【5分で理解】薬機法とは?規制内容と対策をわかりやすく解説

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薬機法

消費者保護の目的で薬機法に関する取り締まりがかつてないほどに強まっています。
そこで、この記事ではもはや「知りませんでした」では済まされない薬機法について、その概要と規制内容、薬機法に違反しないためのポイントを解説します。
(※)本記事は2021年12月17日時点の各種情報に基づいて作成しています。

薬機法(旧薬事法)とは?

薬機法(旧薬事法)とは

薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、具体的には医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具などについて製造・販売・安全対策まで規制し、その適正化をはかることを目的としています。

医薬品、医薬部外品、化粧品等を扱う事業者は薬機法に従わなければなりません。また、健康食品・サプリメント、健康・美容器具を取り扱う事業者も、この法律に抵触しないようにする必要があります。

薬機法の目的と主な規制内容

薬機法の目的

厚生労働省が発表している法律の第1条(※1)に薬機法の目的の記載があります。

第一条
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

※引用:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

まとめると薬機法の目的は以下になります。

  • ・保護衛生上の危害の発生及び拡大の防止
  • ・指定薬物の規制
  • ・保護衛生の向上

医薬品や医療機器等、この法律で規制の対象となっているものは、人の健康や生死に密接に関わってきます。国で認められていない成分が入っている、または販売会社の誇大広告で効果・効能を消費者が誤認し使用してしまった場合、人体に影響がでる可能性があります。

そういった事を事前に防ぎ、消費者の安全を守るため薬機法というルールが存在します。

薬機法の規制対象

薬機法の規制の対象ですが、目的と同じく第1条(※1)に記載があります。

第一条 
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

※引用:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

薬機法の規制の対象は以下5つが該当し、それぞれの定義については、薬機法第2条に記載があります。

  • ・医薬品
  • ・医薬部外品
  • ・化粧品
  • ・医療機器
  • ・再生医療等製品

健康食品・サプリメント、健康・美容器具などはこの5つに該当しないため、直接的な法律による制限は受けません。しかし、医療品のような効果を訴求するなど、薬機法に抵触する表現をすることは禁じられています

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広告についての規制内容

薬機法の目的について解説してきましたが、目的を達成するための手段が必要です。その手段として、広告についての規制があり第66条、第67条、第68条にその記載があります。

(誇大広告等)第六十六条 ※一部抜粋
何人も、医薬品、医薬 部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品等の広告の禁止)第六十八条 
何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

※引用:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

広告規制についてのポイントは以下2点です。

・虚偽・誇大広告の禁止
・未承認の医薬品等の広告の禁止

医療品等の効果・効能、性能についての虚偽・誇大な広告、また医師が保証したと誤認を与えるおそれのある記事の広告が禁止されています。

規定の対象についても「何人も」と記載があります。つまり、この誇大広告についての禁止の対象は、広告主だけではなく、広告代理店・媒体社・アフィリエイターなどの個人も対象となります

ここで説明してきた、薬機法の目的、規制内容、規制対象についてまとめると以下のようになります。

 

法律の目的 規制対象(製品) 規制対象事業者 広告規制内容
薬機法 保護衛生上の器具の発生及び拡大の防止 医薬品/医薬部外品/化粧品/医療機器/再生医療等製品 何人も 誇大広告等

医薬品等適正広告基準

広告規制について、誇大広告の禁止と説明してきましたが、では何に基づいて「誇大」かどうか判断しているのでしょうか。それは厚生労働省がだしているガイドライン、行政指導例に基づき判断しています。薬機法については、「医薬品等適正広告基準」(※2)というものが存在します。
参考:医薬品等適正広告基準 | 厚生労働省

ガイドラインには具体的にどのような効能を訴求することが可能と記されているのでしょうか。商材を化粧品、健康食品・サプリメント、健康・美容雑貨の3カテゴリーに分けて解説します。

商材別の規制内容

化粧品

化粧品では訴求できる効能・ 効果が決まっており、事実であっても決められた効能・効果 を超えるような表現は医薬品と誤認を与えるため禁止されています。医薬品等適正広告基準によると、化粧品で認められている効果・効能は56項目に分類されます。
参考:化粧品の効能の範囲の改正について| 厚生労働省(※3)

健康食品・サプリメント

健康食品は法令上で対象と定義されていません。あくまでも食品なので、病気や症状、身体の一部や機能に効果があるかのような表現は医薬品的な表現とみなされます。そのため、健康食品は次のように「機能」を訴求することはできません。

<病気 ・症状>
生活習慣病の予防、 便秘にいい、花粉症の方に、血行促進、食欲不振、冷え症にいい、成人病対策 、疲労、病中/病後に

<身体の変化>
目にいい、バストアップ、身長サプリ、 美肌、育毛、細胞活性、痩せ る、 筋肉アップ、アンチ エイジング、精力 増強、ニキビに
※飲み方の指定(用法・用量)を行うことも医薬品的な表現とされています。

・飲む 時期の指定: 食事の前に、寝る前に、必ず毎日、朝晩 に
・飲む量 の指定:1回2錠、毎 日3粒、毎回1粒
・飲み方の指定:体調の良くない時は多めに、お酒を飲む前に
・飲む対象 の指定: 男性は飲まないで下さい

ただ例外として、特定保健用食品・機能性表示食品というものが存在します。特定保健用食品は消費者庁の許可を得て、機能性表示食品は消費者庁に届出を提出し、決められた範囲での機能の表示が認められています。

健康・美容雑貨

健康・美容雑貨については健康食品・サプリメントと同様に薬機法の規制の範囲外ですが、医薬品と誤認を与えるような表現を行うと薬機法に抵触します。

健康・美容雑貨とは例えば、着圧ストッキング、筋肉運動補助機具、脱毛器などが該当します。これらはあくまでも雑貨であり、効果効能を訴求することは禁止されています。

これまで薬機法とその対象、広告における規制について説明してきましたが、まとめると以下のようになります。

薬機法違反による罰則の内容

違反が発見された場合の罰則

薬機法に違反してしまった場合どのようになるのでしょうか。違反を行った場合は、行政指導が行われ、悪質な場合は逮捕となり、刑事罰として懲役刑、もしくは罰金が科されます。また2021年8月に改正薬機法が施行され、課徴金制度(※4)が導入されました。違反を行っていた期間中における対象商品の売上額の4.5%の納付が求められます。

従来は薬機法の広告規制に違反した場合、刑事罰にならない限り罰金は課されませんでしたが、2021年8月の改正薬機法により、逮捕されなくても行政の裁量で罰金が課されるようになりました。売上に対して4.5%の課徴金は、企業にとって大きな負担と言えるでしょう。

違反が発見された場合、企業としての信用も失われます。そのため違反前のような商品の販売を行うことは難しいでしょう。販売中止・回収をしなくてはならないかもしれません。

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薬機法に違反しないための2つのポイント

ポイント① | 違反広告の定義とガイドラインの確認をする

まず薬機法違反にならないために厚生労働省が定めているガイドライン(※2)の確認をしましょう。自社の商品が訴求可能な効能範囲をまずは知ることが大切です。
参考:医薬品等適正広告基準 | 厚生労働省

ただ、法令、ガイドライン、行政指導例すべてを把握することは不可能に近いのが現実です。自社の商品、サイト、広告が薬機法に抵触しているか分からないという場合は専門家に相談することをおすすめします。

ポイント② | 自社内で広告ガイドラインの作成をする

広告代理店が違反広告を配信した場合でも販売会社は責任を追求されます。つまり違反広告が広告主の知らないところで配信されていたとしても「知りません」でした、では済まされません。

代理店、制作会社が違反しないように社内でNG事項を洗い出し、広告ガイドラインを作成し共有することが大切と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。2021年8月より課徴金制度が導入されるなど、規制はより強化される流れにあります。目先の売上のために薬機法に抵触する可能性がある表現をおこなう事は大変危険です。法令遵守は、会社が負うべき最低限の責任としてだけでなく、消費者との信頼関係を築くうえでも大切なことと言えるでしょう。

(※1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(※2)医薬品等適正広告基準
(※3)化粧品の効能の範囲の改正について
(※4)課徴金制度の導入について