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ニューノーマル時代、企業はSNSをどう活用すべき?「新型コロナがもたらした【新しい生活様式】における消費者のSNS利用実態調査」結果発表

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新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の世界的な流行は、日々の買い物、食事のスタイル、働き方や休日の過ごし方、人との交友の仕方まで、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。

今回は、その中でも人々の「消費行動」に焦点を当て、新型コロナ前後で人々の「買い物」に関する意識や行動はどのように変化したかの消費行動の意思決定にSNSがどのような影響を与えているのかを知るべく、約4,000名のSNSユーザーに調査しました。

ニューノーマル時代において、企業はSNSにどのように向き合っていくべきなのでしょうか?

調査結果サマリー

  • ・通販やテイクアウト、オンラインサービスの利用など、新型コロナをきっかけに変化した消費行動は一時的なものではなく、今後も続く
  • ・「食品・日用品」ではEC通販の利用や、店頭でも必要なものを一人でさっと買い物する傾向が顕著。店頭プロモーションよりも「事前の買い物リスト」に入るため購入前に接点を持つ施策が重要に。
  • ・「外食」では持ち帰りや宅配の需要が引き続き多い。店内飲食の場合も大人数の集まりや大皿料理は避けるなど対策した上で、外食シーンが選ばれていく傾向
  • ・「ファッション・美容」ではEC通販の利用や、店頭でも必要なものを一人でさっと買い物したい意向が高く、購入前に接点を持つ施策が重要に。一方で店頭での試着や接客へのニーズも根強く、企業はオンライン上でも使用感を伝える工夫が求められる。
  • ・「エンターテインメント・スポーツ」は、約半数が動画を活用して楽しむことに積極的。一方で、リアルの場を重視したり人と楽しみたい意向を持つユーザーも根強い。
  • 90%のユーザーが、SNSをこれまで通り利用、もしくは利用時間が増加している。特にTwitterとLINEの利用が多い。
  • 70%のユーザーが、今後「商品やサービスの情報取集、口コミ検索」を目的にSNSを利用したいと回答。特にTwitterとInstagramユーザーにその傾向が顕著であり、両プラットフォームにおけるUGC(※)の生成やマーケティング施策への活用がより重要に。
  • (※)UGC(User Generated Contents)とは:企業ではなく一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのこと。

■調査概要
調査名称 : 新型コロナウイルス感染症拡大以降の「新しい生活様式」における、消費者のSNS利用実態調査
調査主体 : アライドアーキテクツ株式会社
調査時期 : 2020年7月11日~7月19日
調査方法 : モニプラ(アライドアーキテクツ株式会社)でアンケート調査を実施
調査対象数:4,069名(アンケート回答完了人数)
※設問ごとの有効回答数を「n=」で記載しています。
※本調査の内容を転載・ご利用いただく場合は「アライドアーキテクツ株式会社調べ」とクレジットを記載してください。

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Topics

①業界別:消費行動に関する調査結果

新型コロナ拡大後に、人々の「買い物」に関する意識や行動はどのように変化したのでしょうか?「食品・日用品」「外食」「ファッション・美容」「エンターテインメント・スポーツ」の4つの業界別に、新生活様式への現在の対応と今後の継続意向を調査しました。

1.食品・日用品

通販の利用や、店頭でも必要なものを一人でさっと買い物する傾向が顕著。店頭プロモーションよりも「事前の買い物リスト」に入るため購入前に接点を持つ施策が重要に。

日々の食品・日用品の消費行動において、約50%のユーザーが今後できるだけ通販を利用することに積極的であることが分かりました(図1)。

店頭で買い物をする際には、約80%のユーザーが「一人または少人数で買い物をする」(図2)、展示物に触らない、レジ待ちで間をあけるなど「できるだけ人との接触を少なくする」(図3)と回答。また、約67%のユーザーが「お店に買い物に行く前に計画を立てる」(図4)と回答し、いずれも今後も継続したい意向です。

家族とスーパーの店内を歩きながらその日の食材を決めたり、友人と一緒にドラッグストアに立ち寄りその場で欲しいものを見つけたり…といった買い物シーンは少なくなり、これからは食品や日用品の買い物は事前に欲しいものを決めて一人でさっと済ませることが多くなりそうです。

企業はこの傾向を踏まえ、ECへの対応、また試食や見本品展示などの店頭プロモーションだけでなくオンラインでのプロモーションなど「購入前に消費者と接点を持つ施策」への対応が急務と言えます。

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2.外食

引き続き、持ち帰りや宅配の需要が高い。店内飲食の場合も大人数の集まりや大皿料理は避けるなど対策したうえで、外食シーンが選ばれていく傾向。

外食に関して、約50%のユーザーが今後できるだけ持ち帰りや宅配を利用することに積極的であることが分かりました(図5)。一方で、「現在はできるだけ持ち帰りや宅配を利用しているが、今後は消極的」と回答した人も約23%に上り、「やはりお店で食べたい」意向を持つ層も多いことがうかがえます。

ただし、店内で飲食をする際にも、約58%のユーザーが「少人数、屋外空間を選ぶ、大皿料理は避ける」など、人との接触を極力少なくしたいと回答しました(図6)。

これからは、できれば持ち帰りや宅配を利用、また人とお店で外食をする場合には大皿料理は避け、不必要な飲み会や大人数の集まりは避けるなどの傾向が続くようです。

企業はこの傾向を踏まえ、持ち帰りや宅配への対応をすること、また外食する空間を換気が良く人との距離が取れて心地の良いものにする、料理の出し方や接客の際も感染拡大防止に十分な配慮をするなどの工夫が必要でしょう。

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3.ファッション・美容

通販の利用や、事前に情報収集をしたうえで店頭にて必要なものを一人でさっと買い物する傾向。ただし、店頭での試着や接客へのニーズも根強く、企業はオンライン上でも使用感がわかる工夫が求められる。

ファッションや美容商品の消費行動において、通販利用派が45%、お店派が34%であり、通販利用派の方がやや優勢であることが分かりました(図7)。一方で「いずれも当てはまらない」も21%に上り、ファッションや美容商品の買い物においてはさまざまなニーズがあると言えそうです。

お店で買い物をする際は、54%が事前に情報収集をしお店での買い物を手早く済ませることに積極的と回答しました(図8)。但し、食品・日用品の日々の買い物では全体の76%であったのと比較すると少なく(図4)、ファッションや美容に関してはやはり店頭で実際に見て決めたいニーズも一定数あることがわかります。

また、51%が今後「店頭での試着・サンプル品の使用や店員との会話など、店頭での人との接触を極力避ける」と回答しました(図9)。こちらも食品・日用品の日々の買い物では全体の85%だったのと比較すると少なく(図3)、試着や店員と相談しながらの買い物の需要も引き続きあることが分かります。

企業はこの傾向を踏まえ、EC通販への対応や、オンライン上でも商品の使用感を確認できるような工夫が求められます。例えば、オンライン接客やライブコマースの実施自分が試したらどうなるかを想像できるツール(オンライン上での試着やカラーあわせなど)、サイト内のコンテンツとして一般の生活者の使用感が分かるUGCを活用することも有効でしょう。

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4.エンターテインメント・スポーツ

約半数が動画を活用して楽しむことに積極的。一方で、リアルの場を重視したり人と楽しみたい意向を持つユーザーも根強く、企業はオンライン上でも人との一体感を楽しめる工夫や、リアルの場でも人と距離を取りながら楽しめるよう配慮するなどの工夫が求められる。

エンターテインメントやスポーツに関して、48%が映画館の代わりに自宅で動画配信サービスを活用、ジムに行く代わりに自宅で筋トレするなど、今後極力自宅で動画を活用して楽しむことに積極的と回答しました(図10)。一方で、約30%が動画の活用を「現在は取り入れているが今後は消極的」「現在も今後も取り入れる予定はない」と回答、リアルの場での体験を重視するユーザーも多いことがうかがえます。

また、外でエンターテインメントやスポーツを楽しむ際も、53%が空いている時間や場所を選ぶ、すれ違う時には距離を取る、予約制の施設を利用するなど、今後人との接触を極力避けると回答しています(図11)。ただし、人との接触を避けることに「消極的」なユーザーや「いずれも当てはまらない」ユーザーも全体の46%にのぼり、リアルの場で他の人と一緒に楽しみたいニーズも高いことが分かります。

企業はこの傾向を踏まえ、オンライン化の対応や、オンライン上でも人との一体感が楽しめるコンテンツの提供が求められます。また、リアルの場の際は、その空間を換気が良く人との距離が取れて心地の良いものにするなどの工夫が必要でしょう。

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②消費者のSNS利用に関する調査結果

このように人々の消費行動が大きく変化するなか、その「新しい消費行動」における意思決定のプロセスにSNSはどのような影響を与えているのでしょうか?新型コロナ拡大後のSNS利用実態を調査しました。

1.SNSの利用時間の変化

約90%のユーザーがこれまで通りの時間SNSを利用、もしくは増加している。

10%が「すごく増えた」、24%が「増えた」、55%が「どちらでもない」と回答しました。約90%のユーザーがSNSをこれまで通りに利用、もしくは利用時間が増加していることが分かりました(図12)。

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2.SNSプラットフォーム別利用頻度

現在もっとも利用頻度が高いSNSはLINE、Twitter。この2つが他を抑えて圧倒的な支持を得る結果に。

新しい生活様式で過ごす現在、利用する頻度が最も高いSNSは「LINE」38%、「Twitter」35%となり、この2つのプラットフォームが利用頻度が高いと答えた人が他と比較して圧倒的に多いことが分かりました(図13)。

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3.SNS利用目的の変化

趣味やニュースのチェック、友人との会話に加え、SNSを「買い物の情報収集源」としても利用する人が増加。今後、企業はSNS上にUGCが多数存在する状況を創り出すなど、いかにSNS上で存在感を出していくかが鍵に。「SNS上での口コミなどの情報検索」はInstagramとTwitterユーザーに多い傾向。

新しい生活様式下におけるSNSの利用目的として増えたものは「趣味・好きなことに対する情報収集」が59%、「世の中のニュースのチェック」が59%、「友人との会話」が42%となりました(図14)。

それに加えて30%が「外出する時間を減らすために、事前にSNSでサービス内容やクチコミを検索・収集することが増えた」、28%が「通販やデリバリーを利用する機会が増え、サービス内容・クチコミ・申込をSNSを通じて検索・収集することが増えた」と回答しており、新しい生活様式下における買い物の情報取集源としてSNSを利用する人が増えていることが分かりました(図14)。この傾向は特にInstagramやTwitterをよく使うユーザーに多いようです(図15)。

ニューノーマル時代における消費行動では、多くの人が「店頭に行く前に事前に情報収集」することが分かりましたが、この情報源としてSNSは大きな役割を果たしていると言えます。企業は今後、SNS上で情報発信をする、ユーザーとコミュニケーションを行う、キャンペーン等を活用して話題を拡げる、自社のUGCが多数存在する状況を創りだすなど、いかにSNS上で存在感を出せるかが鍵になると考えられます。

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4.今後の「買い物」におけるSNSの利用意向

70%がSNSを今後「商品やサービスに関する情報収集やクチコミの検索」の目的で、60%が「商品やサービスの申し込みや購買」の目的で使いたい。Twitter、Instagramユーザーに、よりその傾向が高い。企業はSNS上にUGCが多数存在する状況を創り出し、さらにSNS上での情報からスムーズに購買まで繋げる導線設計の工夫を。

70%が今後SNSを「商品やサービスに関する情報収集やクチコミの検索」に「積極的に利用したい」「利用したい」と回答しました。新型コロナ拡大以降、SNSを「買い物に関する情報収集源」として一時的に利用するだけでなく、今後もその傾向が続くことがうかがえます。特にTwitter、Instagramユーザーにその傾向が高いようです(図16)。

さらに、60%が今後SNSを「商品やサービスの申し込みや購買」に「積極的に利用したい」「利用したい」と回答、SNSを口コミ検索だけでなく申込みや購買を行う場所としても利用したいユーザーが多いことが分かりました。中でも、Instagramユーザーにその意向が高いようです(図17)。

ニューノーマル時代の消費行動において、SNSは「情報収集源」としての役割を果たすだけでなく、「購買」まで視野に入れた重要な役割を担っていくでしょう。企業は、SNS上に多数のUGCが存在する状況を創り出し、さらに公式アカウントでの情報発信やハッシュタグの活用、ソーシャルコマースへの対応等を通じてSNS上の情報からスムーズに購買までつなげる工夫を行うことで、このニーズを上手に捉えていくべきです。

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5.SNS上の企業活動に対する行動の変化と今後の利用意向

新しい生活様式下でもSNS上での対企業への行動に変化はなく、積極的/ポジティブな行動をとった人も。さらに、55%が今後もSNSで企業公式アカウントからの情報収集やコミュニケーションを取りたい。これからのSNS活用において、企業公式アカウントは引き続き大きな役割を担う。

新しい生活様式下でも、53%が「対企業への行動に特に変化はない」と回答、「企業公式アカウントを新たにフォローした」「投稿にいいね!やリツイートをした」「キャンペーンに参加した」などの積極的/ポジティブな行動をとった人も24~28%いることが分かりました。逆に、いいねを外したり非表示にするなどのネガティブな行動をとった人は少ないようです(図18)。

また、55%が今後SNSを「企業公式アカウントからの情報収集やコミュニケーション」の目的で「積極的に利用したい」「利用したい」と回答、企業公式アカウントからの発信を前向きに捉えている人が過半数を占めています。中でも、TwitterとInstagramユーザーにその傾向が高いようです(図19)。

これからSNSが消費行動に大きな影響を与える存在となる中、企業のSNS活用において「企業公式アカウントの運営」は引き続き重要な施策であると言えます。

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③まとめ:これから企業はSNSにどのように向き合うべきか?

今回の調査の結果、ニューノーマル時代において、消費者はより通販やオンラインサービスを利用する、お店に行く前に情報収集をする、お店では極力人との接触を避けるなど、これからも新たな消費行動を続ける意向であることが改めて明らかになりました。

このような背景において、SNSの「消費行動における情報インフラ」としての重要性はますます高まっています。多くの人が、SNSを人との交流を行い、趣味や最新情報をチェックするだけの場ではなく、日々の買い物に関する情報を収集したり購買を行う場としても利用していく意向を示しています。

企業は、ニューノーマル時代の消費行動を生み出す起点として、SNSをより有効に活用していくべきです。思わずSNSに投稿したくなるような商品作りやサービス設計はもちろんのこと、日々生活者と繋がり続けることができる「企業公式アカウント」の運用、話題が拡がるきっかけとなる「キャンペーン」の実施など、改めて基本に立ち返り、自社がどのようにSNS上で存在感を出していけるか、SNSという場で消費者とプラスの関係性を結び、UGCを増やしていけるかを考えることが重要だと考えられます。

▼本調査の完全版データ(PDFファイル)を以下よりダウンロードいただけます
※完全版では、消費行動に関する詳細データのみならず、ニューノーマル時代の働き方や交友関係に関する意識調査結果、買い物以外のさまざまな目的でのSNSプラットフォーム別の利用意向調査結果など、さらに多くのデータをご覧いただけます。