CRMマーケティングで有効な施策6選!事例・重要視される背景も紹介

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CRMマーケティング‐OGP

昨今のWebマーケティングを取り巻く環境においては、Cookie規制の広がり、CPA・CPM高騰等の影響で新規顧客獲得のハードルが年々上昇していると言えます。
そのような中、「CPA主義からLTV思考へ」といったように、顧客のLTV向上を重視してマーケティング施策の軸足をシフトする企業も増えています。

そこで重要な取り組みが、CRMマーケティングです。CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係を維持する長期的な取り組みを指します。

この記事では、CRMマーケティングへの取り組みが重要な理由や、有効な具体施策、企業の取組事例を紹介します。

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サンスター株式会社でダイレクト施策を統括している西村将也氏に詳しく語っていただきました。

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CRMマーケティングとは?

顧客との関係を維持・育成する取り組み

CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略語で、顧客との関係を維持・育成する長期的な取り組みを指します。

CRMマーケティングで実現すること

昨今、企業と生活者を結ぶ接点は、メール、SNS、SMS、LINE、アプリなど実に多様化しています。「一人ひとりの顧客に対する購買履歴データや、問い合わせ履歴があちこちのチャネルに散在してしまって、コミュニケーションの全体設計を整理したい」といった課題を抱える企業・店舗も多いはずです。

そのような中で、CRMマーケティングに取り組むことで、顧客コミュニケーションの在り方を見直し、より効果的な姿に再構築できます

小規模な個人店舗であれば店主と常連客のコミュニケーションは、その都度の店主の裁量で工夫できます。しかし、オンライン上での継続的なコミュニケーションや、膨大な顧客数を抱えるECサイトでは「仕組み化」しなければ困難です。

よって、「CRM」という概念が存在しているのです。

『検討』『購入』『購入後』『リピート』といった各購入フェーズにおいて、それぞれ最適なコミュニケーションを的確に提供し、顧客体験をより良いものにアップデートしていく。すると結果的に、顧客からブランドに対する好意度・信頼度を徐々に獲得することにつながり、「また次もあのブランドで買おう」と選んでもらいやすくなり、LTVが向上していく。CRMマーケティングとは、このような考え方を前提にした取り組みです。

ITツールを指す場合もある

「CRMツール」と言う場合には、顧客関係を効率よく管理するためのITツールやシステムのことを指します。

CRMツールの中でも世界的に知名度が高く、国内外の多数の企業で導入されているツールとして「Salesforce」や「HubSpot」等が挙げられます。

各種CRMツール製品の中には、AIを搭載し「特定の顧客にとって今、必要なコミュニケーション、最適なコミュニケーションとは?」といった分析・立案をアシストしてくれるものもあります。

「CRM」と「SFA」の違い

CRMツールとあわせてよく言及されるITツールとして「SFA=Sales Force Automation(営業支援システム)」があります。

SFAは、営業部門の業務効率化を助けるITツールです。

CRMの立ち位置は「ブランド全体で臨む、長期的な顧客管理」ですが、SFAは「営業パーソンの日々の負担減」といったものです。

SFAツールを導入することで、営業部門の現状がデータベースによって一元管理され、業務プロセスや営業パーソンのノウハウを共有できるようになり、部門内での営業スキルが属人化することを防ぎます。

「CRM」と「MA」との違い

また、マーケティング領域のITツールで、「CRM」「SFA」とあわせてよく言及されるのが「MA(=Marketing Automation、マーケティングオートメーション)」です。

MAで主にフォーカスするのは、「既に獲得した顧客」というよりはむしろ「検討段階の見込み顧客」です。「見込み顧客」を「顧客」に育成し、効率的に営業活動を進めるためのツールです。

CRMマーケティングの重要性が増大した理由

ではなぜ昨今、CRMマーケティングへの取り組みが重要になっているのでしょうか?

①「広告による新規顧客集客」から「一度獲得した顧客の維持・育成」重視へ

近年、Web広告を取り巻く環境においてはCookie規制の広がりや、CPM・CPA高騰傾向が続き、新たなユーザーへのリーチが難しくなったことで、新規顧客獲得のハードルが年々上昇しています。

そのため、今後注力すべきマーケティング施策として「Web広告施策による新規集客施策」から、何らかの代替施策にシフトし、売上アップを図ろうとする企業が増えています。

SNS広告のCPM推移
アライドアーキテクツが広告運用する3社の実績をグラフ化したもの。2019〜2021年にかけて、CPMは平均で約1.6倍上昇している。

このような背景から、既に接点のある顧客との関係を良好にし、維持・継続を図る(LTV向上を図る)策を取るほうがROIが良い、と考える企業も増えてきているのです。

LTV向上の手段として顧客の「ファン化」「ロイヤル化」促進を強化する企業が増え、CRMマーケティングが重要視されるようになっています。

②CRM領域のデジタルシフトの必要性がここ数年で上昇

一度接点を持った顧客の維持・継続に対する取り組みとして「ECの同梱印刷物」「DM」など、従来からさまざまな手法が挙げられます。

しかし特にコロナ禍以降「DX」「ペーパーレス化」の風潮が進み、顧客とつながる手法のオンライン化が急速に進みました。

そのため、「メルマガ」「SNS」「LINE」「アプリ」あるいは「CRMツール」など、各種デジタル手段による顧客関係維持の取り組みに高い関心を寄せる企業が顕著に増えています。

CRMマーケティングの具体的な施策6選

CRMマーケティングの具体策として身近な例を挙げます。

それぞれ、顧客とオンラインで定期的な接点を持つことで、次のような役割を発揮します。

  • ブランドを日常的に想起させる(忘れさせない)
  • ・商品訴求を通じてクロスセル、アップセルを促し、顧客単価を上げる
  • ・コンテンツを介してブランドの理念やバックグラウンドなど、抽象的なテーマについても理解を促し、ブランド理解度・好意度・信頼度を高める

①メルマガ

ECサイトで商品購入や会員登録をすると時折届くメールマガジンは、CRMマーケティング手法の一例です。

配信を通じて「ブランド想起」「商品訴求」の役割も果たしますが、特にメルマガはある程度長文のコンテンツや、画像・動画を交えて届けることができるので、理念やバックグラウンド等、抽象的なテーマの理解醸成に有効な手段です。

②同梱物・DM

ECサイトで商品を購入すると、後日DMが届いたり、商品配送時に同梱チラシが封入されている場合があります。

「購入」の行動に移ったことがある(=購買意欲が高い)人に対して、興味を持ちそうな別商品を効果的に訴求することができるため、クロスセル・アップセル促進に有効な手段です。

③SNSやLINEアカウント運用

SNSやLINEアカウント運用は、日常的なブランド想起に有効な手法です。

特にInstagramではビジュアル訴求に強みを持ち、写真や動画を通してブランドの世界観を端的に伝えられます。

また、LINEは他のSNSと少し違って、クローズドな場です。顧客一人一人と「一対一で、より深く向き合う姿勢」を顧客に印象づけることができます。ただしその分、顧客の購入サイクルに応じて一貫性のあるコミュニケーションを展開する必要があります。

④アプリ

顧客が「家電製品を買った後や、買う前の問い合わせで、カスタマーサポートに連絡したい」と思っている場合、スマホにアプリをインストールすれば簡単にチャットが出来る仕組みを構築した事例もあります。
ブランドと容易につながることができるチャネルを増やし、顧客体験・利便性を高めることで、「サービスの差別化」「顧客体験の差別化」を図るものです。

⑤UGC活用

UGCとは、生活者によるクチコミやレビューのことです。
前述の「メルマガ」「EC同梱物・DM」など、さまざまな顧客接点でクチコミ・レビューを見せることも、顧客体験向上やクロスセル・アップセス促進に有効な手法です。
その理由は、生活者の視点で、商品を取り入れたリアルなライフスタイルを訴求できるからです。
企業視点による一方的な売り込みよりも、客観的な評価・信頼を抱きやすい、あるいは、生活者がより「自分ごと化」しやすくなり、その結果、クロスセル・アップセルを促しやすくなります。

⑥サンクスページの改修

EC購入完了後の画面「サンクスページ」を改修しコンテンツを充実させることも、CRMマーケティングの取り組みの一例です。

サンクスページは、「購買行動」に至った人しか見ません。しかも「今、買ったばかりの状態」という、企業にとっては非常にホットな状態の顧客だと言えます。自社商材への関心・購買意欲が高く、コミュニケーションの工夫次第ではリピート利用に繋がる可能性が高くなります。

例えば「こんな商品もおすすめ」といった関連商品のレコメンドや、SNSやLINEへの誘導、メルマガ登録への誘導、アプリへの誘導、次回使えるクーポンの発行といった策が考えられます。

▼人気のD2Cコスメブランド、DINETTE社が行っているCRM施策とは?
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UGCはCRM(顧客維持・継続)に効果あり

CRMマーケティングの具体施策として「UGC活用」を挙げました。
ここからはその有用性についてより詳しく解説します。

「UGCはLTV向上に成果があった」6割以上が回答

アライドアーキテクツが2022年5月、EC事業に携わる企業のマーケティング部門の責任者101名に対して実施した調査結果によると、「UGCを活用したことにより、マーケティング施策の成果が向上した」と回答したのは96%、さらに、「LTV向上に成果があった」と回答したのは62.5%という結果が明らかになりました。

つまり、UGCは一度接点を持った顧客の維持・継続に役立っていることを示しています。

UGCは、新規ユーザーにリーチした後のフェーズにおいてもっとも活用が進んでおり、
「売上」「継続率」を向上させる施策として評価されています。

グラフ1

グラフ2
[出典]
EC事業者の約85%が市場変化に伴いマーケ施策をアップデート、リーチ施策は「インフルエンサー活用」、リーチ後の施策は「UGC活用」に積極投資 | アライドアーキテクツ株式会社

CRMにUGCを活用している企業事例

新規ユーザーにリーチした後のフェーズで、UGCを効果的に活用して成果を上げた企業事例をご紹介します。

サンスター「緑でサラナ」

ハブラシ、ハミガキなどオーラルケア用品で知られるサンスター。健康食品販売のEC事業も展開しており、そこで顧客接点にUGCをフル活用して成果を上げています。

<課題>

  • ·CRMの取り組みを見直し、顧客とのコミュニケーションに一貫性を持たせたい
  • ·初回購入からの転換率を上げ、LTVを向上させたい

<施策>

  • ·UGCをマーケティングコンテンツとして活用する。お客様の満足の声として、UGCをLPに掲載。UGCの掲載には、UGC活用ツール「Letro 」を使用。

緑でサラナ VOC

<結果>
CVR最大1.3倍改善・単月売上貢献1,000万円を達成。

ユーザーが自身のフィルターを通して各自の世界観で撮影した画像や、継続的にご利用いただいているユーザーのリアルな声を伝えることができるようになり、商品の雰囲気、ブランドイメージを視覚的に伝えたり、継続することで得られる生活のイメージを伝えたりできるようになった。

企業側が発信したいメッセージを補う形で活用でき、第三者評価要素が強くなり、ユーザーからの信頼度・納得感が増した

[参考]
【CVR1.3倍・単月売上貢献1,000万円】サンスター「緑でサラナ」が今、UGCを活用したマーケティングを大切にする理由

オイシックス・ラ・大地株式会社「大地を守る会」

食材の定期宅配サービスを展開している「大地を守る会」。お試しセット購入後の「引き上げLP」にUGCを活用したことで、売上アップの成果が出ました。

<課題>
お試し商品購入者の、定期コースへの引き上げ率に課題

<施策>
UGC活用ツール「Letro」を活用し、お試しセット到着から14日以内の顧客に向けた「定期コース引き上げ用のLP」にUGCを掲載。

UGCで、顧客の「定期コースを取り入れた生活(「安全でおいしい食べ物が自宅に届く便利さ」「余計なものを使わないからだにいい食生活」等)」の自分ごと化を促進。

UGC表示

<結果>
「定期引き上げ用LP」のCVRを、PC版で1.15倍、モバイル版でCVR1.1倍に改善することができた。

UGCは「顧客体験を可視化」できる、なくてはならないコンテンツとなった。

[参考]
お試しセット購入後の「引き上げ用LP」にUGCを活用、CVR1.15倍に【大地を守る会/オイシックス・ラ・大地株式会社】

CRM成功のカギは、顧客に「ブランドとつながるメリット」を意識させること

CRMマーケティングでは、顧客に「ブランドとつながるメリット」を意識させ、維持・継続につなげることが重要です。

EC・D2C事業者は年々参入企業が増え、競合過多の状態です。新規ユーザーの奪い合いは今後も激化し続けることが想像に難くありません。

「一度接点を持った顧客との関係を少しでも深め、良好な体験を提供する」「顧客の維持・継続を図ることで企業全体として売上を大きくしていく」―今、マーケティング施策立案において求められているのは、このような視点だと言えます。

✔ 変化の激しいEC・ダイレクトマーケティング環境において”ハズさない”施策設計をしたい方

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