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洋服の青山「10円で買えるノンアイロンシャツ」キャンペーンがTwitterで大きな話題に!マーケティング戦略立案者が語る企画のポイントとは?

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青山商事株式会社 リブランディング推進室 副室長 平松 葉月氏

「洋服の青山」を運営する青山商事株式会社は、「ノンアイロンワイシャツ」を全店舗で先着10名に10円で販売したTwitterキャンペーンを話題化し、Twitter上でたくさんのお客様からの声を集めることに成功しました。

当キャンペーンが成功した要因とマーケティングにおけるTwitterの役割や活用法を青山商事株式会社 リブランディング推進室 副室長 平松 葉月氏にお聞きしました。

※本記事は、Twitterで高いパフォーマンスを出している企業をゲストに迎えて開催したイベント「Twitterキャンペーン戦略会議2020夏」で語られた内容をまとめたものです。

【1】「洋服の青山」のTwitterの役割や目的とは

-「洋服の青山」のマーケティングにおいて、Twitterアカウントはどのような役割でしょうか。

新規のお客様とのコミュニケーションを取ることが役割です。「洋服の青山【公式】」のTwitterアカウントは2012年に開設していたのですが、2019年時点でフォロワー数が1.8万人と少なく、さらにTwitterキャンペーンも実施をしたことがない状況でした。
そのため、これからどのようにTwitterを活用していくか考えた際に、今まで接触できていないお客様に対してTwitterで色々な方法を通じてコミュニケーションを取ることが有効なのではないかと考えました。

また、「洋服の青山」は認知度が高いのですが、「自分には関係ないブランド」という認知をされている方が多くなってきている実感があるので、もっと身近に感じてもらう目的でもTwitterを活用しています。

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画像引用:洋服の青山【公式】 |Twitter 2020年8月時点

-Twitterでは何をKPIに設定していますでしょうか。

洋服の青山では、Twitterをマーケティング施策全体の中の1つのツールとして考えているため、Twitter単体での具体的なKPIは設定をしていません。ただ、まずは新規のお客様とコミュニケーションが取れる状態にすることを目的にしているため、多くのユーザーと接点を持つ事は常に意識しています。そしてその接点を持つユーザーに関しては、「洋服の青山」のブランドやスーツ・シャツなどのビジネスウェア商品に興味を持っていただけるお客様をどれだけ増やせるかを目標にしています。

【2】「洋服の青山」流のキャンペーンを企画する上で大事にしているポイント

-マーケティング活動の中でTwitterキャンペーンを行う理由はなんでしょうか 。

広告宣伝としてのTVCM、折込チラシ、DMというのは一方的なコミュニケーションなのですが、Twitterは情報発信をするとお客様に質問をしていただけたり、また「洋服の青山」には実はこんな商品もあるよなど話題の広がりを作れたりする良さがあります。そのようなお客様とのコミュニケーションをさらに活性化するためにTwitterキャンペーンを実施しています。

-Twitterキャンペーンを企画する上で大事にしているポイントを教えてください。

Twitterキャンペーンだけを単体で実施することはなく、基本的にはPR・広報・販促・店頭・ECを連動させてキャンペーンを企画しています。事前にメディアに対してキャンペーンに関するプレスリリースを発信したり、記者会見を行うところまで繋げて考えています。Twitterキャンペーンは、その中の1つのチャネルという位置付けです。全体的なキャンペーンの目的は、あくまでECサイトや店舗への来訪になります。

その場合の指標としては、その商品のLPやECへの流入数を計測したり、新規購入者数(商品購入者の中の非会員率)を計測したりしています。
また、例えばお客様が店頭にお買い物にいらっしゃった際に「Twitterのキャンペーン見たよ」という会話をしていただけたなど、数字では表せない「店頭での反応」等の定性的な効果についてもヒアリングをしています。

【3】ノンアイロンワイシャツを10円で販売!大胆なキャンペーンの戦略解説

-効果が高かったTwitterキャンペーンの内容と実施の背景を教えてください。

「洋服の青山【公式】アカウント」として初めて開催したTwitterキャンペーンで、大きな成果をあげることができました。

内容は、2019年11月2日土曜日限定でノンアイロンワイシャツを全店舗で先着10名に10円で販売するものです。「NON IRONMAX(ノンアイロンマックス)」というノンアイロンワイシャツを告知するTVCMを打つ予定だったのですが、その時点ではまだWEBやTwitterで「ノンアイロン」と検索しても「洋服の青山」のノンアイロンの商品がほとんど出てこず、他社の商品ばかりが出てくる状態だったのです。SNS上でのハッシュタグ検索やGoogle検索をして弊社の「ノンアイロン」の情報が出てこない状態では、いくらCMを打っても売れないと考えました。また、CMで映像で見せるだけでは他社商品とどう違うかが分かりづらく、生活者のリアルな体験談が必要だと考えました。

そこで、まずは実際に商品を体験していただくために、「洋服の青山」Twitter公式アカウントをフォローし、キャンペーン告知ツイートをリツイートしていただいた方に、「全店舗で先着10名様に4,900円のシャツを10円で売ります」というキャンペーンを行いました。また、購入いただいた方には、Twitter上に「#洋服の青山のノンアイロン」のハッシュタグを付けて、着心地や1回洗濯してみてどうだったかの口コミを投稿いただくようにお願いしました。

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洋服の青山【公式】Twitterキャンペーンの実際の投稿画像 2020年8月時点
洋服の青山【公式】Twitterアカウントをフォローし対象の投稿をリツイート、その画面を店頭で提示した先着10名に、4,900円のノンアイロンシャツを10円で販売した(2019年11月2日限定企画)。

その結果、多くのお客様が来店してくださり、開店前に列を作ってくださったりして、大変大きな反響を得ることができました。多くの方からリアルな口コミを投稿いただくこともできました。また、お客様から「たった10円払っただけなのに、首回りや肩幅のサイズ計測など、店頭でとても丁寧に接客してもらえました」という喜びの声もTwitterに上がりまして、店頭の従業員も大変喜んでいました。11月2日に実施した第1弾が大好評だったため、すぐに同じ企画の第2弾を同月の勤労感謝の日である23日と翌日24日にも実施しました。

▼ノンアイロンマックスを購入した方からの口コミ投稿

画像引用:ノンアイロンマックスへの投稿|Twitter

-このキャンペーンが成功した要因は何だと思いますか?

キャンペーンを開催する前にプレスリリースを出すことで複数のWEBメディアに取り上げていただいたことです。キャンペーンを行うことを自社から発信するだけでなく、メディアの方からも発信していただくことで、話題を拡げることができました。

またこのキャンペーンではプロモツイートも活用して、洋服の青山アカウントのフォロワーではない方たちにも「ニュースで見たキャンペーンだ、面白そうだからやってみよう」と思っていただけるように工夫しました。まずはメディア発信や広告で場を温めてからキャンペーンを実施することで、大きな拡散につながったと考えています。

さらに、人気漫画「はたらく細胞」のキャラクターを投稿画像に使うことで、拡散されやすくなったのも成功要因の一つと考えています。「洋服の青山」にはどうしても堅いイメージがありますが、人気キャラクターを起用することで、より多くの方に親しみを感じていただけたのではないでしょうか。

【4】withコロナ時代も、SNSを通じて継続的なコミュニケーションを

-これから、Twitterをどのように活用していきたいですか。

新型コロナウィルス感染拡大に伴い臨時休業が始まるころ、「洋服の青山」史上一番軽いスーツを打ち出していまして、商品の軽さをアピールするために、通常のマネキンではなく面白いアクティブな印象のマネキンをショーウィンドウに設置していました。その後、緊急事態宣言を受けた臨時休業中に、突然そのマネキンの写真が Twitterで拡散されていまして、自然と大喜利がされており、最初の投稿が6万リツイートされるほど話題になっていました。

この商品は、テレビCMも放映し、ちょうど力を入れて販売し始めたころに、臨時休業をせざるを得ない状況に追い込まれていました。しかし、こうして思いがけないところから話題にしていただくことができ、例えお店が閉まっていたとしても、ショーウィンドウをコミュニケーションツールとして活用することもできるのだと学びました。

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注目を集めた「洋服の青山京都河原町店」のマネキン :画像提供 青山商事㈱

その後、ビジネスカジュアル商品をショーウィンドウで訴求する際に、前回Twitterで話題になった店舗のスタッフから、マネキンで「テレワークスタイル」というトレンドを併せて表現した上半身はしっかりジャケットを着ているのに、画面に映っていない下半身はジャージやパンツを履いていた、という演出アイデアがありました。

これが前回よりもさらに拡がり、メディアからもたくさん取材していただきました。SNSでも「洋服の青山のマネキンが面白いらしい」と話題になりました。リアルでの出来事をSNS上で話題にしていただくことで、「洋服の青山」をより身近に感じてもらえると実感しました。


また、今回話題になった投稿をしてくださったユーザーに直接連絡を取り、画像をキャンペーン画像として使わせていただいたのですが、このようにユーザーとのコミュニケーションを取ることができる点にも非常に価値を感じております。withコロナにより店頭でのコミュニケーションが制限されたとしても、このようにSNSを通じてコミュニケーションを続けていくことができることに可能性を感じています。

今後もさらに、PR・広報・販促・店頭・ECとTwitterを連動させた企画に、積極的に取り組んでいければと考えております。

-貴重なお話を、ありがとうございました!