2023.8.02
記事LPは、ダイレクトマーケティングで成果につながる手法として多くの企業が活用する施策の一つです。
この記事では、記事LPの作成に役立つ基本知識、ユーザーを惹きつけてさらに成果を出すためのポイントを紹介します。
「記事LPを作りたいが、なにから手をつけたらいいかわからない」という方は必見です。
記事LPとは、読み手のユーザーが共感を得た上で購入へと導く、読み物型のLPのことを言います。
通常LPと記事LPでは、流入元とコンテンツに違いがあります。
通常LPの場合、主な流入元となるのはリスティング広告やSNS広告です。能動的に検索して訪問する場合や過去の検索結果からターゲティングされた広告から訪問する場合など、ある程度課題が顕在化したユーザーが訪れます。
一方、記事LPの主な流入元はネイティブ広告です。WEBメディアのおすすめ記事一覧やSNS投稿の間に表示される広告から記事LPに訪問します。商品購入のモチベーションが形成されていない潜在層が多いのが特徴です。
通常LPは、商品の魅力や商品を購入した際に得られるベネフィット、その権威づけとなりうる根拠など、商品をアピールする要素が多く盛り込まれています。
一方、記事LPは、ユーザーが抱える悩みや興味関心事を中心に構成されています。悩みの原因や解決策の提示など、ユーザーに寄り添ったコンテンツを読み進めるうちに徐々に商品の興味・関心を高められるようになっています。また、広告色が少ないのが特徴です。
通常LPの場合、広告からLPに流入したユーザーを、LP上のCTAから直接的に商品やサービス購入の申込画面に誘導します。
一方、記事LPはネイティブ広告やSNS広告から記事LPに流入した潜在層や準顕在層を、記事上のCTAからまずは通常LPに遷移させ、通常LP上から商品やサービスの購入に誘導する流れが一般的です。そのため、記事LPを(広告と通常LPの間に挟まる役割として)クッションLPと呼ぶこともあります。
先述した流入元・コンテンツの特徴から、記事LPの活用には下記のようなメリットがあります。
記事LPは、潜在顧客へのアプローチに効果的です。準顕在層や潜在層は「商品・サービスの検討に至るほどニーズが明確になっていない」「商品・サービスのことを認知していない」といった状態です。準顕在層や潜在層をネイティブ広告から通常LPに遷移させてしまうと、ファーストビューからいきなり商品のメリットを訴求されるため、ユーザーは違和感を覚えてしまいます。しかし、前段階として記事LPを挟めば、自然な流れで商品・サービスの認知・興味関心向上を図れます。
記事LPでは、ユーザーが抱えている悩みや興味関心事を起点に、悩みの解決方法や興味関心事の深堀りをしながら商品を紹介することで、興味を引き出し、理解を促していきます。そのため、記事LPを読んだユーザーは、広告から直接通常LPに遷移してきたユーザーより、商品のベネフィットを自分ごととして捉えやすく、離脱は減少する傾向にあるといえます。
仮に、ネイティブ広告から通常LPに遷移させた場合、ネイティブ広告のターゲット層は、商品・サービスの興味関心が薄い状態の準顕在層や潜在層であるため、興味関心があることを前提として作られている通常LPからの離脱数は増えてしまうでしょう。
記事LPを広告と通常LPの間のクッションとして挟むことで、「商品認知」「興味関心の醸成」というプロセスを経由させることができます。
このように、通常LPに意欲の高いユーザーを集めることができれば、通常LPのCVRは高くなり、広告投資の費用対効果も上がるでしょう。
記事LPを作るための全体の流れをご紹介します。
作り方は以下の7つのステップに分かれます。
商品やサービスそのものの強みは「メリット」ですが、このメリットから顧客が得られる体験、変化、プラスの効果を「ベネフィット」と言います。下記のような例があります。
商品の特徴:車内が広い自動車
メリット:車内空間が広い
ベネフィット:大勢でも快適、家族全員の楽しい思い出が作れる
記事LPでは、ユーザーの悩みに寄り添い、商品やサービスを解決策として提案するのが一般的な流れのため、単なるメリット訴求で終わらせないのが重要です。「ユーザーがどのような変化を得られるのか」をベネフィット訴求で伝えるほうが、ユーザーの納得感や商品詳細を知りたいというモチベーションも醸成されやすくなります。
構成づくりやライティングの前に、まず商品やサービスのベネフィットを言語化しましょう。
※参考:ベネフィットとは?マーケティングで重要な理由とメリットとの違いを理解しよう
広告成果を高めるために、ペルソナの設定をしましょう。ペルソナとは、商品やサービスを利用するユーザーをイメージするための人物像のことです。年齢や性別だけでなく、家族構成や職業、年収、居住地などといった属性、趣味やライフスタイルなど細かい設定を行いましょう。
ここで細かく人物像を描いておくことで、記事LPのストーリーや訴求を決めやすくなります。
記事LPは広告の最初の受け皿となるため、広告のペルソナと合わせておくと良いでしょう。
ライティングを始める前にどのような流れで商品やサービスを訴求するのか、その骨子を考えます。「誰の悩みを解決したいのか」を明確にした上で、何をどのような順番で伝えるか決めていきましょう。
ストーリーの骨組みを決める際に、B.D.F.というフレームワークが役に立ちます。
B.D.F.とは、それぞれ「Belief」「Desire」「Feeling」で頭文字をとったものです。
商品やサービスに対して実際にお客様がもつBDFをリサーチしておきましょう。BDFを明確にすることで「どういった訴求が適切なのか」「どのような切り口が良いのか」など、アプローチを決める一助になります。
※参考:【BDFとペルソナ】売れるコピーを書くために絶対やるべきリサーチとは
構成に問題がなければライティングに取り掛かります。
文字の装飾のしかたやCTAの文言など、ライティングのポイントを後述していますので、参考にしてください。
ライティングが完了したら、文章全体を推敲しましょう。
またこの際、広告規制に準拠しているかも念入りに確認しましょう。
記事LPも「広告」という扱いのため、景表法・ステマ規制・薬機法・特商法など各種広告規制の対象になります。
記事の作成・確認が完了したら、いよいよ公開です。
PCやタブレット、モバイルユーザーへの見え方をプレビューで確認しましょう。また、記事LPを広告として運用する場合は「noindex」設定をし、検索エンジンの検索結果に表示されないようにしましょう。
まだ商品のことをよく知らずに記事LPに流入したユーザーに対して、一方的に商品のアピールを続けてしまうと、ユーザーの不信感を高め、記事LPからの離脱を招いてしまいます。記事LPでは、「ユーザーに悩みを自覚してもらい、自分の悩みを解決してくれそう」と思ってもらうこと、その上で、解決策として商品を紹介することが大切です。
ここでは、「新・PASONAの法則(※1)」を用いた、構成のポイントを紹介します。
(※1)著名マーケターである神田昌典氏が提唱した、ユーザーの購買行動を促しやすいメッセージの伝え方を示した法則
ポイントは、いきなり商品・サービスを提案するのではなく、悩みに共感した上で具体的な解決策を提示することです。そのために、お客様は「どのような悩みをもっているのか・悩みの原因は何か・どのようになりたいのか」を明確化し、商品を購入してほしいお客様の解像度を上げておくといいでしょう。
タイトルは、パッと見た時のわかりやすさが大切です。タイトルを前半と後半の2つのパートに分けることで、一目でわかりやすくします。
さらに、前半にはユーザーの目をひきやすい「インパクトのある言葉」をいれることで、クリック率を高めることにつながります。
言葉の例
【】、!、?、!?、♡、★など、記号を活用することで、タイトルにメリハリができ、わかりやすくなります。
日本人が1分間に読める文字数は400〜600字(※2)です。そのため、スキマ時間にサクッと読んでもらうには、記事LP全体の文字数を、大体2~3分で読める1500字程度におさめると良いでしょう。
(※2)日本速脳速読協会│「聞く」「話す」「読む」「書く」速さはどのくらい?
このバランスの文章はストレスを感じにくく、頭にも入りやすい文章だと言われています。新聞や雑誌などの活字媒体では、概ねこの比率になっているそうです。(※3)
(※3)日経XTECH│漢字と平仮名の割合を適切にする
ユーザーに読み落とされないためにも、特に伝えたい箇所を強調しましょう。「太文字+背景」や「文字色変更」、「太文字+文字色変更」を駆使すると、メリハリのある文章になります。
記事LPに訪れるユーザーは潜在層や準顕在層が多いため、企業や商品に対する信頼は高くありません。そのようなユーザーに商品のメリットを感じてもらうためには、客観的な情報を提示する必要があります。
効果的な例
記事LPは、メディアの記事を読む温度感でユーザーがランディングすることが多いものです。一方的な商品の押し売りではユーザーの不信感を高めてしまいます。
ユーザーに有益な情報:商品のPR=3:7が理想的と言われています。商品の魅力づけはある程度必要ですが、記事LPにおいては、あくまで商品のPRは全体の3割ほどにとどめることがポイントです。残りの7割は、ユーザーの悩みを解決するための有益な情報を伝えるために使いましょう。
⑧限定性・希少性を伝える
今購入すべき理由を伝えることで、ユーザーの購買行動を促します。「今だけの初回特典」など期間を限定した特典をもうけたり、「数量限定○○セット(なくなり次第終了)」などと限定することで、購買へのモチベーションを高めることができます。
通常LPのCTAボタンは「ご購入はこちら」などですが、そのまま記事LPで使うと過度な売り込み感がでてしまいます。
そのため、記事型LPの場合は「◯◯の詳細を見る」など文脈に沿った文言にするのがよいでしょう。
また、ユーザーはページを読んでいる途中で離脱する可能性があるため、CTAボタンはページの末端だけではなく、複数箇所に設置するほうが効果的です。
記事LPには「課題が明確になっていない」「まだ商品そのものを認知していない」という状態でユーザーが訪れているため、あえて商品を大々的にPRしない作りにしています。商品への関心度合いが高まりきっていないタイミングで、いきなり購入へとつなげるのはハードルが高いため、まずは通常LPに遷移させると良いでしょう。
さらに成果を出すためにおすすめしたいのが、お客様のクチコミの動的な埋め込みと最適化です。
「信用してもらう工夫」のポイントとして、第三者評価であるクチコミを提示することを紹介しました。クチコミ(※以下、UGC)を掲載する際に、静止画として表示するのではなく、クリックできるように動的に表示にし、商品やページにあわせて最適化することで、記事LPから通常LPへの遷移率を高めることができます。
※UGCとは:(User Generated Contentsの略で、企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを指す
出典:「時計美容」スキンケア -ドレスリフト-|Attenir
企業によって意図的に編集されたクチコミでなく、「ユーザーの投稿そのまま」であることがわかるように見せることで、本物のクチコミであると信頼してもらいやすくなります。クリックできる動的表示にすることで、ユーザー名や投稿日付、投稿されたコメント全文を確認できるため、第三者評価としての信憑性が高まります。
動的表示にすることで、クチコミ表示箇所のクリック数などの数値計測が可能となり、数値に基づいたコンテンツ更新ができるようになります。
動的表示にすることで、紹介する商品や場面にあわせて、画像を中心に見せたり、テキスト中心の詳細なレビューとして見せたり表示形式を最適化できます。また、サイズ感や文字色など細かな調整ができ、ページのトンマナにあわせた表示ができます。
ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST」で有名な同社は、記事LPにレビューを動的に掲載し、最適化する運用を行った結果、公式LPへの遷移率を1.15倍に向上させることに成功しました。商品の愛用者様から集めた星付き評価レビューを自然な流れで商品を訴求できる位置に掲載。ページのトンマナに合うよう、あえてバナーも設置せず、文脈に沿う見せ方をしています。今後は、レビューの中身の最適化などさらなる改善を進めていく予定です。
出典:株式会社I-ne
化粧品や美容健康食品のD2Cブランドを展開する同社は、主力商品とされる「ベルタ葉酸マカプラス」の記事LPにおいて、UGCを動的に掲載。数値に基づいた改善を行うことで、公式LPへの遷移率を向上させています。
妊活サプリという商品の特徴にあわせ、「購入に至った背景」や「商品の魅力」「サプリを飲み始めた感想」など、読者が求める情報が詳細に書かれたUGCをテキストを中心に掲載。さらに、動的表示によって、クチコミ表示箇所のクリック数などの数値計測が可能となり、数値に基づいたコンテンツの更新など公式LPへの遷移率向上に取り組んでいます。
出典:株式会社ベルタ
記事LPでは、通常LPではリーチしづらかった商品購入のモチベーションが形成されていない潜在層にも接触することができます。自然に商品への興味関心を高めてもらうには、「自分の悩みを解決してくれそう」とユーザーに自分ゴト化してもらうことが大切です。
事例で紹介した「UGC運用」の取り組みは、ユーザーをさらに惹きつけ、他社との差別化につながる施策の1つになるはずです。
記事公開日:2022.01.28