【お客様に「応援」して頂ける関係を目指して】マナラ化粧品 ×DINETTE対談企画・前編〜コスメ業界でファンと関係を深めるための施策とは?

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マナラ DINETTO対談

(左)株式会社ランクアップ 宣伝部 ファンサイトチーム  河村 樹氏
(右)DINETTE株式会社 代表取締役 CEO 尾崎 美紀氏

「肌を変える、人生が変わる」をスローガンにスキンケアを中心としたマナラ化粧品を展開し、女性の肌の悩みに真摯に向き合ってきた株式会社ランクアップ。

ユーザーの方との距離が近い美容動画メディア「DINETTE」を運営し、ファンの声を生かしたプライベートコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を立ち上げたDINETTE株式会社。

共にコスメ業界においてファンとの関係を深め、マーケティング施策を展開する2社はなぜファンを重視するのか?ファンづくりのためにどんな施策を展開しているのか?ファンを大切にするために企業に求められる姿勢とは?

今回は株式会社ランクアップにてマナラ化粧品のイベント運営を担当する河村樹氏と、DINETTE株式会社 代表取締役CEO 尾崎美紀氏によるスペシャルな対談の前編をお届けします。

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なぜ「ファン作り」に注力するのか

-本日はコスメ業界において「ファン」を重視したマーケティング施策を行なっているお二方にお話をお伺いしたいと思っています。まず初めに、ファンを重視したマーケティングを始めたきっかけについて教えてください。

河村氏:弊社は2015年頃から、最初は小規模でファンの方と直接お会いする施策を始めました。始めたきっかけは「会える通販」になりたいと考えたからです。
マナラ化粧品は通信販売がメインですので、お客様からはお電話、お葉書、メールでご意見や感想をいただいていました。ですが、このコミュニケーションだとやはりお客様との間に距離があり、深堀してじっくりお話を聞くことが難しいですよね。加えて、会社の規模が大きくなっていくにつれ、長くお使いいただいていたお客様からは「マナラさん変わったわね」や「大きくなっちゃった」と言われることがありました。これは弊社としてもとても寂しいですし、本質的に変わったつもりはなくてもそう受け止める方もいるのだと気付かされました。
ちょうど、大きなブランディングの変更とパッケージリニューアルの計画がありましたので、直接お客様に気持ちを伝え、これから先変わっていくことがあったとしてもお客様と一緒に変わっていきたいという気持ちが高まり、それまで以上に積極的にお客様と交流する施策に取り組むようになりました。
現在は、「1000meet up」企画として1年間で1000名のお客様にお会いするプロジェクトを実施しています。だいたい月に5〜6回のペースでリアルイベントを開催し、様々なお客様と直接交流する機会をもっています。

株式会社ランクアップ 河村 樹様

株式会社ランクアップ 宣伝部 ファンサイトチーム 河村 樹氏
マナラ化粧品ファンコミュニティ担当大臣兼マナラファンサイト編集長。入社後、製品開発部として、マスカラやハンドクリームを開発。宣伝部へ異動したのち、ファンコミュニティプロジェクトを立ち上げる。2018年10月より1年間で1000人のお客様と会う”1000meet up"企画を始動。これまでに50回以上のイベントを開催し、延べ600人以上のお客様と交流。

-ありがとうございます。DINETTEさんはいかがでしょうか?

尾崎氏:弊社は今年の2月にコスメのブランドを立ち上げたのですが、立ち上げ前の1年半ほど前からDINETTEという美容メディアを運営していました。
既に世の中にはたくさんの美容メディアあるのにも関わらず新しくメディアを立ち上げたのは、ユーザーさんと近い距離にいるメディアが少ないと感じていたからです。せっかくたくさんのフォロワーさんがいても、コンテンツのエンゲージメントが低いメディアや、ユーザーさんへのコメント返信が追いついていないメディアもあるなか、弊社はユーザーさんと距離が近く親近感をもってもらえる存在になりたいと思っています。ですのでメディア立ち上げ当初から、コメントやDMへの丁寧な返信を徹底し、ユーザーさんとのコミュニケーションを重視したメディア運営を行なってきました。
結果としてDINETTEには熱量の高いファンがつき、そのファンの声をもとに立ち上げたのがプライベートコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」です。立ち上げるからにはDINETTEのファンの方に商品をご愛用いただきたいので、商品はDINETTEのフォロワーからとったアンケートの結果も反映して開発しています。
これからもメディアもコスメも、徹底してファンの声を大切にして施策を行なっていきたいと思っています。

DINETTE株式会社 尾崎 美紀氏

DINETTE株式会社 代表取締役 CEO 尾崎 美紀氏
名古屋出身。旭丘高校、中央大学総合政策学部卒。 大学在学時に芸能活動を行い、美容に触れる機会が増え自身も興味を持ち始める。 就職活動で大手企業から内定を貰うが、自分のやりたいことのために起業を選択し2017年3月大学卒業とともにDINETTE株式会社を設立。2019年2月にコスメブランド『PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティアップ)』をスタート。

-ファンとの距離が近いのは素敵ですね。

尾崎氏:DINETTEはメディアですが、頼れる友達や気軽に相談できるお姉さんのような存在でありたいと考えています。たとえば「良いマスカラはなんですか?」とか「この夏おすすめのリップはなんですか?」などの質問もDMやコメントで気軽に聞いていただきたいですし、それに対しては編集部全員で丁寧にお答えして、ファンとの近さを作っていきたいです。

河村氏:素晴らしいですね。

ファンかどうかは購入回数や長さでは判断できない

-それぞれファンの定義は決めてらっしゃいますか?

河村氏:弊社の場合明確な定義はしておらず、商品を1度でも購入して「マナラを好き」でいてくれたらそれはもうファンとお呼びして良いと思っています。
一応ロイヤル顧客様の定義はあるのですが、それとファンはまた認識が別です。商品の購入回数や購買歴の長さだけでは、ファンか否かは簡単に判断できないと思いますのでそこは線引きをしていません

尾崎氏:弊社も明確に定義はしていません。メディアとブランドにそれぞれのSNSアカウントがありますが、例えば今回のまつげ美容液は興味がなくても次の商品は買っていただけることもあるかなと思うので、アカウントをフォローしてくれたらファンだなと思っています。

DINETTE PHOBE BEAUTY UP Instagram公式アカウント

(左)DINETTE公式Instagramアカウント
(右)PHOBE BEAUTY UPの公式Instagramアカウント

-マナラさんですと、購買回数と好き度は別のものとしてお考えということでしょうか?

河村氏:とても具体的な話をすると、今までお客様に直接お会いした経験上、やはり購買回数や購買歴の長いお客様の方のほうがブランドの好き度は高い傾向にあります。ただ、1製品だけを使い始めて1ヶ月のような方でも、とてもマナラを好きでいてくださる方もいるので、それだけで判断はできないなと感じています。それがファンというくくりの難しさであり面白さであるのかなと思います。

-ファンの方が自分の周りの人に商品を薦める、他者推奨度についてはいかがですか?

尾崎氏:それは重要だと思っています。弊社の場合だと特にSNS上の投稿ですが、ユーザーの方の投稿は正直な感想がわかる貴重なもので、実際にその口コミから商品が購入されていることもあります。SNSを盛り上げていけばいくほどファンも広がると思っていますので、「SNSをとても大事にする通販」を目指しています。最近はUGC(※1)を広告クリエイティブに取り入れる施策も始めました。

-UGCの活用も始められたんですね!

尾崎氏:はい。また、これは今後取り組む施策ですが、弊社の商品の素直な口コミ投稿をしてくださった方のなかから、DINETTEが選んだ夏のおすすめコスメをプレゼント、のようなSNS上の口コミを醸成する施策にも取り組みたいと思っています。

-それはファンの方にも喜んでいただけそうですね!マナラさんはいかがでしょう?

河村氏:弊社もお友達紹介は指標においています。弊社の場合お客様の年齢層が高めなこともあり、SNSを日常的に使っている方は多くありませんので、ハッシュタグ投稿やイベントのシェアは呼びかけていません。
ですが、先日のイベントにたまたま以前からInstagram上で交流していたという方が15名ほど参加されて、その場でオフ会が始まったのは興味深かったです。

株式会社ランクアップ 河村 樹様 インタビュー画像

尾崎氏:それはすごいですね!

河村氏:こちらから促すわけではなく自然にコミュニティができたりファンの方同士でLINE IDの交換が行われたりなど、ファンの方同士の輪が広がっていくことは嬉しいですね。今後はどうやってこうした広がりとSNSを結びつけていくかがイベントチームの課題です。

(※1)UGCとは:
UGC(User Generated Contents)とは企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを言います。 最近はInstagramなどSNSに投稿された写真や動画などが UGCとして注目されています。

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「お客様に応援して頂ける関係を築く」マナラ流ファン作りの為の3STEP

-続いて、ファンを作っていくためにどのような施策を行なっていらっしゃるのか教えてください。

尾崎氏:マナラさんには3つのステップがあるとお聞きしています!

河村氏:3つのステップと仰々しく言ってしまっているんですけどそんな難しいものではないです。
まず1つ目は「いっぱい会うこと」。単純接触効果を最初のステップに置いています。「会えば会うほど好きになる理論」のようなものに基づいて、とにかくたくさんイベントを開催しています。イベントは商品発表会や商品のお試し会など商品軸のものと、ワインを飲む会やキャンドルを作るイベントなどの商品やブランドとはあまり関係のないものの2軸あります。
前者はマナラを愛用してくださったり好き度が高い方の参加が多い傾向があります。それに対して後者はもっとライトというか、マナラをそこまで好きだと言うわけではないけれどイベント自体には参加したいなという方にいらしていただくことが多いです。
マナラに対して様々な関与度のお客様のお話をうかがうことで理解が深まりますし、多種多様な企画を実施することで何度もイベントに参加していただき、ファンの方と顔見知りの状態を作りたいと思っています。

マナラ ファンイベント

マナラ化粧品のイベントの様子。ファンに運営に関わって一緒にイベントを作る企画なども実施し、ファンとの関係深化をはかっている。

そして顔見知りになったらステップ2で「内輪感を作っていく」ことをしています
具体的に行なっているのは、同じイベントにいらした方達の仲を良くしたり、弊社関係者の中でしか使っていないような社内用語のようなものをシェアしたりなどです。あとはお客様にもイベントの企画に入っていただくこともありますし、社員とお客様との垣根をなるべく無くしていくことに注力しています
そして3つ目は全体に関わることですが、代表や社員の会社に対する目標や情熱を伝え続けることをやっています。例えば、漫画の「ONE PEACE」(※2)の主人公ルフィは「友達や仲間を大事にする」キャラクターですが、そのルフィが「いやぁ別に友達とか仲間なんてそこまで大事じゃないかな」と言っていたら嫌ですよね。
お客様にファンになっていただくには、まず社員がファンであるべきだなと思うので、そこはきちんと伝えていきたいと思っています。また、同時に「海賊王になる」と言っているルフィが「瀬戸内海の王になる」って言っていたらあまり応援しないかなと思うんですよね。

尾崎氏:なんだか目標が可愛いですもんね(笑)

河村氏:なので今後はブランドをもっとこうしていきたいという長期的な大きな目標を、代表の岩崎から発信することも大切だと思っています。こうしてお客様に「マナラを応援したい」という気持ちになってもらい、結果的に「ファン」になってもらえればと思っています。こちらはまだ仮説で目下検証中のことではあるのですが、このような考えに基づいて施策を設計しています。

尾崎氏:「応援したくなる」ブランドっていいですね。

河村氏:DINETTEさんもその力が強いんじゃないかと思いますがいかがですか?

尾崎氏:弊社の場合はブランドを立ち上げてまだ半年程ですので「応援してもらう」といよりは「ファンの皆さんと一緒に育っている」フェーズに近いのではないかと思っています。たとえば、最初に発売した時にまつげ美容液のブラシが硬いというご意見をいただいたので、次にはそこを改良したりなど、ファンの声によって商品もブランドも成長させていくという意識の方が強いです。
ただ、熱量の高いユーザーさんがメディアにいて、「PHOBE BEAUTY UP」に興味を持ってくださっているのは事実なので、今後はマナラさんのように直接お客様をお会いする施策にも取り組んでいかなくてはいけないなと思っています。

-なるほど、ブランドのフェーズの違いというのもあるのかも知れません。

河村氏:うちは15年目くらいのブランドですが、企業フェーズに関係なく「お客様のお声を製品改良に生かすこと」に積極的に取り組んでいます。それはどのフェーズの企業でも継続的にやっていくべきものかなと思います。

(※2)ONE PEACE
週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の尾田栄一郎による少年漫画。海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公に、夢・冒険・友情などといったテーマをもとに繰り広げられる海洋冒険物語。

「気軽に相談できるお姉さん」的存在を体現するDINETTE流SNS運用

-なるほど。DINETTEさんはどのようにファン作りに取り組んでいらっしゃいますか?

尾崎氏:弊社はSNSでのコミュニケーションがメインになりますが、その中でもライトなファンとコアなファンはいるなと思っています。

-それはどのような違いがあるのでしょう?

尾崎氏:例えばInstagramのストーリーで何かを投稿すると、そこにスタンプを送ってくれるフォロワーさんはライトなファンかなと思っています。だいたいこうしたリアクションは1日で100件くらい頂きます。
それに対して、「次はこんなリップも見てみたいです」とか「このリップ買おうと思っていました!」など自分の言葉でリアクションしてくださるフォロワーさんは、コメントをしたくなるような距離感をもってくださっていて、コアなファンだと認識しています。

-スタンプでリアクションするフォロワーさんが100名いらっしゃるというだけで十分すごいことかなと思います。

河村氏:本当にそこがファンとの近さを象徴していますよね。

DINETTE株式会社 尾崎 美紀氏 インタビュー画像

尾崎氏:ありがとうございます。 いただいたスタンプにはスタンプで、DMメッセージについては文章できちんと返信するというのは徹底して実施しています。

-じゃあ基本的に全部返してらっしゃるんですね。

尾崎氏:はい。今は他の社員に任せているので正確な件数は把握していませんが、私がメディアを始めたときでもスタンプだと1日100件くらい、DMメッセージだと1日20〜30件くらい対応していました。

河村氏:それは大変ですね。

尾崎氏:特にコスメブランドを立ち上げてからはさらにたくさんの質問をいただいています。かなり細かな内容のご質問もいただきますし、「商品のお届け日って変更できますか?」などコールセンターへ問い合わせる内容をInstagramのDMでいただくこともあります(笑)気軽なブランドっていう距離感があらわれているかなと思っています。

河村氏:それはすごいですね(笑)

尾崎氏:あとは「こんなパッケージ待ってました」とか嬉しいお声も頂きますし、「お誕生日プレゼントに送ろうと思ってるんですけどどうですか?」とか本当にいろんなメッセージをいただいています。

-先ほどおっしゃっていたように、ユーザーさんにとっての頼りになるお姉さん的存在になっているんですね。

尾崎氏:ありがとうございます。そうですね。わざわざお店に出向いて、美容部員の方には対面で聞きにくいんだけど顔が見えない分、DINETTEだったら聞きやすいなって思って欲しいです。

 

いかがでしたか?
前編では、主にファンを重視する背景や施策内容についてお話頂きました。後編では、ファン施策の概念や今後のビジョンについて語っていただいています。そちらもぜひご一読ください!

マナラ化粧品 ×DINETTE対談企画・後編
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