株式会社生活総合サービスは、「通販だからこそ、手渡すように届けたい」という思いのもと、「ていねい通販(※1)」を通じて消費者の日常に寄り添った商品とサービスを提供し、豊かな暮らしの実現を目指しています。同社は「すっぽん小町」の成功を背景に、新たなビジネスの柱として青汁市場に挑戦することを決定。この新たな試みは、消費者に愛され続けるブランド「boco to deco」の立ち上げへとつながりました。
今回のインタビューでは、株式会社生活総合サービスの経営管理部リーダー戸田氏と、広告運用責任者の濵本氏、同チームの堀氏に、boco to decoのブランド構築の背景や、成長に貢献した具体的な戦略について詳しく伺いました。また、Letroの導入が事業にどのような影響を与えたのか、そして将来的な事業展開の展望についてもお聞きしました。
※1:ていねい通販...すっぽん小町、高麗美人、boco to decoなど、女性のキレイと元気を応援する健康食品・化粧品のオンラインショップ
ーboco to decoの立ち上げ背景を教えてください
濵本氏:
まず、株式会社生活総合サービスにとって、「すっぽん小町」は売上の大きな柱であり会社の業績に大きな影響を及ぼしていました。そのため、仮に「すっぽん小町」の売上が低迷した場合、会社全体の経営に深刻な影響を与えるリスクがあるという経営課題が懸念されていました。
加えて、「すっぽん小町」は、主にママ層に強く認知されていたため、「ていねい通販」ブランド全体が「ママのための会社ブランド」というイメージに固定化されてしまうリスクも危惧されていました。これにより、弊社は新たな商品ラインを展開し、幅広い消費者層にアピールできるブランドの構築が必要だと考えました。
このような背景から、新たな柱となる商品開発プロジェクトが始動し、2021年9月に「boco to deco」のブランド立ち上げがスタート。2022年6月の商品ローンチを経て、次なる成長の柱として更なる事業拡大を目指しています。
ーboco to decoはレッドオーシャンである青汁市場ですが、なぜこの市場を選んだのでしょうか?
戸田氏:
まず、青汁市場は健康食品市場の中で、「体に良い」や「野菜不足を解消できる」という明確なイメージがすでに消費者に浸透している商品カテゴリーです。そのため、「効果」について詳細に説明する必要がなく、その先にあるブランドの「想い」や「思想」といった、より深いメッセージを伝えることに注力ができると考えました。この点で、青汁市場は他の健康食品と比較して、ブランド独自の価値観を訴求しやすい土壌が整っているという利点があります。
このため、新たに立ち上げたブランドが「名前で呼ばれる」「愛される」ブランドとして独自性を出せる可能性があると見込みました。
こうした市場特性や課題を背景に、boco to decoは青汁市場に参入することを決定し、「愛される青汁ブランド」を作ることを目指してスタートを切りました。
ー立ち上げから今までどのような転換のポイントがありましたか?
戸田氏:
立ち上げから現在に至るまでの転換の中で、最も大きな変化は、2023年からのマーケティング活動における自社制作と自社運用へのシフトです。これまで代理店や制作会社に依頼していた運用や制作を、自社で手掛ける体制へと移行しました。この移行によって、boco to deco独自のクリエイティブを追求し、「新しい王道を作る」という目標を持って推進することができました。
自社運用の下で、制作物に対する改善スピードがアップし、効果的なPDCAサイクルの実行が可能となり、商品が売れるという実感が社内外に浸透しました。これにより、クリエイティブ戦略の見直しや調整を自社で積極的に行い、より柔軟な対応ができるようになりました。
しかしながら、事業のスケールアップという観点では、協力会社の力が非常に重要でした。規模を拡大するために協力会社の支援を受けることで、より大きな市場での存在感を実現することができるのではないか。そう考えて、協力体制を整えていきました。この協力体制によって、より多様な視点を取り入れることが可能になり、ブランド全体の成長スピードを加速させています。
boco to decoの成長は、自社制作・自社運用の基盤構築と、協力会社との連携によって支えられています。
ーなるほど。転換期にいる最中はどのようなことにこだわりましたか?
戸田氏:
まず、敢えて「やらないことを決める」ことが大きく役立ちました。一般的に試される多くの方法を排除することで、独自の価値を形成できました。例えば、お試し価格や目新しい効果を強調する売り方はしないことに決め、反対に製品開発のストーリーを徹底して伝えることに集中しました。この結果、LPの長さは通常の5倍、時には7~8倍になり、CVボタンが1つしかない場合もありましたが、この強いこだわりが大切だと考えています。
またこの転換の一部として、売る際には「機能ではなく物語を売る」という哲学がありました。例えば、成分量を競うことなく、商品に秘められた背景や哲学を体現したクリエイティブに焦点を当てるなどに徹底しました。
結果として、boco to decoはD2C業界の常識に反するかもしれませんが、見た目や細かな部分にまでこだわり抜きました。その中でも、Instagramなどでの視覚的訴求やキャプションにまでこだわった点が、他のブランドとの差別化に成功したのではないかと思います。
このように、boco to decoは単なるプロモーション戦略ではなく、「物語を売る」というアプローチを実現したブランドです。
ー「物語を売る」素敵ですね。協力会社のお話がありましたが弊社との取り組みについても改めてお伺いさせてください
戸田氏:
boco to decoが消費者の日常でどのように役立つのかをリアルに伝えることは、ブランドの信頼性を築く上で非常に重要です。特に食品寄りの製品であるため、消費者が実際にどのように利用しているかを具体的に伝える必要があります。ブランドを立ち上げた際には、利用イメージがしばらくの間定着しにくいことが多く、消費者は自分の生活と製品との接点を見つけることが課題となります。この点で、どれだけ優れた商品であっても、使用シーンや利用者の声が重要な役割を果たします。
そこで、消費者の声を活用した成功事例が豊富なアライドアーキテクツ社の「Letro」を導入しました。このサービスでは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じて、多様な使用イメージを伝えることができます。例えば、小さなお子様が製品を使っている姿を発信することで、親御さんにとって大きな安心感を提供することができますし、特に、大切な子供に飲ませるということが広告だけでは伝えきれない中、実際に使っていただいた親御さんから得られた声は非常に重要なものとなりました。
また、実際に集まったレビューも「お客様の言葉」で書かれたものなので、その要素を活用して広告のコピーや、LPに反映することでより共感しやすいクリエイティブ制作を行うことができました。さらに、UGCを運用することで、「どんなUGCがお客様にとって、購入に寄与するか?」を検証することもできました。
追加で、アライドアーキテクツ社のインサイト分析を活用することで、顧客が製品の真の価値をどのように捉えているのかを深く理解することができました。想定外の売れ方やブランドの新たな役割をいち早く発見するためのサポートをしていただき、結果として広告やLPの改善が実現し、CVRの向上に繋がりました。このプロセスを通じて、ブランドの広がりを加速することができたと感じています。
ーUGCの活用だけでなく制作にも力を入れていると思いますが、施策について詳しく教えてください
戸田氏:
UGCの活用は引き続き中心的な戦略ですが、ブランド拡大期においては顧客との目線をしっかり揃えることが不可欠だと考えています。なので、LPや広告クリエイティブを活用し、その訴求効果を検証しながら多様な制作物を手掛けることにも注力しています。
その施策の一つで私たちは、管理栄養士、三歳児、中高生母親といったテーマの違う3本のLPの制作を、アライドアーキテクツ社に依頼したのですが、とにかく熱量がすごかったです。
アライドアーキテクツ社の担当者は各ターゲット層に合ったオリジナリティあるコンテンツを企画してくれました。またクオリティについての高さにも驚かされましたし、パートナー企業がこんなにも熱く向き合ってくれることに衝撃を受けました。
それだけでなく、実際にこの3本のLPは読了率が高く、訴求力のあるページとなり、売上向上にも貢献してくれました。
さらに、自社制作においては、限られたリソースで迅速にPDCAサイクルを回し、クリエイティブを改善し続けなければならないという課題もありました。しかしここでも、アライドアーキテクツ社の、LP制作と改善が簡単にできるツール「LetroEditor」の導入により、自社内での柔軟な修正とリアルタイムの改善が実現しました。その結果、コンテンツ力も上がり、ブランドの信頼性や消費者の関心を高められているのではないかなと思っています。
ーありがとうございます!是非、LetroEditorの活用についてもう少し教えてください
濵本氏:
ちょうど「LetroEditor」の導入のタイミングでコミュニケーションの在り方を見直す時期に差し掛かりました。これまでLPの制作や改善は制作会社に依頼していたのですが多くの工数が掛かり、クイックに検証を回すことができず課題感がありましたが、LetroEditorを導入したことで、制作会社を介さずとも迅速に変更や細かい検証が行えるようになりました。
たとえば、CVエリアの改修の調整や、バナーとページの一貫性を保ち、ユーザーの離脱を防いで、広告からの反響をシームレスにコミュニケーションにつなげるといったことを実現し、110%の改善を繰り返すといった施策の実行・検証を実現することができました。
加えて、LetroEditorはPDCAサイクルをスピーディに回せるだけでなく、他社の成功事例を取り入れたり、最新トレンドをキャッチアップしたりするのが一段と容易になりました。最近では、スワイプ型LPや動画を用いたLPなど、その時々の市場の動向にすぐに対応できる点も嬉しいですね。
また、アライドアーキテクツ社による迅速かつ柔軟なサポートには、本当に驚かされました。ツールの操作性に課題を感じていたところ、わずか1ヶ月でシステム修正を行い、”課題”だったものが、むしろ”Editorの強み”と感じるほどの進化を遂げていました。このように現場の声にしっかりと耳を傾けてくれる姿勢には、大変感謝しています。
ー話は少し戻りますが、先ほど仰っていた「インサイト分析」についても教えてください
堀氏:
弊社では既存のお客様を対象に、継続期間が長い方と短い方が商品に対してどんな魅力を感じているのかを比較しました。これにより、長期間継続してご使用いただいているお客様が感じている魅力が、短期間で離れてしまうお客様には十分に伝わっていない点を明らかにすることができました。
具体的な発見として、長期の継続者は商品の原材料のシンプルさや無添加である部分に価値を感じている一方で、短期の継続者にはその魅力が十分に届いていないことがわかりました。このギャップを埋めるために、購入初期の段階でより効果的な情報提供を行い、商品の価値をしっかり伝えることが重要だと再認識しました。
また、アライドアーキテクツ社のインサイト調査のデータは多角的に分析でき、さまざまな角度からお客様の悩みや求めている条件を引き出すことができました。このようなデータに基づいて、広告やLPの内容を最適化するヒントを得ることができたのも大きな成果です。
ーありがとうございます!ちなみに弊社との取り組みの中で皆さまが感じていることも是非お伺いしたいです
堀氏:
そうですね、社外のパートナー企業さんではあるものの、なんでも正直に話せる貴重な関係です。率直な意見交換ができるおかげで、施策の改善がぐっと進んでいます。LPやUGCだけでなくマーケティングにおけるデジタル施策はアライドアーキテクツ社に相談してくださいって、この記事を読んでいる方にお伝えしたいです。
濵本氏:
打合せするたびにいつも新しい発見や学びがありますね。例えば最近だとスワイプLPなど、次々と新しい提案が送られてきて、私たちが見落としがちな部分までしっかりフォローしてくれています。こんなパートナーシップがあるからこそ、我々も新しいことにチャレンジしたくなりますし、成果も出ているのだと思います。
戸田氏:
担当者の方からのフィードバックは、思わずハッとすることも多く、その率直さにはいつも感謝しています。問題に対して現実的な解決策を一緒に考えてくれるからこそ、プロジェクトが進んでいくんだなと思います。本当に心強いパートナーです。
また、「そもそも」や「とはいえ」といった原点に戻るための質問もしてくれるので、一緒に課題に向き合ってくれている感じもとてもありがたいです。
ー最後に、boco to decoの今後について教えてください
戸田氏、濵本氏、堀氏:
boco to decoの今後の成長については、既存の基盤を活かしつつ、さらに細かな改善を重ねることが重要だと考えています。スピーディーに様々な試みを実施し、振り返りをしながら素早く次のステップに進むことで、事業の進化を追求していきます。LetroEditorやインサイト分析といった信頼できるサービスを活用し、多彩な施策にも積極的に取り組む予定です。
現場の視点では、boco to decoのメンバーやパートナー企業の方々との連携が非常に重要と考えています。プロジェクトに関わる全てのステークホルダーと緊密なコミュニケーションを保ちながら、確実に前進していきたいです。
私たちの目標は、会社の規模を拡大する準備を進めつつ、リソースや施策に対して柔軟に対応できる体制を整えることです。LPの数も増やし、時代の変化に迅速に対応できるよう、パートナー企業の方々からも多くの協力を得ながら進んでまいります。
記事公開日:2025.07.03