2019.7.1
(左)アライドアーキテクツ株式会社 Letro事業部 開発責任者 石川裕弥
(右)同事業部 カスタマーサクセス 堀田哲郎
UGC(※1)を活用したSaaS型クリエイティブプラットフォーム「Letro(レトロ)」(※2)は、2019年7月1日、管理画面を全面リニューアルし、UGCを活用したデジタルクリエイティブの高速PDCAを可能とする機能を大幅に拡充しました。
今回は、Letro開発責任者の石川と、カスタマーサクセス担当者の堀田に、今回のリニューアルの背景や、そこに込めた思い等をインタビューしました。
ーまずはお二人の事業部内での役割を教えてください。
石川:私は、Letroのシステム開発及び管理を統括しています。Letroの開発の要件定義や仕様の決定、インフラの構築から、エンジニアチームと協力しての実際の開発の推進、日々のメンテナンスまで、システム関連全面に責任を持っています。
また、エンジニアとしてただシステムの開発・管理を行うだけでなく、プロダクトとしてLetroでどんな世界観を実現していくか、そのためにどんな技術を用い、機能を追加していくか等にも役割を持っています。「Letroをプロダクトとしてどう伸ばしていくか」が私のミッションです。
堀田:私は、カスタマーサクセスを担当しています。Letroをご利用いただいているお客様が抱えているクリエイティブの課題を解決して、各担当者さんのミッション達成に伴走していく役割です。具体的には、お客様毎に合わせたLetroの導入実装支援から、活用の促進、さらなる課題提起や解決の提案を行っています。
お客様からのお問い合わせにお答えする「受け身のテクニカルサポート」も業務内容に含まれますが、それだけではなく、よりお客様が目の前の課題を解決してミッション達成できるようなLetroの使い方や、お客様がまだ気づいていない課題の分析や提案など、プロアクティブな支援も役割に含まれています。「カスタマーサポート担当」ではなく、「カスタマーサクセス担当」としているのは、それが理由です。また、サービス改善や新機能追加の社内提案も行っています。
ーサービス改善・新機能の追加等について、開発担当とカスタマーサクセス担当はどのように連携していますか?
堀田:カスタマーサクセス担当として日々お客様と接する中で、「こんなことやりたい」「こういうことに困っているんだよね」という声が聞こえてきます。弊社では、カスタマーサクセス担当と開発担当はすぐ隣の席に座っていますし、常にオンラインで繋がっていますので、そんなお客様の声を素早く社内にフィードバックしています。
また、開発担当と一緒にお客様のところに訪問することもあります。カスタマーサクセスの視点からは「他のお客様も同じようにお困りなんじゃないかな?」と考えたり、また開発の視点からは「その開発はどれくらいスケーラビリティがあるものになるのか」と考えたりすることで、それぞれの目線から開発・改善の動きが出来ていると思っています。
石川:「Letroをプロダクトとして伸ばす」ために、お客様の声を直接聞いて現場の課題に向き合いその上でお客様が困っていることの本質が何かを突き詰め、日々のご利用がお客様の真の課題解決に繋がるサービスにすることはとても重要だと考えます。「お客様の声・現場感覚」を踏まえながら、「将来も見据えたイノベーティブなプロダクト開発」ができているのが、Letroチームの特徴だと思います。
ー「お客様の真の課題解決に繋がるプロダクト」として、Letroが目指していることは何でしょうか?
石川:Letroは、SaaS型クリエイティブプラットフォームとして、お客様のクリエイティブに関する課題をテクノロジーで解決すること:「クリエイティブテック」による、お客様のマーケティング課題の解決を目指しています。
※参考:クリエイティブテックとは?
https://service.aainc.co.jp/product/letro/article/2019/creativetech.html
デジタルシフトが加速し、広告のチャネルや表現が多様化する中、ユーザーとの接点である「画像」や「動画」などのクリエイティブにも、より多様性とスピード感が求められていますが、これは結構大変なことだと思っています。デザイナーを雇用するところから始まり、デザインの企画、素材の用意、制作や加工など、何をするにも、お金も時間もかかりますよね。
私たちは、Letroを通じて、お客様がこれら「クリエイティブ」に関する業務を効果的・効率的に運用できる環境を提供し、「企画業務」や「顧客とのコミュニケーション」により時間を使うことができる…そんな世界観を作っていきたいと考えています。
堀田:例えば、Twitterを見ているときとInstagramを見ているときって、自分のテンションが違ったりしますよね。マーケティング担当者さんからすると、本当はそういう一人一人が個々のメディアに向き合う熱量やテンション、求めているものに応じてクリエイティブを一つ一つ最適化していくのがベスト、と考えていると思うんです。
でも実際にはそれは難しい。素材の数も足りないし、バリエーションを出すノウハウも限界がある、そして何より時間が足りないからです。マーケターの皆さんの業務が多岐に渡りすぎていて、忙しすぎるがゆえに、クリエイティブに持つ違和感に対処することができないのではないかと思います。そのため、実際に「これでいいのかなぁ…」と疑問を持ちながらも、例えば、Google・Yahoo・Facebook・Twitter・Instagramの広告用クリエイティブを、同じデザインのサイズ違いで出稿するしかない、といったこと等が起きてしまっています。
Letroでは、UGCとテクノロジーの力で、このようなクリエイティブの課題を解決していきたいと考えています。UGCをクリエイティブの素材に活用することで、素材の量とバリエーションの豊富さを確保します。さらにテクノロジーを用いて、簡単なクリエイティブの加工編集やクリエイティブの効果検証を実現します。
また、単にツールを提供するだけでなく、カスタマーサクセス担当が課題に対する仮説構築のお手伝いや、仮説に対する打ち手の提案をし、PDCAの質とスピードを高めることで、Letroというチームとしてお客様の課題解決に貢献することを大切にしています。
ーお客様のクリエイティブに関する課題を解決する手段として、Letroが「UGC」の活用に着目した理由は何ですか?
堀田:UGCをクリエイティブの素材に活用することで、数やバリエーションを確保できたり、(特に)SNSのタイムラインに馴染みやすいユーザーファーストなクリエイティブが作れたりするだけでなく、そもそも「UGC=生活者の声」をマーケティングに活かす意義がとても大きいと考えているからです。
「生活者の声を聞く」というのは、マーケティング業務の全ての基本にあると思います。例えば「お客様は今こんなことに喜んでいるから、クリエイティブでこんな表現を使おう」など。ソーシャルが当たり前になった今、以前のように「アンケート調査」「リサーチ」などを行わなくても、簡単に生活者の声が拾えるようになりました。
私たちLetroは、マーケティング担当の方が「生活者の声に耳を傾けてマーケティング活動に取り入れ、結果として広告効果良化などのKPI改善に繋げる」ことを少ないコストで実現するためのサービスです。それが、上記のクリエイティブ課題解決に繋がり、世の中により良いクリエイティブが広がっていくと信じています。生活者側も、自分たちの声に耳を傾けてくれる企業やサービスをより選んでいくようになると思います。
「生活者(お客様)の声」を活用して広告の効果が改善できるって、とても嬉しいことですよね。加えてよく聞くのが、「Letroを使ったことで、普段はあまり見えなかった自社のお客様からのポジティブな声や感想がきけて、業務やKPI以前に、いちマーケティング担当者としてとても嬉しい」というお声です。UGCの活用には、こうした「気持ちの面」でのプラスの効果もあると思います。
ー次に、今回の管理画面の全面リニューアルの背景を教えてください。
リニューアルしたLetro管理画面。直感的な操作でUGCの収集・活用・効果測定ができ、高速PDCAを実現できる。
石川:今回のリニューアルは、Letroがお客様のクリエイティブの課題を解決するプロダクトとしてふさわしいUI、UXの実現を目指すものです。
ただ「UGCを集めて出せる作業ツール」ではなく、お客様のマーケティングやクリエイティブチームにおいて、「仕事がデキるチームメンバーの一員」として立ち振る舞いができるプロダクトでありたい。そのためには、直感的で、ストレスのない操作で「ここがこうだったらいいのになぁ」を解決できなければなりません。仕事ができるメンバーは、相手の行動や心理を先回りして考え、必要な時に「これできますよ」「これやりましたよ」って、スマートに立ち振る舞ってくれますよね。
2016年のサービス開始以来、市場の環境も変化する中で、私たちの目指すそのような世界観と実際のシステムの整合性が取れない部分や、「もっとこうできたらいいのに」というポイントが複数出てきました。今回はそれらのポイントを一気に解消するべく、管理画面を全面リニューアルしました。
ー具体的なリニューアルの内容を教えてください。
石川:クリエイティブ制作において、お客様が専念すべきことは「どういうクリエイティブが刺さるのか」を知ることと、それを広告や各種ユーザー向けチャネルに「活用する」ことです。今回のリニューアルでは、お客様が本来やるべき仕事に時間を使えるよう、UGCの収集・活用・効果検証の各機能を大幅に拡充しました。
UGC収集の場面では、お客様がより「UGCを選ぶ作業」に集中できることで、よいクリエイティブに出会える環境を整えました。例えば「PR投稿除外」「動画のみ検索」など、UGCの検索条件をより細かくすることで、UGC収集の効率性をアップしました。また、UGC一覧画面上では、使いたいものを「お気に入り」に入れる、使わないものをドラッグして簡単に消せるなどの操作性を改善、一覧画面の読み込み速度も向上させることで、ストレスなく「欲しいUGCを探すことに集中できる」ようになりました。
UGC一覧画面。複数ハッシュタグやリクエスト状況・お気に入りでの絞り込み等、その他細分化された検索機能により、
見たいUGCをすぐに一覧表示可。「UGCを選ぶ」作業により集中しやすくなった。
また、お気に入り機能は、社内での業務切り分けや、代理店との仕事の分担にも便利に活用いただけます。例えば、まずは現場の担当者がクリエイティブを選んでお気に入りに入れ、それを最終的に承認者が確認するとか、あるいは代理店の担当者が選んでエンドクライアントが決定するなど。こうした実際の業務に即した機能も盛り込むことで、よりストレスなくプロダクトを活用いただけるようにしました。
UGC活用の場面では、収集したUGCをECサイト上の各商品と一括で紐付けを可能にする機能や、HTMLの知識がなくても簡単にオウンドサイトに表示できる機能、CVRやCTR順に表示入替する機能を搭載することで、UGC運用工数の大幅削減を実現しました。
ECサイト上の商品と収集したUGCを一括紐付けするための画面イメージ。
一括作業を可能にすることで運用工数の大幅削減が可能に。
UGC効果検証の場面では、Letro有無の効果を比較するA/Bテスト機能、ECサイト上の商品毎の指標確認画面など、お客様がデータを見てより直感的に判断できるような機能を追加しました。
「機械がやるべき領域は機械がやる」ー効果測定の数値計測の部分はまさにそれに該当しますので、お客様にはより「判断する」業務のみに集中いただける環境を用意しました。
効果測定画面イメージ。期間毎、UGC毎のパフォーマンスが一目で確認可能で、PDCAがより簡単に回せるように。
ー今回の全面リニューアルによって、UGCをより効果的・効率的にマーケティングに活用できるようになるという理解ですね。
堀田:はい。今回の各種機能拡充により、お客様にはより少ない工数でUGCを収集・活用、効果の高いUGCを判断いただけるようになり、スピーディーなPDCAで運用最適化を実現、施策全体の成果アップにつながると考えています。
私は日々、eコマースのご担当者様やSNS、キャンペーンなどのご担当者様とお話ししていますが、皆さんお会いするたびにどんどん忙しくなっているように思うんです。成果が上がれば上がるほどより目標が上がり、業務領域も広がりますが、一方で、まだまだデジタルの施策には思い切って多くの人数が割かれない傾向にありますから、ご担当者様は忙しくなる一方です。
そんなお客様に、もっとスピード感をもって、かつ効果の見込める形でLetroをご活用いただけるようになると思っています。
また、今回のリニューアルにあたって、お客様から日々頂いているご意見やご要望も大変参考にさせていただきました。様々なご意見を踏まえて、「色々なお客様に共通してこんなところが課題なのではないか」を抽出し、具体的な機能を盛り込んでいます。
例えば「いいUGCがあまりないんだよね」という場合も、本当にいいUGCがないのではなく、管理画面におけるUGCの検索性が不十分なだけの時もあります。「UGCを活用した効果が出ているか分からないんだよね」という場合も、効果を見るのに時間がかかるが故に、優先順位が下がってしまい、結果として正しく効果の判断ができていないだけの時もあります。
そんな「お客様が困っていることの裏返し」を積み重ねて、今回のリニューアルを実施しました。
ー最後に、今後Letroを通じて実現したいことについて教えてください。
石川:クリエイティブの課題を解決するプラットフォームとして、画像認識技術や機械学習を用いて、よりテクノロジーを通じて成果を高めるところに力を入れていきたいです。そして、結果として、お客様の組織そのものや、マーケティングの在り方も、プラスの方向に変えていけたらいいなと思っています。
堀田:今は、SNS広告やECサイト、SNS公式アカウント向けなど、限られた領域でのクリエイティブ課題解決プラットフォームとしてサービスを提供していますが、今後は、メルマガ、モール、アプリ、GoogleやYahooの広告など、あらゆる顧客接点におけるクリエイティブ課題解決に貢献していきたいです。
生活者の声を、マーケティングに広く正しく取り入れる。その意義はとても大きいと考えています。これからも、カスタマーサクセス、開発、営業などチーム一丸となり、マーケティング担当者に寄り添うプロダクト・サービスとしてLetroを進化させていきたいです。
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記事公開日:2019.07.01