マストバイキャンペーンは、菓子、飲料、食品、化粧品など多くのメーカーで採用されているマーケティング手法の一つです。生活者による商品の購買を直接的に促す施策であり、メーカーによる対小売店の棚取り施策の一つとしても用いられています。
昨今は、マストバイキャンペーンの効果をさらに高める、新たな方法が出てきていることをご存じでしょうか?SNSで集客を行い、より多くのユーザーを巻き込む手法です。
マーケティング戦略を立案するうえで他社との差別化を図ることが重要である今日、新たな視点を持つことは大変重要です。
本記事ではマストバイキャンペーンの基本を解説するとともに、昨今注目されている新しいアプローチ手法のメリットや成功事例についてもお伝えします。
本章では、マストバイキャンペーンの企画・立案に際して理解しておくべき基本を解説します。
マストバイキャンペーンとは、商品・サービスの購入を促進する一種のマーケティング手法です。生活者が特定の商品を購入することが応募条件となっているキャンペーンを指します。
【例】
いずれの場合も、商品を購入した証明となる物品・データ(購買証明)を応募に用いるフローが一般的です。
マストバイキャンペーンは、「クローズドキャンペーン(クローズド懸賞)」の一種です。
「クローズドキャンペーン」とは、特定の条件を満たした生活者だけが参加できるプロモーション形態のことです。
マストバイキャンペーンは、特定の商品を購入する条件を満たすことで生活者がキャンペーンに参加できるため、「クローズドキャンペーン」の一種に当てはまります。
日本の「景品表示法」では、企業が生活者に対して景品を提供する懸賞は、以下の3つに分類される、とされています。
[参考]景品規制の概要 | 消費者庁
マストバイキャンペーンは上記のうち、「共同懸賞」「一般懸賞」に当てはまり、キャンペーンを通して生活者に付与する景品の上限価格が定められています。
【例1】
あるメーカーが、単独で定価100円の商品のマストバイキャンペーンを行う場合、「一般懸賞」にあたります。
商品1点購入で応募できる景品の価格は「取引価額の20倍」と定められていて、2,000円まで、となります。
商品20点購入で応募できる景品の価格は4万円まで、となります。
商品50点以上になると取引価格は5,000円を超えますから、景品価格は10万円が上限となります。
[出典]景品規制の概要 | 消費者庁
【例2】
複数のメーカーが共同でマストバイキャンペーンを行う場合は、「共同懸賞」にあたります。
その場合、商品単価、キャンペーン応募に必要な購入数に関わらず、景品の価格は30万円が上限となります。
[出典]景品規制の概要 | 消費者庁
「クローズドキャンペーン」の対義語として「オープンキャンペーン(オープン懸賞)」という言葉もあることを知っておきましょう。
「オープンキャンペーン」とは、特定の条件を満たす必要がなく、誰でも参加できるプロモーション形態を指します。
(例)
など
「クローズドキャンペーン」と「オープンキャンペーン」の主な違いは、「参加条件」と、それに伴う「参加者の関与度の高さ」だと言えるでしょう。
クローズドキャンペーン(マストバイキャンペーン含む)は、参加条件があるがゆえ、参加者は限られます。しかしその一方で、条件クリアを通して参加者の関与度や、ブランドへのコミットメントを高めることが期待できます。
一方、オープンキャンペーンは参加者の制限がないため、より広範な生活者にリーチすることが可能です。しかしその反面、生活者の関与度が低くなる可能性も考えられます。
マストバイキャンペーンを実施する意義として、大きく以下の2点が挙げられます。
特定の商品に対して、マストバイキャンペーンがきっかけとなって、生活者が初めて商品を手に取る可能性が高まります。
そのため、特に新製品の発売や、シーズナル商品の販売、または販売低迷を打開するために使用されることが多いと言えます。
店頭売上につながりやすい施策であるため、小売店での棚取り施策に欠かせないプロモーション手法の一つとして定着しています。
前出の通りマストバイキャンペーンは、参加条件(=商品購入)が存在するため、参加できる生活者はある程度絞り込まれます。
しかしその一方で「(懸賞参加のチャンスを獲得できるなら)その商品を、ぜひとも手にしたい、試したい」という、生活者側の意識の表れだとも言えるでしょう。
キャンペーン参加を通して、生活者のブランド関与度を高めることが期待できるため、単に商品を販売するだけでなく、生活者との長期的な関係を築く重要なきっかけづくりにもなり得る施策です。
マストバイキャンペーンの具体的な実施手法として、以下の4パターンが考えられます。
マストバイキャンペーンの成功は、魅力的な景品の提供と、自社らしさや、オリジナリティをうまく打ち出すキャンペーン設計に大きく左右されます。
以下、それぞれの要素を詳細に探っていきましょう。
景品はマストバイキャンペーンの魅力を大きく左右します。ユーザー視点で「欲しい!」と思う商品・サービスを景品にすることで、参加意欲を引き出し、より多くの応募を促すことができるでしょう。
ただし、「景表法」に注意が必要で、付与する景品の上限額が決められています。正しくルールを理解し、適切な範囲内で魅力的な景品を用意しましょう。
魅力的な景品だけでなく、キャンペーンそのものの設計も重要な要素です。
・応募方法のエンターテインメント性、ユーザーにとっての楽しさを考える
キャンペーンの応募が単なる「手続き」ではなく、特定のシールやパッケージの一部を集めて応募するなど、ユーザーにとって「楽しみの一部」「ゲーム感覚」と捉えてもらえるように設計すると良いでしょう。
ユーザーが応募期間中そのものを、楽しみに感じながらキャンペーン参加できるよう、ユーザー視点に立って企画立案するのがおすすめです。
・キャンペーン告知がSNS上で拡散しやすいようにする
告知方法もキャンペーンの成功に大きく影響します。
X(Twitter)などを活用して情報を広めることで、多くのユーザーにアクセスしてもらえる可能性が高まります。キャンペーンに関する情報が拡散され、ユーザー同士が情報に接触しやすい設計にすることで、口コミ効果を最大限に活かすことも可能です。
・応募フローにストレスがないか、ユーザー視点で考える
ユーザーがストレスなく参加できる「応募しやすさ」も大切なポイントです。
応募手続きが複雑すぎたり、必要な情報が不足していたりすると、ユーザーは参加を躊躇したり、応募画面から離脱してしまうかもしれません。
応募方法を極力シンプルにする、必要な情報を明確に伝える、ユーザーサポート体制を整えるなど、ユーザーがスムーズに応募できる環境を整備しましょう。
マストバイキャンペーンの成功を測るためには、さまざまな観点から評価することが重要です。以下、4つの主要な評価軸を詳しく見ていきましょう。
キャンペーンの成功の一つの指標となるのが、応募者数の多さです。
魅力的なキャンペーンを設計し、それが生活者に伝わった結果、多くの応募が集まると、それはキャンペーンが成功した証と言えます。
反対に、期待した応募者数に達しなかった場合、キャンペーンの設計や、その広告・告知方法に改善の余地があることを示唆しているとも言えるでしょう。
マストバイキャンペーンの目的の一つは、商品の売上増加です。したがって、キャンペーン期間中の売上は非常に重要な評価軸となります。
キャンペーンの魅力が顧客の購買意欲を刺激し、結果的に売上につながったかどうかを見ることで、キャンペーンの効果を具体的な数値で評価することができます。
キャンペーンがSNSでどのように受け取られ、どれだけ拡散されたかも、成功度を示す重要な指標となります。
ユーザーからのコメントやシェアの数、いいねの数などをチェックすることで、キャンペーンの評判や影響力を評価できます。
マストバイキャンペーンは、生活者だけでなく流通側(小売店など)にも大きな影響を与えます。よって、流通側からの反応やフィードバックも重要な評価軸の一つです。
例えば、商品の陳列方法の変更要望や、再度キャンペーンを行う意向の有無など、流通側の意見はキャンペーンの改善点を見つける貴重な情報源になるでしょう。
従来のマストバイキャンペーンは、物理的な場所(生活者は店頭まで行かなければならない/メーカーは商品を店舗に配架しなければならない)や時間(期間限定)に依存する性質があるため、幅広い層にアピールするのが難しいという側面もあります。
また、製品の特性や価格設定、プロモーション戦略を変更する際には、多くの時間やコストがかかるため、頻繁にキャンペーンの仕様を変えることが困難であるという点も挙げられます。
そこで今、マストバイキャンペーンの新しいアプローチが注目されているのです。
新たなアプローチとして、SNSを活用したマストバイキャンペーンへの注目が高まっています。
このような新しいアプローチは、従来のマストバイキャンペーンの課題を克服し、より効果的なキャンペーン展開を可能にします。
カルビーやロゼットなど、マストバイキャンペーンへの集客で売上にも貢献した成功事例を厳選。無料のお役立ち資料をぜひご活用ください!
ここでは、カルビー「カルビー総選挙」とロゼット「ロゼット洗顔パスタ」が実施したマストバイキャンペーンが、SNSとの連携により新たな集客経路の開拓に成功した事例を紹介します。
[出典]投票数約72万!「カルビー総選挙」に学ぶ、店頭販促の成果を高めるSNS戦略
カルビーは、商品を購入して応募してもらうマストバイキャンペーン「カルビー総選挙」において、より多くの方に企画を認知してもらうことを目的に、あわせてX(Twitter)上でのオープンキャンペーンを実施した。
X(Twitter)における100日連続企画のうち、最初の27日間は「echoes」を使用したインスタントウィンキャンペーンを実施。アカウントフォロー&対象の投稿をリポスト(RT)すると、抽選で50名様に堅あげポテト1ケースが50名様に当たる。
手軽なフォロー&リポスト(RT)の応募形式と、その場で抽選結果が分かるインスタントウィン形式により参加モチベーションを高める工夫をした。さらに、抽選結果を確認するためにマストバイキャンペーンのWebサイト上に遷移するフローを取り入れることにより、マストバイキャンペーンへの大規模送客を狙った。
✓ X(Twitter)キャンペーンからマストバイキャンペーンページへの送客数:約44万
✓ カルビーアプリ経由のマストバイキャンペーン応募者のうち、X(Twitter)施策をきっかけに応募した人の割合:約18%*
*スマートフォンアプリ「カルビールビープログラム」から応募した方のうち「カルビーPR部公式アカウントをきっかけに応募した」と回答したユーザー
応募者のうち約18%がTwitter経由となり、マストバイキャンペーンへの新たな集客チャネルを開拓することに成功した。
カルビーの事例について詳しくはこちら
▶投票数約72万!「カルビー総選挙」に学ぶ、店頭販促の成果を高めるSNS戦略
[出典]マストバイキャンペーン応募数6.8倍!「ロゼット洗顔パスタ」に学ぶ、集客効率を大幅改善した方法とは
マストバイキャンペーンは従来も実施していたものの、以下の課題があったため、課題解決のための打ち手を講じた。
✓TVCM・SNSキャンペーンと時期を連動させ、マストバイキャンペーンへの導線を強化
露出が最大化されるTVCM放映タイミングに合わせ、拡散性の高いX上でオープンキャンペーンを同時開催し、マストバイキャンペーンへのアテンションを高めた。
✓ォロワーが集まっているアカウントを活用して、X(Twitter)キャンペーンからシームレスにマストバイキャンペーンへ送客する座組に
SNS広告だけでなく、既に約4.6万人のフォロワーを抱えるX(Twitter)アカウント上でキャンペーンを実施し、短期的な情報拡散を図った。
手軽なフォロー&リポスト(RT)の応募形式と、その場で抽選結果が分かるインスタントウィン形式により参加モチベーションを高める工夫をした。さらに、抽選結果を確認するためにマストバイキャンペーンのWebサイト上に遷移するフローを取り入れることにより、マストバイキャンペーンへの大規模送客を狙った。
✓マストバイキャンペーンをインスタントウィン化し、一人が何回でも参加したくなる仕組みに
マストバイキャンペーンは、参加意欲向上を狙い、レシートをアップロードするとその場で抽選結果が分かるインスタントウィン形式で実施。また、レシートを複数枚アップロードするとポイントが溜まるマイレージ形式も取り入れることで、複数回の参加(購入)を促し、中だるみの軽減と応募数の増加を図った。
✓ X施策からマストバイキャンペーンページへの送客数:約16万
✓ X施策をきっかけにマストバイキャンペーンへ参加した人の割合:約32%*
*Xキャンペーンで送客した期間中と終了後1週間の期間にマストバイへ応募した方のうち 「Xキャンペーンをきっかけに応募した」と回答したユーザー
従来は店頭告知やSNS広告といった限られた取り組みが中心だったものの、SNSと連動してマストバイキャンペーンを実施する座組を検証できたことで、施策の選択肢の幅も広がり、今後ますます購買への貢献度を高められるのではと期待している。
【店頭POS実績が前月比117.7%!】ロゼットの事例について詳しくはこちら
▶マストバイキャンペーン応募数6.8倍!「ロゼット洗顔パスタ」に学ぶ、集客効率を大幅改善した方法とは
以下、マストバイキャンペーンとSNSを連携させる際に留意すべき点を解説します。
自社の製品・サービスに最も興味を持つ可能性があるターゲット層を理解し、そのニーズや関心事に基づいた情報発信や訴求が重要です。キャンペーン告知がより響き、参加意欲を高めることにつながります。
SNS上では、単なる商品情報だけではなく、エンターテイメント性や情報性、共感性を持ったコンテンツが求められています。そのため、生活者が共有したいと思うような魅力的なコンテンツ作りがポイントです。
マストバイキャンペーンは長期間に渡ることも多く、途中で盛り上がりが鈍化し、マンネリ化するリスクも。そのため、期間中も新鮮さを保つ工夫が必要で、例えばレシートキャンペーンにインスタントウィンの仕組みを取り入れることで、応募率の改善が期待できるでしょう。
SNSではユーザーが自由に意見を共有できるため、ネガティブな意見やクレームが広がる可能性もあります。このような場合でも企業側から適切にコミュニケーションを取り、クチコミに対応することが重要です。そのためには、定期的なSNSモニタリングと、迅速な対応策の準備も必要です。
SNSでは、ユーザーエンゲージメントに関するさまざまなデータを収集することが可能です。このデータを分析し、ユーザーの嗜好や反応を理解することで、より効果的なキャンペーンを展開することもできます。そのためには、適切なデータ分析スキルやツールの利用も必要です。
SNSを活用する際には、個人情報保護法や各SNSの利用規約など、法規制の遵守が必須です。特に、キャンペーンで生活者の個人情報を収集する場合には、その取扱いに十分注意することが求められます。情報の取扱いについては透明性を持つと共に、ユーザーに対しても適切に説明することが重要です。
マストバイキャンペーンは、生活者の商品購入意欲を高め、強力に販売促進ができる施策です。実施前に明確にKPI設定をしておくことで、その成果を数値によって測定することが可能です。
その一方、世の中のデジタル化が進行するに連れ、マストバイキャンペーンの実施手法も進化していると言えます。昨今はSNS、なかでも特に拡散性の強いXとの連携により、より広範な参加者を募る事例も見られるようになりました。
競合他社との差別化を図るためには従来の方法にとらわれることなく、SNSを集客チャネルとして活用することが大変有益です。デジタル上での顧客接点を具体的な店頭購買につなげることが可能になります。
このような手法は、ブランドの生活者に対するリーチを広げつつ、購入意欲を引き出すメッセージを伝えることにつながります。
今後、マストバイキャンペーンを立案する際には、SNSとの連携をぜひとも検討してみてください。
弊社が提供するSNSキャンペーン販促オールインワンサービス「echoes」では、独自の機能によりXとマストバイキャンペーンシステムを連携しており、店頭での訴求を中心とした従来のマストバイキャンペーンよりも参加数を改善した実績も多くございます。
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【X(Twitter)での商品認知から、店頭購買につなげる!】
▶echoes、Twitterでの商品認知から店頭購買につなげる新サービス「echoes Mustbuy(マストバイ)」を提供開始!レシート応募キャンペーンシステム「itsmonレシート」「itsmonマイレージ」と連携
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