【SNS広告 成功事例-ドコモヘルスケア】獲得件数16倍に!ニッチ層の生活者に届くSNS広告のクリエイティブとは?  ~企業担当者に聞く / クリエイティブテック最前線~

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ドコモ・ヘルスケア株式会社 ウェアラブル活動量計「ムーヴバンド®3」

「クリエイティブテック(※1)」がデジタルマーケティングを変える
今回のインタビュー企業は、ドコモ・ヘルスケア株式会社です。

モバイル事業大手のドコモと健康機器メーカー大手のオムロン ヘルスケアが、それぞれの強みを生かして立ち上げた同社は、一般消費者向けに、手首につけるだけで毎日の歩数と睡眠の質が分かるウェアラブル活動量計「ムーヴバンド®3」の販売や、月額課金のアプリなどを提供しています。(「ムーヴバンド」はドコモ・ヘルスケア株式会社の登録商標です。)

(※1)クリエイティブテックとは:
クリエイティブとテクノロジーを掛け合わせた造語です。バナーデザイン、ウェブサイト、広告テキスト等、全ての顧客接点におけるクリエイティブを、ユーザーファーストで価値あるものに、より少ない工数で変革するための「テクノロジー」や、それを提供するサービス・企業を指します。これからのデジタルマーケティングにおける新たな潮流として注目されています。さらに詳しい説明はこちら → https://www.aainc.co.jp/service/letro/article/2019/creativetech.html

同社は、SNS広告こそが商品の特徴をもっとも生かすマーケティング手法だと気づき、さらに、広告クリエイティブに「ある工夫」をすることで獲得件数16もの大きな成果を上げています。

一体どのような工夫を行ったのでしょうか?同社コンシューマー事業部 コンシューマービジネス部部長の松島りんご氏に、お話を伺いました。

課題

  • SNS広告を開始したが、イメージ先行型のクリエイティブであまり成果につながっていなかった

解決策

  • UGCに近いクリエイティブを広告に活用

成果

  • 訴求軸を変えたことでSNS広告のCVRが1.3倍に、獲得単価は4割弱の改善に成功
  • 従来のクリエイティブと比較すると獲得件数も16倍に

マスからSNSへ:同じ趣味趣向でつながるSNSはニッチ層の獲得メディアとして有効と判断

SNS広告を開始した経緯を教えてください。

ドコモ・ヘルスケア株式会社コンシューマー事業部
コンシューマービジネス部部長 松島様

もともとは、テレビCMや電車内動画広告などマス向け広告をメインとするプロモーションを実施する中で、Webマーケティングはその中の一部として実施していました。

当初はマス向けに使用していたクリエイティブをWebにも活用したり、多くのWeb媒体に出稿し試行錯誤を重ねていたため、特にWebでの販売強化を優先的に実施している状況ではありませんでした。

しかし、大規模なプロモーションがひとまず終わった2016年末くらいから、今度はしっかりWebでの販売強化に向けたマーケティングを行うため、媒体を精査し、成果の出る媒体を絞っていきました。

リスティングは検索型の広告なので、獲得の効率は良いものの件数が担保できていないという状況でした。また、GDNGoogleディスプレイネットワーク)や YDNYahoo!ディスプレイアドネットワーク)のように幅広い層に訴求していくというよりかは、ニッチな層に絞って広告展開すべきだということも分析できていました。ムーヴバンドは、アスリート感覚で体のコンディションを整えたい層ではなく、普段の生活習慣を少し良くしてきたいというニッチな層に対して広告を展開していくのが良いと。

この点、SNSは趣味趣向や潜在意識が同じ方々を取りやすいと分かっていましたから、まずはSNSのターゲティングで成功してから、その情報を持ってほかの媒体に広げていく方が得策だと判断しました。

クリエイティブの検証・改善で、CVR130%、CPA41.5 %、獲得件数16倍に!-「機能訴求」は響かなかった

-SNS広告開始後の成果を教えてください。

アライドアーキテクツ株式会社 今崎氏

SNS広告を開始した当初は、ロゴが入り、どちらかと言うときれいにデザインされたクリエイティブを使用していました。イメージ先行型で、商品のイメージかっこよさをアピールしたいというクリエイターの思いが強く出ているものになっています。しかしながら、まだプロモーション初期で認知を獲得していくという段階でしたので、正直あまり販売にはつながっていませんでした

その後、アライドアーキテクツさん支援のもと、睡眠改善の訴求をベースにした広告素材や一般の方のSNS投稿に近いような写真、店鋪スタッフが写ったデザイン性訴求写真などを用いて、どのようなクリエイティブが当たるのか、高速でA/Bテスト検証を行っていきました。

当初、商品を実際に使っていただいたユーザーさんからは、睡眠管理機能が一番 面白いと言われるので、PDCAを回す前は「睡眠」で訴求するのが一番響くのではと思っていました。

ただ結果として、普段の生活に溶け込んで ちょっと体調を良くしたいといったイメージが伝わる「普段使い」のクリエイティブの数字が良かったのです。使ってみなければ分からない「機能訴求」は広告では響かない、ということが分かりました。

通常100200のパターンを数カ月に渡って次々にテストしていくのですが、今回は高速でPDCAを回せたため、比較的早く数字が出るものを見つけることができました。

ドコモ・ヘルスケア株式会社 活用クリエイティブ活用改善ビフォーアフター

(左)過去SNS広告に活用していたクリエイティブ、(右)改善後のクリエイティブ

実績値で見ますと、訴求軸を変えたことで利用シーンが分かりやすくなり、CVR(コンバージョン率)は1.3倍に引き上がって獲得単価としては4割弱の改善ができました。従来のクリエイティブと比較すると獲得件数も16倍となり、効率の改善と件数の拡大を実現しました。

広告の遷移先であるランディングページも同時に改善を進めました。もともとはランディングページも同様に、商品のデザインを前面に押し出すような写真を活用していましたが、普段つけているシーンが想像できるようなクリエイティブを追加することでクリック率が改善したのです。

製品特性的にも価格帯的にも、ムーヴバンドは年にいくつも買うものではないので、それを見据えて遷移先ページもセットで改善したのは成功した要因のひとつだと思います。

FacebookからLINEへ、クリエイティブの勝ちパターンを水平展開-「UGC(※2)」活用し新たな切り口のクリエイティブに期待

-Facebook広告で成果を上げた後の展開を教えてください。

Facebookで6カ月間検証を行って目標のCPAを達成した後、Facebookでの検証を持ってLINEへ水平展開したところ、早くから良い数字が出始めました。

また、LINE広告には、Facebook広告で検証したクリエイティブのみでなく、UGCマーケティングプラットフォーム「Letro」を利用して、消費者の投稿した写真、UGCをそのまま広告クリエイティブとして活用する試みも実施しました。「普段使い」「生活になじむ」というキーワードは、どの媒体でも当たるという実感値がありましたので。

Letroを利用し、実際のUGCを活用することによって、社内にない切り口のクリエイティブを簡単に収集でき、引き出しを増やすことができました。

たとえば、社員が考える「タイムラインになじむ画像」は実際に装着して撮影しているような発想に留まるのですが、利用者から集まった写真は、「ロゴが かわいい、と商品を並べて撮っている写真」や、箱がかわいいので、そこにフォーカスした写真などもありました。

そういう写真は社員の発想にはなかったですし、消費者として商品の良さを分かってくださっているお客様が撮ることで、かっこよさやファッショナブルさがより伝わる写真になるのかなと思います。

(※2)UGCとは:
UGC(User Generated Contents)とは企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを言います。 最近はInstagramなどSNSに投稿された写真や動画などが UGCとして注目されています。

今後はマス広告からSNS広告へ大きくシフト、ニッチなターゲットだからこそ新しい挑戦を

マス広告を活用し、ある程度認知されないと買われない商品というものも確かにあるとは思いますが、弊社のようなニッチなターゲットを狙う商品がマス広告に合うのかどうかは再考が必要だと思います。

昨年いろいろ試してみて、大衆でマスコミュニケーションをとることは効率的でないと社内での共通解が出ました。ドコモやオムロンといった大きな会社のマーケティング感覚でいろいろ試みて、失敗したこともあります。

そういう背景もあって、実は今年度はマス広告の予算をほぼなくして、SNSに寄せています。幅広い層に訴求するGDNYDNもほとんど実施しておらず、セグメントを切ったSNS広告の中でもLINEFacebookをきちんと活用し、認知まで役割を担わせる方が近道だと考えています。

弊社はまだ新しく、いろいろなことにチャレンジできる環境ですので、これからもどんどん、新しいことに取り組んでいきたいと思っています。

SNS広告成功事例 ドコモ・ヘルスケア株式会社対談

<プロフィール>
松島りんご氏(写真右)
ドコモ・ヘルスケア株式会社コンシューマー事業部
コンシューマービジネス部部長 

▼インタビュアー
今崎裕二(写真左)
アライドアーキテクツ株式会社 
アドテク事業部

▼撮影
小野田友明

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