2021.11.18
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DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術を用いてビジネスモデルや企業風土・組織を変革することを指します。
DXが国内で注目されるきっかけとなった一つが、経済産業省の「DXレポート」で語られた「2025年の崖」です。
「なぜDXは簡単に進まないのか」「DXが実現されないとどうなるのか」 こういった疑問の解消につながる「2025年の崖」について、最新のDXレポートの情報も交えつつ解説します。
「2025年の崖」は、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート:ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」に出てくる重要なキーワードです。
【最新版】DXとは?動画と事例で分かりやすく解説!デジタル化との違いは?
本レポートでは、DXが今後進まない場合、2025年以降に年間最大12兆円もの経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしており、これを「2025年の崖」と呼びます。
2025年の崖を目前にして、DXを阻む要因として「既存のITシステムの老朽化」と「現場からの反発」が挙げられます。
「DXレポート」では老朽化した既存のITシステムを「レガシーシステム」と呼んでいます。 例えば、顧客管理システムや会計システムです。
レガシーシステムの問題点として
などが挙げられます。
このまま使い続けると、システムの保守・運用に高いコストがかかり続け、新しい技術の導入やIT人材の採用への投資が遠ざかるだけでなく、セキュリティ面のリスクも生じるでしょう。
DXに限らず、組織や個人に対して大きな変化が生じるとき、それに対して反発も同時に起きやすくなります。
大きな組織であればなおさら、その反発はDXを阻む大きな壁となるでしょう。
DXの最終目的はデジタル社会における企業の競争力をつけることにありますが、その手段として全社横断のデータ活用やビジネスモデル・組織風土を変革する必要があります。
現場社員やDX推進部、ベンダー企業にDXを丸投げすると、全社的な取り組みにつながらず、DXが頓挫するリスクが高いです。
経営層が主体的に動き、変化の負荷を低減する仕組みを整えたり、業務を効率化するツールを導入したりする取り組みの継続が大切です。
基幹系システムとは、生産管理や在庫管理、経理、人事給与システムなどの会社の基幹業務をコンピュータで管理するシステムの総称です。
基幹系システムが停止すると、事業や企業活動そのものに支障が出ます。
2025年には、21年以上稼働ししている基幹系システムが6割に達し、システム維持管理費にIT予算の9割以上が割かれると予測されています。
2025年には約36万~43万人のIT人材が不足すると予測されています。 ここでのIT人材は以下のような人材です。
参考・引用:IT 人材需給に関する調査 -|みずほ情報総研株式会社
さらに、IT人材の中で「従来型IT人材」と「先端IT人材」によって、需給ギャップが存在します。
従来型IT人材は、従来の技術・システムの請負開発やその保守運用をメインで行っている人材を指します。
先端IT人材とは、AIやビッグデータ、IoT (Internet of Things)など新しい技術を活用し、新しい価値の創造や生産性の改善ができる人材です。
今後、従来型IT人材の需要は減少し、先端IT人材の需要は伸びることが予測されています。
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日本において、約2,000社が独SAP社の提供する基幹系システム (パーケージ名:SAP ERP / 別名・以下ECC )を導入していると言われています。
ECCは2006年に発売したERPパッケージで、会計や人事領域で頻繁に利用されていました。
SAP社はそのサポートを2025~2027年にかけて終了すると発表しており、最新版の「S / 4HANA」への移行を促しています。
SAP社のERPに限らず、カスタマイズできる人が限られている古い基幹システムを利用している場合は、クラウドで提供される基幹システムなど新しい技術への移行を進めていきましょう。
経済産業省の2018年の「DXレポート」が「DX=レガシーシステム刷新」と本質ではない解釈を生んだ結果、企業のDXの推進状況に大きな差が開いています。
実際に、独立行政法人情報処理推進機構が、2020年10月時点での500社におけるDX推進への取り組み状況を分析した結果、全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていない (DX未着手企業) レベルか、散発的な実施に留まっている (DX途上企業) ことが明かになっています。
※1
経済産業省は、「現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である」という受け止めが広がったとも見ています。
一方、コロナ禍による環境変化で、リモートワーク体制などデジタルへの移管が進んでいることも事実です。
急激な環境変化に柔軟に対応できるかどうかが、今後のデジタル競争の勝敗の分かれ目になるでしょう。
企業はこれまで当たり前にしていた商習慣や決済プロセス、企業文化、ビジネスモデルに疑問を持ち、変革を進めなければいけません。
"DXの本質とは、単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく、事業環境の変化へ迅速に適応する能力を身に着けると同時に、その中で企業文化 (固定観念)を変革 (レガシー企業文化からの脱却) することであるといえる" (※1)
※1)参考・引用:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を取りまとめました|経済産業省
「2025年の崖」が初めて発表されたときと、コロナ禍の現在とでは状況が異なります。
コロナ禍によって「素早く」変革「し続ける」能力を身に着けること、その中ではITシステムのみならず企業文化 (固定観念)を変革することの必要性が明らかになりました。
参考・引用:地域社会のDXに向けて|経済産業省
2025年を待たずともDXの緊急性が高まる中、企業がまず取り組むべきアクションとして以下の4つが挙げられます。
コロナウイルスに限らず、地震や台風など様々な有事が今後想定されます。
有事のたびに業務に支障が出ないよう、オンラインで業務ができるITインフラを導入しましょう。
アナログな業務をリストアップし、オンラインで代替可能なものがないかを考えます。
最初に取り入れやすいのは「Zoom」などのオンライン会議システムです。
業務プロセスの見直し・再設計を行い、デジタル化を進めましょう。
商品説明動画やクラウド印鑑を駆使して営業活動のデジタル化を進めたり、クラウドで利用できるソフトウェア (SaaS)を導入したりといったことが挙げられます。
就業環境がオンラインになっても、社員の安全や健康管理を実施できるよう、以下のような製品・サービスの導入が挙げられます。
・活動量計等を用いた現場作業員の安全・健康管理
活動量計とは、身に着けることで心拍数や体温などをリアルタイムで計測できるウェアラブルデバイスです。
例えば、株式会社NTTPCコミュニケーションズは作業者の熱中症予防・健康管理ができる「みまもりがじゅ丸」というサービスを展開しています。
参考:建設現場などで熱中症を予防できる【ウェアラブルIoT】の活用|ICT Digital Column
• 人流の可視化による安心・安全かつ効率的な労働環境の整備
• パルス調査ツールを用いた従業員の不調・異常の早期発見
パルス調査ツールとは、簡易的な調査を短期間に繰り返し実施する調査手法のことで、主に従業員の満足度調査に用いられます。
参考: パルスサーベイ|日本の人事部
顧客が自社の商品を知るきっかけをオンライン上に設置します。
ECサイトやSNS、動画などを活用するケースが顕著です。
実店舗に来られない遠方の顧客との接点が生まれる他、オンライン上での顧客の動きをデータとして得ることができます
「2025年の崖」について、経済産業省のレポートを抜粋しながら解説しました。
経済産業省は最新のDXレポートにて、DXは単なるレガシーシステムの刷新ではないということを強く主張しています。
NetflixやUberをはじめ、デジタル技術を駆使した新しいビジネスモデルの企業がどんどんと台頭しています。
企業が生き残っていくためには、ビジネスモデルや企業風土自体の変革が強く求められるでしょう。
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記事公開日:2021.11.18
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