介護事業を基盤とする株式会社SOYOKAZEは、"食事がおいしい"と評判の介護施設「そよ風」を全国展開し、地域社会に貢献してきました。その食のノウハウを活かし、2019年に在宅栄養サポートを目指す宅食ブランド「食のそよ風」をスタート。介護現場での知見と管理栄養士による献立設計で、健康的でおいしい冷凍弁当を開発しています。
しかし、新ブランド「kanau」のEC事業立ち上げ時には、宣伝費用の制約やCPA改善の困難、口コミ不足による購入躊躇などの課題に直面していました。
今回は、株式会社SOYOKAZE様が、顧客の声をAIで解析するデータプラットフォーム「Kaname.ax」による顧客インサイト分析と運用型UGC支援サービス「Letro」を活用し、顧客の声を軸としたマーケティング戦略でCVRと解約率を大幅改善した事例をご紹介します。
「食のそよ風」は、"おいしい食事で健康を支える"というSOYOKAZEの想いから誕生しました。介護施設での専任管理栄養士による献立作成の経験を活かし、在宅向けに「手軽で栄養バランスの整った美味しい食事」の提供を目指したブランドです。
当初は高齢者をメインターゲットとしていましたが、コロナ禍で若い世代の利用が拡大。現在は20~50代の幅広い層から支持され、ライフスタイルに寄り添う"日常使いの食事"として評価されています。
「kanau」は管理栄養士中心の開発チームが担当し、栄養バランスを重視した健康的な食事提供にこだわっています。40~50代の男性をターゲットに、ボリューム感と親しみやすさを意識したハンバーグや八宝菜などの満足感あるメニューを構成。健康を気遣う世代が"毎日食べられる"冷凍弁当として開発されました。
EC事業「kanau」の立ち上げ当初、最大の課題は事業転換の影響による宣伝費用不足でした。予定していた雑誌広告やインフルエンサー活用を大幅縮小し、小規模Web広告から開始したものの、消費者の購買につながらずCPA改善に苦戦しました。
さらに新ブランドのため口コミが不足し、消費者の購入躊躇が多発。設定した顧客仮説の検証も困難な状況でした。
また、商品開発ではペルソナ設定が重要で、ターゲットにより味付けや量の細部が変わるため、お客様の声が基本を支える要となります。ブランド立上げの際は、顧客分析や市場調査、アンケート調査など行い、仮説検証を経て企画開発、リリースに至りましたが、それは“想定顧客”の声。真に求めるのは“実購入者”のリアルな声でした。
これらの課題解決のため、口コミやUGCの重要性を再認識し、顧客の声をAIで解析するデータプラットフォーム「Kaname.ax」および運用型UGC支援サービス「Letro」を導入しました。
SOYOKAZEは、「Kaname」を活用し、以下3つの視点で自社顧客アンケートを収集しました。
1. 「kanau」の強みを顧客に伝える内容の構築
2. 購入検討者の背中を押す「これなら買ってみようかな」と思える情報の抽出
3. 当初設定した仮説と実際の消費者ニーズの合致確認
この結果、顧客は「kanau」の栄養面での強みを理解している一方、本来伝えたかった他の魅力や特徴が十分伝わっていないことが判明しました。
得られた顧客インサイトは、LP、SNS等の情報発信で、これまで伝えきれていなかった「kanau」の魅力をコンテンツ化するなど、あらゆる媒体で活用しています。
収集した顧客の声は、「Letro」を活用しブランドサイト、LP、購入ページに活用。そのほか、パンフレット、Instagram投稿やメルマガなど多方面で活用。この結果、LPのCVR約1.33倍、ブランドサイト約1.75倍向上を達成。カート内でも1.18倍改善し、全体的なCVR大幅改善を実現しました。
さらに、3回目のお届け時には、他利用者の使用方法を提示し、「健康管理のため」「ランチとして」等の様々な用途を伝えることで、商品価値の再認識と解約防止を実現。解約率の大幅な改善に成功しました。
宅食サービス「kanau」では、お客様の声が全ての始まりで、メニュー開発、味、量など、どんなお客様に召し上がっていただくかを最重要視し、日々商品と向き合っています。ブランド立上げ時は顧客分析や市場調査、アンケート調査を経て企画開発・リリースしましたが、それは"想定顧客"の声。真に求めるのは"実購入者"のリアルな声でした。
アライドアーキテクツさんのご支援により、顧客のリアルな声を知ることができ、そこからの示唆や重要なUGCをLP、CRM、パンフレットなど様々な施策で活かすことができました。その結果、CVRは1.75倍改善、解約率も大幅に下がり、大きな成果を挙げています。
また、顧客インサイト分析結果は「お客様の視点」に立ち返る良いデータとなっており、メーカー目線になりがちな私たちにとって非常に有効だと考えています。
これからも得られるお客様の声に耳を傾け、商品・サービス向上に活かしていきたいと思っております。