アシックス商事株式会社
2020.2.5アシックス商事株式会社
アシックス商事株式会社 販売創造本部 マーケティング部 石山 栄里香様
働く女性のためのパンプス「レディワーカー」をはじめ、多彩なオリジナルシューズブランドを手がけるアシックス商事株式会社は、「生活者との対話」を大切にマーケティングを推進しています。生活者による商品モニター企画、定期的なアンケート調査、丁寧なコミュニケーションによるファンコミュニティの活性化、インスタグラムユーザーの企業アンバサダーとしての起用…など、生活者との対話を通じたさまざまな施策を展開する同社に、施策の背景や成果など、詳しくお話を伺いました。
サマリー
- ・生活者との対話を重視。生活者の声を商品企画・開発から販促物、取引先への営業にも活用
- ・こまやかなコミュニケーションから、生活者と長期的な関係を構築
- ・長期的な関係から生まれた丁寧で率直な感想は、インスタグラム内検索対策にも有効
-まずは御社の事業内容について教えてください。
弊社は株式会社アシックスのグループ企業です。創業以来培ってきたノウハウで、お客様に喜んでいただけるような靴づくりを行っています。取り扱いシューズはビジネスシューズからカジュアルシューズ、ジュニアシューズまで幅広く、様々な年代の方に快適な履き心地のシューズをお届けしています。
弊社では、独自のオリジナルブランドを展開しており、企画~生産~物流まで手掛けています。コストパフォーマンスに優れた商品開発力、デザイン性と機能性を両立させる商品企画力で年齢を問わず、多くのお客様にご愛用いただいております。
-御社はマーケティングにおいて「生活者との対話」をとても大切にしていると伺いましたが、その理由をお聞かせいただけますか?
弊社は、生活者が欲する「時代の流れ」に沿った商品を、デザイン性と機能性を併せ持たせ、誰もが手に取りやすい価格で提供することを大切にしています。
そのためには、まずは生活者が弊社の商品を使ってどのような感想を持っているかを把握し、どんな改善点があるか、どんなシューズを求めているかを把握しなければなりません。
一時的なアンケート調査でもある程度そのような点を探ることはできると思いますが、より深く、良い面も悪い面も含めて率直なご意見をいただくには、生活者との丁寧な対話を通じて長期的な関係性を築くことがとても大切だと考えています。
-メーカー企業として、「生活者と直接対話をし長期的な関係性を築く場」をどのように創っていったのでしょうか?
弊社の商品は全国の総合スーパーや靴専門店を通じて販売しており、生活者と直接顔を合わせて対話する機会はそれほど多くはありません。そんな私たちに、「デジタルを通じて生活者と出会い、対話ができる場」を提供してくれたのが、モニプラファンブログ(モニログ)でした。
実は、導入時は独立した部署がなかったこともあって、デジタルマーケティングに強い人間がいませんでした。しかし、モニログは専門的な知識がなくても、さまざまなことを担当コンサルタントが教えてくださるので、生活者とのコミュニケーションをスムーズに開始することができたと思います。
モニプラファンブログ アシックス商事株式会社のファンサイト
-モニログを通じて、具体的に生活者に向けたどのような取り組みを行っているのでしょうか?
1カ月に2~3回を目標として生活者向けのモニターやアンケートイベントなどを実施しています。商品開発前には事前アンケートを行い、生活者の皆様がどのような靴を好まれているのか、どんな価格帯に需要があるのかなどを調査しています。毎回系統の違う商品を提供するなど、企画内容を工夫しマンネリ化を防ぐように努めています。
毎回イベントには500人前後の方が参加してくださいます。アンケート結果は社内で商品開発・企画にフィードバックし、新商品の企画時などに大変参考にしております。500人へのアンケート調査を自社で行うことはかなり大変ですから、とても助かっています。
また、アンケート結果を商品の企画開発に活かすだけでなく、現在ではファンからのアンケート結果をECサイトへ反映したり、お取引先への商品提案資料の裏付けとしても活用したりするなど、生活者の声を幅広くマーケティング施策に取り込んでいます。
ECサイト内のモニログで募集をしたモニターさんの声を紹介するページ
-モニログを通じて、生活者からはどのような声が届いているのでしょうか?
一般のECサイトのレビューはお買い上げいただいたお客様にご投稿いただいていますので、履き心地やサイズ感などをメインとした個人の使用感が書かれています。
一方でモニログのレビューは、インスタグラムやブログを投稿している生活者の方が、読者に読まれることを前提に書いているので、自分以外の人にも参考になるように、商品に関する細かい情報まで丁寧に書いてくださっていると感じます。私たちは靴の機能性をしっかり伝えていきたいと考えているのですが、そこをしっかり訴求してくださるレビューはとてもありがたいです。
とにかく商品を深掘りしてくれることに驚いています。さらに、毎日履いて疲れやすさの違いを比較してくださる人もいて、こちらの想像以上の記事を書いてくださいます。
-モニログで御社の靴ブランド「AcureZ」のオフィシャルアンバサダーを募集する企画も実施していらっしゃいましたね。こちらの内容を詳しく教えていただけますか?
生活者と長期的な関係を築くことで弊社のブランドを深く理解していただきたい、そして弊社商品に関する感想を添えてインスタグラムに投稿いただくことで、そこから新たな顧客層への接点も生まれるのではと考え、5名の「#acurez officialアンバサダー1期生」を募集しました。アンバサダーになっていただいた方には、毎月その方のお好きな商品を1足プレゼントしたり、店頭の特別イベントに招待したりすることで、長期的な関係構築に努めました。
その結果、オフィシャルアンバサダーの方々がお店の紹介レポートや商品の感想をインスタグラム上に継続的に投稿してくださり、インスタグラム内に弊社ブランド名での検索の受け皿を作ることができたと思います。また、投稿いただいた感想も、自社公式インスタグラムアカウントの投稿、Webサイトや店頭販促物など、幅広く活用させていただいております。
#acurez offical アンバサダー一期生を募集、多数の写真や感想がインスタグラム上に投稿された
-生活者と長期的な関係を構築するために、どんなことに気をつけていますか?
ほんの少しのことでも心をこめて、大切にコミュニケーションするようにしています。
例えば、商品をお届けする時には直筆の手紙を毎回同梱しております。商品のみだと機械的になってしまうので、コミュニケーションの一環として続けています。ちょっとしたことですが、一番のタッチポイントだと思います。手紙の内容は、私のささいな出来事などで、大したことは書いていません。しかし、商品についてお客様へ電話で連絡をした時に、「手紙を読んでいますよ」と言っていただけて、そこから会話がはずんで楽しくおしゃべりすることができました。無機質になりがちなデジタルマーケティングに温かみを感じられて、自分自身のやりがいにもつながりました。
モニログでいただいたレビューやコメントなどは、できる限り目を通すようにしています。なかには「コーディネートをほめてもらってうれしい!」というコメントもいただきます。モニログで、生活者と温かいコミュニケーションが取れることを嬉しく思っています。
このようなやりとりは正直、大変な面もあります。デジタルマーケティングの知識にもあまり自信がなくて......。しかし、モニログは知識がなくても使いこなせて、様々な機能で運用を効率化してもらえるので、私自身は生活者の皆さまとのコミュニケーションに専念することができていると思います。
-たくさんの方とコミュニケーションを取るなかで、印象的なことはありましたか。
もうずっと定期的にブログを書いてくださっている方がいるのですが、その方のブログを見たと海外から商品の問い合わせがきたことがありました。その人が商品を気に入ってくださり、動画サイトへ投稿してくださったんです。動画による機能の説明に、言葉の壁を越えたグローバルへの可能性を感じました。Webでもここまでつながれるんだと驚きました。
-最後に、今後の展開や予定していることなどを教えてください。
まだまだモニログを活用しきれていない部分がたくさんあるので、これからももっと積極的に利用していきたいです。部署が発足したばかりで、まだ手探り状態ではありますが、これからもモニログを活用しながら、生活者とのよりよいコミュニケーションを重ねていきたいと思っています。