2020年2月にローンチ後、順調に顧客数を伸ばし、現在は会員数5万人以上を持つ国内最大級のコーヒー通販サービスに成長しているPostCoffee。
同社は商品開発、新規顧客獲得からCRMまで、全てのビジネスプロセスにおいてUGCを最重要なものの一つに位置づけ、UGCの生成・活用や分析に非常に多くの時間を投下しています。
今回は、POST COFFEE株式会社 代表取締役 CEO 下村 領氏に、UGC施策を重要視する背景、取り組みの具体的な内容や、その中におけるLetroの位置づけについて聞きました。
課題
解決策
成果
ーまずは御社のサービス概要を教えてください。
下村氏:PostCoffeeは、日本最大級のコーヒーのショッピングモールです。イメージしているのは、いわゆるコーヒー版ZOZOTOWN。国内外のトップロースターブランドのコーヒーを誰でも気軽に手に入れられる環境を提供しています。
2020年2月に立ち上げた当初は、コーヒー診断で約30万通りの組み合わせから好みの自社焙煎コーヒーを届ける「コーヒーのサブスクリプション型サービス」としてスタートしました。
現在は、自社焙煎のコーヒーを提供するだけでなく、国内外のロースターコーヒーをラインナップし、「美味しいコーヒーを手に入れるためのプラットフォーム」に育てることを目指してサービスを展開しています。
POST COFFEE株式会社 代表取締役 CEO 下村 領氏
ー現在の顧客数と、メインの顧客層を教えてください。
下村氏:2020年2月のローンチ以降順調に会員登録者数が伸びており、2022年10月に5万人を突破しました。
メイン顧客層の年齢は30代前後で、ある程度の年収があり、アウトドアなどの趣味を持ってライフスタイルを上手く楽しんでいるようなお客様が多いです。
もともとこうしたお客様の層を狙って開拓したわけではありません。コーヒーにはもともとQOL(生活の質)を上げるためのさまざまな価値があり、それが今のメインの顧客層とマッチした結果だと捉えています。
ーサービスローンチ後、どのように顧客を増やしてきたのですか?
下村氏:もともとスペシャルティーコーヒーの認知が低かったため、まずは多くの方に試していただきたいと思い、サービスローンチ後1年半程は、割引などのオファー付きの訴求で広告を出稿していました。しかし、このようなオファー付き広告ではリーチできる層が限られてしまいます。
その後、正規価格に絞って訴求する方針に切り替えましたが、そうすると今度はCPAが高くならざるを得ません。
そのため、弊社ではSNSでUGCが生成されるように継続的に働きかけ、広告だけに頼るのではなくオーガニックでもお客様から購入いただける仕組み作りに注力してきました。
ー継続してUGC生成に注力されているのですね。具体的にどのような働きかけをしてきたのか、教えてください。
下村氏:サービスローンチの当初から、マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーにPostCoffeeを体験いただくギフティング施策を続けてきました。
その後しばらくしてから、アンバサダー施策にも取り組み始めました。PostCoffeeを継続していただいている方の中からお声がけしてアンバサダーになっていただき、毎シーズン新商品のサンプルをお送りしています。
他にも、SNSでハッシュタグ投稿キャンペーンを行ったり、商品お届けの際にサプライズでお菓子を付けたり、毎月商品お届けの箱のデザインを変えたり。お客様からUGCを投稿いただけるように、さまざまな工夫をしてきました。
その結果、#postcoffeeのハッシュタグで検索すると、現在1.6万件のUGCが表示される状態を作れています。
ーUGC生成施策にはどれくらいの時間を費やしていますか?
下村氏:UGCを誰に投稿いただけるか、どのような内容で投稿いただけるかが肝になりますので、PostCoffeeの世界観にマッチした方を探して、DMで細やかなコミュニケーションをすることに、非常に多くの時間を費やしています。
ーなぜそこまでUGC生成に注力するのですか?
下村氏:購買に至る態度変容を促せるのは、最終的にはUGCだと感じるからです。
弊社では多くの方にユーザーインタビューをしていますが、「広告を見たことがあっても何のサービスか認知していなかった」「何度か広告を見ていたが、知り合いの〇〇さんがSNSに投稿をしているのを見て契約してみた」という声がよく聞かれます。
特に、弊社の熱狂的なユーザーになってくださる方々は、ご自身が信頼している方のSNS投稿のタグ付けからPostCoffeeを知ってくださり、指名検索して購入いただいている印象です。
実は、UGC生成のためのギフティング施策を数か月間ストップしたことがあったのですが、その期間は明らかにオーガニックからのコンバージョンが落ち、広告のCPAも上がってしまいました。
これらの点から、広告を出稿することで認知/インプレッションを取りつつ、UGCで態度変容させるやり方がフィットすると感じています。
ー購買のプロセスにおいてUGCが重要なファクターであることを認識しつつも、なかなかやり切れていない企業様も多い印象です。御社が徹底してUGC施策にコミットし続ける背景には、しっかりと定量面での成果が出ていることがあるのですね。
下村氏:そうですね。それに加えて、UGCから得られる定性の情報が、サービスや各施策の改善に欠かせないという背景もあります。
もちろん定量データも見ていますが、自分としては、上がってくるUGCを見てさまざまな施策の評価を判断したり、お客様の温度感やテンションを探ることも大事にしているんです。
例えば、LTV向上を目的に、毎月お送りするボックスに手書きのメッセージを入れる等の施策を行っていますが、それが実際にLTV向上につながっているか、チャーンレート(解約率)の改善に寄与しているかを定量で測ることは難しいですよね。
各施策が本当に効いているのかどうかは、UGCを通じて見ないと分からないことも多いと思います。
下村氏:また、本質的には、自分が「UGCを見たい」という欲求があることも大きいです。
これまでは電話によるインタビューやハガキでしか得られなかったお客様の声が、今は検索すればすぐに見られる時代ですよね。自分がアウトプットしたものにお客様がどう反応してくださっているのかを見るのが、シンプルに楽しみなのです。
私個人としては、1時間に1回は必ずTwitterやInstagramでのUGCを見るようにしています。UGCは一つ残らずチェックしていて、常に頭の中にある状態です。
極端な話かもしれませんが、「UGCがないブランドは世の中に存在していないのと同じだな」と思ったりもするのです。UGCがなかなか生成されてこない期間があると、「PostCoffeeの重要性が下がっているのではないか」と不安になりますし、逆にUGCがたくさん発生すると生きている感じがします。
ーUGC施策に注力されている御社が、今回Letroを導入した理由を教えてください。
下村氏:もともとLPに手作業でUGCを掲載しており、そのメンテナンスにかなりの手間がかかっていたからです。Instagram APIの仕様がいつの間にか変わっており、気付いたらUGCが消えてしまっているということもありました。
また、すでにたくさん生成されている熱量の高いUGCをより効果的に活用できれば、さらなるサービス拡大につながるのではと考えていたことも背景にあります。
そのような中で、多くの食品D2Cブランドや大手通販メーカーがLetroを導入している様子を目にして、このサービスを導入すればUGC活用にかかるオペレーションコストを下げるとともに、新規顧客の獲得効率も向上させられるのではと思い、導入に至りました。
ー現在、Letroを活用して行っている内容を具体的に教えてください。
下村氏:サブスクリプションサービス「コーヒーのサブスク あなた専用のコーヒーボックスがポストに届くコーヒーの定期便」の新規顧客獲得向けLP(診断ページ)と診断結果ページに、Letroを活用してUGCを掲載しています。
また、UGCをただ掲載するだけでなく、施策成果の最大化を目指すためにUGCの最適化を行う運用も行っています。UGCの表示位置やUGC掲載部分のサイトデザイン、周辺バナー画像のA/Bテストなどの検証~運用を順に実施しました。
「コーヒーのサブスク あなた専用のコーヒーボックスがポストに届くコーヒーの定期便」の新規顧客獲得向けLP(診断ページ)と診断結果ページに、Letroを活用してUGCを掲載。
さらに、より大きな改善成果を実現するために、レビューの運用にも着手しました。サブスクリプションサービスの特性上、長期利用者のリアルな声が購入の意思決定に大きな影響を与えるため、それらを表現するレビュー項目を設計してレビューを収集し、掲載しています。
長期利用者のリアルな声を「ご愛用者様の声」としてレビュー形式でも掲載している。利用者の満足度評価を星で表すだけでなく、商品利用歴や家族構成もあわせて表示することで、レビューを見ているユーザーの「自分ごと化」をより促進できるよう工夫している。
ーLetro導入により得られた成果を教えてください。
下村氏:Letroを導入してUGCを掲載し、さらに運用まで行うことでCVRは最大1.8倍(※)まで伸長し、獲得効率を大きく改善させることに成功しました。
オペレーションコストも、大幅に改善させることができています。最初にタグさえ入れておけば、あとは管理画面から簡単に操作できるようになるので、UGCエリアのメンテナンスがとても楽になりました。
(※) 診断結果ページにおける「PostCoffeeを始める」ボタンの押下数に基づくCVRの改善結果
ー最後に、これからUGC運用において取り組んでいきたいことを教えてください。
下村氏:今後は、さらなる獲得効率向上のために、流入元の広告媒体×掲載ページで訴求しているメッセージを分類し、そのメッセージに合わせたUGC訴求を策定~掲載を行うなど継続的にUGCの運用を行っていく予定です。
また、LPで高いパフォーマンスを発揮したUGCを、広告クリエイティブや同梱物などマーケティング施策全体への活用を進め、さらなる成果向上を目指していきます。
我々にとってUGCは全てのビジネスの根幹に位置づけられるものです。今後も、UGCの生成、活用、分析のサイクルを回すことでより多くのお客様にPostCoffeeをご愛用いただき、「美味しいコーヒーのプラットフォーム」として成長していきたいです。
記事公開日:2022.11.04