2024.6.5
LP(ランディングページ)にチャットボットを導入することで、離脱防止や顧客体験向上、そしてコンバージョン率(CVR)の改善が期待できます。
この記事では、LPにおけるチャットボットの具体的な活用方法を事例を交えて解説します。
実際に成果を上げている通販企業の成功事例をもとに、チャットボットの効果的な導入方法や、運用・改善施策について詳しく見ていきましょう。
ECやD2Cのランディングページ(LP)で、チャットボットを導入する例が増えています。
たとえば次で示しているのは、サプリメントや美容製品のD2Cブランド「natural tech」のLP事例です。ページ訪問者がLPを閲覧していると、ページ上でチャットボットが起動して、そのまま注文情報の入力など購入手続きへの案内が始まります。
引用:【離脱防止とCVR向上】natural techのチャットボットにおけるUGC運用事例
LPにチャットボットを導入するメリットとして、大きく以下2つのポイントが挙げられます。
LPを訪問したユーザーは、ファーストビューを見てわずか3秒で、ページを閉じて去るかどうかを判断すると言われています。
そして、LP訪問ユーザーのうち「約7割」は結果的にページから離れてしまう、というデータもあります。
せっかく、Web広告施策などでコストをかけて集客しても、離脱防止策ができていないと大部分の見込み顧客を取りこぼしてしまうことになるのです。
よって、まずは「いかに離脱を防ぐか」という視点が重要です。
チャットボットは、LP滞在中のユーザーにポップアップでアプローチして、その場で強く関心を引くことができます。また、チャットボット内で案内する内容次第で、離脱防止につながります。どのような案内をすれば離脱防止になるのかについて、詳しくは後述します。
LPにチャットボットを導入することで、、あらかじめ組んだシナリオに沿って、見込み顧客に対して商品提案をおこなったり、ユーザーからの質問に応答したりできます。オペレーターが常駐していなくても、24時間365日、土日祝日や夜間も顧客対応が可能になります。
大量の問い合わせに対しても即時処理できるので「カスタマーサポートの電話が繋がらない」「メールで問い合わせたけれど、返信が遅い」といった顧客からの不満・クレームを低減できるでしょう。
また、たとえばLP滞在時間が長い訪問者に向けて「何かお困りですか?」などと、チャットウインドウが起動するよう設定しておくことなども可能です。見込み顧客にとっては「購入前に不安や疑問があって、しばらくLPを見ていたら、ショップ側から話しかけてくれた」「その結果、疑問点を解消でき、購入前の不安がなくなった」など、顧客体験向上にもつながります。そして、多言語対応が可能なチャットボットを導入すれば、海外の顧客からの問い合わせにもスピーディーかつ正確な対応を提供できるでしょう。
見込み顧客とのコミュニケーションから得られた会話データから、購入検討段階にあるターゲットの心理・行動を分析することで、先々のマーケティング施策につなげる活用法も考えられます。
その結果、機会損失の低減や、顧客満足度向上につながり、CVR改善に寄与するといえるでしょう。
ここからは、LPにチャットボットを導入して、実際に成果につながった事例を2つ紹介します。
この記事の冒頭で紹介した、サプリメント・美容製品ブランド「natural tech」の事例をもう少し詳しく解説します。
引用:【離脱防止とCVR向上】natural techのチャットボットにおけるUGC運用事例
「natural tech」では、チャットボットのファーストビューにUGCを掲載したところ、離脱率が20ポイント低減しました。
UGCを「ベタ貼り」するのではなく、「実際にどのUGCが参考にされているか」などの結果を踏まえてユーザーに最適なUGCを表示できるよう、運用に取り組みました。その結果、CVRを1.8倍改善させることができました。
UGCは、実際に商品を購入して体験した人によるクチコミコンテンツです。そのUGCをチャットボットのファーストビューで見込み顧客に見せることで、
と考えられます。
これらの観点から、「natural tech」では「UGCが離脱防止、そして最終的な顧客獲得効率の向上に寄与した」と考えているそうです。
メンズスキンケアブランド「バルクオム」も、LPにチャットボットを導入し、離脱率減少につなげています。
チャットボット導入前は、「LP」→「確認&アップセルページに遷移」→「申込みボタン」という流れでした。そこからさらに、「金額確認」→「サンクスページ」と、注文したいユーザーにとっては購入完了までに複数ページへの遷移が求められていました。
引用:今、売りにつながる勝ちLPはどう生まれた?~水橋保寿堂製薬・バルクオムの検証プロセス大公開~
Uこれに対して、チャットボットは特にページ間の遷移がありません。チャットボットを入力している中で「次へ」と押すと、「ちょっと待ってください」といった案内が出て、スクロールしなくても次のコンテンツ、少し経ったらまた次のコンテンツと、まさに会話するような流れにできるのです。
引用:今、売りにつながる勝ちLPはどう生まれた?~水橋保寿堂製薬・バルクオムの検証プロセス大公開~
チャットボットだとスクロールも、たくさんのページ遷移も不要で、その中でアップセルの提案までできます。バルクオムでは、「この案内手法が有効」と捉えているそうです。
前章で紹介した、「natural tech」と「バルクオム」の事例から導き出されるラーニングをまとめます。
チャットボットの起動タイプは、ABテストを行って自社に合ったタイプを見極めることが重要です。
流入元によって、ユーザーの購買意欲や情報理解度は異なります。
たとえば、YouTubeの長尺動画や、記事LPを読んでからLPに遷移するユーザーは、すでに商品についてよく理解している可能性が高いため、チャットボットを利用してスムーズに購買へと誘導できると推測されます。
一方、SNSのショート動画からLPに来たユーザーに対しては、もう少し商品理解のための情報が必要な場合もあるかもしれません。LP上で商品やコースについて改めて確認し、納得してから購入に進みたいと考える人も多いと考えられます。
などのタイプを検証し、どの起動タイプが自社にとってより効果的かを評価することで、最適な戦略を構築することができるでしょう。
UGCは、実際に商品を購入して体験したユーザーが生み出すコンテンツです。このUGCをチャットボットのファーストビューで見込み顧客に見せることで、複数のメリットがあります。
見込み顧客にUGCを見せることで、商品への信頼感が高まります。実際に購入した人が商品を使用して満足している様子を見ることで、信頼性が増し、購入意欲を高めることができます。
UGCは、購入前の不安・疑問を解消するための情報として大いに役立ちます。実際のユーザーの声や体験談を見ることで、見込み顧客は商品に対する疑問点を解消しやすくなり、安心して購入に進むことができます。
上記のような観点から、UGCをチャットボット内でまず目立つように見せることは、離脱防止に効果的だといえます。見込み顧客がUGCによって安心感を得ることで、購買意欲が高まり、コンバージョン率の向上につながると考えられます。その結果、顧客獲得効率の向上にも寄与するといえるでしょう。
チャットボットの中で買おうと思った際に「ちょっと待ってください!」といったコンテンツが表示され、アップセルに誘導する手法を取ると良いでしょう。バルクオムでは、この手法を試した結果、アップセル率が17ポイント程度改善し、追加の売上を増加させることができました。
チャットボットは、ページ間の遷移が不要です。ユーザーがチャットボットを利用している間に「次へ」と押すと、「こちらもおすすめ」など、あらかじめ設定しておいたシナリオに沿って案内を出すことができます。LPを深くスクロールしたり、ページ遷移をせずとも次のコンテンツが自然に表示されると、ユーザーはまるで会話の流れに乗るように、次の提案を受けることができます。
このような手法を取ることで、ユーザーに対して自然にアップセルを提案することができます。購入意欲をさらに高め、売上向上につながると考えられます。
前章でも述べましたが、決して「LPにチャットボットを実装したからOK」ではありません。
ABテスト、データにもとづく検証の積み重ねなど、運用フェーズでのチューニングも重要です。具体的には、次のポイントを押さえると良いでしょう。
チャットボット運用に関するKPIを設定し、定期的にその達成状況を評価、必要に応じて改善策を講じます。
たとえばKPIの一例として、
といった指標に着目すると良いでしょう。ユーザーが実際にどれぐらいチャットボットを利用し、疑問や不安を解決できたか、その結果コンバージョンにつながったか、などを把握します。
設定したKPIに基づき、チャットボットのパフォーマンスを評価し、改善点を運用チーム内で共有します。
チャットボットの運用データを定期的に取得し、ユーザーの利用状況や質問内容を分析することが重要です。分析を通じて改善点を特定し、ユーザーのニーズに応えられるよう、チューニングに取り組みます。
前項で述べた、定量的に追跡できるKPIの評価はもちろんですが、定性面からの分析も重要です。たとえば、「ユーザーが頻繁に尋ねる質問は、どんな項目か?」「回答内容が不十分で、解決率に改善の余地があるトピックは?」といった点に着目します。ユーザーがどのような情報を求めているのかを理解し、そのニーズに応じた改善を実施することが重要です。
データ分析を基に、FAQやシナリオを定期的に見直して更新することが重要です。
ユーザーの行動パターンに応じてシナリオを調整し、よりスムーズな対話を展開できるよう目指します。特定の質問が多い場合には、その質問に対する回答をシナリオの中に組み込むことで、ユーザーが求める情報を迅速に提供できるようになるでしょう。
さらに、言葉遣いや、チャットボット内で案内する内容など、ユーザーの期待に応えられているかどうか、多方面からチャットボットの内容を見直します。
この記事では、ECサイトのLPにチャットボットを導入して、ビジネスの成果を改善するコツを詳しく解説してきました。成功事例解説の部分では、「チャットボットのファーストビューでUGCを見せて、見込み顧客からの信頼を獲得し、購買意欲を高める」といったUGC活用法についても詳しくご紹介しました。
UGCの「出し分け」「最適化」「運用」は、アライドアーキテクツが提供する運用型UGCツール「Letro」にお任せください。
また、まずは「勝ちLPの作り込み方を知りたい」とお考えの方に向けて、下記URLから無料のお役立ち資料も提供しています。ぜひ、お気軽にダウンロードしてご活用ください。
記事公開日:2024.06.05