1975年に誕生、(2023年に)創業48年目を迎える「大地を守る会」。1985年に日本で初めて有機農産物の宅配システムをスタート以降、オーガニックで安心安全な食生活を提案し続けるパイオニアとして会員数を拡大しています。
同社は、ブランドはお客様とともに育むものと考えており、マーケティングの施策においても、「商品を通じてお客様はどのような体験が得られるのか」を、いかに伝えていくかに重きを置いています。そのような背景において、現在同社が「お客様の体験を伝えられるコンテンツ」として重視しているのが、お客様の声=UGCの活用です。
今回は、大地を守る会宅配事業本部 定期会員室 獲得・定着セクション にて、新規会員の獲得をミッションとしている成宮 章悟氏に、同社がUGCに感じている意義や具体的なUGC施策の取り組み内容、それによって得られた成果についてお話を聞きました。
課題
解決策
成果
ー大地を守る会が、UGCの活用を重視している背景を教えていただけますか?
成宮氏:
私たちオイシックス・ラ・大地は、マーケティングにおいて一貫して「お客様の体験」を伝えることを重視しています。
大地を守る会では、お試しセットから定期コースに引き上げる2ステップモデルを採用していますが、まずはお試しセットを買いたい気持ちになっていただくこと、さらに継続して大地を守る会を使いたいと思っていただけることが必要です。
そのためには、「商品を通じてお客様はどのような体験が得られるのか」をマーケティングにおいて正しく伝え、コミュニケーションすることが大切です。UGCは、そうした「お客様の体験価値」を伝える重要なコンテンツだと捉えています。
もちろん、お客様を理解したうえで企業として「体験価値」を伝えていく努力も欠かせません。一方で、ブランドとはお客様とともに育むものであり、お客様の体験があるからこそブランドが創られるものだと思っています。
UGCとはまさにリアルなお客様の体験そのものであり、LPを訪れるユーザーにとって「大地を守る会」がある生活の自分ごと化を促し、買いたい気持ちを後押しする重要な要素だと捉えています。
ー一部企業様においては、UGC施策=LPのCVRを改善して広告効率を上げるための周辺施策の一つと捉えられており、優先度はそれほど高くないものされている場合も少なくありません。そのような中で、御社はなぜ「UGC」をそこまで重視しているのでしょうか。
成宮氏:
オイシックス・ラ・大地では、比較的早くからUGCを活用していましたが、たしかに以前は、現在ほどUGC活用のインパクトはなかったと思います。
しかし時代はどんどん進化しています。昨今はSNSの種類や投稿の形式が増え、誰もが気軽に自分の情報を発信できる時代になっており、それに伴ってユーザーの表現の幅も広がっています。今は、UGCは「お客様の体験価値」を奥行きを持って伝えられる欠かせないコンテンツになっており、使わない手はないと考えています。
お客様が商品やサービスに触れる情報には、「知ってもらうための情報」と「より深く理解してもらうための情報」の2種類があると捉えています。広告施策は「知ってもらうための情報」ですが、UGCは「より深く理解してもらうための情報」として価値が高いものです。自分に近いユーザーの声を目にすることで「商品や商品がある生活を疑似体験」してもらうことができ、買いたい気持ちを後押しできるのではないでしょうか。
ー現在行っているUGC活用の具体的な内容を教えてください。
成宮氏:
UGC活用ツール「Letro」を使って、新規顧客向けのお試しセットがオファーのLPにUGCを掲載しています。
Letroの運用担当者と一緒にUGCの中身や置く位置などについて仮説を立てて検証を行い、結果をもとに最適化するサイクルを回しています。
ーUGCをLPコンテンツに取り入れることで得られた具体的な成果を教えてください。
成宮氏:
UGC掲載前に比較してLPのCVRを1.22~1.66倍にすることができました。UGCを通して新規顧客向けLPに流入したユーザーの方の買いたい気持ちを高められているからこそ、このような成果につなげられたと思います。
また、お客様の声を画像として貼り付けるのではなく、UGCをそのまま埋め込む形にしたこともポイントです。
企業としてお客様の声は継続的に集めていますし、自分たちで画像を制作しLPコンテンツに盛り込むこともできます。ただ、そのような見せ方では「企業が発信するコンテンツ」とあまり変化はないのだと気づきました。Letroを活用し、お客様の実際のUGCをそのまま埋め込む形で活用したからこそ、本物のお客様の体験であることが伝わり、成果につながったのだと思います。
実際に、サイトの離脱率やヒートマップの結果からも、UGCを直接埋め込んでいる個所は特に興味関心が高いコンテンツであることがうかがえます。
ーUGCを活用する上で、以前から長い間Letroをパートナーにお選びいただいている理由をお聞かせください。
成宮氏:
Letroをずっと活用し続けている理由は、Letroチームの皆さんが、代理店やSaaSツールのベンダーとしてだけでなく、私たちのパートナーとして「お客様の体験価値づくり」に一緒に向き合って行動してくださることです。
どのようなアプローチをすればよいかを一緒に考えたり、多くの業界や企業を支援してきた実績から新たな提案をいただいたり…伴走してくれるところが非常によいなと考えています。
ー最近、大地を守る会とLetroチームの新たな取り組みとして、UGCをLPコンテンツとして取り入れるだけでなく、UGCで得た学びを活かしてLPそのものの制作にも生かす取り組みも開始しました。LetroチームにLP制作やLPOを依頼した背景もお聞かせいただけますか?
成宮氏:
2022年12月からは、Letroチームに依頼してUGCから得た学びからLPの訴求軸やキャッチコピーなどの見せ方を開発し、LPの制作からその後のLPOまで一貫して行ってもらう取り組みもスタートしています。
例えば「とある媒体の広告運用だけをA社に依頼する」「この商品のLPはB社に依頼する」など、領域に特化してパートナーと連携するやり方を取る企業もあると思います。
ただ、私たちはマーケティングにおいて「お客様の体験価値」を伝えることを意識しており、そのためにはカスタマージャーニー全体を正しく理解いただき施策に反映することが重要です。UGC施策を通じて「お客様の体験価値づくり」に伴走いただいているLetroチームに、LP制作やその後のLPOまで一貫して依頼することは自然な流れでした。
また、LP施策においては、結果から得られる学びをしっかりと蓄積し、担当替えや異動などがあってもしっかり引き継がれる体制を敷くことが重要です。ただ、これをインハウスでやり続けるのは相当大変なことです。事業会社側として、そもそもお客様の理解により時間を使いたいという背景もあります。
現在は、Letroチームの皆さんに継続的にLPOに取り組んで学びを蓄積いただくことで、その課題を上手く解決できていると考えます。
ーLPOによって得られた成果を教えてください。
お客様目線でのコンテンツを届けるために、お客様のUGCを冒頭のキャッチコピーや伝えるべきベネフィットなどLPの制作そのものに活かしたり、Letroの姉妹サービスである動画制作ツール「LetroStudio」を活用いただいてLPコンテンツの一部を動的にすることによって、LPのCVRをさらに平均1.4倍向上させることができました。
ー最後に、今後UGC運用において取り組んでいきたいことを教えてください。
成宮氏:
UGCを活用してお客様の疑似体験をいかに作っていけるかに引き続き関心があります。
今後は、新規顧客向けのお試し訴求のLPだけでなく、お試しから定期に引き上げるためのLP上でもUGCを活用していきたいです。
10年前と比較して、UGCで表現される体験の幅は飛躍的に広がっています。生活様式や価値観がより多様化する中で、企業からのメッセージだけでは伝えきれない体験価値を伝えられるコンテンツとして、UGCのさらなる可能性に期待しています。
記事公開日:2023.08.25