再春館製薬所│新・ファンマーケティングの核はUGC ~新規から既存顧客向け施策にUGCをフル活用する理由とは~

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再春館製薬所インタビュー-ogp

「人間も自然の一部」という漢方理念のもと、「ドモホルンリンクル」を主力商品として、化粧品・医薬部外品・医薬品の製造・販売を手がける株式会社再春館製薬所。

同社は、生活者の購買行動がデジタル化・多様化したことで、お客様のニーズを汲み取りにくくなり、相対的にコミュニケーション効果が低下していると考えています。こうした変化に対し、同社は「お客様が自ら発信・拡散し、必要な情報が得られる環境」を目指し、ファンマーケティングを強化しています。その中の一つとして重要視しているのが、お客様の声=UGCの活用です。

今回は、ドモホルンリンクル事業部でファンマーケティング領域の責任者を務める田中 真希 氏にインタビュー。ファンマーケティング強化に至った背景や、UGCを重要視する背景、Letroをパートナーに選んだ理由、具体的な成果についてお話を伺いました。

お客様中心の会社づくりの原点

ー御社がマーケティングにおいて大切にされていることを教えていただけますでしょうか。

田中氏:
「市場やお客様と向き合うこと」を大切にしています。

主力商品である「ドモホルンリンクル」が有名ですが、もともとは漢方の製薬会社です。「自然とつながり、人とつながる明日を」というビジョンを掲げ、「人間も自然の一部」という漢方理念のもと、植物の力とサイエンスを掛け合わせ、それを人の力に活かすものづくりをおこなっています。

その基本的な考え方は、お客様への向き合い方にもつながっていて、お客様の悩みの背景を掘り下げる対話や、お悩みをご相談いただけるお客様との信頼関係をとても大切にしております。

主な売上チャネルが電話注文からネット注文になり、顧客接点が多様化していますが、電話に限らず、どのような接点であっても、これまで培ってきた「市場やお客様と向き合うこと」を心がけています。

田中氏
ドモホルンリンクル事業部
ファンマーケティング領域の責任者を務める田中 真希 氏

田中氏:
こうしてお客様の満足度を追求する背景には、30年ほど前の反省があります。

1974年に「ドモホルンリンクル」が誕生し、1988年度には年商100億円を突破したのですが、主に電話によるアウトバウンド販売によるもので、目先の売上に囚われるあまり、お客様に十分にご納得いただけないままおすすめをしたり、一方的なお電話を差し上げたことで、「しつこい」「こんな勧誘はやめて」「商品はいいのに何でこんな売り方をするのか」とたくさんのお叱りの声をいただきました。
クレームや返品の嵐を受け、「このままではいけない」と当時の社長 西川通子が、1993年に“TM(テレマーケティング)改革”を断行しました。

3ヶ月間、一切のアウトバウンドコールを停止し、徹底的に社員教育をやり直しました。
また、「お客様満足」という言葉が口先だけのものにならないよう、お客様満足室を開設し、お客様のお声に耳をかたむけ、ものづくりや一つひとつの対応に活かし、さらなるご満足を届けられるよう追求してきました。

ドモホルンリンクル商品

お客様が自ら発信・拡散・情報を得られる環境へ
「代理体験」になるUGCを重視

ーお客様に向き合うことを大切にしてきた御社が、今改めて「ファンマーケティング」に注力している経緯を教えてください。事業において何か変革が求められる環境変化があったのでしょうか?

田中氏:
お客様との関係性が変化してきたというのがあります。

以前は、電話接点が中心でした。双方向のやりとりの中で、お客様のお悩みを伺い、寄り添った対応をしていました。そうするとお客様のニーズも把握でき、汲み取ったニーズをマーケティングに反映し、それが高い精度でできるから、企業からのメッセージがお客様に伝わりやすい状態だったと思います。

ネット注文が主になった今、お客様が見えにくく、ニーズを汲み取りにくくなり、企業からのコミュニケーションの効果が相対的に低下してしまっていると考えています。

case-interview-saishunkan-img3こういった背景から、製販一体の弊社の強みを活かすためにも、今期よりファンマーケティングを正式に立ち上げ、改めてお客様とのコミュニケーションを強化していこうとしています。

また、企業からの一方的な情報発信ではなく、お客様自ら発信・拡散することで必要な情報が得られる環境を目指しています

昔に比べると情報量が多いというのもあって、やはり企業からの発信だけではなかなかお客様に届かない。そこに対して、UGCの活用やCtoCコミュニケーションも重要だと考えています。

お客様同士のやりとりが見える化されることで、お客様のニーズを把握しやすくなり、そのニーズをアクションに変えていくことで、「再春館さん、わかっているね」とお客様の信頼を高められると考えています。

ーUGCを重要視されるのはなぜでしょうか?

田中氏:
お客様の熱い想いや実感のこもったUGCは「代理体験」になると思っています。UGCを見た方が「こういう体験、私もできるんだ!」といったように期待感を醸成できますよね。

購入をいただくために、お申込みフォームの簡略化などの改善施策も同時並行で行ってはいるのですが、やはり購入率の本質的な改善のためには、お客様の納得感や期待感を醸成することが大切だと思っています。

代理体験をしっかりしていただき、納得感や期待感を醸成するためには、ブランドの想起や検討など、適切なタイミングで、適切なUGCに触れる機会をつくっていく必要があると思っています。

Letroの決め手は、網羅的な支援体制・顧客接点ごとに運用改善していく考え方

ーパートナーとして「Letro」を選んでいただいた理由を教えていただけますでしょうか。

田中氏:
UGCマーケティングの実績、網羅的な支援があること、顧客接点ごとに運用改善していく考え方に魅力を感じ、ご一緒させていただくことにしました。

UGCを載せるだけでしたらもっと安価なサービスもあるのですが、どういったUGCがお客様にとって好まれているか・反応されているかを可視化できる点、検証結果に基づいて運用を最適化できる点は、Letroならではであり、魅力的だと思いました。

ー現在、Letroを活用して行っている内容を教えてください。

田中氏:
ドモホルンリンクルの無料お試しセットの新規獲得用LPと、一度無料お試しセットを申込みいただいたお客様を継続購買へとつなげるページ「私がドモをはじめた理由」に、また「ドモホルンリンクル」の公式ブランドページ等に、UGCを掲載し、運用をしています。

ーそれぞれ期待されていたことを教えてください。

田中氏:
「無料お試しセット」の新規獲得用LPにおいては、「リアルなUGCに自然に触れていただくこと」でより自分ごと化できる代理体験をしていただくことです。

まずお客様がLPをご覧になっている時点で「ドモホルンリンクル」が検討に入っている方ですよね。ただ無料とはいえ、ご自身の情報を入力することになるので、お申込みを躊躇されます。そうしたタイミングで、先んじて体験しているお客様のUGCを見せて「代理体験」をしていただくのは、とても大切だと思っています。

そして、より自分ごと化できる代理体験をしていただくにあたって、リアルな声に勝るものはないと思っています。以前から、お客様のUGCを自社で画像にしてLPに掲載していましたが、Letroを使えば、管理画面で選んだInstagram投稿をそのままLPに掲載することができるので、最も説得力のあるかたちで伝えられます。
SNS上に投稿していただけるお客様の数って、ユーザーを母数とすると少ないのが事実だと思います。ただ、その投稿が気になっている・読みたい人はたくさんいる。これもまた事実だと思います。

お客様を購買へとつなげるページ「私がドモをはじめた理由」においては、「不安を払拭すること」「シェアの連鎖を促進すること」です。
「無料お試しセット」後に購入をご検討いただく方の、「使い続けることでお肌がどう変わっていくのか」や、「無料お試しセットと同じフルラインで購入しないと、効果がないのでは?」といった具体的な不安を払拭することが重要だと思っています。

また、UGCを起点に「手元に届きました、嬉しいよ」「私も手元にきたよ」といった具合に、お客様間でシェアの連鎖が起こり出します。今までの企業からの一方向のコミュニケーションだけだったら生まれない効果にも期待しています。

新規獲得用LPでCVR1.51倍、継続購買用ページでは離脱率8%減少を実現

ー今回のお取組みの成果と施策のポイントを教えてください。

田中氏:
新規獲得用LPでは、Instagramに投稿されたUGCを掲載しています。
お客様からの喜びの声として、「ドモホルンリンクルをはじめたきっかけ」や「使用した際の感動体験」が表現されたInstagram投稿を掲載しています。

Letroの担当者と、CTRやCVRをはじめとする定量データや、UGCから見えてくる顧客インサイトをもとに、UGCの掲載位置や表示するUGC、UGC上部のバナーの運用を行った結果、CVR1.51倍を実現することができました。

LPの中でも、見せる位置や、見せるUGCの内容で効果が変わっているのを実感しています。

お喜びの声

「私がドモをはじめた理由」のページにおいては、「ドモホルンリンクルを初めて購入した決め手」や、「これからのお手当てへの意気込み」などが表現されたInstagram投稿・レビューを掲載しています。

レビューでは、知りたい情報がすぐ見られる仕掛けとして、「肌悩み」や「購入商品」など主要カテゴリーをタブで表示しています。また、共感を醸成できるよう、掲載するレビューも使用背景、使用感がわかるものを積極的に選んでいます。その結果、離脱率が8%減少しました。

コレが決め手

想起、検討、継続、それぞれのタイミングで必要なUGCは違うと実感しています。 無料お試し、初回購入、長期利用者といった様々なお客様のUGCを、それぞれのタイミングで精度高く出していけるように、運用しているところです。

ー各顧客接点で最適なUGCを見せていくためにも、継続的なUGC生成に注力されていると思います。具体的にどのような働きかけをされているのか、教えてください。

田中氏:
キャンペーン施策、ステップメール施策、リアルなイベントやコミュニティ運営です。
「無料お試しセット」を請求されたお客様や初めて購入してくださる方へ、ハッシュタグを使って投稿いただけるようキャンペーン施策をしたり、購入後のお客様の気持ちが熱いタイミングで投稿いただけたりするようステップメールの配信をしています。

加えて、リアルな接点として、交流会や会社見学を企画しています。2月から熱量の高いファンの方と一緒にオンラインコミュニティをスタートしました。こうしたコミュニティをオープン化して、お客様の声を見える化し、熱量が高まることで自然とUGCが生まれる、投稿しやすい環境を作っていけたらと思っています。

体験のサイクルで、お客様とブランドを共創する

ー最後に、今後の展望をお聞かせください。

田中氏:
まず、お客様にご満足いただくことが大前提です。お客様が体験を広げたくなるような価値の提供をきちんと行い、さらにお客様の体験が広がりやすい環境をつくり、そして体験をしっかり見ていただける環境を構築していきたいと思っています。その一つがLetroです。

お客様が他のお客様の体験であるUGCをご覧になることで「やっぱりドモホルンリンクルで間違いない」と感じていただける効果もあると感じています。

特に今年は、「ドモホルンリンクル」が50歳を迎える記念イヤーですので、お客様と一緒にブランドを共創していく年にしていきたいです。