三井住友カード会員・V会員向けの旅行予約サイト「Vトリップ」(※1)は、旅行プラットフォーム市場の中で、価格やポイント還元といった従来型の競争軸だけでは差別化が困難な状況に直面していました。
そこで同社は、アライドアーキテクツが提供するAIデータプラットフォーム「Kaname.ax」のCEPsリスニング(※2)を活用。その結果、価格の安さよりも、「非日常の楽しさ」こそが顧客の求める本質的な体験価値であることを発見しました。
今回は、三井住友カード株式会社 ビジネスディベロップメント本部 プロダクトオーナーの福田保範様に、CEPsリスニングを通じて得られた気づきと、もたらしたマーケティング戦略の変化についてお話を伺いました。
(※1)VトリップはHTS(Hopper Technology Solutions)によって提供・運営されております。
(※2)CEPsリスニングとは?:CEPsリスニングは、「Kaname.ax」に取り込んだSNSのUGCやECのレビューなどから特許出願中の独自AI技術を活用して顧客の声を分析し、商品・ブランドを購入・利用する際のきっかけ(CEPs:カテゴリーエントリーポイント)を導き出すサービスです。生活者の実際の体験や感想をCEPsを軸に分析することで、生活者インサイトを発見・評価し、より効果的なマーケティング戦略の策定を可能にします。
三井住友カード株式会社では、マーケティングが広告配信の最適化のみに留まってしまっているという課題認識がありました。また、競合がひしめく旅行市場において、価格やポイント還元といった従来の競争軸だけでは勝てないと考えており、「Vトリップ」ならではの価値提供で勝ち筋を見つけることが重要だと考えていました。
しかし当時、サービスとして「どう勝つのか」が明確に言語化されていませんでした。場当たり的なキャンペーン施策ではなく、WHO(誰に)、WHAT(何を)、CEPs(どんなきっかけで)を検証しながら見つけていく必要があると考えていたところ、「Kaname.ax」のCEPsリスニングであればやりたいことを簡単にできることがわかり、実施しました。
また、生活者の価値観やライフスタイルが多様化し、WHO、WHAT設定の難易度が上がっている中、メンバー間で改めてどういったお客様にどのようにアプローチするかの「共通言語」を用意する必要があるという認識もあり、CEPsが使えるのではという考えもありました。
「Kaname.ax」を活用したCEPsリスニングでは、想定を大きく上回るスピードとクオリティで結果が得られました。他社のデータ分析サービスの数倍のスピードで分析が完了しただけでなく、初稿の段階から納得感の高い内容でした。
今回の「Kaname.ax」CEPsリスニングを通じて得られた結果のなかで、特に以下3つが想定外の発見となりました。
これまで「旅行を選ぶときは『価格が安い』ことが最優先」という前提でサービス訴求をしていましたが、分析結果では、実際の第一想起は「非日常を楽しむ」「思い出を作る」という「楽しさ」が中心でした。この発見により、「楽しさ」を前面に押し出したデザイン・クリエイティブを意識する方針が決定しました。
CEPsのレポートではサイトの使い勝手についてはほとんど抽出されませんでした。これまで社内では、UI/UXの改善をサイト分析・ユーザー調査をベースに優先順位をつけて実施していましたが、選びやすさ、選ぶ時のわくわく感といったCEPsリスニングの結果から出た内容に基づき施策の優先度を再設定しました。また、デザインとしても必要であると認識し、TOPページの改善などにすぐに反映しました。
Vトリップには「キャンセル安心オプション(※)」というチェックイン直前の急なキャンセルでも予約代金が返金されるサービスがありますが、認知されておらずあまり使われていないという課題がありました。一方で、市場では「子供が熱を出すかもしれないから予約ができない」といった不安を抱える層が一定数存在することがわかりました。不安を抱えている層に適切な訴求をすることで差別化を図れることが明確になりました。
※有償オプションとなります
※適用条件がございます
CEPsリスニングは、分析結果だけでなく組織の変革にもつながりました。WHO、WHATを共通言語として施策に関わるクリエイティブを設計できるようになり、社内的にもPDCAの仕組み化が進んでいます。
今後は、CEPsを明確な指標として活用し、ABテストをしながらあらゆるチャネルで検証していく予定です。加えて、今回判明した旅行への不安を抱える層にもアプローチすることで、売上だけでなく「今まで旅行に踏み切れなかった方が旅行に踏み切れて、かけがえのない思い出を作る」というエモーショナルな観点でも社会に還元できる取り組みを目指しています。
今回のCEPsリスニングで最も大きかった発見は、顧客が「価格の安さ」以上に「楽しさ」や「思い出づくり」を重視しているという、ある意味では“当たり前”の事実に気づかされたことでした。
そして今回のCEPsリスニングの結果の中には、まだかなえられていない顧客ニーズも見えてきました。本当は旅行に行きたいが踏み切れない層、例えば「子供が熱を出すかもしれないから予約できない」という不安を抱える層。こうした層にVトリップが解決策を提供することで、旅行業界全体を盛り上げていけるのではと考えています。
今後もアライドアーキテクツ社との取り組みの中で、CEPsだけでなく、CExPs(カテゴリーイグジットポイント)分析など様々な角度からデータドリブンにチャレンジをしていきたいと思います。