思わず目が留まるSNS投稿って?ポプラ社に学ぶ、SNS×動画コンテンツ活用術

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思わず目が留まるSNS投稿って?ポプラ社に学ぶ、SNS×動画コンテンツ活用術_OGP

流れが非常に速いSNSのタイムライン上で、生活者に目を留めてもらうための工夫として、「動画」を活用する企業が増えています。

今回は、SNS公式アカウントの投稿やSNS広告に「動画」を積極的に活用している株式会社ポプラ社 デジタルマーケティング責任者の森 潤也 氏に、SNS上での動画活用のコツや得られた成果についてお聞きしました。

※本記事は2021年11月17日(水)にアライドアーキテクツ株式会社が開催したセミナー「SNS×動画 最前線#1 アカウント運用・キャンペーン領域における動画コンテンツの活用戦略とは?」の内容を編集したものです。

公式SNSアカウントの投稿や、SNS広告のクリエイティブに動画を活用

-SNSの運用状況を教えてください。

ポプラ社がメインに運用しているSNS公式アカウントはTwitterです。ポプラ社としての公式アカウントを持つほか、編集部単位でのアカウントも複数運用しています。他にもFacebook、Instagram、note、TikTokに公式アカウントを持ち、それぞれの媒体特性に合わせた発信を行っています。

SNSでの発信を通じて、本の読者層を広げ、今まであまり本を読んだことがない方にも「本を読むのって楽しくてカッコいいんだよ」と分かっていただきたいという想いで運用しています。

ポプラ社様インタビュー画像1
株式会社ポプラ社 デジタルマーケティングユニット ユニット長 森 潤也 氏
ポプラ社のデジタルマーケティング責任者として、SNS公式アカウントや自社ホームページの管理・運用、デジタル広告を統括している。

-最近は、SNS公式アカウントの運用に動画を積極的に活用しているそうですが、その背景を教えていただけますか?

森氏:SNSの中でもTwitterでの動画活用を強化しています。Twitterのタイムラインは非常に流れが速いですよね。洪水のように情報が流れてくる中で、どうしたら少しでもユーザーの方の目に留めていただけるか、その一つの答えが「動画」でした。

-Twitterでは、具体的にどのように動画を活用していますか?

森氏:日々のオーガニック投稿に動画を活用しています。

こちらは、ポプラ社の11月の新刊をお知らせするTwitter投稿です。最初は右下にキャラクターだけがいる状態から、どんどん画面が切り替わり、本が紹介されるような流れにしています。

こちらも日々の投稿の一つです。動画といっても、書籍の周りのキラキラしている部分を動かしているだけなのですが、写真だけの時よりもずっと訴求力が増す実感があります。

日々の投稿だけでなく、Twitterプロモツイートのクリエイティブにも動画を活用中です。静止画に比べて動画の方が多くの情報を伝えられますし、それ自体をコンテンツとして楽しんでいただくこともできます。

広告だけど広告っぽく見えない、広告然とせずに必要な情報を届けられるのが動画の良さだと考えています。

本ツイートの動画を見たい方はこちら

動画制作ツールを導入、自社内でスピーディーに動画を内製

-SNSの投稿に活用する動画をどのように用意していますか?

森氏:動画制作ツール「LetroStudio」を導入し、弊社内で作成しています。デジタルマーケティング部がツールを活用して動画を作り、その動画を各アカウントの運用担当に渡し、投稿に使ってもらうという流れです。

以前は外注して動画を作っていた時もありますが、弊社の場合はとにかくたくさんの種類の本を出しているため、スピード感をもって投稿素材を用意するには内製できる体制を持った方が良いと考えました。今はオーガニックの投稿で週2〜3回は動画を活用しています。

ポプラ社様インタビュー画像2

動画を活用して絵本の無料公開にチャレンジ!多くのUGCが発生

-Twitter投稿に動画を活用したことで得られた成果を教えてください。

絵本「とうもろこしぬぐぞう」のプロモーションとして、動画広告と静止画のカルーセル広告の両方にチャレンジしました。

いずれも、絵本の中身の一部を見せるようなクリエイティブだったのですが、両者の結果にはそれぞれの特徴が現れました。

以下、水色の棒グラフはそのプロモツイートに関連するツイート数(UGC数)、オレンジ色の折れ線グラフはそのプロモツイートからのサイト遷移数を表しています。

前半(図の左側)の赤枠が「動画広告」を配信した期間、後半(図の右側)の赤枠が静止画のカルーセル広告を配信した期間です。

動画広告を配信した期間は青色の棒グラフ(UGC数)が大きく伸び、静止画のカルーセル広告を配信した期間はオレンジ色の折れ線グラフ(サイト遷移数が)が大きく伸びているのがお分かりいただけると思います。

ポプラ社様グラフ

この結果から、動画はUGCが発生しやすく、静止画のカルーセル広告はサイト遷移数を伸ばしやすいと分かりました。

動画だと、思わず「何これ?」とコメントやリツイートしたくなる心理が生まれるのではないでしょうか。あまり広告っぽくないので、宣伝として警戒されないという面もあると思います。本をより多くの方に知っていただくために、SNS上のUGCやクチコミは非常に重要ですので、クチコミを増やす目的として動画は有効だと考えています。

一方で、サイト遷移数という意味では静止画カルーセルの方が上回りましたので、目的によって動画と静止画を使い分けるのが良いのではないでしょうか。

絵本「とうもろこしぬぐぞう」の動画投稿。インパクトのある動画が話題を呼び、多くのUGCが発生した。動画の制作には、動画制作ツール「"LetroStudio"」を活用。

-YouTubeで人気作家の絵本の全ページを無料公開した試みも大きな話題となったそうですね。その内容を教えていただけますか?

大人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんの新刊『あんなに あんなに』のプロモーションとして、絵本の全ページを紹介する動画を作りYouTubeで無料公開したところ、大きな反響をいただきました。

現在は、ユーザーの方が購入前に「この本は間違いなく面白い」と思って安心感をもって購入する傾向があるため、出版業界では本の一部を事前に公開する試みが多く行われています。ただ、このように全ページを動画で無料公開するケースは珍しいと思います。

動画であればさまざまな読者の方に届くのではと考えて無料公開に踏み切ったのですが、期待以上の成果が得られて良かったなと思っています。

-この動画はどのように作成したのですか?

こちらの動画は外注して作成しています。

SNS投稿のように、たくさんの量の動画をスピード感をもって作成したいときは内製、しっかりと質の高い動画を作りたいときは外注と上手く使い分けるとよいのではないでしょうか。

-これからSNS公式アカウント運用で実現していきたいことと、その中における動画活用の展望を教えてください。

「読書離れ」と言われて久しいですが、SNSを通じて本を読む楽しさを伝え、読者のすそ野を広げていきたいと思っています。

普段本を読まない方にも興味を持っていただけるように、TikTokなどの新しいSNSにもチャレンジし、動画を活用しながら魅力的だと思っていただけるコンテンツを届けていきたいです。