クッキー規制により、従来の運用型広告のターゲティング精度が下がるなど、広告に依存した事業拡大に難しさを感じているマーケターも多いのではないでしょうか。
そこで今、ポストクッキー時代の代替施策としてコンテキスト広告(コンテクスチュアル広告/コンテキストターゲティング)が注目されています。
この記事ではコンテキスト広告の基礎知識、今取り組むべき理由、メリット、取り組むうえでのポイントを解説します。
「コンテキスト(Context)」は「文脈」を意味します。コンテキスト広告とは、商品・サービスとマッチしたメディア・コンテンツ上に掲載される広告のことを指します。ブランドと相性の良い生活者にリーチできる、新たなタイプの運用型広告です。
身近な例で考えてみましょう。スキンケアの知識を検索して何らかのサイトを訪問した際、そこでスキンケア製品の広告が表示される場合があります。このように、ユーザーにとって今知りたい・必要な情報に合致した見せ方ができるのがコンテキスト広告です。「今知りたい情報」の文脈から外れて唐突に異なるカテゴリの商品・サービスを提案する訳ではないので、ユーザーに無理なく見てもらうことができ、印象に残りやすい点がメリットです。
従来より、「コンテンツ連動型広告(ディスプレイ広告)」と呼ばれる広告もあります。これは、ユーザーが訪問したWebサイトのカテゴリ・キーワードに応じて表示される広告が決まる仕組みです。例えば、スキンケア関連のサイトを訪問した際、記事内で紹介されているスキンケア製品の広告を見せる程度のことはできます。ただしこれはクッキーにより、ユーザー一人ひとりのWebサイト閲覧履歴を追いかける仕組みを取っていたため、関連性の薄いサイトで唐突に、以前別の場所で見た商品の広告が表示されたり、ユーザーに「追跡されているのでは?」といったネガティブな心理を与える場合もありました。そして近年では、クッキー規制により「コンテンツ連動型広告」のターゲティング精度は低下しています。
一方、コンテキスト広告は、「人」を追いかけることはせず、商品・サービス・ブランドに合致する「枠」をターゲティングする仕組みです。例えば、キャンプ初心者向けのサイトを見ている場面で、キャンプ初心者が忘れがちな「虫よけ」の広告を出すといった見せ方も可能です。より生活者目線に立ち、情報の文脈を壊さずに新たな提案ができるなど、効果的な見せ方ができるのです。
コンテキスト広告が注目される背景には、大きく以下2点の要因があります。
近年、個人情報保護の背景からGoogleをはじめ大手プラットフォーマー各社がCookie規制を強化しています。デジタル上では特定の情報収集を目的に、人の行動やシステムの挙動、データの推移など追跡を行う「トラッキング」が可能です。企業側はユーザーがどの広告・ページから来訪したか、どの商品を購入・登録したか、情報収集を目的としてユーザーの行動を追跡しデータ収集を行っています。
この「トラッキング」に用いられる技術がCookieです。例えば、何らかのWebサイトでスキンケア製品を購入したり、スキンケア関連記事を閲覧した履歴があれば、別のサイトを訪問してもスキンケア関連の広告が表示され続ける、すでに興味が無くなったとしても同じ広告が表示され続ける、といった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
このような現象から「Web上の閲覧履歴を追跡されている」と嫌悪感を持つユーザーも多く、Webサイトを離れた後でもユーザーの行動を追跡することはプライバシーの侵害につながるとの見方が広がり、Cookie規制の動きが進みました。
前述したとおり、「今欲しい情報ではないのに、広告を見せられる」など、“押し付け感”のある広告に対する消費者の嫌悪感が高まっています。
一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が一般のネットユーザーを対象に実施した調査によると、Web広告の「表示のされ方」について2人に1人が嫌悪感を持っていることが明らかになりました。具体的には、「同じ広告が何度も表示されると、嫌悪感を感じる」「自分が見た企業や商品の広告ばかり出てくるのは気持ち悪い」「違う端末でも同じ広告が表示されると、気味が悪い」「見ている記事のジャンルと全く違う広告が表示される場合が多く、興味を感じない」といった声が挙がったといいます。(※1)
(※1)2020年インターネット広告に関するユーザー意識調査 「定性調査」の結果を発表|JIAA
このような観点からも、無理のない文脈で“押し付け感”を与えず、商品・サービス・ブランドを提案できるコンテキスト広告の取り組みが注目されているのです。
コンテキスト広告とは「ユーザー一人ひとりに紐づいた閲覧履歴を追跡する」手法ではなく、「商品・サービス・ブランドに合致する枠をターゲティングする」手法です。そのため、情報を「必要としている人に」「必要なシチュエーションで」届けられる大きなメリットがあります。
必要な人に、必要なタイミングで情報を届けられることで、広告の“押し付け感”を低減できます。「自分の閲覧履歴を追跡して、同じ広告ばかりが表示される」など、ユーザーにネガティブな感情を抱かせることなく、自社のブランドイメージを守りながら取り組むことが出来る施策です。
ただし、「商品・サービス・ブランドに合致した枠をターゲティングできる」と言っても、それを見るユーザーの検討度(顕在ニーズ/潜在ニーズ)までは分かりません。よって、「広告クリエイティブをいかに工夫するか?」「訴求軸はどう打ち出すか?」といったポイントが、コンテキスト広告を運用していく上での現状の課題だと言えます。
広告の“押し付け感”をなくし、ブランドイメージを守りつつ広告施策に取り組むうえで注目すべきは「UGC(生活者による口コミ)」です。広告クリエイティブにUGCを活用することで、より生活者目線に立った訴求が可能になります。
アライドアーキテクツが2021年に行った調査では、約半数の企業がマーケティング施策にUGCを活用しています。
2016年頃から「UGC」という言葉に注目が集まり始め、「生活者の購買行動に大きな影響を与える企業にとっての資産である」として、多くの企業がUGCの生成~活用に取り組むようになっているのです。
企業がUGCを重視する理由は、購買行動に与える影響が年々増大しているためです。商品購入時にUGCを信頼する人の割合は半数近くにも上り(ニールセンデジタルコンシューマーデータベース/2019年)、UGCをSNS、広告、LPなど各種マーケティング施策に取り入れることでCPA、CVなどが向上したと実感する企業の割合は76%にも上っています。
実際にUGCを広告クリエイティブに採用し、高い成果を上げた企業事例をご紹介します。
豆100%の麺やマメロニ(マカロニ)などを販売するミツカンのD2Cブランド「ZENB」。 「自分だけの卵かけヌードル」写真投稿キャンペーンを展開し、上位入賞コンテンツをFacebook・Instagramの広告クリエイティブに採用しました。プロが撮影したような料理写真ではなくても、リアル感があって、フィードに馴染みます。すると「自分もトライできそう」と支持・共感を集めクリック率がアップし、CTR121%という好成績を収めました。
引用:オリオンビール、ミツカン、ファンケルの大手3社が実践するD2C的ブランド成長戦略【D2C最前線 #5 イベントレポート】|SMMLab
コスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」は、ブランド立ち上げ当初から「顧客の声」を軸にした施策設計を徹底してきました。Instagramに投稿されたUGCの定期的な収集に加え、ECの基幹システムとAPI連携して、継続的かつ自動的に購入者のインスタ投稿やレビューを生成・収集する「運用型UGC」の仕組みを導入しています。こうして生成・収集されたUGCは、新規顧客獲得用LPやECサイトに掲載するだけでなく、顧客インサイトを把握する手段や、広告クリエイティブなどの素材としても活用。オフライン広告や同梱物などにも展開し、「運用型UGC」導入以前と比較して売上3.7倍を実現しています。
Cookieレス時代にも、これまでと変わらず新規顧客獲得の成果を伸ばすためには、コンテキスト広告などの新たな施策へのチャレンジが欠かせません。
そんな新たな打ち手の一つとしておすすめしたいのが運用型UGCの実践です。現在、大手ECから急成長D2C企業まで、業界のトップランナーがUGCの運用に取り組むことで売上をアップさせています。
「Letro」は、企業のダイレクトマーケティング施策における「運用型UGC」を実現することで、売上成果向上につなげる国内No.1「UGC活用ツール」(※2)です。
ここでの運用とは、訴求・SKU・展開チャネル毎のUGC生成から活用のサイクルを回し続けることをいいます。WEB広告と同様にUGCも効果計測を重ね、UGCや掲載位置を最適化し続けることで、効果を飛躍的に改善することができます。
「Letro」は化粧品通販売上高ランキングトップ25社のうち、半数以上の企業で利用されるなど、多くのD2C、通販メーカーから高い評価を得ています。
新規顧客の獲得が頭打ちになり今の改善手法に限界を感じている方、ECの売上を最小コストで伸ばしたい方は必見です。是非ご覧ください。
(※2) 株式会社ショッパーズアイ調べ(2020.12.8〜10) 調査対象:(1)通販事業運営企業278名(2)マーケティング/販促/デジタル販促/広告部門所属791名
記事公開日:2022.03.04