2024.2.21
「ECサイトの集客が伸び悩んでいる」―そんな課題を抱えているなら、Googleショッピング広告にトライしましょう。
Googleショッピング広告とは、検索結果で商品写真を見せて、ダイレクトに販売ページへ誘導できる仕組みです。リスティング広告よりも目立ち、購入意欲が高まっているユーザーを効果的に集客することが可能です。
本記事では、ECサイト集客の課題を解決する糸口となるかもしれないGoogleショッピング広告について、その利点や始め方や、自社ECサイトの売上UPのためにやるべき工夫を解説します。
Googleショッピング広告とは、Googleで「カットソー レディース」などと調べたいキーワードを入力すると、検索結果上部の目立つ場所に表示される、商品画像付きの広告です。
リスティング広告と同じ検索連動型広告の1つですが、通常のリスティング広告よりも上部に掲載されます。特に、スマートフォンの場合は検索結果画面のファーストビューがショッピング広告で占有されるため、よりユーザーの目を引くことができます。
<PCでのGoogleショッピング広告の表示>
<スマートフォンでのGoogleショッピング広告の表示>
Google検索結果の「すべて」タブ以外にも以下の場所で掲載されます。
ショッピング広告表示の仕組みは、キーワードを設定する通常のリスティング広告とは異なります。ショッピング広告では、Google Merchant Centerに登録した商品データの内容に基づき、Google広告を介してユーザーの検索語句にマッチした最も関連性の高い商品が表示されます。キーワードは使われず、どの商品がどのような検索語句で表示されるかはGoogle側が決定します。
Googleショッピング広告はクリックごとに費用が発生するCPC(Cost Per Click)課金です。Googleショッピング広告のクリック単価の相場は約10〜30円で、100円~1000円が相場のリスティング広告よりも安価であることがわかります。
理由としては、「EC サイト運営者しか配信できないためそもそも競合が少ない」「リスティング広告よりも設定方法が複雑なため導入ハードルが高い」「検索広告に比べて広告掲載枠が多く、1枠に対する競合性が低い」などがあげられます。
Googleショッピング広告には、「無料リスティング」という無料の掲載枠もあります。Google Merchant Centerへの商品データ登録のみで、ショッピング タブ、YouTube、Google 検索、Google 画像検索など Google の各種サービスに無料での掲載が可能です。
前述の事例を見て「目を引きやすいな」と感じたのではないでしょうか。Googleショッピング広告は、リスティング広告よりも目立つ位置に表示され、視認性が高くユーザーの目を引きやすいことが大きなメリットです。
さらにショッピング広告では、1回の検索に対して同じ広告主の広告が複数表示されることもあります。より商品が検索語句と関連性が高い場合は、ショッピング広告とリスティング(テキスト)広告が同時に表示されることもあります。
自社の相互に関連性の高い商品を複数登録したり、ショッピング広告とテキスト広告の両方を活用することで、1回の検索に対する自社商品の露出度を高めることも可能です。
例えばユーザーが
(例1)「カットソー レディース」
(例2)「○○(ブランド名) スニーカー」
などと入力した場合、関連性の高い商品を広告として表示します。
(例1)のような検索をする人は「まだ明確に買いたいブランドを決めていないが、こういう商品群の中から自分に合うアイテムを見つけたい」という状態のユーザー(準顕在層)です。
(例2)は、「買いたいブランドが既に決まっていて、その中で自分に合う商品を見つけたい」という状態のユーザー(顕在層)です。
(例1)(例2)のような購入意欲が高い状態にあるユーザーを、効果的に商品詳細ページへと誘導することが可能です。
ショッピング広告の場合、ユーザーは広告をクリックする前に商品の画像や価格、ブランド名などを確認できます。購入意欲の高いユーザーは、商品に関した充分な情報を得た上で広告をクリックするため、離脱が少なくCVRが高まる傾向にあるのです。
ショッピング広告はCPCを安く抑えられ、CVRの高い効率的な広告と言えるでしょう。
「ローカル在庫広告」とは、Googleショッピング広告の一機能で、実店舗とECの両方を運営している人におすすめです。
この機能を活用すると、ユーザーが実店舗周辺で検索を行った場合、店頭に在庫のある商品を宣伝し、店頭へ誘客できます。
実店舗とECの連携を強化し、よりスムーズな買い物体験を提供したいと考えている人は、ぜひともこの機能を活用しましょう。
メリットの一方、留意すべき点もあります。
Google広告のポリシーとは別に、ショッピング広告独自のポリシーがあるため注意しましょう。出稿禁止カテゴリや、配信制限のあるカテゴリ、禁止行為などがあります。出稿前に「Googleのショッピングポリシー」をよく読んでおきましょう。
禁止カテゴリ |
・交通機関やイベントのチケット ・乗り物(自動車、バイクなど) ・金融商品 ・電子書籍とデジタル書籍(オーディオブックを除く) ・通貨(貴金属、仮想通貨など) ・クレジットカード発行会社の商標がついているプリペイドギフトカード ・サービス(商品として形が残らないもの) ・不動産 ・定期請求(オンライン配信の新聞や雑誌の定期購読は除く) ・ソフトウェアを別途インストールしないと商品を購入できない支払い方法 |
[参考]広告掲載対象外のショッピング コンテンツ - Google Merchant Center ヘルプ
配信制限あり |
・成人向けコンテンツ ・アルコール飲料 ・著作権で保護されたコンテンツ ・ギャンブル関連コンテンツ ・ヘルスケア関連コンテンツ ・政治に関するコンテンツ ・商標 ・高脂肪、高塩分、高糖分の食品および飲料 |
[参考]ショッピング広告のポリシー - Google Merchant Center ヘルプ
禁止されている行為 |
●広告ネットワークの不正利用 (悪質なコンテンツ、不正のもくろみなど) |
●不当なデータ収集とデータ利用 (安全性が確保されていない SSL(https://)サーバー接続を介した以下のデータの取得など) ・ユーザー名またはメールとパスワードの組み合わせ ・クレジット カード番号およびデビットカード番号 ・銀行および投資先の口座番号 ・当座預金口座番号 ・電信送金番号 ・国籍、基礎年金番号、社会保障番号、納税者番号、健康保険被保険者番号、または運転免許証番号 |
●不実表示 ・関連するすべての情報をあらかじめ提供することなく、またユーザーから明確な同意を得ることなく、ユーザーに購入やダウンロードといった契約行為を促す宣伝行為 ・販売者自身や商品の内容を不正確、非現実的、不誠実に表現する宣伝行為 |
Googleショッピング広告を出稿するためには、商品フィードにあらかじめ細かな「店舗情報」「商品情報」の登録作業が必須で、取扱商品数が多ければ多いほど、事前の登録作業に時間・人手が必要です。
さらに、Googleは「少なくとも 30 日おきに最新の商品データをGoogleに送信してください」と、商品情報のメンテナンスを呼びかけています。登録商品情報を常に最新にしておかなければ、審査落ちしその商品の広告を出せなくなる可能性もあるため注意が必要です。 商品情報の登録からメンテナンスまで、Googleショッピング広告はリスティング広告と比べてやや手間がかかるものだと理解しておきましょう。
リスティング広告を出稿する場合、「レディース Tシャツ 夏物」など自分でキーワードを指定します。ユーザーがそのキーワードで検索した時に、広告を表示する仕組みです。「競合が少なく、クリック単価を抑えられそうなキーワードを設定しよう」など自分でコントロールが可能です。
一方、Googleショッピング広告は、自分のECサイトの商品情報を細かく登録しておいて、「あとはGoogleにお任せ」です。商品に関連性の高い検索が行われた場合に、Google検索エンジンが判断して広告を表示します。
細かなキーワード指定や、キーワード単位の予算管理が難しいことを理解しておきましょう。
ただし、大量の商品やロングテール商品(※)を広告で出す際には、1つ1つ細かくキーワード設定する手間がなく工数を抑えられるという点ではメリットとも捉えられます。
※複数の検索語句で絞って検索されるニッチな商品
Google広告は、ECサイト運営においてすぐさま取り組むべき施策ですが、上記のメリットと留意点を把握した上で自社で出稿可能かどうか判断しましょう。
ショッピング広告出稿に必要なものは以下です。設定・連携手順を解説します。
Googleアカウントで「Google Merchant Center」でアカウント作成。
店舗情報・所在地・ウェブサイトURL・送料などの初期情報登録を行います。
Google Merchant Center の管理画面右上のスパナマークから「リンクアカウント」→Google広告アカウント ID入力→「リンクリクエストを送信」→Google広告にログインして承認
以上でアカウント連携は完了です。
連携が完了したら、「商品情報」を一つ一つ個別に登録するか、スプレッドシートなどで一括アップロードします。
1つ1つの商品に関する詳細情報を登録しなければ、ショッピング広告は出稿できません。
最低限、以下の項目が必要です。Googleの「商品データ仕様」をよく読み、正しい形式で登録していきましょう。
全商品で必須 | ファッションアイテムで必須(日本人対象) |
・商品固有ID(最大50文字) ・商品の名前(最大150文字/ランディングページのタイトルと一致するもの) ・商品説明(最大5,000文字/ランディングページのタイトルと一致するもの) ・商品のランディングページURL ・商品メイン画像のURL ・在庫状況 ・入荷予定日 ・商品価格 ・ブランド名 ・送料 |
・年齢層 ・色 ・性別 ・素材 ・柄 ・サイズ |
[参考]商品データ仕様 - Google Merchant Center ヘルプ
全商品対象の必須項目と、ファッション・アクセサリー商品が対象の必須項目があります。
さらに任意の項目を設定することで、Googleに送信される商品情報が正確になります。より自社商品が購入見込みの高いユーザーへ表示されるため、できるかぎり任意の項目も設定するようにしましょう。
アイテム数が多い場合は、一点一点ごとの手動登録ではなく、あらかじめデータベースを整えて、スプレッドシート等で一括登録すると効率的です。
Shopify等を用いてECサイトを構築している場合は、「Google Merchant Center」とデータ連携することで、より簡単に商品登録ができます。
参考:ショッピング広告を使用して商品を宣伝する(Shopify ユーザー向け)|Google
商品登録を済ませたら、Googleアカウントで「Google広告」の管理画面にログインします。
「新しいキャンペーンを作成」→「キャンペーンタイプ:ショッピング」を選択。広告出稿の設定を行います。
広告出稿時に設定する項目 | |
キャンペーン名 | わかりやすく、後で管理しやすい名称に |
商品フィルタ | 1回の出稿で使用する商品の数を制限できる |
ローカル商品 | 実店舗で販売している商品を宣伝したい場合はオンにする |
入札単価設定 | 入札方法を選択(キャンペーン作成後でも変更可能) |
1日の予算 | 1日あたりで支払い可能な金額を設定 |
キャンペーンの 優先順位 |
同じ国で同一商品を複数キャンペーンで宣伝する場合、優先順位を設定する。優先順位に従って予算が使用される |
ネットワーク | デフォルトでは「Google 検索ネットワーク」「Google 検索パートナー」 |
デバイス | デフォルトでは「パソコン」「モバイルデバイス」などすべてのデバイス |
地域 | 配信する地域を指定 |
広告グループ名 | 後で確認しやすい名前に |
[参考]通常のショッピング キャンペーンを作成する- Google Merchant Center ヘルプ
ここまで入力して「キャンペーンを作成」をクリックすると、広告出稿が始まります。
(※広告料金決済用のクレジットカード情報は、Googleアカウントにあらかじめ登録しておきましょう。)
ショッピング広告枠に自社商品を掲載するキャンペーンは、通常のショッピングキャンペーンとP-MAXキャンペーンの2種類があります。
P-MAXキャンペーンとは、入札やターゲティングなどの広告運用のプロセスがAIによって自動で最適化されるキャンペーンの仕組みです。P-MAXは「Performance Max(パフォーマンスを最大化)」の略称で、コンバージョン獲得のパフォーマンスを最大化するためECサイトに最適です。
通常のショッピング広告との大きな違いとして以下2点があげられます。
「Google広告の配信面すべてに1つのキャンペーンから配信できる」
「運用はほぼAIにおまかせのため運用工数を大幅に減らせる」
その他にも具体的な違いを表にまとめましたので、参考にしてみてください。
通常のショッピングキャンペーン | P-MAXキャンペーン | |
広告掲載面 | 以下などのショッピング広告枠のみ。 ・Google検索(テキスト広告上) ・Google検索ショッピングタブ ・Google 画像検索 ・Google 検索パートナー サイト ・マップ(ローカル在庫広告経由) |
ショッピング広告枠以外も含めたGoogle広告すべての配信面(ディスプレイ、YouTube、Gmailを含む) |
ターゲティング | 通常のキャンペーンごとのオーディエンスターゲティングなど | 地域ターゲティングのみ可能 |
入札 | 手動・自動 | 完全自動 |
除外キーワー ド設定 |
可 | 不可 |
オーディエン ス設定 |
キャンペーンごとのオーディエンス設定 | 機会学習効率向上のためのオーディエンスシグナルの設定のみ(任意) |
キャンペーン 優先度 |
同じアカウントの同じ商品で通常のショッピング広告とP-MAXキャンペーンを利用している場合、P-MAXキャンペーンが優先される |
基本的にP-MAXキャンペーンは機械学習による自動最適化を重視するため、手動で設定可能な項目は限られます。
自身でターゲティングなど細かく運用調整をしたりショッピング広告枠のみに配信したい場合は通常のショッピングキャンペーン、自動化でのコンバージョン最大化や工数削減を重視する場合はP-MAXキャンペーンが向いているでしょう。
Googleショッピング広告を経由したユーザーは、ECサイトの個別商品詳細ページに着地することになります。そのとき、商品詳細ページ自体の内容が薄かったり、魅力的な場でなければ、せっかく購入意欲の高いユーザーを誘導しても離脱してしまいます。
例えば商品詳細ページ内に動画を埋め込むことで、商品の使い方や使用感をよりダイレクトに伝えられます。動画の活用で商品詳細ページの内容はより魅力的になり、離脱防止や購入率アップにつながるでしょう。
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他にも、、購買の判断材料として「生活者のクチコミ(UGC)」を重要視するユーザーの割合が増え、「UGCの多さ」「第三者による客観的な評価」を信頼する人が多いことが明らかになっています。
多くのユーザーは買い物前の情報収集段階において、Web上でUGC検索を済ませています。しかし、購買行動に至る最終段階で、さらに多くのクチコミを目にすることで不安の払拭になり、より納得感を持って購入ボタンをクリックできます。ECの商品詳細ページ内にUGCを掲載しておくとユーザーはそこで目を留め、引き込まれます。UGC施策は、商品詳細ページでの離脱を低減し、購買行動の後押しにつながる手段として、いま数多くのEC事業者が重要視しているのです。
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[出典]【EC商品詳細ページでCVR1.31倍に向上】SOLIAのレビュー&Instagram投稿活用事例
スキンケアコスメを販売する株式会社SOLIAでは、Instagramに投稿されたUGCをEC商品詳細ページにフィードすることで、CVRが1.12倍に向上しました。
その後、定期顧客のテキストレビュー・星評価も追加で掲載すると、改善率は更に+0.19pt、CVRは施策前の1.31倍にまで向上しました。
既存顧客からのレビュー収集は、CVR最適化プラットフォーム「Letro」を用いて自動化、レビュー収集コストの削減にも成功しています。
エチュードは、日本での韓国コスメブームの火付け役的存在として知られています。10代後半から20代の若年層を中心に、トレンドをおさえつつ高品質でリーズナブルな商品展開により人気を博しています。
公式オンラインショップでは、Instagram上のUGCを活用したクチコミコンテンツを導入。メイクアップ商品の使用感やパッケージのかわいさが伝わるよう、画像と動画で訴求しています。
トップページだけでなく、各商品購入ページにもUGCを活用。テキストレビューに加え、画像つきレビューも見せています。CVR最適化プラットフォーム「Letro」を活用し、ページごとに該当商品のUGCを出し分けています。
本来であれば店舗で実物を見ないとイメージしづらい使用感をオンラインショップ内で訴求することで、WEBでの購入の不安を払拭させることが目的です。
[出典]メイクアップブランドのエチュード、オンラインショップにUGCを活用した画像つきレビューコンテンツを実装
日本トイザらス株式会社は、国内最大級の玩具・ベビー用品のリーディングカンパニーとして全国約160店舗を運営。オフラインとオンライン双方にUGCを活用した取り組みを行っています。
オフラインでは、店頭で配布しているカタログにUGCを掲載。QRコードを読み込むと、実際のユーザーのInstagram投稿が見れるようにしています。
公式オンラインストアのトップページには、ブランドそのものへの愛着を表現した動画UGCの設置で下層ページへの遷移を誘導。商品ページには購入サポートのため、使用感のわかるUGCを設置しています。
CVR最適化プラットフォーム「Letro」で効率的に収集した動画UGCを活用することで、自然にUGCが投稿されるのを待つだけではなく、企業として必要なタイミングでUGCを作成・掲載することができています。
Googleショッピング広告は、EC事業者しか取り組むことができない施策であるため、リスティング広告より明らかに競合が少なく、かつ、検索結果で非常に目立ちます。
効果的な新規顧客獲得のために、ぜひとも今すぐ取り組むべき施策だと言えます。
集客と同時に、ユーザーの着地先であるECサイト内の購入ページを訴求力の高い場に整え、離脱させない工夫も必要です。
今回、「有名EC企業12社で売上アップにつながった施策の中身」を解説したお役立ち資料をご用意しています。是非ダウンロードください。
記事公開日:2022.05.31