Cases|3℃1(サンドイッチ)ークリエイティブチーム

「あばれる君」起用のWebCMが生んだ想定外の反響 ―Umios “WILDish”、クリエイティブ力で実現した訴求強化

作成者: Admin|Mar 27, 2026 1:01:42 AM

※本インタビューは2025年11月に実施しています。2026年3月マルハニチロは、Umiosに社名変更いたしました。

水産物および冷凍食品・加工食品の調達・製造・販売を行う総合食品企業のUmios株式会社 (※マルハニチロはUmiosへ社名変更いたしました)。
同社が2019年に発売した冷凍食品”WILDish”は、「袋のままチンして、袋がそのまま皿になる」という革新的な機能を持つ商品です。コロナ禍で在宅勤務が広がる中、ブランド認知と販売は大きく増加したものの、その後はなかなか次のステージに進めずにいました。2025年、同社はあらためてブランドの再強化を決断し、タレントを起用した「WebCM」の制作に挑みます。

限られた予算と時間の中で実現したのは、「これまでマルハニチロではなかなか作ることができなかった、遊び心のあるハジけた動画」。この挑戦を支えたのが、アライドアーキテクツのクリエイティブチーム「3℃1(サンドイッチ)」でした。データドリブンな思考と高い創造性をブリッジさせる同チームとの協働により、同社の要望はインパクトとクリエイティビティを備えた動画に昇華され、想定を大きく超える反響を生み出しました。

どのようにして「今までのマルハニチロにはない」クリエイティブを実現したのか。
市販用冷凍食品事業部 事業企画課の山口晃生氏に、タレント起用の決断から想定を超えた反響まで、その舞台裏を伺いました。

サマリー

背景

  • 「袋のままチンして皿になる」革新的な冷凍食品"WILDish"が、ブランド名と機能性の認知不足という課題に直面
  • コロナ禍で成長したものの、その後は伸び悩み。海外からの注目や新商品発売を機に再注力を決断
  • インフルエンサー施策では「決定打に欠ける」と判断し、訴求力を高めるためタレント起用に舵を切った

内容

  • アライドアーキテクツのクリエイティブチーム「3℃1」が制作を担当し、タレント「あばれる君」を起用したWebCMを展開
  • 限られた予算・時間の中、「シリーズ名と機能性の訴求」を最優先に、多様なシーンと遊び心を盛り込んだ動画を制作
  • WebCMと連動したXキャンペーンを展開し、ハッシュタグ投稿による参加型施策を実施

成果

  • 「今までのマルハニチロにはなかったような、遊び心のあるハジけた動画」として社内で高評価を獲得
  • Xキャンペーンでシミュレーションの数倍のUGC投稿を達成し、「今年1番の乖離」と評される想定外の反響
  • 毎日約10万インプレッションを獲得し、「面白い」「美味しそう」といったポジティブなコメントが多数寄せられた

「袋が皿になる」革新的冷凍食品“WILDish”―未来に向けた種まきと挑戦

-まず、山口様が所属されている事業企画課の役割と、”WILDish”シリーズについて教えてください。

-山口氏
私たち事業企画課は、営業の後方支援を担う部署です。

販促施策を中心に、「どうすれば商品がよりお客様に届くか、売上アップに繋げられるか」を日々考えています。目の前の売上施策だけでなく、未来に向けた種まき的な活動も含めて、さまざまな販促施策を検討する役割です。KPIとしては事業の予算達成が大きな柱ですが、”WILDish”のようなシリーズではブランドの認知度向上も重要な指標として掲げています。

私自身は2012年に新卒入社し、中部エリアで冷凍食品営業を8年、その後本社の開発部で商品企画をを5年担当してきました。2025年度から事業企画課に異動し、まさにマーケティング施策の最前線に立っています。

”WILDish”は2019年秋に発売した冷凍米飯シリーズです。最大の特徴は「袋のままレンジでチンして、袋がそのまま皿になる」こと。開発の着想は「スナック菓子を袋から直接食べるような手軽さを冷凍米飯でも」というものでした。袋のまま食べる設計から若年層をメインターゲットと設定し、「ながら食い」スタイルも想定しました。また、各商品いずれもターゲットにあったやみつき感のある味付けとなっています。

発売直後は必ずしも順調な滑り出しとは言えませんでした。ところが、発売から約半年後に訪れたコロナ禍で状況が一変します。在宅勤務が広がり、”WILDish”の機能性がまさに生活スタイルの変化に合致しました。さらに、一般的な米飯より少なめの容量設定が、意外にも高齢の方々から評価を受けたり、個食(孤食)化が拡大している時代背景とも相まって、幅広い層に支持されるようになりました。


Umios株式会社 市販用冷凍食品事業部 事業企画課 山口氏

「やっぱり可能性を秘めている」――ブランド再注力の背景

-今回、タレントを起用したWebCMを制作された背景には、どのような課題があったのでしょうか?

-山口氏
”WILDish”は、コロナ禍での生活様式の変化が追い風になり一気に規模が拡大したブランドでした。また、単身者に限らず家庭でも個食(孤食)が進む時代背景ともマッチしていましたが、発売から4〜5年経過し数字が伸びにくくなりました。

その裏には、当社の市販用冷凍食品事業における中核ブランドである“新中華街”シリーズを最優先に取り組む必要があったため、”WILDish”に十分な予算を割けない期間がありました。注力しなければいけない大事なブランドだと、メンバーもみんな分かってはいるのですが、商品の優先順位もあり“WILDish”に対して十分な打ち手を講じることができずにいました。

そんななか、海外の方々から”WILDish”の機能性に対する関心が徐々に高まってきました。これをきっかけに、社内でも「”WILDish”はあらためて大きな可能性を秘めたブランドではないか」という認識が広がっていきます。
また、”WILDish”は若年層をターゲットにした、ある意味"ハジけた"商品群であり、表現や展開の自由度が高い点も特徴です。上限を定めず、さまざまな挑戦ができるブランドであることも意識されるようになりました。加えて、2025年秋には韓国企業とのコラボレーションによる“WILDish”新商品の発売が決定。こうした複数の追い風が重なったことから、当事業は“WILDish”にあらためて本格的に力を入れることを決断しました。

ただ、再注力にあたり、課題がありました。”WILDish”というシリーズ名と、「袋のままチンできて袋が皿になる」という機能性が、まだまだお客様に浸透できていなかったんです。


袋のままレンジでチンして、そのまま食べられる”WILDish”シリーズ。
海外からも注目を集める革新的な機能を持つ

「決定打に欠ける」悩みから、「親和性重視」の決断へ

-WebCM制作のパートナー選定から、タレント起用に至るまでのプロセスを教えてください。

-山口氏
最初は、各社からインフルエンサーを活用したご提案をいただいていました。確かに若年層がターゲットという意味では、インフルエンサーによるプロモーションが有効なのかなとも思うんですが、私たちも本当にインフルエンサーの効果というのが、説明を受けてもいまいち踏み込めないところがありました。決定打に欠けるというか、「そうなのか、良さそうだな」とは思うんですけど、それ以上に確信が持てなかったんです。

検討の結果、訴求力を高めるためには、やはりある程度知名度のあるタレントの力を借りることがベストと考え、タレント起用という方向に舵を切りました。

正直なところ、営業現場での販促提案において、WebCMはテレビCMほど影響力は強くありません。バイヤーさんに「Webでプロモーションを行います」と言っても、反応が薄いことの方が多かったりします。でも、知名度のあるタレントを起用して、そのタレントの特長をうまく活かすことができていれば、それがひとつの商談材料にはなります。そういう現実的な判断もありました。

あらためてアライドアーキテクツさんにタレントの提案が可能か質問したところ、様々な候補者を挙げてくださいました。他の代理店さんからも提案はあったのですが、その中でも一番”WILDish”と親和性があって、いいものが作れそうかなと思ったのが「あばれる君」だったんです。また、Xキャンペーンとセットで提案いただけたことも、トータルで考えて非常にやりやすかった部分ですね。


「知名度があれば、それだけでプラス」――
シンプルな判断軸が、方針転換の決め手となった

社内でも評価された「今までのマルハニチロにはなかったような」遊び心のあるクリエイティブ

-クリエイティブ制作では、どのようなプロセスで「やりたいこと」を形にしていったのでしょうか?

-山口氏
今回、私たちが実現したかったのは、”WILDish”というシリーズ名と、「袋のままチンできて袋が皿になる」という機能性を、あらためて印象的に訴求することでした。この2つを伝えることを最優先に、アライドアーキテクツさんには本当に数多くの要望を伝えさせていただきました。

最初の提案では、リモートワークのシーンを中心にした構成だったんですが、私たちとしては「シリーズ名と機能性の訴求」をメインにしたかったので、リモートワークだけに引っ張られると、伝えたいことがぼやけてしまうかなという印象を受けました。そう率直にフィードバックさせていただいたところ、複数のシーンを組み合わせた構成をご提案いただきました。

時間も予算も限られたなかでしたが、レスポンスよく対応いただき、私たちの要望を「インパクトとクリエイティビティ」という形で見事に昇華してくださいました。今回、アライドアーキテクツさんのクリエイティブチーム「3℃1(サンドイッチ)」が制作を担当されたと伺っていますが、完成した動画は、社内でも「今までのマルハニチロにはなかったような、遊び心のあるハジけた動画」という評価を得られました。社内に展開する時はドキドキしていたのですが、好評価をいただけて本当に良かったです。

この取り組みを通じて、冷凍食品事業部が今までとはちょっと違う挑戦をしているなという印象を、社内に持ってもらえたのではないかと思っています。そういう意味でも、やって良かったと感じています。


「実際に制作されたWebCM “自分はそうは思いません”編
冒頭のつかみのインパクトを軸に、あばれる君のおなじみのフレーズや
“WILDish”を印象づける音・テンポ感という要素で構成。


実際に制作されたWebCM “どんな時でもWILDish”編
あばれる君のキャラクターを活かした展開と多様なシーン。
視聴者が思わず反応・共有したくなる体験を15秒に凝縮。


WebCMと連動した店頭POPクリエイティブも一貫で制作

Xキャンペーンで起きた「想定外の反響」

-Xキャンペーンではどのような成果が得られたのでしょうか?

-山口氏
Xキャンペーンの反響については、とても驚きました。キャンペーン参加者数、とくにハッシュタグをつけたUGC投稿(ダブルチャンス)がシミュレーションの数倍に達したんです。アライドアーキテクツさんからも「今年1番の乖離」と言われるほどでした。

毎日のキャンペーン投稿で約10万のインプレッションがあって、これだけ多くの方の目に留まって、リポストして参加してくれる方がいることに、率直に、反響の大きさを実感しました。

コメントでも「あばれる君の動画が面白い」とか「美味しそう」という声があって、自分たちがいろいろ考えて作ったものに対して、間違ってなかったなと思えました。初めて1からキャンペーンに携わったこともあり、この手応えはすごく嬉しかったですね。


山口氏が「手応えを感じた」というXキャンペーン
https://x.com/mn_frozenfoods/status/1979714112637616228?s=20

データと創造性の融合――次なる挑戦への期待

-今回の施策を経て、”WILDish”ブランドの今後についてどのようなビジョンをお持ちですか?

-山口氏
やりたいことは今回の延長線上にあります。今回は予算も時間も限られた中での挑戦でしたが、今後は起用するタレントの選択肢や表現の幅をさらに広げることで、どのような展開が可能になるのかを検討していきたいと考えています。特に“WILDish”はこうしたチャレンジと相性の良いブランドだと思っています。あとは店頭でのデジタルサイネージとの連動など、コミュニケーション全体の強化にも今後取り組んでいきたいですね。”WILDish”には大きな可能性がありますので、今後も継続的に力を入れていく方針です。

-アライドアーキテクツに、今後期待することを教えてください。

-山口氏
今回、初めてタレントの起用で無事に完成させることができたので、今後も幅広い提案を引き続きいただけるととても嬉しいです。

また「納得感」ということが今、非常に重要だと思っています。「データドリブン」という言葉が社内でも頻繁に飛び交うようになっていますし、今回もコンペ時にはデータ分析をベースにしたご提案をいただいていました。そうしたデータに基づいたご提案や、施策後の振り返りを含めていただけると、お客様にも社内にも非常に意味のあるものになると思っています。


「時代が変わって、いろんなところで情報が得られる」――
だからこそデータに基づく提案が重要だと語る

〈データ〉と〈遊び心のある仕掛け〉の両輪で、生活者の心を動かすクリエイティブを

山口氏のお話のように「納得感」が重要であるなかで、「なぜこのクリエイティブが良いのか」「どんなインサイトに基づいているのか」というデータドリブンな取り組みが、社内の意思決定をスムーズにし、施策の精度を高めます。

同時に、データに基づくロジックに加えて、思わず反応してしまう遊び心のある仕掛けを取り入れたクリエイティブが、想定を超える反響を生み出す鍵となります。

この両輪があってこそ、生活者が"目に留め、共感し、行動へ移す"マーケティングが実現します。

多くの企業が、顧客の声の重要性を理解しているものの、それをクリエイティブ制作や施策立案へとどう結びつけるかという段階で、調査・分析・企画・実行といった各工程が分断されやすいという課題に直面しています。

クリエイティブチーム「3℃1(サンドイッチ)」について

アライドアーキテクツでは、この課題を解決するために、生活者の声を起点としたクリエイティブ設計支援を展開する専門チーム「3℃1(サンドイッチ)」を発足しました。

「3℃1」は、企業と生活者の間にデータ・インサイト・クリエイティブという3つの温度を"サンドイッチ"することで、「おいしい関係」を創るチームです。データプラットフォーム「Kaname.ax」から得られたインサイトを、生活者が"目に留め、共感し、行動へ移す"クリエイティブへと橋渡しします。

マーケティングコミュニケーション設計、生活者の声の分析、クリエイティブ設計、実行支援まで一気通貫で支援。データに基づくロジックと、感性に響く表現を往復させながら、見られるだけでなく、選ばれ、購買につながるクリエイティブを創出します。

ぜひ、クリエイティブチーム「3℃1」へお気軽にお問い合わせください。

※本インタビューは2025年11月に実施しています。2026年3月マルハニチロは、Umiosに社名変更いたしました。