ロゼット・キングジムに聞く、動画制作のインハウス化を成功に導くコツ

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ロゼット・キングジムに聞く、動画制作のインハウス化を成功に導くコツ

視認性が高く、優れたパフォーマンスが期待できる「動画コンテンツ」。昨今そのマーケティング施策への活用が進んでいます。TikTokの台頭やInstagramリール機能のリリースなど、SNSを中心に、動画はユーザーにとって馴染みのあるものとなっています。
一方で動画施策は、制作会社や広告代理店へ発注するコストの増加や、納期の長さ、納品イメージの認識のズレというリスクもあり、動画制作のインハウス化も進んでいます。

そこで今回は、動画制作インハウス化に踏み出したロゼット株式会社の島田氏と、株式会社キングジムの藤間氏に、インハウス化に踏み切った理由や、成功させるためのコツをお伺いしました。

インハウス化に踏み切った理由は「費用とリソースの圧縮」「販促予算の垣根が解消」

-まずは島田さんと藤間さんの部署の役割を教えてください。

島田氏:ロゼット株式会社は主力商品である「ロゼット洗顔パスタ」をはじめ、化粧品を販売するメーカーです。私はマーケティング部に所属しており、商品の企画開発、販促プロモーション、広告宣伝・PRの領域まで一貫して担っています。

インタビュー中 島田氏
ロゼット株式会社 マーケティング部 マーケティング1課 島田 亜紗子氏

藤間氏:株式会社キングジムでは、「キングファイル」「テプラ」をはじめとした文具・事務用品を製造販売しています。私は海外事業推進部に所属しており、キングジムブランドの商品を海外に販売していくことをミッションとしています。海外事業全般を見ており、どこに、どんなものを、どのように販売していくかをプランニングし、実践していくのが主な仕事内容です。

-なぜ動画制作のインハウス化に踏み切ったのでしょうか?

島田氏:動画制作のリソースが圧縮できる点と、販促予算が限られるブランドにもプロモーションをかけられる点です。
今までは、制作会社様に動画制作を発注していました。弊社は販促物へのこだわりが強い分、制作会社様とはブランドコンセプトのすり合わせや、絵コンテの修正戻しに時間を割いていました。
それを自分たちで動画の制作が出来るようになれば、制作会社様とのコミュニケーションに充てていた時間が短縮できると考えるようになったのがインハウス化に踏み切ったきっかけです。
また、販促予算が限られるブランドはプロモーションを十分に打てないという課題もありました。そのようなブランドでも、自社内で動画制作ができればプロモーションを活性化できるのではないか、と思ったのももう一つのきっかけです。

藤間氏:外注するよりも費用がセーブできるという理由で動画制作のインハウス化に踏み切りました。
Facebookアカウントで発信する動画を、社員がフリーソフトを使って1日8時間かけて制作していました。ちょうどその時にLetroStudio(※)の提案をもらい、パワーポイント感覚で誰でも動画が制作できるという点に魅力を感じました。
もう一つは、ロゼットさんと同じく、販促予算の垣根がなくなる点です。新商品ですと、販促予算があるものの、2∼3年前に発売された商品だと予算をかけづらくなります。そういった商品にも販促用の動画を作れるのが良いところだと思いました。
※LetroStudio:誰でも15分で動画が作れる制作ツール

インタビュー中 藤間氏
株式会社キングジム 海外事業本部 海外事業推進部 事業推進課 課長・藤間正之氏

インハウス化で「SNSアカウント運用が再開」「動画1本の制作時間が1/4に」

-実際に動画制作をインハウス化してみて、どういった成果がでましたか?

島田氏:動画の制作に割く費用と時間の削減ができたこと、SNS広告のクリエイティブの幅が広げられたこと、公式Instagramアカウントの投稿頻度が増えたことの大きく3つあります。
費用と時間の削減の点ですと、絵コンテの修正戻しのやり取りが無くなったことで、自分たちが納得いくクオリティの動画を短時間でつくれるようになりました。
また、動画制作のハードルが下がったことにより、SNS広告にも動画を活用できるようになりました。以前は動画制作自体、コストのかかることだったのでSNS広告に動画を配信するハードルは、とても高かったです。制作をインハウス化できたことで、動画クリエイティブでSNS広告が配信できようになったことは、一段階上のステップに上がれたのではないかと思っております。
また、公式Instagramアカウントの運用も再開できました。Instagramに関してはリソースの関係で社内に専任担当もいなかったため、何も投稿できない期間が3か月続いた時もありました。
定期的に投稿することは、どうしても体力のいることですが、インハウス化によって動画コンテンツを量産しやすくなったので、定期的にInstagramで情報を発信できるようになりました

ロゼット Instagramキャプチャ
ロゼット公式Instagramアカウント

藤間氏:LetroStusioを導入したことで、30秒ほどの動画を作るのに8時間かかっていたのが、2時間ほどで作れるようになりました。
また、新商品ではない、販促予算があまりない商品にも、訴求力の強い動画を作れるようになりました。
国内の販促チームでも動画を制作しているのですが、国内向けに制作したものを海外用に簡単につくり直したり、動画の言語を替えるだけで動画を量産できるので、両部署にとっても、良い影響を生み出せています。

動画制作でみている指標

-動画施策をするにあたり、どのような指標をみてらっしゃいますか?また「良い動画の傾向」はありますか。

島田氏:Twitterでは、再生完了率、再生数、エンゲージメントをみており、Instagramでは、いいね数やコメント数をみています。
以前は、主な動画の活用先は店頭の電子POPでしたがコロナ禍による環境変化もあり、デジタルでの動画活用が加速しました。お家時間が増えたことで動画コンテンツやSNSを見る時間が増えたこともあり、SNSでの配信や投稿での指標を重点的にみています。

夢みるバームという商品の動画をInstagramで投稿したところ、再生回数が平均の6倍ありました。このように反応率が高いものは、動画としても評価が高いという風にしています。
SNSでは、お客様自信が投稿してくださった画像を引用した”UGC寄り”のクリエイティブにした方が反応が高いと感じています。
ブランドによって反応も変わるため一概には評価できませんが、ブランディング要素が強いクリエイティブとUGC寄りのクリエイティブで反応を比較し検証しています。

藤間氏:広告販促の専門部署ではないので、エンゲージメント数やリーチ数などのKPIは定めていませんでした。昨年7月にFacebookアカウントを始めたので、まずはコンテンツをたくさん発信していく段階だと思っています。

キングジムFacebookグローバルアカウント
キングジムFacebookグローバルアカウント

動画制作インハウス化を成功に導けたポイント「制作者=ターゲット層に同年代の人」「制作スケジュールの設定」

-インハウス化の仕組みが整ったコツや、成果が出た要因を教えてください。

島田氏:弊社は全体のプロモーションに沿った形で動画を制作していくため、投稿のスケジュール立てが一番重要だと思っています。
ブランドの担当者に「できたら動画作ってね」だとなかなか上手くいかないんですよね。無理のない程度に「1ヵ月後のこの日までに、この動画を投稿したいんだ」というのを伝え、スケジュールをしっかり組んでいます。
共有方法としては、3か月先くらいまでの投稿スケジュールを決めてしまって、Excelで管理し、社内のオンラインカレンダー上でも、私の方で動画の投稿日の登録までしています。(笑)

藤間氏:弊社の海外向け商品のターゲット層が20代~30代の女性なのですが、同世代の女性社員に動画制作を任せています。公開するにあたり最低限のことは確認しますが、基本的には担当社員の感性に任せている部分が大きいです。制作のほとんどを任せているので、担当者もモチベーション高くやれてるようです。
制作本数についても、あまり意識しすぎないようにしています。目標制作本数こだわりすぎていると、作ることが目的になってしまって、中身の質が下がる懸念もあるからです。
あくまでも誰に何を伝えたいかを1番に考えるべきだと思っています。

今後の活用方針

-動画施策における今後の展望をお聞かせいただけますか?

島田氏:媒体毎に動画を使い分けること、SNS広告における効果検証を強化すること、リール、Twitterやアマゾン、PRタイムズ等へ活用媒体を拡張していきたいと思います。
今までは、主に正方形サイズの動画を制作し、InstagramにもTwitterにも活用していました。しかし、Instagramで反応が良くてもTwitterでは反応が良くないこともあるので、反応率を見ながら、媒体毎に動画を使いわけていきたいと思っています。
SNS広告に関しても精度をあげていきたいです。綺麗にまとまったクリエイティブで作っても反応が良くないこともあるので、どういう動画が反応が良いのかを、ABテストで検証する必要があると思っています。

藤間氏:Instagramへの活用を強化したいと考えています。Instagramで反応の良いもの、Facebookで反応の良いものは違うと思いますので、ロゼットさんと同様、媒体に応じた動画を制作していきたいです
また、BtoB領域での活用も広げていきたいと思っております。海外事業者の新規顧客開拓につながるような活用です。海外の取引先を増やすミッションがある中で、現在はコロナの影響で海外出張もできませんし、海外での展示会もどんどん中止になっています。
そういった中で、動画はより重要なコンテンツになってくると思いますが、新しく取引先を作るという目的でどう活用していくべきか、はこれからの課題と感じています。

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