アスリートの腸内細菌研究から生まれた独自の知見を活かし、腸内環境サポート商品を展開するAuB株式会社は、2025年10月より新たな領域として睡眠サポート市場に参入。タルトチェリーの濃縮果汁「NIGHT CHERRY ESSENCE(ナイトチェリーエッセンス)」の提供を開始しました。
同商品は、有機栽培のタルトチェリーを約5倍に濃縮した、甘味料や合成着色料を一切使わない無添加の商品です。AuBは「天然由来」「無添加」といった商品特性が差別化ポイントになるという仮説を持っていましたが、タルトチェリーは日本市場ではまだ認知度が低く、既に多くのプレイヤーが存在する「睡眠サポート」カテゴリーにおいて、この仮説が実際に消費者ニーズと合致しているのかをデータで検証し、効果的な訴求方法を明確にする必要がありました。
今回は、AuBが、"顧客の声"をAIで解析し、コミュニケーションの"起点となるインサイト"を発見し続けるデータプラットフォーム「Kaname.ax」のカテゴリーイグジットポイント分析※を活用して、商品特性の仮説を検証し、より効果的な訴求メッセージの構築に成功した事例をご紹介します。
※カテゴリーイグジットポイント分析とは
「カテゴリーイグジットポイント分析」は、「Kaname.ax」における「CEPs リスニング」の分析メニューの一つです。SNS の UGC やレビューなどのネガティブな VOC を独自 AI 技術により分析し、そのカテゴリーやブランドの購入障壁や体験後の不満を明らかにします。
従来の「カテゴリーエントリーポイント分析」がポジティブな購入動機を明らかにするのに対し、「カテゴリーイグジットポイント分析」はネガティブな離脱要因を可視化することで、より包括的な顧客理解を実現します。
AuBが抱えていた課題は、新規参入する睡眠サポート市場において、自社が持つ商品特性の仮説が実際に市場ニーズと合致しているのか、そしてそれをどのように効果的に訴求すべきかという点でした。
「NIGHT CHERRY ESSENCE」は、有機JAS認証を取得した有機栽培のタルトチェリーのみを原材料とし、水や砂糖、甘味料、添加物を一切加えず約5倍に濃縮した、果汁100%の無添加商品です。また、若々しさの維持をサポートする「アントシアニン」や、女性に不足しがちな「鉄分」、「マグネシウム」や各種ビタミン群といった美容成分も豊富に含んでいます。
同社は、これらの商品特性から「天然由来」「無添加」「美容成分をたっぷり含んでいること」が差別化要素になるのではないかという仮説を持っていましたが、それが本当に消費者の購入動機になるのか、またどのような訴求の優先順位で伝えるべきなのか、データでの裏付けが必要でした。
そこで同社は、アライドアーキテクツのデータプラットフォーム「Kaname.ax」を活用し、睡眠サポート市場および美容ドリンク市場におけるネガティブVOCを分析。カテゴリーイグジットポイント(消費者が商品から離脱する要因)の抽出を図りました。
X上の睡眠関連商品(サプリメント、ドリンク剤等)、美容ドリンク商品のネガティブVOCを独自AI技術により体系的に分析した結果、それぞれの市場において消費者が抱える主な不満軸が明らかになりました。
これらのインサイトは、企業側が想定していた以上に睡眠サポート市場において「天然由来」「自然な睡眠」といったキーワードへの潜在需要が大きいことを示していました。特に、甘味料や合成着色料等の成分を含む商品への抵抗感や、「薬っぽさ」への懸念が市場に根強く存在することが判明しました。
また、美容ドリンク市場においては「飲みやすさ」「後味の良さ」が重要になることが判明しました。
この分析により、AuBが差別化要素として仮説を持っていた「天然由来」「無添加」「すっきりとした飲みやすい味わい」という特徴が、実際に消費者にとって重要な購入動機となりうることがデータで実証されました。
カテゴリーイグジットポイント分析の結果を基に、AuBは商品が本来持つ特性をより効果的に伝えるための訴求戦略を構築しました。
分析により、市場の不満を解消する要素として「天然由来」「無添加」への需要が非常に高いことが確認されました。これにより、もともと商品が持っていた「お休み前の生活リズムを整える果物としてのタルトチェリー」「有機JAS認証を取得した有機栽培原料のみを使用」「水や砂糖、甘味料、添加物を一切加えない果汁100%の無添加」という特徴を、LPや広告クリエイティブにおいて前面に打ち出す優先順位が明確になりました。
「アントシアニン」「鉄分」「マグネシウム」「各種ビタミン群」といった豊富な美容成分を含みながら、就寝前でも飲みやすいすっきりとした味わいであることを、睡眠サポートと美容を両立する「睡眠美容」というコンセプトで伝えることは市場の需要に応えるものであると確認しました。
分析結果から、自然志向・健康意識が高く、「薬に頼らない睡眠改善」を求める層、特に美容と健康を両立したい女性層へのアプローチが有効であることが裏付けられました。
競合商品への不満を解消する要素(天然由来、無添加、美容成分豊富、飲みやすい味わい)がより伝わるよう、メッセージの配置や表現方法を最適化。訴求の優先順位を見直すことで、消費者が求めていた価値を明確に伝えるクリエイティブの制作を実現しました。
今回の取り組みで特に重要だったのは、自社が持っていた商品特性の仮説を、市場のリアルな声で検証できたことです。
従来は仮説ベースで進めるしかなかった新商品の訴求開発において、消費者のリアルな声を根拠として持てたことは非常に大きな価値でした。「天然由来」「自然な睡眠」「無添加」「飲みやすさ」といったキーワードへの潜在需要が想像以上に大きいことがデータで裏付けられたことで、自信を持って訴求設計を進めることができました。
また、「睡眠美容」という訴求コンセプトについても、確信を持って展開できるようになりました。これは、ポジティブな声だけでなく、ネガティブな声を体系的に分析するカテゴリーイグジットポイント分析ならではの発見でした。
商品開発時に考えていた仮説が、市場データによって実証されたことで、施策の推進に確かな根拠を持てるようになりました。
新規カテゴリーへの参入にあたり、既存市場でのエンドユーザーの本音を知ることが重要と考えていました。「Kaname.ax」のカテゴリーイグジットポイント分析により、カテゴリー内の競合商品に対する不満、不安や潜在的なニーズを把握でき、タルトチェリードリンクという日本ではまだ馴染みの薄い商品を、どのように訴求すべきかがクリアになりました。
特に、『天然由来』『自然な睡眠』『無添加』といったキーワードへの潜在需要や『飲みやすさ』の重要性が想像以上に大きいことがデータで裏付けられたことで、自信を持って訴求設計を進めることができました。また、美容文脈も意識した「睡眠美容」というコンセプトも、市場分析から確信を持って展開できるようになりました。これまで仮説で進めがちだった初期の訴求開発に、「リアルな生活者の声」という確かな根拠が置けたことは非常に大きいと思っています。
今後も継続的に「生活者の本音」を分析し、商品開発やコミュニケーション戦略に活かしていきたいと考えています。