2021.3.23
2021年の動画広告市場は4,195億円で、2025年には1兆円規模に迫ると予測されています。
(参考:2021年の動画広告市場は4,195億円、昨年対比142%成長 2025年に1兆円規模へ【CA調査】|MarkeZine)
実際、動画広告はすでに私たちの生活に溶け込んでおり、スマートフォンを使っていれば目にしない日はないほど自然な広告フォーマットとなっています。
一方で、「動画広告が伸びているのは知っているけれど、手がつけられていない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、動画広告にこれから取り組む際に知っておくべき基本情報を解説します。
「静止画広告ではだめなのか」「動画広告にすることでどんな改善が期待できるのか」について気になる方はぜひお読みください。
動画広告とは文字通り動画を用いた広告です。
YouTubeの動画の途中に流れてくる動画広告が身近な例として挙げられます。
テレビCMも動画広告として捉えられますが、本記事ではインターネットの動画広告について解説します。
下の画像は、総務省が発表している各ソーシャルメディア系サービス/アプリの利用率を年代別に示したデータです。
特に利用率の多い主要媒体では、動画広告の活用が活発となっています。
画像引用:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する報告書|総務省
YouTubeは全年代において利用率が高いことから、幅広い年齢のターゲティングが可能な媒体です。
6秒間のバンパー広告やスキップ不可のインストリーム広告、ディスカバリー広告などさまざまなメニューが存在します。
Instagramは10代〜40代に多く利用されているSNSで、多様な投稿フォーマットが特徴です。ユーザーの通常の投稿になじませる形で広告を配信できるため、自然な流れで動画広告を見てもらえます。
ストーリーズ広告やフィード広告、発見タブ広告がよく使われます。
Instagramの動画広告について詳しくはこちら
▶Instagram動画広告の基本を解説!広告成果を高めるコツ5つ
Twitterは10代〜40代に多く利用されており、テキストの投稿がメインのSNSです。
動画広告に対する受容度はYouTubeやInstagramと比べて低いですが、タイムラインに違和感なく溶け込む動画広告を配信できます。
Twitterの動画広告について詳しくはこちら
▶Twitter動画広告を網羅!動画広告で認知を広げるためのポイントとは?
Facebookのデータを使った高精度なターゲティングが特徴です。
Facebookは30〜50代の利用率が高いSNSで、ビジネス上のコミュニケーションツールとしても利用されます。
Facebookの動画広告について詳しくはこちら
▶【2021年度最新版】Facebook動画広告の種類や規格を徹底解説!
LINEはコミュニケーションのインフラとして普及しており、全ての年代での利用率が高いSNSです。
LINE広告について学習できる「LINEキャンパス」がオープンしたことで、広告の知識がない方でも手軽に始められる広告媒体となっています。
参考:LINEキャンパス|LINE
動画広告をこれから始める際にもおすすめです。
LINEの動画広告について詳しくはこちら
▶【LINE広告運用者 必見】LINE動画広告PDCAのコツ~最新トレンド&勝ちクリエイティブ事例まとめ~
TikTokは10〜20代の若年層の利用率が多いSNSで、音楽やファッションなど流行の発信地です。
TikTok広告は、ユーザーがスキップするかどうかをコントロールでき、広告にもユーザーが投稿する動画のクオリティが求められます。
TikTok広告について詳しく知りたい方はこちら
▶【3分でわかる】TikTok広告の基本を解説!コツやメリットとは?
株式会社電通の調査によると、動画広告はインターネット広告費用全体の20%を占めるまで伸長しています(2019年時点)。
超高速・大容量の通信が可能になる5Gのサービス拡大や、各通信キャリアの料金の値下げにより、動画をスマートフォンで視聴するハードルが下がったことが背景にあると考えられます。
2021年の日本の広告費全体で見ても、インターネット広告費はマスコミ四媒体広告費を上回り、2兆7,052億円となっています。
参考:2021年 日本の広告費|電通
アメリカのデータボックス社がFacebook広告でよりクリックしたくなる広告フォーマットはどれかを調査したところ、静止画広告は29.6%であるのに対して動画広告は59.3%という結果を残しました。
参考:Videos vs. Images: Which Drives More Engagement in Facebook Ads?|DataBox
こういったデータからも「動画広告の方が効果的」と思われる方も多いですが、達成したい目的によっては静止画広告のほうが向いているケースもあります。
動画広告のメリット・デメリットを把握して使い分けましょう。
動画は静止画よりも必然的に情報量が多くなります。
音声や動き、時間軸など静止画にはない要素が加わるからです。
例えば、化粧品の広告では、一枚の静止画で伝えきれない効能やブランドイメージをよりわかりやすく伝えられます。
アメリカ国立訓練研究所の研修結果によると、動画の記憶定着率は記事コンテンツの2倍と言われています。
企業名をメロディーに乗せて歌った広告や、旬のタレントを起用した広告など、記憶に残る広告は動画広告が多いのではないでしょうか。
この研究結果は「Learning Pyramid(ラーニングピラミッド)」という図で表されており、テキストを読むよりも動画を見るほうが記憶に定着しやすいとされています。
画像引用:平均学習定着率が向上する「ラーニングピラミッド」とは?
人間は本能的に動いているものを追う性質を持っています。
昨今のインターネット広告では、広告をスルーするユーザーが大半です。
広告の規制も強まっていることから、際どいコピーでユーザーの興味を引くのは得策ではありません。
動画広告もスキップされる点は変わりませんが、最初の数秒に動きがあることで、続きを見てもらいやすくなるでしょう。
動画広告は情報量において静止画広告より優れていますが、多くのユーザーは動画を見ている途中で飽きるため、最後まで再生される可能性が低いです。
1分の動画広告を作ったとしても、5秒でスキップされると効果は期待できないでしょう。
この点においては、情報が一枚で完結する静止画広告のほうがたくさん伝わります。
視聴維持率を観察し、「ユーザーがどのポイントで動画をスキップしているのか」「動画のどの要素に興味を持ってくれているのか」を分析することが重要です。
伝えたいメッセージがひとつにしぼれている場合や、ユーザーに認知してもらうことが目的の場合は、静止画広告でも問題ないかもしれません。
静止画広告と比べて、動画広告はより多くの費用と時間がかかります。
例えばInstagramのストーリーズ広告を出す場合、最大60秒分の構成を練り、素材を揃えて動画編集をするといった工数が必要です。
30秒の動画編集に8時間かけるケースもあります。
動画広告は大きく「インストリーム広告」「アウトストリーム広告」の2つに分かれます。それぞれの特徴を解説します。
インストリーム広告とは、YouTubeなどの動画の中で流れる広告です。
広告が流れるタイミングによってさらに種類が分けられます。
YouTubeにはスキップできるインストリーム広告とスキップできないインストリーム広告が存在します。
YouTube広告の種類について詳しく知りたい方はこちら
▶YouTube広告の種類9つをご紹介!特徴や広告を出す流れとは?
インストリーム広告は、ユーザーが本来見たい動画の途中に広告を表示するため、クリエイティブ次第でユーザーの不快感につながるリスクがあります。
例えば、大きな音がいきなり流れる動画広告は、音量を大きくして動画を視聴しているユーザーにストレスを与えるでしょう。
一方、動画を能動的に視聴するユーザーに広告を配信できるため、広告を見てもらいやすい側面もあります。
ブランドの認知度やリーチの拡大だけでなく、購入にまでつなげられる広告です。
アウトストリーム広告とは、「アウト=外」という意味の通り、動画の外で流れる広告です。
アウトストリーム広告はユーザーが広告をタップするとミュートが解除される仕様となっており、最初は音声なしで表示されます。
アウトストリーム広告はYouTubeを閲覧しないユーザーにも配信でき、ブランド認知度の向上とリーチの拡大が強みです。
動画広告にかかる費用は「広告を出稿する費用」と「広告用の動画を制作する費用」に分けて考えます。
動画広告を出稿する費用は媒体や目的によって大きく変動するため、ここでは課金形態と大まかな費用相場をご紹介します。
動画広告でよく用いられる課金形態は次の3つです。
CPVは動画の再生回数に応じて課金される形態です。
動画の1再生の定義は媒体によって異なりますが、YouTubeのインストリーム広告では最後まで再生されてはじめて課金されます。
スキップせずに最後まで動画広告を見たユーザーに対して課金される形態のため、興味のないユーザーに対しては課金されず、コストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。
CPMは、広告が1,000回表示されるごとに課金される形態です。
表示回数に重きを置いて配信されるため、より多くのユーザーに広告を見てもらえます。
一方で、ターゲットに情報が伝わっているのか、商品の購入につながっているのかが分かりにくいというデメリットもあります。
CPCは動画広告から「クリック」のアクションが生まれ、ユーザーがリンク先に遷移したときに課金される形態です。
入札制で支払われるため、競争して広告枠を勝ち取る必要があります。
検索ボリュームの大きいキーワードでは競争が激しく、入札額を多くしなければ効果は期待できないでしょう。
Facebook:CPM課金の相場は500〜2,000円 、CPV課金の相場は100円〜150円
Instagram:CPM課金の相場は100〜150円、CPV課金の相場は4円〜7円
YouTube:バンパー広告のCPM課金の相場は0.1円〜0.5円、CPV課金の相場は3円〜20円
アウトストリーム広告(Google):CPM課金で相場は3〜20円
動画広告において目標を達成するためには、媒体の特性にあった動画クリエイティブを制作することが大切です。
動画を制作する費用は、自社内で制作するか、外部に制作を委託するのかで異なります。
自社内で制作する場合は、動画を制作するためのツールやソフトの導入が必要です。プロ仕様のものから、誰でも簡単に動画が制作できるものまでさまざまな種類があります。プロ仕様のソフトを利用する場合は、動画制作ができる人材の採用コストや人件費も必要です。
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▶Facebook広告でCPA40%改善!提案・制作・検証まで一人で完結できる動画広告運用の裏側
外部に制作を委託する際は、修正回数や動画の本数、クオリティによって費用が変動します。
アニメーションを使用したり、タレントを起用したりする場合は、50〜100万円以上かかるでしょう。
社内のリソースを使わずにクオリティの高い動画広告を配信したい方におすすめの方法です。
動画広告は、出稿する媒体・広告メニューに合った動画を作ることが重要です。
例えば、Instagramのストーリーズ広告で16:9の画角の広告クリエイティブにすると、通常の投稿が9:16の縦型であるため、広告を見たユーザーに違和感を与えてしまいます。
サイズだけでなく、媒体ごとの特性も反映させましょう。
Twitterの動画広告やアウトストリーム広告では、音声なしでも動画の内容が伝わる工夫をしましょう。
YouTubeのインストリーム動画広告の一部は、5秒後にスキップできる仕様となっています。
InstagramやTwitterにおいても、スワイプ・スクロールで広告をスキップする方が多いのではないでしょうか。
動画広告をできるだけ長く見てもらうには、広告がユーザーの画面に表示される最初の3秒間が重要です。
ユーザーの興味を引く質問を冒頭に持ってきたり、会社やブランドのロゴを表示したりといった工夫が挙げられます。
動画広告は静止画広告と比べて情報量が多い一方、情報を詰め込みすぎると、ユーザーがどのメッセージを受け取ったらよいかがわからず効果が薄れてしまいます。
伝えたいメッセージを絞ったクリエイティブを制作しましょう。
動画広告は、広告クリエイティブを1本作って終わりではありません。
要素別に複数のパターンを作り、効果検証を重ねることが大切です。
動画広告には色や音、各シーンのレイアウト・順番、画像、訴求したいメッセージなど複数の要素が存在します。
おすすめなのが、静止画広告で効果が出ているクリエイティブを一部動画化してA/Bテストするという検証方法です。
動画を制作する負荷を下げられるだけでなく、検証が早く回るため、より効率的にクリエイティブを見つけられます。
詳しいやり方は以下の記事をご確認ください。
▶【事例で解説】効果的な動画広告の作り方&検証方法とは?~静止画勝ちクリエイティブの動画化が鍵~
Webマーケティングを活用した成長支援事業を行なっているソウルドアウト株式会社の事例です。
クライアント企業のLINE動画広告を制作・出稿したところ、静止画広告と比較して、CPCが15%下がり、CPA(Cost per action)が20%改善されました。
結果につながった理由としては
などが挙げられます。
化粧品や美容健康食品のD2C事業を展開する株式会社ベルタの事例です。
Facebook広告において静止画バナーと動画広告を比較した結果、動画広告のCVRが1.1倍改善し、CPO(Cost Per Order)は従来の89%まで圧縮することに成功しました。
結果につながった理由としては
などが挙げられます。
動画広告のメリット・デメリット、実際にかかる費用などの基本情報を解説しました。
動画広告は、ユーザーがSNSの投稿やYouTubeでの動画視聴などを楽しんでいる間に差し込まれる広告です。ユーザーが自発的にクリックしたい・広告が見たいと思えるクリエイティブを作っていきましょう。
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記事公開日:2022.03.23
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