2022.5.25
企業のダイレクトマーケティング担当者なら、今すぐ理解するべき「Cookie規制」。
近年、個人情報保護の観点から、Webサイトにアクセスしたユーザーを企業側が「追跡」することに関して制約が生じるようになっています。
この記事では、Cookieの仕組みや利点、危険性、設定・削除の方法について分かりやすく解説するとともに、企業のマーケティング担当者として理解すべきポイント、今後のCookieレス時代に検討すべき代替施策について解説します。
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「Cookie」とは、Webブラウザが持っている機能です。
わたしたちは日々、パソコンやスマホでさまざまなWebサイトにアクセスし、時にはログインIDなどを入力する場面もあります。他にもWebサイト側と、さまざまなデータのやりとりをしています。
<例>
Cookieとは、このような情報をテキストファイル形式にして、自分の手元(パソコンやスマホ)に保存しておく機能のことです。
Cookieのおかげで、一度入力した情報を保存しておけるので、Webサイト閲覧・利用がスムーズになります。
<例>
Cookieは、自分の手元(パソコン・スマホ)で「有効」にするか、「無効」にするか、任意で設定を選べます。
Webサイトへの初回アクセス時、自分の手元(パソコンかスマホ)にCookieファイルが作成されます。
その中に、「ログインID」や「閲覧履歴」「訪問回数」といった、自分のアクセスデータが保存され、相手側のWebサーバーと共有することになります。
2回目以降の訪問では、Cookieに保存された情報によって、ログインIDの入力が不要になるなど、スムーズに閲覧できるようになるのです。
ただし、ECサイトなどで「氏名」「住所」「電話番号」など入力した場合には、それらの詳細な個人情報も保存されることがあります。
昨今、初めてアクセスするサイトで「このサイトではCookieを利用します。同意しますか?」などと問いかけてくることがあります。
企業側がCookieを利用しようとする場合、事前にユーザーの許諾を得ることが必要な場合もあります。現状、日本の法律では「Cookie=個人情報」と規定されていないため、全事業者に必須の措置ではありません。
<許諾が必要な場合の例>
Cookieには、以下の2種類があります。
あるECサイトで一度見た商品が、全く違うサイトで後から広告表示されることがあります。これは「3rd party Cookie」によるものです。Web広告を出している企業にとっては、ユーザーの再訪問を促せる便利な仕組みだと言えますが、ユーザー視点では「追跡されているようで不気味」とあまり歓迎されないものになってきています。
「キャッシュ」は、一度訪れたWebページそのもの(HTMLや、画像も含む)を、ブラウザに保存する仕組みです。キャッシュのおかげで、二度目以降のアクセスでは高速に表示されます。しかし、Webページのデータを丸ごと保存するので、キャッシュクリアを長らく行っていないと「ブラウザの動きや読み込みがだんだんと遅くなる」といった現象が起きることもあります。
キャッシュは、Cookieと違って「ID」「氏名」「住所」などは保存しません。
Cookieを端末(パソコン・スマホ)に保存している場合、
<例>
など
が端末内に保存されています。
万が一、パソコンやスマホの紛失・盗難の場合、端末に保存したCookieを自分の同意していないところで第三者に不正利用される場合も考えられます。
<例>
ではCookieを自分の手元で「削除」「無効」にするには、どうしたらいいのでしょうか?
<PC・Google Chrome>
①ブラウザ右上の、縦に3つ並んだ点をクリック。
②「設定」をクリック。
③「プライバシーとセキュリティ」から「閲覧履歴データの削除」をクリック。
④「Cookieと他のサイトデータ」にチェックを入れ、「データを削除」をクリック。
<iOS・Safari>
①ホーム画面の「設定」をタップ。
②「Safari」をタップ。
③「履歴とWebサイトデータを消去」をタップ。
④ポップアップで出てくる「履歴とデータを消去」をタップ。
<PC・Google Chrome>
①ブラウザ右上の、縦に3つ並んだ点をクリック。
②「設定」をクリック。
③「プライバシーとセキュリティ」から「Cookieと他のサイトデータ」をクリック。
④設定を選びます。
「シークレットモードでサードパーティーのCookieをブロックする」
→シークレットモードで閲覧時のみ、3rd party Cookieを無効化
「サードパーティーのCookieをブロックする」
→通常モード閲覧時でも3rd party Cookieを無効化(1st party Cookieは有効)
「すべてのCookieをブロックする」
→1st party Cookieも無効化
<iOS・Safari>
①ホーム画面の「設定」をタップ。
②「Safari」をタップ。
③「すべてのCookieをブロック」をオンにすると、Cookieが無効化されます。
昨今、社会の中で「個人情報保護の意識」が高まっていることは、日本でも、米国でも、EUでも同様の潮流です。
各国で個人情報保護に関する法律の見直しが進む中、3rd party Cookieはプライバシーの侵害につながるとの見方が広がり、現在、Cookie規制が本格化しています。
具体的には、3rd Party Cookieを活用した仕組みである「リターゲティング広告」の施策展開が難しくなりつつあります。
リターゲティング広告では広告配信事業者が、ユーザーのサイトアクセス履歴(=3rd party Cookie)を利用し、ユーザーが一度見た商品・サービス等を、また別のサイトで広告として表示します。「一度見たから興味があるはず」と、再来訪・再検討・購買を促す仕組みです。
従来はこのようなリターゲティング広告を新規顧客獲得に活用している企業が数多く見られましたが、Cookie規制の広がりに伴い、リターゲティング広告によるユーザー獲得が難しくなってきています。
今後のCookieレス時代の代替施策として、以下のような取り組みに目を向ける企業が増えています。
ファーストパーティーデータとは、第三者(リサーチ会社等の外部機関)に頼ることなく、自社で収集したデータのことです。
<例>
など
自社と何かしら既に接点を持っている顧客の、リアルな行動データや、生の声であり、データの出どころが明確なのでプライバシー上のリスクも低く、工夫次第でそれほどコストをかけずに収集可能です。
自社と既に関係を構築しているユーザーの「生の声」を深く分析すれば、顧客ニーズへの洞察がより深まります。
「CRM(Customer Relationship Management)」とは、企業と顧客との関係を強化する取り組みを指します。
一例として、一人ひとりの顧客とのやりとりデータ(メールやLINEでのアプローチ等)を詳細に記録し、顧客の興味関心に応じた最適なアプローチを長期的に続けていく、といった取り組みが挙げられます。
顧客との関係を深め、長期的な信頼を獲得し、リピーター増加を図る。その結果としてLTV向上を目指し、企業全体として売上UPを図っていく施策です。
「UGC(=生活者のクチコミ)」をLPやWebサイトに掲載し、来訪したユーザーの興味関心を獲得、共感・理解の醸成につなげ、転換率を高める施策もあります。
昨今、ECでモノを買う前に「企業による宣伝文句だけではなく、第三者のクチコミをチェックしてから買うかどうか決める」という人の割合が多くなっています。その背景には「客観的評価を見てから、納得感を持って決めたい」「自分に近しい立場にある人の意見を購買の参考材料にしたい」といった心理があります。
そのため、購買を後押しし、売上向上を図る取り組みとして、UGC活用施策を重視する企業が増えています。
「コンテキスト広告」は、新規顧客獲得に有効な広告施策の一つです。「コンテキスト」とは「文脈」という意味です。
3rd party Cookieを利用したリターゲティング広告は「人」を追跡する仕組みなので、自分が今欲しい情報と関係ない文脈で、商品・サービスの広告が唐突に表示されることがあります。
一方、コンテキスト広告は「人」ではなく「商品とマッチしたメディアやコンテンツ(=広告枠)」に対してターゲティングを行います。
ユーザーにとって必要な情報を、適切な文脈で訴求することができるので、「唐突に表示される広告」といったネガティブなイメージを低減できます。より納得感を醸成し、購買の後押しにつながる施策です。
世界的にCookie規制が広がっている潮流を、マーケティング担当者として理解しておきましょう。
今後はCookieの仕組みに頼ることなく、新規顧客獲得を伸ばす、あるいは既存顧客との関係を深め、企業全体として売上UPを図る施策を検討していく必要があります。
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記事公開日:2022.05.26