株式会社KADOKAWA/KADOKAWAの電子書籍

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【フォロワーの増加と売上の増加の関係性を可視化】コンテンツ企業のKADOKAWAがTwitterインスタントウィンキャンペーンに感じる価値とは?

株式会社KADOKAWA インタビュー集合写真(左から右へ順に)
株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 課長 兼
デジタル戦略局 デジタルマーケティング部 エヴァンジェリスト課  楫野晋司様
株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 山口ひろ美様
株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 菅原剛様
株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 阿部七緒様
株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 洲川優太様
アライドアーキテクツ株式会社 echoes事業部 外賀陽春

本や雑誌などの出版のみならず、映像事業、海外へのライツビジネス、ゲーム、動画サービスなど、コンテンツを核に多角的なビジネスを展開する株式会社KADOKAWA。

そんなKADOKAWAの展開する事業の一つである電子事業のTwitter公式アカウントが「KADOKAWAの電子書籍」です。

2015年のアカウント開設以降、様々なキャンペーンを通してフォロワーとの接点を創出してきた同アカウントがTwitterインスタントウィンキャンペーンを実施した背景とは?どう感じているのか?どんな成果をあげているのか?今回は同社の菅原様に詳しくお話を伺いました。

多角的なコンテンツビジネスを行う「KADOKAWA」

-まずは御社の事業内容や、ご担当業務等についてお聞かせください。

KADOKAWAと聞くと皆さまやはり出版社としての「角川書店」をイメージされるかと思います。しかし、近年は映像事業、版権事業、デジタルコンテンツ事業、動画コミュニティサービスなど幅広く事業を展開しています。そのなかでも、出版事業における「コンテンツを創出する」というところは変わらず軸においていまして、現在は年間5,000の作品を作っていくことを目標としています。

-なるほど。時代とともに、コンテンツのアウトプットが書籍だったり映像だったり、と色々な形をとるようになってきたということですね。

はい。私は現在、電子書籍の担当をしておりますが、書籍の電子化もアウトプットが多様化してきた流れの一つだと認識しています。実際、電子書籍自体は2010年頃より日本でもサービスが開始し、最初の大きな波がきたのはAmazonのkindleなどのサービス提供が始まった2012年頃です。私が電子書籍の担当になった2015年の12月時点でも既にアイテム数は相当数に上っていましたが、KADOKAWA直営電子書籍ストアBOOK☆WALKERで2019年7月現在販売している電子書籍の出版社各社合計のアイテム数は62万アイテムを超えています。ただ、私が担当になった2015年の時点で、まだまだ電子書籍自体のメリットが訴求できていない面が多々ありました。そのメリットの訴求が私が担当となって最初に直面した課題です。

角川電子書籍 ホームページ
KADOKAWAの電子書籍ではお得なフェアやキャンペーンが開催されている(https://ebook.kadokawa.co.jp/campaign/

-電子書籍のメリットは具体的にどういったものになりますか?

まず、電子書籍は紙の本とは異なり品切れがないことです。そして1クリックですぐに購入が可能で利便性にも優れています。また、各書店にて割引キャンペーンや、フェアが実施しており、安価に購入できる機会も多くあります。さらに合本と呼ばれる続刊や関連作品などを1冊にまとめた高単価の商品があるのも電子書籍ならではです。紙だと重くて実現できないような全巻を1冊にまとめることも、電子書籍なら可能ですし、気軽に持ち運べるのも電子書籍ならではのメリットだと思います。

ただ、ストアでは常時、膨大な数のアイテムが販売されているので、個々の作品の売り場を確保するのに非常に難しい面があります。また、電子書籍は使ったことがない人にとって最初に購入していただくまでのハードルが高いと感じています。電子書籍はスマートフォンなどお手持ちのモバイル端末で簡単に読むことができますが、実は今でも専用の端末がなければ読めないと思っていらっしゃる方が多くいるようです。これらの人たちにいかに電子書籍のメリットを伝え、またたくさんの品揃えがあるアイテムやフェアの情報を告知していくのかが、当初からの課題でした。

-では、Twitterアカウントはその課題解決のための施策の一つとして運用を開始されたのでしょうか?

はい。それまではほぼ全くと言っていいほど電子書籍に関する情報発信の施策を行なっていませんでした。当時担当していた文芸ジャンルの電子書籍の販売がコミックやライトノベルなどのジャンルと比較して伸び悩んでいるという実態もあり、「電子書籍のメリットの訴求」と「電子書籍の豊富なタイトルの恒常的な情報発信」のために、ユーザーに気軽に発信できるTwitterを利用しようと思ったのがきっかけです。

角川Twitter トップページ
KADOKAWAの電子書籍の公式アカウント(https://twitter.com/kadokawa_denshi

フォロワー増加とともに電子書籍の売り上げが増加

-2015年の公式アカウント開設以降、キャンペーンも実施されてきていますが、Twitter公式アカウント運用のなかでキャンペーンなどのプロモーション施策が担う役割についてはどうお考えでしょうか?

まず、私たちがアカウントを立ち上げた2015年の段階で、既にTwitterには多くのユーザーがおり様々な企業がマーケティング施策への活用を始めていました。「KADOKAWAの電子書籍」のアカウントは、その状況下で立ち上げたいわば後発のアカウントでしたので、最初はフォロワーをどう増やしていけばよいかと苦労していました。そんな中、2016年にホラー映画「貞子vs伽倻子」の公開に合わせてTwitterで「貞子と伽椰子、どちらが日本を冷やせるか?」というプロモーション企画をKADOKAWAの電子書籍アカウントで行いました。このプレゼントキャンペーン実施の際にぐっとフォロワーが増えましたので、キャンペーン施策はフォロワーを増やすためにはとても有効な手段なのだと実感しました。

角川 キャンペーンページ
当時実施されたキャンペーンのクリエイティブ。RTといいねで参加ができるキャンペーンを実施した。

-その後もキャンペーンに取り組んでいらして、手応えや社内での評価はいかがですか?

現在弊社内にはおそらく200ほどのTwitterアカウントがあると思うのですが、電子書籍は戦略的な運営によりその中でもフォロワー数が上位に入ってきましたので、アカウントの存在感も増してきたのではと思います。また、公式アカウントで紹介した本は、基本BOOK☆WALKERストアさんへ誘導しコンバージョンタグをつけ売り上げを見ていくという取り組みもしています。その結果、フォロワー数の増加に比例して売り上げも伸びていることがわかりました。

角川 Twitterフォロワー数推移Twitterアカウント(@KADOKAWA_denshi)のフォロワー数と電子書籍の売上相関図(株式会社KADOKAWA提供)

-フォロワーの増加がストアでの販売増に直結していたのですね!

はい。このレポート以降、社内でのTwitterに対する評価もかなり変わってきたように思います。この数字のおかげで2019年もフォロワー獲得を戦略的に行なうための施策の予算化もできました。

従来比60倍の成果を実現したTwitter自動返信ツール「echoes

-そしてその戦略のなかでTwitter自動返信ツール「echoes」をご契約頂いたわけですが、御社は月額でご契約いただく前に一度単発のキャンペーンでもご利用頂いています。その際も「フォロワーを増やす」目的でご実施頂いたのでしょうか?

いえ、最初はリツイートによって発生する告知力に注目しました。近年多くの企業がマーケティング活動にTwitterを積極的に活用しています。その結果、単純にTwitter広告を出稿しても、思うように広告のインプレッションが出ないと感じていました。こうした状況のもと、昨年(2018年)10月にニコニコカドカワ祭という電子書籍の大きなキャンペーンを実施するにあたり、Twitterの自動返信ツールを使ったインスタントウィンキャンペーンを実施すれば、より効果的にキャンペーンの告知が出来るのではないかと考えました。

Twitterキャンペーン 流れ

-実際にキャンペーンを実施されてみていかがでしたか?

2016年の「貞子VS伽倻子」のキャンペーンでは最終的な総RT数は1,150回、フォロワーは214名増、という結果でした。既存のフォロワー数やキャンペーン開催期間などの違いもありますので一概に比較することはできませんが、昨年10月に実施したechoesを利用したキャンペーンでは、総RT数は120,738回、フォロワーも12,000人以上純増しました。
さらにechoesを利用したインスタントウィンキャンペーンが非常に素晴らしいと思えるのは、キャンペーンスタートと共に一気にインプレッションを上げることが出来たことです。広告で一気にインプレッションを上げるためには、短期間にまとまった広告費の投下が必要であり、コストの面でハードルが高いと感じていました。しかし、echoesはそれを可能にしてくれるキャンペーンツールだと思います。

echoes RT 効果測定

-初回のキャンペーンの成功が、月額プラン導入に繋がったという訳ですね。

その通りです。弊社では年間を通じて様々なキャンペーンや、コンテンツのプロモーションなどを行っており、それらの実施の際に非常に有益なツールになるのではと感じ、月額プランの導入を決めました。

「あなたの好き」を応援できるTwitterアカウントでありたい

-今後echoesを使ったキャンペーンを通してどんなことを実現してきたいですか?

7月16日から新海誠監督作品、映画『天気の子』(角川文庫刊)の公開に合わせたキャンペーンを実施しています。「晴れの動画が出ると当たり!」というキャンペーンですが、映画の映像がとても素晴らしいので、きっとユーザーの皆さんも楽しんでいただいているキャンペーンになっているのではと思いますし、今後も様々な映像作品とご一緒したキャンペーンが出来ればなと思っています。さらに毎日ビジュアルも替えられるechoesの仕組みを活用すれば、角川文庫の夏のキャンペーンである「カドフェス」に合わせ、日替わりで名作文庫を紹介していくといったキャンペーンも実施可能なのではと考えています。

我々のミッションは、KADOKAWAが資産としてもっている膨大なコンテンツを有効活用し、そのコンテンツの価値を最大化することです。そのためには、ユーザーの皆さまに喜んだり楽しんだりしてもらうことが何よりも大切なのではと思っています。まだ使い始めたばかりですがアイデア次第でechoesには様々な可能性があるのではと思っています。

株式会社KADOKAWA 菅原剛氏株式会社KADOKAWA 営業企画局 デジタル営業部 デジタルプロモーション課 菅原剛様

-Twitterアカウント運用全体についてはどのような展望をお持ちでしょうか?

これは私見ですが"Twitter"とは集英社さんの作品ですが鳥山明さんの『ドラゴンボール』の“元気玉”のようなものだと思っています。”元気玉”って周りのみんなから少しずつパワーをもらうことによって大きな力を発揮する必殺技なんです。Twitterもそれと同じで、たくさんのユーザーに参加して拡散してもらうことで、より大きな力を発揮することが出来るツールです。そのためにはやはり、普段からフォロワーさんとの信頼関係を作っていくことが大切なのではと思っています。そして忘れてはいけないのは、“元気玉”を使うにためには何より主人公の孫悟空自身がパワーをもっていなくてはだめなんです。ユーザーの皆さんにパワーを与え、そしてパワーをもらうこともできるアカウントとして日々活発な投稿を行い、ユーザーの皆さんと一緒に楽しく活動していきたいと考えています。

現在、KADOKAWAの電子書籍では月にだいたい250~300ほどの電子書籍アイテムを紹介しています。新刊情報の収集ツールとして活用していただいている方もいらっしゃるようですが、ジャンルもターゲット層も異なるアイテムを紹介しているのにも関わらず、ずっとフォローし続けてくれているフォロワーさんは本当にありがたいと思っています。

このアカウントを運営するうえで、一番大事にしたいと思っているのが「あなたの好き」を応援したいということです。私もそうなんですけど、すごく好きなものってそれぞれ違うと思いますしみんなの個性ってそこにこそあると思うんです。「好き」の中身を全て理解するのは難しいことですが、何かを「好きだ」という気持ちを理解し、応援していきたいです。みんな自分の好きなものを褒められるのはやはり嬉しいんです。今は色々と世知辛い世の中ではありますけど、KADOKAWAの電子書籍の公式Twitterのアカウントでは、それはずっと大切にしていきたいと思います。