UGCは顧客体験向上に欠かせないコンテンツ。トイザらスに学ぶ、オンラインストア×UGC活用術

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トイザらス導入事例-ogp

1991年にトイザらス日本1号店をオープン以降、国内最大級の玩具・ベビー用品のリーディングカンパニーとして全国約160店舗のトイザらス、ベビーザらスと「トイザらス・ベビーザらス オンラインストア」を運営する日本トイザらス株式会社(以下、トイザらス)。

「お客様の記憶に残るショッピング体験」をキーワードにマーケティング施策を展開する同社は、オンラインストアをはじめとした各種チャネルにUGC(お客様の声)を活用して顧客体験を向上させる取り組みを行っています。

今回は、日本トイザらス マーケティング本部長の信田真樹氏と、マーケティング本部でマネージャーとしてECサイトやSNSを通じたデジタルコミュニケーションを担当される宮田静氏に、UGCを活用する理由や具体的なUGC活用方法について聞きました。

課題

  • 商品の宣材写真だけでは、オンライン上でその商品の良さを伝えることが難しいと感じていた

解決策

  • Letroの「UGC生成パッケージ」を利用して、商品と親和性の高い一般生活者からUGCが生成される機会を創出
  • Letroを利用してオンラインストアのTOPページや各商品の商品ページ、特集ページなどに赤ちゃんや子どもが実際に商品を利用している様子がビジュアル的にわかるUGCを掲載
  • それぞれの場所におけるユーザーの状態を想定し、UGCの見せ方(動画/静止画)や内容を最適化

成果

  • 顧客の必要とする情報をUGCで補完することで、オンライン上の顧客体験を向上
  • オフラインの販促物にもUGCを掲載し、オフラインとオンラインの融合を実現

お客様の記憶に残るショッピング体験を

ーコロナ禍以降、一気にデジタル化の波が押し寄せ、生活者の購買行動も大きく変化しています。トイザらスではこの数年にどのような変化がありましたか?

信田氏:日本におけるトイザらスのブランド認知度は高く、15年前は「おもちゃ屋と言えばトイザらス」「トイザらスに行けば何でも手に入る」という環境にありましたが、この数年で市場環境が大きく変化しています。

その一つがECサービスの拡大です。コロナ禍もその流れに拍車をかけ、生活者がオンラインで商品を購入することが当たり前になりました。もう一つが、おもちゃ業界自体の変化です。この数年で家電量販店がものすごい勢いでおもちゃの領域に入ってきています。このような背景から、この数年でおもちゃは価格競争が非常に激しいマーケットに変化しています。

トイザらスはもともとリアル店舗を主軸としてビジネスをやってきた会社ですから、こうした変化に立ち向かうために大きなチャレンジが必要な状況にあります。

信田氏、宮田氏
(右)日本トイザらス株式会社 マーケティング本部長 信田 真樹氏
(左)日本トイザらス株式会社 デジタルコミュニケーション部マネージャー 宮田静氏

ー変化し続ける市場環境においても売上を伸ばし続けていくために、トイザらスがマーケティングで大事にしている「軸」を教えていただけますか?

信田氏:キーワードは「お客様の記憶に残るショッピング体験」です。トイザらスというブランド名の認知度は高くても、トイザらスはいったい何をしてくれる会社なのか、何を象徴しているのかはまだ浸透していない状態です。お客様にモノを提供するだけではなく、お客様の心情面においてどのような体験を提供できるのかが重要だと考えています。

また、変化するお客様の購買行動に寄り添うことも重要です。実店舗とオンラインストアの連携を高め、お客様が、いつでも、どこでも、どのようにでも、トイザらス、ベビーザらスでのお買い物をお楽しみいただけるよう、「シームレスなショッピング環境」の提供に注力しています。

宮田氏:この数年のお客様の購買行動として、まずスマートフォンで「誕生日プレゼントの候補にする商品」「年齢に応じた人気のおもちゃ」といった情報を探し、その後、実際の店舗にその商品を見に行く方が多いことがデータからも明らかになっています。オンラインストアを見るだけではおもちゃのサイズ感が分からなかったり、実際のお子様の反応も見られないからだと捉えています。

信田氏:店舗とオンラインストアを同じ「売り場」として並列で考えがちですが、それぞれの役割に応じてあるべき顧客体験を創っていかなければなりません。一つ一つの顧客接点において、お客様が必要としている体験は何か。どうしたらそれを「より特別なもの」にできるのか。まだまだやるべきことがあると考えています。

信田氏

UGCは、オンラインストア上の顧客体験向上に欠かせないコンテンツ

ー御社は、オンラインストアのTOPページや各商品の商品ページ、特集ページなどデジタル上のあらゆる接点に積極的にUGCを掲載しています。その理由を教えていただけますか?

信田氏:UGCは、お客様目線で「共感」を創り出してくれるコンテンツだからです。企業側からいくらその商品の良さを伝えても、お客様には「そりゃ企業だから、いいって言うよね」と思われてしまいますよね。商品やサービスの良し悪しを判断するのはあくまで「お客様」ですから、企業からのプロダクトアウト的な発信は最小限にしたいと考えています。

「トイザらス」というブランドそのものも、オンラインストアやリアル店舗、それぞれにおけるお客様の体験が積みあがって創られるものだと捉えています。その結果として、「トイザらスは一番面白いおもちゃ屋だ」と思ってもらえたら最高ですが、企業が自分たちで「私たちは一番面白いおもちゃ屋です」と言っても、到底受け入れられないでしょう。だからこそ、企業発信ではないUGCの重要性がものすごく高いんです。

宮田氏:オンラインストアに、お子様が実際に商品を利用している様子がわかるUGCを掲載することで、商品購入を検討されているお客様に、より具体的な商品利用イメージをお持ちいただくことができます。

さらに、オンラインストア用の素材の数を担保する意味でもUGCは価値が高いです。今まで、チラシなどの誌面用に商品の宣材写真を撮ることはありましたが、オンラインストア用に撮影することはあまりなかったんです。中でも特に「動画素材」が足りていませんでした。動画でないと良さが伝わりにくい商品もありますが、自社で用意しようとすると時間もコストもかかってしまうからです。現在は、UGCを活用することで、こうした「素材不足」の痛みの解消にもつなげられています。

宮田氏

各顧客接点で必要なUGCは何か?を考えて、UGCを生成・掲載

ー各チャネルにおいて、掲載するUGCをどのように出し分けていますか?

宮田氏:トップページには、オリジナルブランドやトイザらス限定アイテムを中心に、トイザらスやベビーザらスというブランドそのものへの愛着を表現してくださっている動画UGCや、お子様が楽しく遊んでいる様子が伝わるUGCを中心に掲載し、下層ページへの遷移率向上を図っています。トップページでは、まずはトイザらスやベビーザらスというブランドを好きになってもらい「子供が喜んでくれそうだな」「楽しく使ってくれそうだな」という感情を創り出すことが大切だからです。特集ページや特定商品のセールのプロモーションをかけるときは、該当の商品のUGCが出るように差し替えることもあります。

一方で、各商品の個別ページでは、より具体的に購買のサポートとなるように、商品を利用しているお子様の年齢が分かるUGCや使用感が分かるUGCを選んで掲載しています。

トイザらス・ベビーザらスオンラインストア
トイザらス・ベビーザらスオンラインストアのTOPページや商品個別ページにUGCを掲載。掲載する場所によって、UGCの見せ方(動画/静止画)や内容を出し分けて最適化している。

ー数あるUGC活用ツールの中から、Letroをお選びいただいている理由をお聞かせいただけますか?

宮田氏:Letroは、とにかく直感的に使いやすいです。私だけではなく、社内の他メンバーも利用していますが、引継ぎがとても楽だと感じます。動画UGCが自動再生される機能も便利に利用しています。動画のUGCはお子様が遊んで喜んでいるイメージが非常に伝わりやすく、他の宣材写真などでは表現しづらい部分ですので、ぜひご覧いただきたいコンテンツです。サイト上で動画UGCが自動再生される機能を活用することで、サイトを訪問いただいたお客様に自然な形で動画を目にしていただくことができています。

また、UGCを生成する場面でもLetroが役に立っています。もともと、誕生日やクリスマスのタイミングでトイザらスのハッシュタグを付けてUGCを投稿くださる方は多いのですが、自然にUGCが投稿されるのを待つだけでは、企業としてプロモーションを仕掛けるタイミングで量が足りなかったり、時期的に遅かったりします。Letroを使えば、企業として必要なタイミングでUGCを作れるので、助かっています。

商品を体験したいモニターの皆さまに商品をお送りし、UGC投稿を促しているのですが、皆さんが本当に自然体で使っていただいている様子を上げてくださるんです。こうしたUGCを見るのは担当者としても本当に嬉しいですし、この仕事をやっていて良かったなと思う瞬間ですね。

また、モニターの皆さまが、良いところだけでなく使いにくいところや改善してほしいところをコメントしてくださる場合もあり、貴重な情報源になっています。メーカーさんから協賛いただいた商品をプレゼントしてUGCを生成する取り組みも行っているのですが、メーカーさんからも「商品開発に活かせる」ととても喜んでいただいています。

Letroの「UGC生成パッケージ」を利用して生成されたUGCの一例。
Letroの「UGC生成パッケージ」を利用して生成されたUGCの一例。

ーオンラインストア以外でもUGCを活用しているチャネルはありますか?

宮田氏:店頭で配布しているカタログにもUGCを掲載しています。今までのカタログは、商品の宣材写真と価格を掲載しているだけでしたが、それだけでは商品の魅力が伝わりにくいですよね。せっかくオンライン上に良いUGCがたくさん集まっているので、「ぜひカタログにもUGCを使ってくれないか」と、私からオフライン施策の担当者にお願いして実現しました。

店頭で配布している紙のカタログ
店頭で配布している紙のカタログ上にUGCを掲載。QRコードを読み込むと、実際のユーザーのInstagram投稿が開いて見ることができる。

信田氏:リアル店舗をメインにした小売店ですので、とにかく紙を使った販促物が多く、ものすごい時間とコストをかけて制作しているのが現状です。同じだけの時間とコストをデジタル上に投資すれば10倍以上のリーチが簡単に取れるのでは…と思うこともありますが、オフラインの接点を大切にしている以上、紙の販促物から完全に離脱することはできません。そのような中で、今回のようにオフラインとオンラインを上手く融合することで、オフライン施策の効率を上げる取り組みはとても意義があると思います。

UGCを通じて「トイザらスならでは」の価値を届ける

信田氏、宮田氏

ー今後、UGC活用で取り組んでみたいことがあれば教えてください。

宮田氏:UGCは、まさに今子育てをしているお客様からのリアルな声です。子育てする中で買ってよかった商品、役に立った商品の情報を集めてご提供することで、オンラインストアの購入率アップに役立てるのはもちろん、お客様のお悩みを解決する手助けにしていきたいです。

信田氏:今は「商品=モノ」に関するUGCが主になっていますが、今後はもっとお客様の「トイザらスにおける体験」に関するUGCの活用もできるのではと考えています。最近は、リアル店舗にお子様が遊べるスペースを増やしていたり、トイザらスオリジナルのさまざまなイベントも企画していたりします。そうした「体験」に関するUGCを通じて「他のブランドではできない、トイザらスだから出来ること」を広げ、トイザらスをお客様にとってより身近なブランドに育てていきたいですね。