「サラダファン獲得」を叶えるUGCと顧客インサイト発掘~「Qummy」がCVR最大1.8倍を実現したLP改善とは?~

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Qummyインタビュー-ogp

キユーピー株式会社の「Qummy(キユーミー)」は、顧客理解を深めるために2022年に誕生したサービスです。「野菜を楽しむ」をコンセプトに、サラダセットやドレッシング、スープなど、毎日の食事に健康と彩りをもたらす商品を提供しています。

「Qummy」は、お客様と直接つながることで、お客様のニーズを把握し、それに基づいて、商品開発やサービス、情報提供をよりよいものにしていくことを目的としています。

今回は、キユーピー カスタマーサクセス室 顧客マネジメントチームの小林氏、長澤氏にインタビュー。
同サービスが実現したいことや、それに向けて取り組んでいるUGC施策をはじめとした取り組みや得られた成果について話を聞きました。

背景

  • 従来の流通システムでは顧客の購買行動を把握するのが難しく、顧客の行動データを収集する手段がなかった
  • そこで、お客様とダイレクトな接点を設けられるECを立ち上げたものの、社内にEC広告の知見乏しく購入者がなかなか増えなかった

解決策

  • アンケートや収集したUGCから顧客インサイトを分析し、LP上でサイト訪問者の離脱ポイントを特定。デザインや情報コンテンツを最適化することで商品の価値を訴求した
  • 収集したUGCをLPに掲載。新規顧客に商品の価値を自分ごと化してもらう体験設計を行った

成果

  • LPの改善後、訪問者の離脱率が低下し、CVRが最大1.8倍、平均CVRは3%弱から5%への向上を実現
  • UGC掲載の前後でCVRが1.3倍に改善

消費者のニーズを把握するための新事業「Qummy」が提供する「サラダ周りの課題解決」

ー「Qummy」サービス立ち上げの背景や目的を教えていただけますか?

小林氏:
「Qummy」は、健康志向の高まりや食の多様化、買い場の変化などを背景に新たなサービスの可能性を探求する取り組みの一環として2022年に誕生しました。コロナ禍によって、デジタル化が加速し、直接的なお客様とのつながりがますます重要になり、食品業界においても、デジタルプラットフォームを活用し始めた企業が増えてきたことを実感していました。

従来の流通システムでは、商品の販売後、どのお客様がいつ、どこで、どのように私たちの商品を手に取ってくださったのかをスピーディーに把握することが難しいという課題がありました。お客様の声を直接聞く機会も限られており、ニーズを把握しづらかったのです。これを改善するため、お客様と直接つながり、データを蓄積、分析する仕組みを整えることで、よりお客様が求めるサービスや商品を提供し、各施策のヒット率を上げたいと考えました。

出来上がり+商品㈭

ー「Qummy」のサービスコンセプトとターゲットを教えていただけますか?

小林氏:
「Qummy」は「野菜を楽しむ」というコンセプトを掲げています。このコンセプトの中心には、さまざまな野菜を手軽に取り入れることで、毎日の食事をおいしく楽しんでいただきたいという思いがあります。具体的な商品ラインアップとしては、サラダセットを軸に、ドレッシングや、スープなどがあります。これらの商品で、お客様の食卓に少しでも彩りを添えられたらと思っています。

長澤氏:
「Qummy」のユニークな点は、単なる商品提供に留まらず、レシピやメニューや使いこなし術などの情報もあわせた提案を行い、お客様の野菜をはじめとする食の課題解決をめざしている点です。

小林氏:
サラダ周りの課題といいますと、サラダのマンネリ化がよく挙げられます。サラダというと葉物にドレッシングをかけるだけになりがちで、バリエーションがあまり浮かばないといった声をよく耳にします。「Qummy」では、パッケージサラダにトッピングやドレッシングを組み合わせて90種以上のサラダを提案しています。トッピングやドレッシングの組み合わせでサラダの幅がぐんと広がること、食感や彩りに変化がうまれることを知っていただきたいと思っています。

現在は50代から60代のサラダ好き、野菜好きの既存のキユーピーファンに支えられています。この層はすでに家族のライフステージが変わり、自分自身やパートナーとの食生活に新しい価値を見出したいと考えている方々が多いです。こういった方々は「もっと野菜を摂りたい」「手軽に健康的な食事を楽しみたい」という非常にポジティブな姿勢をお持ちで、このニーズに応えることで、より良い関係を築きたいと考えています。ただし、このターゲットに留まらず、更に若年層にも魅力的なサービスを提供できるよう、その世代に合わせた提案を模索しています。特に共働き家庭や忙しい生活を送る方々にもQummyのサラダが手軽かつヘルシーな食の選択肢となるように、商品の利便性やバラエティを強化しています。

小林氏

「お客様を知る」ために始めたリアルとデジタルの取り組みとは

ーお客様を知るためにどのようなお取組みをしているのでしょうか?

小林氏:
オフライン施策としては今まで、スポーツイベントでのブース出展や、親子参加型のサラダ作りイベントを実施してきました。これらのイベントでは、実際に商品の魅力を体感していただくことを目的としており、特に親子イベントは、食習慣の形成期にある子どもたちをターゲットに体験を増やしていきたいと考え始めました。

各種メディアとの協業も進めており、新規顧客へのアプローチとしてトライアルセットの提供や、オンライン講座を開き講師と交流できる形での体験価値を提供するなど、美容や健康に感動の高い層に向けたコラボレーション企画も展開しています。

ーデジタル施策とオフライン施策、いずれも取り組まれているのですね。デジタルでの顧客接点は新しい領域とのことですが、具体的にはどのような施策をしていますか?

長澤氏:
「Qummy」としても、メルマガやステップメール、Instagramを中心に、お客様と直接つながるメディアを複数運用しています。メルマガでは、新商品の情報や季節のレシピ紹介、レビューへの返信などを通じて、お客様との日常的なコミュニケーションを図ったり、Instagramでは、視覚的なレシピコンテンツやライフスタイル系のインフルエンサーとのタイアップ投稿によって「Qummy」のサービスイメージを広げ、より感性に訴えるプロモーションを展開しています。

またレビューやアンケートデータの収集も積極的に始めています。まだ試行錯誤の段階ですが、まずは数を集め分析し、LP・広告のクリエイティブ制作や企画立案にいかすことで成果を出し始めている段階です。

小林氏/長澤氏

企業ブランドを大切にしている企業の初の取り組みとなったUGC活用。Qummyが導入した理由とは

ーUGCは貴社にとって新しいチャレンジだったのですね。推進し始めた背景としてどのような考えがありますか?

小林氏:
様々ありますが、共感やリアル感、あとは自分ごと化しやすいということや、タイムリーに情報発信できるというポイントが大きいです。

「Qummy」でUGC施策に注力している理由は、消費者のニーズがサービスからの単方向の訴求だけでなく、リアルな第三者の声を求める方向に変化してきたためです。特に、InstagramをはじめとしたSNSの普及は、ユーザーの口コミがサービスの実際のイメージを形成する大きな要因となっています。UGCは、消費者の生の声を反映しており、これをもとに新たな視点で商品を見直すことで、より良いマーケティング施策につなげていけると考えています。

そして何より、スピード感が嬉しいですね。UGCの収集から掲載や分析をした施策の成果が出るまでにスピード感は従来のマスメディアにはないものだと思います。お客様のお声としては嬉しいお声も厳しいお声もありますが、発信してくれるだけの熱量があることもありがたく思っています。

UGC

ー実際の取り組みとその成果について教えていただけますか?

長澤氏:
最初はLP全体の改善として、細部にわたるユーザー体験の最適化に取り組みました。初期段階では訪問者が離脱しやすいポイントを特定し、視覚的な魅力を増すためのデザイン変更や情報の明瞭化を図りました。具体的にはFVの改善です。「サラダが届く」という新しいサービスのため、それ自体がきちんと伝わるようなサラダのシズル感を持たせたクリエイティブにしたり、顧客インサイトを分析して購入いただいた理由をしっかり伝えるクリエイティブでABテストを実施。商品がどのような付加価値をもたらすのかを、視覚的に訴求する工夫を施しました。
その結果、LPの離脱率が低下し、UGC掲載の前後でCVR1.3倍を実現。LP改善の全体ではCVR最大1.8倍、平均CVRが3%弱から5%に改善しました。
ABテストやPDCAを回すスピード感が非常に速かったこともあり、想定より多くの注文を獲得する成果を出すことができました。

施策内容

ーUGC導入において、Letroをパートナーとして選んだ理由はありますか?

小林氏:
Letroを選んだ理由は、包括的な支援をしてもらえる点にあります。UGCに関心はあったものの、どのように創出して収集して、どのように運用するか、知見がない分野だったため、導入から運用まで一貫して支援に入ってもらえることが決め手でした。

また、迅速な対応力と、デジタル施策に強い実績をお持ちでいらしたことも大きかったです。ECにはECの広告手法があるということを実感しました。

商品の改善やパーソナライズされた情報提供を実現する「顧客理解」とは

ー「顧客インサイト」という言葉がありましたが、顧客理解についてはどう考えていますか?

小林氏:
顧客理解は、施策改善において非常に重要な要素です。データを基にマーケティングキャンペーンを最適化し、よりパーソナライズされた顧客体験を提供したいと考えています。
また、長期的には、グループ全体の顧客データの統合管理を進め、個々の顧客に最適な商品やサービスを提供できる体制を整えていきたいです。

ー「Qummy」は顧客理解を大きな目標としているのですね。それに基づくプロジェクトの実績はいかがでしょうか。

小林氏:
顧客の行動データを集めることで、お客様のニーズや嗜好が徐々に捉えられるようになってきたと実感しています。

例えば、サービス開始の初期段階では、お客様自身で旬の野菜を店頭でご購入いただき、お届け商品とあわせてサラダを作っていただく形を採用していました。しかし、実際の購入データやアンケート、インタビュー結果をみると、多くのお客様が、すべての材料が揃った形で購入できる方が便利であると考えていることが分かりました。この結果を受けて必要な材料がすべてQummyで揃うセットを拡充しました。

このように、お客様からのフィードバックをもとに、日々サービス改善、マーケティング施策の最適化を行っています。
また、提案するサラダのバリエーションも大きな進化を遂げています。以前は限られた選択肢しかなかったものが、今では季節限定品をいかしたり、主食になるようなうどんやパスタのセットを提案したり、バリエーションを増やしています。これにより、お客様に飽きることのないサラダ体験を楽しんでいただければ、と思っています。

小林氏/長澤氏

ーLP改善やUGCにおいて、課題やLetroに期待することがあればお聞かせください。

長澤氏:
現在進行中のLP改善やUGC施策において、アライドアーキテクツ社さんのサポートには非常に感謝しています。これからも顧客理解をもとにしたサラダファン獲得を実現していきたいと思っています。またLetroで得られたノウハウをいかし、広告への活用やSNSプロモーションなどの他施策への展開も検討中です。

ー最後に、今後の展望について教えてください。

小林氏:
「Qummy」では、いつも新しい挑戦をしていきたいと思っています。特に、長く歴史があるキユーピーというブランドイメージを守りながら、新しいことにチャレンジするバランスを取ることが大切ですね。新しいチャレンジにはお客様の声は欠かせません。どのようにして効果的にお客様の声を集めていけるかは、アライドアーキテクツ社さんと試行錯誤しながら取り組んでいるところです。