【ニューノーマル時代のBtoB販促】ハインツがAmazon・公式SNS×動画活用に注力する狙いとは?

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ハインツ日本株式会社-ogp

トマトケチャップ、デミグラスソース、ホワイトソース等を展開する食品メーカー ハインツ日本株式会社。

同社は一般家庭向けだけでなく、レストランやホテル等向けの業務用商品も多数のラインナップを取り揃えており、レシピやアレンジ提案をメインに営業販促活動を行うことで、日本市場における売上を伸ばしてきました。

現在は、コロナを経たニューノーマル時代の新たな武器としてAmazon等のECモールやSNSアカウントの運用に注力し、それらのコンテンツに動画を活用することでより効果的・効率的な販促活動につなげています。

今回は、業務用営業本部マーケティング部 部長の岡部耕二氏と、ECモールの運用を担当するイーコマーススペシャリストの滝川葉子氏に、同社がBtoB営業販促活動に動画を積極活用する狙いについて聞きました。

「外食ならではの楽しい食シーンを」を軸に、BtoB向け営業販促活動を展開

ーまずは御社の事業概要と、岡部様、滝川様のご担当領域を教えてください。

岡部氏:ハインツは、トマトケチャップ、デミグラスソース、ホワイトソース等の商品を展開するアメリカ発祥の食品メーカーです。日本では1961年に展開をスタートし、当初はレストラン等に向けた業務用のデミグラスソースを軸とする洋風クッキングソースを中心に日本市場での売上を伸ばしてきました。現在、家庭用向け商品と業務用向け商品の売上は約半々ですが、歴史的には業務用製品から事業が展開された経緯があります。

私は業務用商品のマーケティング責任者として、商品開発やBtoB向けの営業支援・販促活動等を統括しています。

岡部氏
ハインツ日本株式会社 業務用営業本部マーケティング部 部長  岡部 耕二氏

滝川氏:私はイーコマーススペシャリストとして、ハインツ日本のAmazonページ等のECモール運営を担当しています。日本は食品のEC化率がまだ低い状態ではありますが、コロナ禍以降は着実に需要が伸びてきています。これからもっと伸びしろがある分野だと捉えており、ECモールを中心にオンラインでの売上向上に注力しています。

また、Amazon等のECモールというと一般消費者向けのショッピングサイトというイメージが強いと思いますが、実は法人のお客様もとても多いのです。弊社では、他社が取り組み始める随分以前からECモールを通じた業務用商品の販売に力を入れており、現在もレストランやホテル、学校などから、まとまった量を定期購入でご注文いただいています。

ECモールで売上を伸ばすことは、業務用商品の販促活動としても非常に重要です。

滝川氏
ハインツ日本株式会社 イーコマーススペシャリスト  滝川 葉子氏

ー御社がBtoB向けの販促活動において大切にしていることを教えてください。

岡部氏:ご存じの通り日本は既に人口が減少し、食市場規模は今後縮小していく傾向にあります。そのような中で重要なのは、価格や量よりも、いかに価値を高められるかがポイントになります。弊社の商品をお店で活用いただきながら、「来店されるお客様に、外食ならではの楽しい食シーンを」を提案し続けていくことが重要だと考えています。

その軸になるのが、弊社の商品をベースにしたレシピやアレンジ提案です。日本市場に参入してから、日本の食文化にあわせてデミグラスソースやホワイトソース、ブイヨンやフォン・ド・ヴォーなどの日本独自商品を開発して来ましたが、同時に使い方をレストラン等に提案し続けることで受け入れていただき、事業規模を拡大してきました。現在もその軸に変わりはありません。

滝川氏
ハインツがBtoB向け販促活動の一環として制作しているレシピ集の一例

また、ケチャップやマスタードなど、輸入品をそのまま持ち込んだスタイルの製品群や、海外で人気のある食文化の積極提案も、外資系である弊社の独自ポジションを象徴する存在として重要です。

一方で家庭用商品においても全国のスーパー等で長年お取り扱いを頂いていて、TVCMを始めとする販促活動も行っており、多くの消費者の方々に親しまれています。こうした家庭用商品でのハインツブランドの認知は、BtoBのマーケティング活動においても確実にプラスになっています。逆に、業務用商品で培った知見を家庭用商品の開発に生かすこともあります。

業務用/家庭用、日本向けに開発した商品/海外から持ち込んだ商品のそれぞれが相互作用しあう状態を作ることで、より効果的なマーケティング活動につながると考えています。

コロナ禍でBtoB向け営業販促活動が一変。新たな武器として動画活用をスタート

ーコロナ禍を経て、BtoB向けの営業販促活動にはどのような変化がありましたか。

岡部氏:2019年までは、翌年に東京オリンピックが控えていたこともあり業務用の市場は好調で期待されていましたが、コロナ禍によって状況が一変しました。お店を開きたくても開けない状況になるとともに、BtoB向け営業販促のやり方そのものも大きな見直しに迫られたのです。

それまでは業界のルーティンとして、卸の展示会出展や試食会、同行セールスなどを通じて飲食店ユーザーの方々に製品・メニュー情報をお伝えするという、ほぼ対人ベースのリアルな営業販促活動が中心となっていました。

ところがコロナ禍に入ってリアルの展示会がストップしてしまい、従来のようにすみずみまで情報を届ける手段がなくなってしまったのです。その後展示会もオンラインに移行し、デジタルによる情報発信の強化が急務となりました。

岡部氏

ー弊社に「LetroStudio」の導入をご相談いただいたのも、BtoB向けの営業販促活動における新たな武器を作りたいという背景でしたよね。

岡部氏:その通りです。デジタルで「ハインツという商品の特徴」や「レシピやアレンジ提案」をしっかり行うための手段として「動画」が適しているのではないかと考え、動画制作ツール「LetroStudio」を導入しました。その後、オンライン展示会のプレゼンやオンライン商談後に送る資料、チラシ上に動画が見られるQRコードを掲載するなどの方法で動画を活用してきました。

現在はコロナ禍による状況も落ち着いてきて、BtoB向けの営業販促活動は従来のルーティンに戻りつつあります。今は、営業販促活動をそのまま動画に置き換えるというやり方ではなく、動画を今までの活動にプラスアルファで持てる武器と捉えてLetroStudioを活用しています。

これからも、BtoBの営業販促活動は状況に応じてさまざまに変化する可能性があります。多様化するニーズに合わせて、アプローチの選択肢(武器)を広く持っておくことが大事だと思っています。


ハインツがBtoB向け販促活動の一環として制作している動画の一例

ー「コロナ禍における新たな武器」の意味合いで、BtoB向けのInstagramアカウント運用をスタートされたと伺いました。具体的な内容を教えていただけますか?

岡部氏:コロナ以前から、飲食店にとってInstagramは重要な販促・集客ツールになっており、かなり普及していたように思います。コロナ禍で従来の営業販促活動が出来なかったとしても、Instagramであれば全国の飲食店様とつながることができるのではと考え、2021年から業務用公式アカウントの運用をスタートしました。

滝川氏:BtoC向けのInstagram公式アカウントは2015年から運用しており、主にブランディングを目的にしています。一方で、コロナ禍をきっかけにスタートした業務用公式アカウントでは、業務用製品を活用したレシピ提案をメインに発信し、直接的な売上につなげることを目的にしています。

ハインツのアカウント
(左)BtoB向け:【公式】ハインツの業務用公式アカウント(@kraftheinz_fsjp
(右)BtoC向け:【公式】ハインツ日本株式会社(@heinzjapan

滝川氏:現在、この業務用公式Instagramアカウントの投稿にもLetroStudioを活用しています。手持ちの静止画を組み合わせて動画にすることで、より直感的に商品の良さやレシピの内容を伝えられると感じています。

SNSは、季節やその時々のニーズに応じて瞬発的に提案ができることが魅力です。カタログや展示会など、会社としてしっかり準備してメッセージを発信する場所と、SNSのように瞬発的にその時々のニーズに応じてメッセージを発信する場所の両方を持っていることは、弊社の大きな強みになると考えています。

Amazon広告のCTRが約3倍に向上。動画は、高まるEC需要を捉える重要な手段に

ーコロナ禍を経て、ECモールの市況にはどのような変化がありましたか?

滝川氏:「外食に行けないから、その分家で楽しみたい」という需要が増えたことで、一般消費者から業務用商品を購入いただく機会が増えました。また「小口のロットで仕入れやすい」等の理由で、業務店の方がECモールを利用する機会も増えています。コロナ禍を経て、ECモールは業務用/家庭用を問わずボーダーレス化してきており、あらゆるニーズの受け皿になりつつあると感じます。

そのような需要を捉え、ECモールでの売上を伸ばしていくためには、たくさんの商品が並ぶECモールの中でまずはしっかりと目を留めてもらわないといけません。その手段として、現在はAmazon広告とAmazon商品ページに動画を活用しています。

滝川氏

ー動画を活用することで得られた成果を教えてください。

滝川氏:従来静止画で出稿していた際と比較して、Amazon広告のCTRが約3倍になりました。

動画の内容も、テレビCMのように凝ったものではないんです。LetroStudioを活用して手持ちの静止画を組み合わせ、一部をループ形式で動かしただけなのですが、立ち止まってくれる人の数を飛躍的に増やすことができました。

Amazonでは、商品を見つけてから買うまでの時間が数秒しかかからないという話もあります。まずは立ち止まってもらえること、そして商品の魅力が直感的に伝わることが重要なのではと思います。


ハインツがAmazon向けに制作している動画の一例

ーLetroStudioの使い勝手はいかがですか?

滝川氏:マニュアルがなくても、感覚的に操作できます。動画は作るのが難しいというイメージがありましたが、手持ちの静止画を組み合わせたり、少しポイントを付けて動かすだけでも、動画として十分効果が出るのだと気づきました。

また、LetroStudioでは専任の担当者がついてくださり、動画の活用先/媒体にあわせた具体的な動画の作り方のアドバイスだけでなく、動画を定常的に活用するための社内の体制作りの部分まで丁寧にサポートしてもらえます。安心して動画活用に取り組むことができています。

ー今後、BtoB向けの営業販促活動における武器として動画をどのように活用していきたいかお聞かせください。

岡部氏:料理の美味しさとしてシズル感は欠かせないものであり、その意味でも動画は非常に相性が良いと感じています。従来のルーティンに戻りつつあるBtoB向け営業販促活動にプラスアルファできる武器として、これからも新たな動画活用用途を模索していきたいです。

滝川氏:弊社には、まだデミグラスソースが日本に定着していない時代から提案をすることで新たな市場を作ってきた自負があります。これからも、動画を活用して新しさを演出することで、ECモールやSNSを起点とした新たな食のトレンドを作っていけたら理想だと思っています。