ロゼット株式会社 / ロゼット洗顔パスタ
2023.10.17
化粧品・日用品、食品・飲料などの消費財メーカー企業において、今やSNSマーケティングは必要不可欠なプロモーション手法のひとつだと言えるでしょう。しかしながら、SNSと売り場が離れていることから売上貢献が可視化されず、販促施策として欠かせないマストバイキャンペーンにおいても、SNS集客のPDCAが回せていないケースが多く見られます。
実際に「SNSアカウントを運用しているものの、費用対効果が可視化されず投資判断しづらい」、「マストバイキャンペーンを実施しているものの、集客に苦戦し応募数が伸びない」と悩んでいるマーケティング担当者、販促担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「ロゼット洗顔パスタ」を主力ブランドとして展開する化粧品メーカーのロゼット株式会社 マーケティング部 泉 志穂氏にインタビュー。過去のマストバイキャンペーンと比較して約6.8倍の応募数を獲得し、マストバイキャンペーンの応募者のうち3割以上が「X(旧Twitter、以降「X」とのみ記載)キャンペーンきっかけ」となるなど、集客効率を大幅改善した取り組みについて詳しく伺いました。
※本記事は2023年9月14日(木)にアライドアーキテクツ株式会社が開催したセミナー「ロゼット登壇!【売上を拡大するSNS販促戦略 #2】マストバイキャンペーン応募数6.8倍!集客効率を大幅改善した方法とは」の内容を編集したものです。
-まずは、ロゼット様の商品情報を教えてください。
ロゼット株式会社は、1929年に日本初のクリーム状洗顔料「ロゼット洗顔パスタ」※を発売して以来、洗顔料を中心としたスキンケアブランドを中心に展開しています。全国の量販店様から、ドラッグストア様、バラエティショップ様といった、弊社商品をお取り扱いいただいている店舗様での国内販売が中心です。それ以外にも、東アジア、東南アジアを中心とした海外販売、通信販売、医家向けにスキンケアシリーズの展開や、OEMも行なっています。
※ 1951年「レオン洗顔クリーム」から商品名を変更
ロゼット株式会社の主力商品ラインナップ
-SNS運用において課題に感じていることはありますか?
多数ブランドを抱えているものの、昨年まではロゼット公式アカウント1つのみで運用していました。しかし、複数ブランドによる情報発信が重なることで、フォロワーであるお客様にとって分かりにくく、情報を適切に届けられていない点を課題に感じていました。
2021年にはバラエティショップ様向けの新ブランドを立ち上げましたが、複数ブランドの発信が混在することで、弊社に対するイメージが「ドラッグストアに売られている商品」と既存のイメージに偏っているなど、ブランドの特色が浸透していない課題もありました。
そこで、各ブランドごとにファンを獲得しコミュニケーションを強化するため、今年からブランドや事業別にアカウントを分ける形での運用を開始しました。
Xではブランドの最新情報の発信や、ファンとのコミュニケーションを目的に、Instagramではブランドの世界観や詳しい商品情報などを伝えることで、ブランドのファンを獲得していくことを目的に運用しています。
弊社では、SNSアカウント運用の専任はおらず、プロモーション施策のうちの1つの位置づけとしてブランド担当が運用しているため、限られたリソースでいかにフォロワーを獲得し離脱を防げるか、フォロワーとのコミュニケーションを強化できるかが重要と捉えています。
実は、マーケティング部に在籍しているメンバーの数よりもブランド数や商品数の方が多いため、1名が複数ブランドのアカウント運用を掛け持ちしているようなケースもあります。
ロゼット株式会社 マーケティング部 マーケティング1課 係長 泉 志穂 氏
2017年4月ロゼット株式会社へ新卒で入社。主力ブランドである『ロゼット洗顔パスタ』の商品企画からプロモーションの戦略立案実行に従事。プロモーションにおいてはTVCMやデジタル広告、SNS運用やインフルエンサー施策などの広告宣伝全般、店頭販促まで幅広く担当。
-ブランドのファン獲得の一環で、クレンジングブランド「夢みるバーム」商品発売時など、これまでにUGC施策も実施されていました。UGC施策によって、フォロワーのブランド認知率や次回意向購入率が上昇したことも明らかになりましたね。現在、UGCの重要性をどのように捉えていますか?
ブランドのファンを獲得するには、メーカーからの情報発信だけでは不十分で、UGCが重要と考えています。
ブランドからの情報発信は、商品の概要を知ってもらうことにとどまりますが、UGCは第三者視点の「リアルな使用感」をお伝えできるため、購買時の判断材料として非常に重要です。
UGCの見え方はX、Instagramなど媒体ごとに異なるため、それぞれのユーザーに合わせた情報提供を心掛けています。
「夢みるバーム」のプロモーションでは、商品発売タイミングだけでなく、その前後の期間においてUGCを複合的に活用することで、ブランド認知率と次回購入意向率の向上につなげることができました。
-今回の「ロゼット洗顔パスタ」のプロモーションでは、SNSはどのような役割を担っていましたか。
日頃のSNS運用やSNSキャンペーンは、マス施策/デジタル施策/店頭施策と同様に、重要なプロモーション手法の1つです。SNSでは商品情報やキャンペーン情報を発信しつつ、他の施策と連動させて情報を拡散することが大切です。
「ロゼット洗顔パスタ」のX公式アカウントでは、立ち上げから約4ヶ月半で約4.6万人のフォロワーを獲得することができました。ただし、キャンペーンが終了するとフォロワーが減少する傾向も見られるため、離脱を防止し、ブランドファンとの繋がりを深めていくことを指針としています。
フォロワー数の推移。後述するTVCM連動キャンペーンでは特に大きくフォロワー数を伸ばしていることが分かる。
-店頭施策は泉さんが所属するマーケティング部門とは別管轄かと思います。他社様でも、店頭施策は管轄が異なることが多いと伺っておりますが、部門間連携における課題はありますか?
マーケティング部門が実行するマスとデジタルを活用したプロモーションを、購買に近いプロモーションにどうつなげていくか頭を悩ませています。
同時期に施策を実施したり、店頭施策をSNSで告知するなどして相乗効果を生み出していきたいものの、肝心の効果検証を、我々のマーケティング部門と店頭施策を担う営業部門それぞれで実施している現状もあり、施策を連動したとしても貢献度が見えづらい点に難しさを感じていました。
ー2023年6月には「ロゼット洗顔パスタ」を対象としたマストバイ施策「笑顔、ずっと、つづけ。キャンペーン」がスタートしました。このマストバイキャンペーンにおける集客を大幅改善した観点で、X活用のポイントについてお聞きかせください。
商品を購入したレシートでご応募いただけるマストバイキャンペーンを、CMなどマス施策とも連動する形で開始しました。店頭でのPOPやQRコードも活用しながら、キャンペーンの告知を進めています。
マストバイキャンペーンを企画した背景として、前述したように、
といった狙いがありました。
しかしながら、実は過去に実施したマストバイキャンペーンでは、残念ながら応募数が想定を下回る結果となっていまい、購買に対するインパクトも十分ではありませんでした。その要因として大きく3つの課題がありました。
限られた商品スペースで店頭POPなどを活用しても、アテンション効果が小さく、店頭に訪れた方への購入の後押しが不十分でした。
SNS広告は幅広い層の方に告知できるものの、どれだけの方に情報を届けられるかは投資する予算次第で、かつ広告を見た方がマストバイキャンペーンに参加してくれたかの効果検証ができず、費用対効果を可視化しづらい側面もありました。
キャンペーン応募は開始直後に集中しやすく、前回の事後抽選型、かつ長期間に及ぶ場合、中盤以降の応募数が鈍化してしまう傾向にありました。
そこで、今回は課題解決のための打ち手を講じました。
露出が最大化されるTVCM放映タイミングに合わせ、拡散性の高いX上でオープンキャンペーンを同時開催し、マストバイキャンペーンへのアテンションを高めました。
SNS広告だけでなく、既に約4.6万人のフォロワーを抱えるXアカウント上でキャンペーンを実施し、短期的な情報拡散を図りました。
Xキャンペーンは、アライドアーキテクツ社のSNSキャンペーンツール「echoes」を利用して実施しました。手軽なフォロー&リポスト(RT)の応募形式と、その場で抽選結果が分かるインスタントウィン形式により参加モチベーションを高める工夫をしました。さらに、抽選結果を確認するためにマストバイキャンペーンのWEBサイト上に遷移するフローを取り入れることにより、マストバイキャンペーンへの大規模送客を狙いました。
マストバイキャンペーンは、参加意欲向上を狙い、レシートをアップロードするとその場で抽選結果が分かるインスタントウィン形式で実施しました。また、レシートを複数枚アップロードするとポイントが溜まるマイレージ形式も取り入れることで、複数回の参加(購入)を促し、中だるみの軽減と応募数の増加を図りました。
レシート応募キャンペーンシステムについて詳しくはこちら
▶Xでの商品認知から店頭購買につなげるサービス「echoes Mustbuy(マストバイ)」
-マストバイキャンペーンの成果について教えてください。
2023年6月からキャンペーンを開始し、6月の店頭POS実績が前月5月実績と比較して117.7%と、一定の成果を上げることができました。
-今まで獲得してきたフォロワーという資産をしっかりと活用され、店頭販促と連動しながら、売上に貢献できたキャンペーン施策になったということですね。Xの取り組みについて、社内ではどのような評価でしたか?
マーケティング部としても、個人としても、Xの施策による購買へのインパクトを実感しており、主に2つのポイントで評価させていただいております。
「echoes」を活用したXキャンペーンにより、マストバイキャンペーンへの大規模送客に成功しました。成果のインパクトはもちろん、そもそもこのような成果を定量的に可視化できたこと自体が大きな価値と捉えています。
✓ X施策からマストバイキャンペーンページへの送客数:約16万
✓ X施策をきっかけにマストバイキャンペーンへ参加した人の割合:約32%*
*Xキャンペーンで送客した期間中と終了後1週間の期間にマストバイへ応募した方のうち 「Xキャンペーンをきっかけに応募した」と回答したユーザー
SNS広告は、ブランドと関連性のあるユーザーをターゲティングするものの、広告を見たユーザーはどうしても受け身になりがちです。一方、今回のような参加型キャンペーンの場合、少なからず「ロゼット洗顔パスタ」に興味関心があるアクティブなユーザーが反応し、能動的に参加いただくため、次につながる可能性の高いユーザーにアプローチできたのではないかと考えています。
ー今回のマストバイキャンペーンの成果を受けて、その他にも社内での反応や取り組みの変化はありましたか?
マストバイキャンペーンの効果を定量的に検証できるようになったことは大変有意義で、今後の施策設計における参考値としても役立つと考えています。
従来は店頭告知やSNS広告といった限られた取り組みが中心でしたが、SNSと連動してマストバイキャンペーンを実施する座組を検証できたことで、施策の選択肢の幅も広がり、今後ますます購買への貢献度を高められるのではと期待しています。
-TVCMができない商品・サービスでも、リーチの補完としてXで露出を確保することで、今回のようにマストバイキャンペーン応募に一定数つなげられるのではと思います。
-「echoes」では、「フォロワー」「UGC」「購買」それぞれの成果を高めて循環させ、売上貢献・可視化につながる運用型サイクルを生み出すX活用を提唱しています。今回の取り組みは、マストバイ応募の集客チャネルを拡大し、SNS施策の貢献度を可視化できた点において、まさにこのモデルを実践いただけたのではないでしょうか。
2024年は、ロゼット株式会社にとって「ロゼット洗顔パスタ」の発売から95年目を迎える特別な年となります。この節目の年には、ファンの皆様とのコミュニケーションを深め、ブランドの好感・認知をさらに高めていくことが非常に重要だと考えています。リアルイベントも開催するなどして、ファンの皆様と直接コミュニケーションをとる機会を大切にしていきたいです。
今回の取り組みを通じて、Xのストック資産(フォロワー/UGC)を活用したり、各施策を適切に連携することで、プロモーションの可能性が広がることを実感できました。効果検証できたことで、新たな視点で考えるきっかけにもなりましたので、今後も取り組みを継続していければと思っています。
メール及び電話にて回答させていただきますが、回答までにお時間をいただく場合があります。
あらかじめご了承ください。