【ファンを数字で評価しすぎてはいけない】マナラ化粧品 ×DINETTE対談企画・後編〜コスメ業界でファンとの関係を深めるために企業が大切にしたいこと

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マナラ DINETTO対談続き

(左)株式会社ランクアップ 宣伝部 ファンサイトチーム 河村 樹氏
(右)DINETTE株式会社 代表取締役 CEO 尾崎 美紀氏

「肌を変える、人生が変わる」をスローガンにスキンケアを中心としたマナラ化粧品を展開し、女性の肌の悩みに真摯に向き合ってきた株式会社ランクアップ。

ユーザーとの距離が近い美容動画メディア「DINETTE」を運営し、ファンの声を生かしたプライベートコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を立ち上げたDINETTE株式会社。

共にコスメ業界においてファンとの関係を深め、マーケティング施策を展開する2社はなぜファンを重視するのか?ファンづくりのためにどんな施策を展開しているのか?ファンを大切にするために企業に求められる姿勢とは?

今回は株式会社ランクアップにてマナラ化粧品のイベント運営を担当する河村樹氏と、DINETTE株式会社 代表取締役CEO 尾崎美紀氏によるスペシャルな対談の後編をお届けします。

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マナラとDINETTEが考える「デジタル施策」と「リアル施策」

-今回も前回に引き続き、株式会社ランクアップの河村様、DINETTE株式会社の尾崎様にお話をお伺いしたいと思っています。前回はファン重視の施策を実施する背景や施策内容を中心にお話いただきました。
コミュニケーションのアプローチの観点でいうと、マナラさんはリアルコミュニケーションを重視されており、DINETTEさんはデジタル中心でやってきてこれからはリアルな施策もやっていきたい、というイメージですね。

尾崎氏:そうですね。実は9月の末か10月の頭頃からロフトさんやプラザさんなど数百店舗にPHOEBE BEAUTY UPの商品を置いてもらうことになっていますので、ここからリアルを意識した施策も増えていくかなと思っています。まつげ美容液に続く第二弾の新商品を発売する予定もありますし、そこから横展開で商品が増えていくに伴ってさらにファンを増やし、お客様の声に積極的に耳を傾けていきたいです。

-リアルとデジタルの役割の違いについてはどのように意識されていますか?

尾崎氏:私たちはデジタルは認知の場だと思っています。弊社のメインのお客様となる若年層はデジタルデバイスでの情報接触が多いので、広告やSNSの投稿が商品を認知させる役割を担っています。
それに対して、イベントなどのリアルな場は、もちろん新規獲得もありますが、お客様との関係を深めるものだと捉えています。PHOEBE BEAUTY UPは商品に、美容部員さんやメイクアップアーティストをディレクターとして起用しているのですが、今後はディレクターによる美容講座など、リアルイベントも実施したいです。購入した方に付加価値を感じていただけるような企画ができればと思っています。

DINETTE株式会社 尾崎 美紀氏 インタビュー

DINETTE株式会社 代表取締役 CEO 尾崎 美紀氏
名古屋出身。旭丘高校、中央大学総合政策学部卒。 大学在学時に芸能活動を行い、美容に触れる機会が増え自身も興味を持ち始める。 就職活動で大手企業から内定を貰うが、自分のやりたいことのために起業を選択し2017年3月大学卒業とともにDINETTE株式会社を設立。2019年2月にコスメブランド『PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティアップ)』をスタート。

-通販メインのブランドの場合、一般的にはリアルが認知の場で、デジタルが購入の場というイメージが強いと思うのですが、DINETTEさんの場合は逆なんですね。

尾崎氏:確かにそうかもしれません。弊社の場合、まつげ美容液の1回目の販売時はデジタル上のアプローチのみで完売しているので、特にそういった意識が強いですね。
ただ、弊社は直営店舗がなく、美容部員さんを通してブランドを体感していただくことができないので、なおさらブランド体験のもつ価値の大きさは実感しています。今後はデジタル施策でできた接点をリアルなコミュニケーションで広げていくことができれば良いなと思っています。

-マナラさんはいかがですか?

河村氏:弊社はリアルなコミュニケーションを推進している印象が強いですが、リアルもデジタルもでありとあらゆるアプローチを貪欲に行いたいと考えています。デジタルでもリアルでも認知をして頂きたいですし、デジタルでもリアルでも購入していただければありがたいです。
もともとリアルやアナログコミュニケーションでお客様と関係を築いてきましたのでそこは大切にしつつ、近年はWEBからの購入も増えていますのでそちらにもきちんと向き合っていければと思っています。

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ファンを数字で評価しすぎてはいけない

-ありがとうございます。次の質問ですが、お二方はファンになってもらうために企業がもつべき姿勢についてはどのようにお考えでしょうか。

尾崎氏ファンを数字で評価しすぎない、というのは心がけています。数字で追っているうちは、ライトなファンしか作れないのではなないかと思っています。

河村氏:名言ですね!

尾崎氏:コスメ業界に限ったことではなく、数字だけ追い求めるとオペレーションや配送などお客様への対応が蔑ろになってしまうと思います。そうすると本当のファンにはなっていただけませんし、LTVも高くならないと思います。
なので、今のファンを大切にして、そのファンに喜んでいただける施策を実施していけば自ずと数字もついてくると考えています。

河村氏:確かにそうですね。

尾崎氏:売り上げばかりで判断していたら結局そこまでのファンしか作れないのではと思います。

-マナラさんはいかがでしょう?

河村氏:私たちは、ファンを勝手に決めつけないことを意識しています。どうしてもすぐに「こうした人が自分たちのファンだ」って決めつけがちだと思うのですが、まず直接会ってみるのが一番だなと思っています。

株式会社ランクアップ 河村 樹様 インタビュー

株式会社ランクアップ 宣伝部 ファンサイトチーム 河村 樹氏
マナラ化粧品ファンコミュニティ担当大臣兼マナラファンサイト編集長。入社後、製品開発部として、マスカラやハンドクリームを開発。宣伝部へ異動したのち、ファンコミュニティプロジェクトを立ち上げる。2018年10月より1年間で1000人のお客様と会う”1000meet up"企画を始動。これまでに50回以上のイベントを開催し、延べ600人以上のお客様と交流。

河村氏:たとえば、弊社には「MANARA with」というファンサイトがあります。計画当初は、デジタル上でも活発にコミュニケーションがとれるよう、コメント機能やいいねボタンをつけようとしていました。しかしファンの方にご意見をお伺いしたところ、「そういう機能はいらない」とか「どっちかというと実際に会って交流したい」というご意見が多かったのです。そこで、それまでの計画は一旦白紙に戻し、イベントにお申し込みをするための機能を中心としたファンサイトにしました。やはり実際に会ってお話を聞いてみなければわからないことがありますので、それは大切にしていきたいです。

MANARA with 紹介ページ

マナラのファンサイト「MANARA with」イベント応募ページや過去に実施されたイベントレポートなど、リアルコミュニケーションを補うコンテンツが充実している。

「純粋にファンの方に喜んでいただく」姿勢を大切に

-実際にお会いしてファンの方を知って、それにあったコミュニケーションを設計していくんですね。

河村氏:そうですね。尾崎さんが先ほど仰っていた「数字だけでみない」というお話にとても共感したのですが、ファンの方が喜ぶことじゃないと結局続いていかないと思っています。どんな施策でも、純粋にファンの方に喜んでいただきたいという気持ちで臨むのが良いですよね。

尾崎氏:弊社の場合、まつげ美容液という商品が「継続して使ってもらってこそ」という性質のものですので、どうすれば満足して継続していただけるか、日々試行錯誤しています。例えば今後、継続購入していただいた方にノベルティをプレゼントする施策を検討しています。本当に喜んで使って頂きたいので、デザインを含めクオリティにしっかりとこだわったものにしたいです。こうしたノベルティ施策も、お客様の「継続して買ってよかった」という満足につながればと思っています。
思えば商品の改良なども結局は「ファンの視点で喜んでもらえることを追求する」というのが起点ですよね。お客様に喜んでもらえるために商品を改良し、ノベルティやイベントなど、買ってよかったと思えるような特典を増やしていくイメージでいます。

河村氏 尾崎氏 対談

(左)株式会社ランクアップ 宣伝部 ファンサイトチーム 河村 樹氏
(右)DINETTE株式会社 代表取締役 CEO 尾崎 美紀氏

-ありがとうございます。最後にこれからファンの方とやっていきたい取り組みなどがありましたら教えてください。

河村氏:具体的にはまだ何も決まってはいませんが、共創する、ファンの皆さんと共に何かを作っていく施策には取り組んでいきたいと考えています。例えばに会報誌をファンの方と一緒に作ったり、ジャストアイディアですがメルマガの文面を考えてもらうメルマガコンテストなんていうのも面白そうです。ファンイベントも、一緒に運営側に立っていだたいて企画段階から参加していただく機会を増やせたら、ファンの方の目線が反映されてもっと充実したイベントにできるのでは?と思います。

お客様企画室 様子

マナラ化粧品が実施したお客様と一緒にイベントを考える企画「お客様企画室」の様子。

河村氏お客様と会社の壁をもっと無くしていきたいと思っていますので、一緒に色々な施策に取り組んでいきたいです。

-ありがとうございます。DINETTEさんはいかがでしょう?

尾崎氏:うちは第1弾のまつげ美容液も、次に発売する新商品もお客様の声を拾って作っていますので、商品開発にお客様の声を生かす姿勢は今後も持ち続けていきたいです。あとはやはりファンの方にリアルにお会いする施策は取り組みたいと思っています。
また、SNS上の施策ではUGC(※)活用を始めましたが、お客様に投稿の使用許諾をとる際、今のところ「ぜひ使ってください」と有難いお返事をいただいてます。

PHOBE BEAUTY UPの公式Instagramアカウント ストーリーズ投稿

UGCはオーガニックの投稿にも活用されている。

尾崎氏:今後もお客様とこうした良い関係性を保つためには、お客様が広告やLPに自身の投稿が利用されることを、嬉しいと思っていただけるようなブランドにしていく努力が必要だと思っています。ブランドの知名度をあげたりブランドを洗練させたり、ファンの方のお力を借りながら一緒に成長していけたらと思っています。

(※)UGCとは:
UGC(User Generated Contents)とは企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを言います。 最近はInstagramなどSNSに投稿された写真や動画などが UGCとして注目されています。

いかがでしたか?
ファン施策に取り組む企業がもつべき姿勢や、ファンとの距離感など様々なお話をお聞かせ頂きました。ぜひ、今後のマーケティング施策にご参考ください!