担当領域・ミッションを教えてください。
小熊氏:
デジタルマーケティング全般を担当しています。体験レッスン申込み者数を増やすこと、体験いただいた後の入会者数を増やすことがミッションです。広告運用の他、サイトの見え方の部分、ブランディングにも関わっています。
ー「親子教室」という考え方を浸透させ事業を拡大するために、立ち上げ期と拡大期それぞれのマーケティングにおいてどのような工夫をされてきたか教えてください。
小熊氏:
2011年創業で幼児教室としては後発でしたので、認知度を高める必要がありました。その頃、生活者の情報収集の手段がオフラインからオンラインに切り替わりつつあったのもあり、業界の中ではいち早くWEB広告に注力しました。WEB広告に早く取り掛かれたので、後発でもシェアがとれたと思っています。
拡大期は、メディア掲載を強化しました。事業のコンセプトには自信があったので、いかに知ってもらうかということに対して、その当時できる最先端のものに、柔軟に取り組みました。
現在のマーケティングにおいて大切にしていることでもあるのですが、「新しいものを取り入れていくのを恐れない」という姿勢が功を奏したと思っています。
ー現在御社が取り組まれているダイレクトマーケティングの内容について具体的にお伺いします。まず、新規顧客向けに行っている施策で注力していることを教えてください。
小熊氏:
WEB広告、メディア掲載、インフルエンサーマーケティングを新規顧客獲得施策の3つの柱にしています。メインの顧客層である30代前後の女性はInstagramで情報収集されている方が多いため、特にInstagram広告とインフルエンサーマーケティングに注力しています。
ー新規顧客獲得において、現在感じている課題を教えてください。
小熊氏:
お客様の不安や疑念を払拭することです。大切なお子様を通わせるというのもあり、「本当に効果があるの?」と不安を覚えている方も多いと感じています。そうした中で、普段からInstagramでフォローしているママさんがおすすめしてくれたり、実際に通っているママさんの感想を知れたりすると「行ってみようかな」となりますよね。
やはり「自分以外の人が共感していることを伝える」というのは、我々の業界ではとても重要だと痛感しています。インフルエンサーマーケティングやUGC施策に注力している理由でもあるのですが、お客様の不安や悩みに寄り添い丁寧に答えていくことを大切にしています。
ー次は、UGC施策に注力しようと思った背景をお伺いできればと思います。他の様々なLPO施策に取り組まれていると思いますが、UGC施策の優先順位が高まった理由を教えていただけますでしょうか。
小熊氏:
LPOに関してはUGCを強化する前から取り組んでいました。お客様のお悩み別にLPを量産したり、LP内部のボタンの位置やページの色合いなどを調整したりと地道に改善を継続していました。少しずつCVRが上がっていきましたのですが、22年12月頃には頭打ちになっていて、根本的な改善をしないとこの先上がらないだろうという状態でした。
根本的なCVRの改善を考えたとき、サイトを訪れるお客様の不安を払拭し、安心感や信頼性を醸成する必要があると思いました。そのためにはお客様のお声(UGC)をページに載せるのが効果的だと考え、本格的にUGC施策に取り組み始めました。
実際、同じように効果性が気になる業界、例えば健康食品業界では必ずUGC施策をやっていたというのもあります。一方、幼児教育業界でやっているところは少なかったので、これはチャンスだと思いました。
ーここからは現在行っている「UGC運用」の具体的な内容と成果についてお話を伺っていきたいと思います。まず、施策内容について教えていただけますか。
小熊氏:
22年12月頃にUGC活用ツール「Letro」を導入し、新規獲得のメインLPと教室の個別ページでUGCを運用しています。
メインLPの方では2種類のUGCを掲載していて、ビジュアルを通じて"利用イメージ"を訴求できるようにInstagram投稿を載せているのと、具体的な感想で自分事化を促進できるようレビューを掲載しています。
お客様の行動を調べると、まずSNS広告で悩み別訴求のLPに触れベビーパークのことを知り、その後少し期間があいてから、検索広告などでメインLPに訪問しする方が多いです。そういった方に最後の一押しとして「実際にこういったお声があるよ」というかたちでUGCを見せています。
『体験レッスン│幼児教室ベビーパーク・キッズアカデミー』より弊社が作図
また、教室ごとの個別ページにもレビューを掲載しています。教室ページにたどり着く方は検討意欲の高い方ですので、利用者のレビューを見せて、体験レッスン申込み率の向上を図っています。
『体験レッスン│幼児教室ベビーパーク・キッズアカデミー』より弊社が作図
ーUGCをLPやサイトコンテンツに取り入れることで得られた具体的な成果を教えてください。
小熊氏:
メインLPでは、UGC施策を始めてからCVR(UGCを掲載しているLPからどれだけ体験レッスンの教室検索ページに遷移したのかで評価)が1.54倍になりました。最終の体験レッスン申込み率でみても、1.99倍になっています。他の施策も同時並行しているので全てがUGC施策の成果とは言えませんが、この改善幅を考えるとUGC施策の貢献が大きいと捉えています。
やはり、不安や疑念をもたれているお客様に対して、僕ら企業側が声高に自社の良さを叫ぶよりも、実際に教室に通われているお客様に意見を言っていただく方が遥かに効果的だと、この結果からも感じています。
ーこうした成果をあげるべく、具体的にどのような運用を行いましたか。
小熊氏:
Letroの運用担当者と一緒にUGCの中身や掲載位置、UGC上部に置くバナーなどについて仮説を立てて検証を行い、最適化しています。
特に、CTRの高いUGCを参考にバナーの訴求を考え、「みんなのレビュー」という企業主語の訴求から、「先輩ママのお声、いただいています!」とユーザー主語のバナーに変更した結果、CVRが大きく改善しました。もともとUGC掲載なしと比較してCVRが1.26倍に改善していたところから、さらに改善し1.31倍になりました(※)。※前後2週間比較
その後、流入元の変化や時期によって改善率の上下はあるものの、企業主語とユーザー主語のバナー比較では、どの期間においてもユーザー主語のバナーのCVRが高い結果となりました。ユーザー主語であることで、レビューの内容を読み込んでもらえ、ユーザーの行動を後押しできたと言えます。
UGC運用の一例。企業主語→ユーザー主語のバナーをテストし、最適化していった。
小熊氏:
またUGCの中身も重要です。メインLPでは、現在はお子様が動いている動画のUGCと教室内が映されているUGCが効果が良いです。「教室内でどういったことをやっているんだろう」と気になっているのだと思います。効果が高いUGCも流入してくるユーザーの傾向によって変化しますので、最適なUGCになるよう検証を行っています。
ー数あるUGCサービスの中から、Letroを選んだ決め手を教えてください。
小熊氏:
同じチームの担当者が以前仕事でお付き合いがあったのもあり、UGCサービスといったら「まずはLetroさんに聞いてみたらいんじゃない?」と元々社内での信頼がありました。
そして個人的に魅力に感じたのは、管理画面の使いやすさです。
実際今では、サイトに掲載するUGCを変更する時だけでなく、自社サービスに関するUGCを把握するのにも役立っていて、Instagram界隈の自社のコンディションをみるためにも管理画面を活用しています。他にも、LPの次のネタ探しをする際にも使わせていただいています。
ー続いてLetro担当者への評価やご意見をお聞かせください。
小熊氏:
CVRを2倍にするのは容易ではないです。大変なことなので、そこが導入して半年ほどで伸びているのは非常に費用対効果が良いと思っています。
この改善も、Letro担当者の細かい運用があってこそです。検証結果に応じて「次はこうしたらいい」というのをご提案いただけて、それにあわせてPDCAを回すというサイクルがうまくいっていて、すごく助かっています。CVRは少しでも上げられると流入の母数が増えれば増えるほど効果が大きくなります。そこにダイレクトに響く部分で細かく運用いただけて、本当に感謝しています。
ー最後に、今後UGC運用において取り組んでいきたいことを教えてください。
小熊氏:
通信講座をはじめとする別事業の申し込みLPにもUGC施策を展開していきたいと考えています。
また、サイト自体、企業とお客様が双方向でコミュニケーションできるものに近づけていきたいと構想しています。サイトをリニューアルする際、あらゆる顧客接点でUGCを活用していきたいと思います。
記事公開日:2023.09.29