I-ne / BOTANIST
「クリエイティブテック(※1)」がデジタルマーケティングを変えるー 今回のインタビュー企業は、2015年以来の累計販売本数5,000万本突破、快進撃が続くシャンプーブランド「BOTANIST」を展開する株式会社I-neです。
Instagramをフル活用、SNS上での話題化をきっかけに大きく成長したことで知られる同社が、次なる一手として選んだのがInstagram上のUGCを活用したマーケティング戦略です。同戦略のもと、具体的な施策を開始してから約1ヵ月で、LPのコンバージョン率(CVR)1.73倍の成果を上げていると言います。
なぜUGCの活用に注目したのか?具体的にどのような施策を実施しているのか?販売本部 ECセールス部 部長代理 足立様・販売本部 ブランドプロモーション部 広報課 山河様に、詳しくお話を伺いました。
課題
解決策
成果
-足立様が所属する部署のミッションと、マーケティングにおいて重視している点を教えてください。
私が所属するECセールス部のミッションは「オンラインの販売チャネルを通じて、いかにお客様に弊社の商品を使っていただくか」です。デジタルを通じたプロモーションは、そのミッションを実現する手段の一つですが、成功に関わる大きな要素の一つに「クリエイティブ」があると考えています。
弊社は創業以来ずっと、「クリエイティブを通じてブランドの世界観を伝えること」をとても大切にしてきました。クリエイティブの精度を追求し、強固なブランドを作りあげることができれば、それは間違いなく弊社の大きな強みになるからです。そのため、ブランディング事業部の中にクリエイティブの専門チームを持ち、パッケージのデザインからオンライン用の広告バナーやLPまで、クリエイティブの制作は基本的に全てインハウスで実施しています。
また、クリエイティブ制作をインハウスで実施することにより、いち早くトレンドをキャッチし、スピード感をもってクリエイティブ制作ができるメリットもあります。それにより、PDCAを高速化させ、ミッション実現を追求しています。
-マーケティングにおいて、「クリエイティブ」をとても重要視されていらっしゃるのですね。ブランドの世界観を大切にしているとのことでしたが、ECでの販売にダイレクトに繋がりそうな「売るためのクリエイティブ」との間にギャップが生まれることはありませんか?その時はどのように対処しているのでしょうか。また、御社がクリエイティブを作る上で大切にしている方針はありますか?
ギャップが発生することはあります。そのような時は、クリエイティブ毎に目的を明確にした上で、ブランディング事業部とECセールス部の間で、ベストなクリエイティブを腹おちするまでとことん話し合います。クリエイティブ制作の最終責任はブランディング事業部にありますが、ECセールス視点でのリクエストもきちんと伝え、お互いにすりあわせながら進めるようにしています。
また、弊社の行動指針の一つに「ボス目線」があります。ここでのボスとは、エンドユーザー(=消費者)を意味します。メーカーが作るクリエイティブは、とかく自画自賛、売り手のエゴになりがちですが、やはり深く顧客を理解し、消費者目線に立った上でクリエイティブを考えることが重要と考えています。
これから消費が「モノ」から「コト」へと変換する中で、そのクリエイティブを通じて、どうしたら弊社の商品を好きになっていただけるのか、特別な感情を抱いていただけるのかを常に考えています。
-クリエイティブ制作における課題はありますか?
弊社ではいくつかのブランドを展開しており、特に新商品のリリースラッシュの時は、広告やLPなど幅広いクリエイティブが必要とされるため、商品の撮影が追い付かないなどの課題があります。
それぞれの商品のクリエイティブにかけられるコストや人的リソースには限りがありますし、特にデジタルの広告は、PDCAを回しながらどんどん新しくしていく必要があるため、常に素材は枯渇しがちな状況です。そのため、できるだけコストや人的リソースをかけずに、素材をたくさん調達できるようなものがあればよいなと考えていました。
-今回新たに、InstagramのUGCをクリエイティブに活用する取り組みを開始されましたが、その理由を教えてください。
以前から、UGC(※2)をクリエイティブに活用する動きには注目していました。
UGCは、実際に商品を使っていただいたお客様、すなわち「ボス目線」の投稿ですので、新しい方にも、「商品を使うことでどのような体験ができるか」「どのようなメリットがもたらされるのか」を具体的にイメージしていただきやすくなると思います。
また、UGCはSNSのフィード面とも相性が良く、ユーザーの方の広告接触時の違和感を緩和し、より自然にリーチできるクリエイティブになるだろう、という考えもあり、UGCを本格的に活用開始することにしました。
-UGC活用の実施にクリエイティブプラットフォーム「Letro」を選択した理由は何ですか?
UGCにも色々な種類がありますが、弊社では、InstagramのUGCが最も視覚的に訴求できると考え、Instagram UGCを効率的に活用できるツールを探していました。最終的には、ツールの使いやすさ、サポート面の手厚さ、運用実績の豊富さから、今回「Letro」を選択しました。
-UGC活用開始に際し、ブランドイメージを大切にする社内での導入ハードルはありませんでしたか?
クリエイティブのクオリティ担保ができるのか等の多少の懸念はありましたが、それ以上に、「UGCの有用性」、「お客様のソーシャルプルーフをコンテンツに活かす」というアイデアそのものに、会社としての理解がありました。
現在は、社内運用体制を整備し、どのUGCに使用許諾申請を出すかも含めて、ブランド事業部が必ず最終チェックすることでクオリティを担保しながら、UGCの活用を進めています。
また、LetroではどのUGCに効果があったのかの数値測定がしっかりできる点も、社内でUGC導入を推進しやすかった理由の一つになっています。
-UGC活用の具体的な内容を教えてください。また、導入後の結果はいかがでしたか?
まずは、様々な商品やキャンペーンのLPにInstagramのUGCを活用するところから開始しました。
こちらのクリスマスコフレのLPでは、ファーストビューの次にInstagram UGCを配置。写真だけでなく、ユーザー名やコメントもあわせて表示させました。
その結果、ページのCVRは開始後1カ月で1.73倍に向上、ヒートマップ上でも、UGCを配置したエリアが真っ赤になっていました。他のLPでも同様の結果が得られており、UGCの導入が大きな成果に繋がったと考えています。
実は、自分自身、UGCの活用前は半信半疑なところもあったのですが(笑)、この結果を見て、お客様が求めていることはこういう情報だったのかな、と考えさせられました。
-その他、UGC活用による効果を教えてください。
UGCにより、確実に素材が増えており、素材の調達コストの低減に役立っていると思います。先にお話しした通り、常にクリエイティブの枯渇は課題として認識していたため、UGCから取得したクリエイティブをどんどん足していけるのはとても助かっています。
-今後、どのようにUGCを活用していきたいとお考えですか?
まずは、LPだけではなく、広告のクリエイティブにもUGCを活用していきたいと考えています。静止画だけでなく動画への活用なども含め、それぞれの媒体面に一番最適なUGCは何なのかの勝ち筋をいち早く見つけていきたいです。
また、デジタル用のクリエイティブのみならず、メールマーケティングや、紙媒体、販促物など、色々な使い道でUGCを活用できると思います。
今後、消費者のSNS利用習慣がどんどん変化するにつれ、UGCマーケティングの形式も変化し続けると思いますが、「UGC」がミレニアル世代の消費者にリーチするのに有用な手段であること、マーケティング担当者にとって有用なツールであることに変わりはないのではないでしょうか。
これからは、よりテクノロジーが進化を遂げ、UGCのパターンが機械学習されたり、よりパーソナライズ化されたクリエイティブを提供できるようになるのではと期待しています。このあたりのトレンドやニーズをいち早くキャッチし、マーケティング戦略の幅広いところで活用していきたいです。
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記事公開日:2019.05.21