2024.5.02
通販企業においてWeb広告を運用し、新規顧客獲得を効率的に進めるためには、データをいかに活用するかが成功の鍵となります。
しかし昨今、Cookie規制をはじめ、データ活用に関連するさまざまな規制の動向も見られます。
そのような状況の中、直近で「ゼロパーティデータ」に注目が集まり始めています。
これまでデータ活用の中で重視すべきだと言われてきた「ファーストパーティデータ」とは、どのように異なるのでしょうか?
本記事では、ゼロパーティデータの定義からその重要性、具体的な顧客コミュニケーションへの活用方法まで詳細に解説します。
まずは、「ゼロパーティデータ」という言葉の意味をわかりやすく解説します。
「ゼロパーティデータ」とは、顧客が意図的・積極的に企業と共有するデータのことです。
顧客が自らの意志で共有した個人情報や、好み、購入意向、フィードバックなどが「ゼロパーティデータ」です。
<ゼロパーティデータの具体例>
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それぞれの違いをわかりやすく見てみましょう。
定義 | 信憑性 | 具体例 | |
---|---|---|---|
ゼロパーティデータ | 顧客が意図的・積極的に企業と共有するデータ | ◎ (顧客が能動的に企業に共有したデータだから) |
・アンケート回答
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ファーストパーティデータ | 第三者(リサーチ会社など外部機関)に頼ることなく、自社で収集した、顧客の行動に関するデータ | ◎ (自社が収集したデータであり、データの出どころが明確だから) |
・Webサイトのアクセス解析データ
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サードパーティデータ | 「自社」「顧客」以外の第三者が提供するデータ | △ (自社とターゲットが必ずも合致しているとは限らないので、信憑性は下がる) |
・政府や自治体が提供する公的な統計データ
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昨今、「ゼロパーティデータが重要だ」と注目が高まりつつあります。
前項の表でまとめた通りゼロパーティデータとは、顧客が自分の意志で企業に対して直接提供するデータです。このデータには、個人の好みや購買意向、体験の感想などが含まれています。これらは顧客自身が能動的に提供したものであるため、その情報は正確かつ、信頼性が高いと考えることができます。
企業にとっては、顧客が何を求めているのかを正確に理解し、パーソナライズされたマーケティングやサービスを提供するための重要な手がかりとなるでしょう。また、顧客のプライバシーに配慮しながら、顧客との信頼関係の構築にも寄与するといえます。顧客視点では、「自分が提供した情報に基づいて」「自分のニーズに応じた商品レコメンドや体験が提供される」ため、その企業と接点を持つ中で満足度が向上すると期待できます。
近年、世界各国で個人情報保護に関する法律の見直しが進んでいます。その中でも、サードパーティCookieはプライバシーの侵害につながるとの見方が広がり、現在Cookie規制が本格化されようとしています。たとえば、「あるECサイトで一度閲覧した商品について、後からまったく別のサイト上で広告表示される」といった経験を持つ人も多いでしょう。これは、サードパーティ Cookieの仕組みによるものです。Web広告を出稿している企業にとっては、一度サイトを訪れたユーザーの再訪問を促すことができる便利な仕組みだと言えますが、ユーザー視点では「追跡されているようで不気味」とあまり歓迎されないものになってきたのです。
ここで再び、ゼロパーティデータに話を戻しましょう。
ゼロパーティデータという言葉や考え方は、アメリカの調査会社であるForrester社が提唱したものです。
同社の考えによると、顧客が企業に対して自ら積極的に自分の趣味嗜好に関するデータを提供することは、企業にとって顧客の真のニーズや意図を理解するうえでの「推測作業」を減らす効果がある、としています。
つまり、ゼロパーティデータの価値はファーストパーティデータ(顧客の行動から間接的に収集されるデータ)を超える可能性があり、よりダイレクトで正確な顧客理解のための手段として重要視されているのです。
たとえば自社のECサイト上で、顧客に向けて商品レコメンドを表示する施策を想定してみましょう。
・ファーストパーティデータ (サイトのアクセスログや、購買履歴データ)に基づいて、企業側が何らかの手段を使って「推測」をして、次に購買をおすすめしたい商品を提案する
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同じ施策でも、上記2つのアプローチを比較すると、圧倒的に後者、つまりゼロパーティデータに基づく施策のほうがレコメンドの精度が高く、顧客にとってより好印象で満足度が高くなるだろう、ということは容易に想像ができます。
したがって、今後ゼロパーティデータは、企業がマーケティング施策に取り組むうえで非常に重要な存在になるといえるのです。
それでは具体的に企業は、どのようにゼロパーティデータを顧客コミュニケーションに活用したら良いのでしょうか?
ポイントは、カスタマージャーニーに即した顧客コミュニケーションを提供することです。
ペルソナやカスタマージャーニーを改めて見直し、それぞれのマーケティングファネルに沿った情報発信、つまり消費者から能動的に選ばれるための仕組みを作っていくことが大事だといえるでしょう。
Webサイトを訪問しているユーザーはどのような人物像で、サイト上でどのような行動を取り、何を望んでいるのか、できるだけ解像度を上げて把握し、そのニーズに応えるような施策の実行が求められます。
ここで、より具体的な話に落とし込んで、たとえば「Web広告とLP」の施策について考えてみましょう。
Cookie規制によって広告のターゲティング精度が下がる今後は、LPに流入したユーザーの転換効率(CVR)を向上させる取り組みが非常に重要になってくるといえます。広告運用の部分最適を図ろうとすると、ついLP改善の優先度を落としてしまいがちですが、すべての獲得ユーザーは最終的に、LPにたどり着くことになります。つまり、いくら効率的な広告配信ができていても、その後のLP上でのCVRが低ければ、広告・LP施策をトータルで見た際の獲得効率は悪化してしまいます。
LPのCVRを向上させる具体策としては、たとえば、
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などが挙げられるでしょう。この中でとくに、UGCと動画コンテンツがいかに新規獲得LP上で有効か、次項で詳しく事例とともに紹介します。
ここで、「見込み顧客が、Web広告からLPへ流入した際のコミュニケーションを改善して、CVR向上に成功した事例」を3つ紹介します。
マーケティングファネル | 購入検討段階 |
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ターゲット | 見込み顧客(広告からLPに訪問した人) |
何を伝えているか | 購入前の不安払拭 |
親子教室ベビーパークは、Web広告からLPへ流入する見込み顧客のCVRを改善するために、UGCを活用しました。
主にInstagramの投稿や利用者の具体的なレビューをLPに掲載し、利用イメージや信頼性を高めました。
この施策により、LPの訪問者からの教室検索ページへの遷移率が1.54倍に、体験レッスンの申し込み率は1.99倍に増加しました。
[出典]根本的なCVR改善にはUGCが必要だった。 親子教室ベビーパーク、UGCでお客様の不安を払拭しCVR1.99倍に
DMJえがお生活は、新規顧客向けのLPで静止画コンテンツを動画に変換することで、CVRを2.5倍に向上させました。社内で動画を自製し、ファーストビューなどの静止画を動画化。これにより、ユーザーの興味を強く引きつけることができました。
[出典]【LP上の様々な静止画コンテンツを動画化し、CVR2.5倍に】DMJえがお生活の動画活用事例
ZENB JAPANは、LP上の静止画コンテンツを動画化しました。このプロセスでは、既存の静止画のテキストにアニメーションを追加し、料理の写真には湯気のエフェクトを付けるなど、より視覚的に魅力的なコンテンツを制作しました。この変更により、情報の伝達が向上し、CVRは1.47倍に増加しました。
[出典]ZENB JAPAN、LP上の静止画コンテンツを動画化しCVR1.47倍を実現
CVRの高い「勝ちLP」を作るためには、「LPを訪問した、購入検討段階のユーザーは、どんなコミュニケーションを求めているか?」というポイントを徹底的に考え、コミュニケーションを最適化することが重要だといえます。
ユーザーが購入検討段階で欲しい情報に適切に接触できれば、購買行動まで納得して進むことができるので、その結果として企業の立場では高いCVRを期待できます。
なお現在、アライドアーキテクツでは、コンテンツ制作、運用、新規LPの制作から成果の改善まで、CVRの最適化をワンストップでサポートするサービスを提供しています。迅速な検証と改善サイクルを通じて効率的にCVRを向上させることが可能です。
「CVRを上げて、ビジネスの成果を効率的に獲得するには、まずは顧客接点のどこから改善したらいいだろう?」とお悩みの企業担当者様も多くいらっしゃるのではないかと思います。そのような課題をお持ちの方は、ぜひ一度アライドアーキテクツにご相談ください。
CVRを飛躍的に上げるには?
記事公開日:2024.05.02